イヤミと呼ばれた外国かぶれとは



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20170510 イヤミ
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています)


一世を風靡した赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」に出てくる有名なキャラクターのひとりに「イヤミ」がいます。
フランス帰りの気取り屋さんで、普段は「ざーます」言葉で気取っているのですが、靴下はいつもだらしなく半分脱げていて、驚くと「シェー」と言って飛び上がります。
おそ松くんたちが6人兄弟で、相互信頼を図ろうとする普通の日本人であるのに対し、イヤミは自分さえ良ければという身勝手な個人主義で、完全な「外国かぶれ」として描かれています。
だから「イヤミなやつ」なので、「イヤミ」です。

このイヤミ、つり目でエラが張っているところはどこぞの国の人に似た特徴ですが、出っ歯は歯の大きな日本人の特徴です。
そういうところに、いかにも赤塚不二夫らしい風刺というか、気配りが見えたりします。

さて、その「外国かぶれ」の「かぶれ」です。
「かぶれ」というのは、一般に何らかの原因物質が皮膚に接触したときに、そこからもたらされる強い刺激によって皮膚が炎症を起こしたり、かゆみを伴う湿疹ができる病気のことを言います。
ところが、この「かぶれ」、人の心にも炎症や、かゆみを伴う湿疹を起こすことがあります。
これを昔の人は「○○かぶれ」と言いました。
だから外国にかぶれる人は「外国かぶれ」です。


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日本人というのは、一般的な通説に従えば、人は移動する生き物ですから、なんとなくいろいろな種類の人が西から東へとユーラシア大陸を移動し、ついには東の外れの日本列島になんとなくやってきて、いつのまにかなんとなく恋をして結ばれて、なんとなく様々な人種や民族の血がまじり、気がつけば日本人となって日本文化を培った、とされています。

ちなみに、この人間の移動ということについて、人類史を語るときには、不思議と無視されることが多いように思います。
というのは、人類はおよそ90万年前にアフリカの中央部で誕生し、10万年前に中央アジアの辺りに移動し、4万年前にヨーロッパやアジアに拡散したという説(よく絵になっている)があります。
この説に従えば、人類は80万年もの間、アフリカ中央部を一歩も出ず、いきなり10万年前にサウジあたりに移動したと思ったら、そこから6万年の間、一歩も動かなかったということになります。

人は動く生き物です。
何万年もの間、一箇所だけにじっとしていて、他の土地に移動することはなかったなどということは、絶対にありえないことです。
しかも陸続きの広大な大陸であれば、その土地が気に入らなければ、さっさと他所に移動することができるのですし、子孫の数が増して村の人口が、村の食料供給量以上に増えてしまったら、一部の人たちは他の土地に移動せざるを得なくなります。

そもそも大昔の人類は農耕ではなく狩猟採取生活をしていたとされています。
そうであれば、大型動物を追って、何十キロも、あるいはときに何百キロも移動することが起きるのは、ある意味当然のことと言えようかと思います。

世界四大文明というカビの生えた言葉がありますが(いまでは完全に否定されています)、そもそも黄河文明を起こしたのは、竪穴式住居に住むコーカソイド(白人種)であったことが、遺跡で発掘された人骨のDNA鑑定から割り出されています。
大型動物を捕食する彼らは、おそらく動物を追って移動してきたのでしょう。

そのコーカソイドが、揚子江の流域に定住して高床式住居に住み、農耕をしていたモンゴロイドと出会い、食べ物を奪い、また女性を強姦したり、村人たちを皆殺しにしたりしたことから、相互の報復合戦が始まり、これがおよそ2千年続いたことで、Chinaの古代文明が完全に失われ、種族ごとに対立しあい、憎しみを込めて残虐に殺し合うというChina文化が生まれたという説もあります。

ひと昔前、辛亥革命以降のChinaが殺し合いのルツボになって荒れたとき、多くのChineseは、平和と職を求めて満洲国に移動しました。
その数、なんと年間100万人です。

米国の古い大都市を見ても、いまスラム街となっているところは、かつて高級住宅街だった、かつての都市の中心部です。
そこが老朽化したので、お金持ちは郊外に引っ越し、結果としてその老朽化した建物に、貧しい人たちが住み着いてスラムを形成しています。

要するに、人は移動するのです。

ところが大陸からみたとき、日本列島の先はもう太平洋です。
日本列島までやってきたら、他に逃げ場はないのです。
しかもその日本列島は、国土のほとんどが山間部です。
平野部は国土の14%しかありません。

だから「行き止まり」であって、日本は人種のルツボであって、混血国家であって・・・云々というのがいまの定説であるようです。
けれど、少し考えたらわかりますが、陸より海の方が移動しやすいし、何より食べ物を得やすいのです。
陸で小動物を捕まえて食べるのはたいへんですが、海なら、髪の毛の先に釣り針を付けて海に垂らしておくだけで食べ物を確保できます。
そもそも、尻尾があって全身が毛で覆われた猿から、毛も尻尾もない人への進化は、私は、猿が島で生活しはじめたからではないかと思っています。
これは、古事記の文面から、そう思えます。

この14%の平野というのは、いまも昔もあまり変わりません。
いまの日本では、その14%の国土に、人口の5割にあたる6千万人以上が住んでいます。
日本の人口密度は、1キロ平方メートルあたり336人で、世界第25位と説明されていますが、山間部や丘陵部を除く平野部だけでみるならば1132人で、香港やモルディブに続く世界第7位です。
都市部の人口だけでいうなら、東京・横浜は3700万人で、世界第一位です。

それだけ多くの人が、まさに「狭い日本」で生活しているわけです。
しかも、日頃から互いにいがみ合ったり、敵対しあったり、人々を押さえつけたり収奪を重ねたり、あるいは自己中となって、自分さえ良ければという身勝手な考え方に支配されていたら、そこで住めなくなったとき、日本列島には逃げ場がありません。
なぜなら日本列島の東は、大海原だからです。

しかも日本列島は、恒常的に、地震、津波、台風、大風、洪水、地すべり、雷、大雨などの自然災害にさらされます。
天然の災害という抗しがたい事態が起きれば、人は互いに協力しあって生きて行くしかありません。
いくら黄金をたくさん蓄えていたとしても、飢饉のときには、黄金は食べられないのです。
米をどれだけ備蓄していたとしても、大水が出て、全部流されてしまったら、他に食べるものはありません。

つまり、地域だけではなく、より大きな行政単位の中で、互いに信頼し、助け合っていかなければ生きていけないというのが日本列島の自然環境です。

そうした環境の中にあっては、日頃から人の和を大切にしていなければ、いざというときに誰も助けてくれません。
助けてもらえないということは、そのような遺伝子を持った人は、滅びるしかなかったわけで、結局日本列島で生き残れるのは、日頃から和を大切にし、助け合い、互いを思いやるDNAを持った人しか生き残れません。

このことは、近年においても見事に立証されています。
何にでも対立し、批判をし、自分たちの利権や思想のためには、他の大勢がどうなっても良いという政党が、与党第一党になり、三代にわたる内閣を組織しました。
民主党内閣です。
当時の民主党は、国民の圧倒的多数の支援を得て選挙に勝利し、自民党を下して政権与党第一党にまで上り詰めたのです。

ところが、東日本大震災が起こりました。
自衛隊は違憲だ、存在も認めないと屁理屈を述べていた彼らは、大規模な自然災害の前に、結局のところ自衛隊を頼みにするしかないという状況に至りました。

けれど、多くの国民は、自衛隊であっても本当はダメであることを知っています。
自衛隊は、憲法上は国軍ではなく警察の延長です。
災害時になぜ軍隊しか頼るところがないのかといえば、軍隊は、軍隊自体がひとつの国家のように、裁判も行政も軍事も、すべてを自前で行うことができる能力を持っているからです。

だからあらゆる行政機構さえもマヒするような大規模災害が起きた時、軍隊だけが人々の支援に自在に活動できる機能を備えているのです。
つまり、自然災害の多い日本では、軍隊の存在こそが必要不可欠なことなのです。
そしてかつては、その機能を武士たちが負っていたのが日本です。

つまり日本列島では、小手先の屁理屈ではなく、現実的な判断と行動ができ、その権力行動に、明確な責任のとれる現実的な政治が求められるのです。
その政治が何のためかといえば、人々が生き残るためのものです。
そういうことがわからず、他国の文化上の産物である対立と闘争と、押し付け憲法こそ正義と履き違えていることにさえ、権力闘争病に罹って気づかない。

だから党勢が落ちるのだし、そこがわからないまま、いかに党首に人気の取れそうな美人を就けたとしても、そもそも美醜の好みは人それぞれでしかないのです。
党名を変えても、おそらく共産党以下の支持率にしかならない。
なぜならないかといえば、すでに存在そのものが、日本列島という現実から遊離してしまっているからです。

日本は災害の多い国です。
そしてそのような国土で、人々が生きるためには、ただ政治権力や金権力、あるいは裏社会のドンのような非合法圧力があっても、天然災害の前には、すべてが無力となります。

だからこそ日本では、民こそがタカラとするために、権力よりも上位に、権威という存在を置いたのです。
そして政治が荒れたり、天然災害によって国土が荒れたときでも、常に「民こそが国のたから」という思考が、全国民の間に浸透する、社会体制が気づかれたのです。
それが、天皇を中心とする日本という国のカタチです。

この考え方は、十七条憲法の精神そのものでもあります。
御存知の通り、十七条憲法は、西暦604年に発布されたものです。
けれど、その精神は、縄文時代1万7千年の長い歳月の中にあって、日本列島に住む人々が自然に「たいせつなもの」として築き上げてきた精神です。

ちなみに全然関係ありませんが、グアム島に、「タオタオモナ(tao tao mona)」と呼ばれる巨柱群があります。
島の人たちは、これは古くから伝わるとても大切なものとしているのだそうです。
それって、どうみても日本語の「tou toi mono(とうといもの)」と、音が同じです。

話が脱線しましたが、要するに地政学的に逃げ場のない日本では、日頃から互いの信頼関係を大切にし(それは同時に互いを大切な存在とするということでもあります)、互いの和を損ねないように気遣いながら生きていくということが、長い歳月の中で「あたりまえの常識」として定着してきたし、それは万年単位の長い歳月のなかで、日本人のDNAに組み込まれた遺伝的特徴にさえなっているものと言って良いと思います。

要するに日本列島が、他所の土地や国と異なり、自然災害が現実の国土である以上、外国にある良いものはどんどん取り入れることは必要ですが、だからといってそれに「かぶれ」たらダメなのです。

ところが、諸病を根絶できないのと同様、「外国かぶれ」という流行り病が、ときに日本を覆います。
近代における共産主義かぶれや、戦後のアメリカかぶれ、フランスかぶれ、ソ連かぶれ、あるいは、戦後には「北朝鮮こそ地上の楽園」とする、「北朝鮮かぶれ」という病気もありました。

そういう「かぶれた人たち」のことを、多くのまっとうな日本人は、「イヤミ」と呼びました。
戦後は、「アメリカかぶれ」も横行しました。
日本でも、アメリカン・ドリームのような大金持ちが礼賛されました。
けれど、現実にアメリカン・ドリームを実現できるアメリカ人は、極わずかしかいないのです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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「お詫びと訂正」
第一巻八十三ページに「これは千葉の常若神社の渡邊宮司から教えていただいた話なのですが、聖徳太子の十七条憲法の各条文は、それぞれ創成の神々の神名と関連付けて書かれているからこそ、十七条なのです」とありますが、私が教わったことは古事記と聖徳太子に関するお話であり、聖徳太子の十七条憲法と神々の神名との関連付けは教えていただいたことではなく、私の考えであると、渡邊宮司をはじめ、関係各位に深くお詫びして訂正いたします。

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コメント

禁多老

赤塚不二夫の漫画は個人的には好きになれません。
「おそ松くん」には「ハタ坊」というキャラも登場します。常に日の丸を頭に刺し恍惚とした表情でズレた行動をとるキャラです。「天才バカボン」などで描かれるどこか頼りない父親像といい、この辺に赤塚氏の反保守・反伝統的な思想が透けて見えるのです。

「外国かぶれ」と言えば、左翼知識人は北欧諸国やスイスなどにも随分かぶれていますよねえ。

エドワード

海路と水路
「海があるから行き止まり」というのは大陸民・農業民の発想のように思います。海洋民にとっては海こそが開けた場所であり、速く遠くまでいけるハイウェイでした。狩猟採集の時代なら、漁労民の方が狩猟民よりも生存競争上有利だったかもしれません。

大陸での移動も主たるルートは河川でした。日本人は川というと急流を思い浮かべますが、大陸の大河は緩やかなので人と物資の主要な移動ルートです。河川や沿岸の行き来と、外洋航海を同一視するつもりはありませんが、農業成立以前の人々は水を見たら「移動できる」と考えたのではないでしょうか?



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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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