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先人たちが目指した日本の姿。それは私達の国が常に「よろこびあふれる楽しい国(=豈国)」であり続けることです。


愛と青春の旅だち 松崎慊堂

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20190121 松崎慊堂
20190121 松崎慊堂
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


渡辺崋山に、高野長英といえば、ともに江戸時代後期の蘭学者として有名です。
そしてこの二人は、ともに儒学者松崎慊堂(まつざきこうどう)の弟子でもあります。
なかでも渡辺崋山は、天保十(一八三九)年の蛮社の獄で逮捕されたとき、師匠の松崎慊堂が、老中水野忠邦あてに建白書を出し、そのおかげで死罪を免れています。
渡辺崋山にとって松崎慊堂は、師匠であるとともに、命の恩人でもあったわけです。

松崎慊堂は熊本の農家の出身で、幼名を松五郎といいます。家が貧しく寺に預けられていましたが、勉強好きだった松五郎は、学問で身を立てようと十三歳で江戸に出奔します。
江戸では浅草の寺の住職に拾われ、寛政二(一七九〇)年には設立されたばかりの、江戸湯島の昌平坂学問所(いまの東大)に入ります。
さらに江戸一番の儒学者である林述斎のもとで学んで、寛政六年には林塾で塾生のトップである塾生領袖になっています。
要するに、たいへん優秀で、かつ勉強熱心な男だったわけです。

さて松五郎が、林塾の領袖時代のことです。
ある日、松五郎が考え事をしながら歩いていると、町のならず者たちにドスンとぶつかってしまいました。
そして、彼らが手にしていた酒徳利を割ってしまいます。

「ごめんなさい」と松五郎がいくら謝っても、許してくれません。
それどころか、酔ったならず者たちは、「酒代を出せ!」と大金を迫ってきます。
ところが松五郎は、書生の身ですから貧乏です。
「そんな大金はありません」としきりに謝るのだけれど、ならず者たちは、ますます激昂して脅しをかけてきます。

この様子を、すぐ近くで旅籠の飯盛り女をしていたおすみという女性がみとがめました。
そしてならず者たちに近づき、
「あんたたち、
 よってたかって何やってんのさ」
と間に割って入ります。

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そして彼らが要求した額を、おすみはその場で全額立て替えて支払いました。
松五郎は恐縮してしまいます。
「必ずお金は返します。
 しかしいまはお金がないから、
 分割にしてください」
とおすみに申し出ました。

ところが話を聞けば、月二分の生活費でやりくりしているといいます。
いまでいったら、月三万円です。
着ているものもみすぼらしい。
その少ない生活費から払うというのだから、おすみは同情して、
「分かりました。
 では、月二分を私があなたに
 払ってあげましょう」と約束してくれたのです。

それからのこと、毎月毎月、おすみから松五郎のもとにお金が届けられました。
頂いているうえに、届けてもらうのは申し訳ないからと、途中からは松五郎が自分でもらいに行きました。

月日がたったある月のこと。今月に限って松五郎が現れません。
松五郎の住む長屋に行っても不在です。
それっきり、松五郎から音沙汰がなくなりました。

おすみは、周りの女性たちから「バカねえ。あんた、騙されたのよ」と言われてしまいます。
松五郎は日本を代表する私塾の塾生です。
おすみは宿場の飯盛り女です。飯盛り女というのは要するに、私的売春婦です。
あまりにも身分が違うのです。

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さらに何カ月かたった、ある日のこと。
おすみの住む宿屋に、立派な身なりをしたお侍さんが駕籠に乗ってやって来ました。
そして、宿屋の主人に、
「おすみさんはいますか?」とたずねたのです。

呼ばれて奥から出てきたおすみは驚きました。
あのみすぼらしかった松五郎が、見違えるような立派な姿で、そこに立っているではありませんか。

松五郎は、懐から六両のお金を出しました。
「いままでお世話になりました。これはお借りしたお金です」
そう言って、おすみにお金を渡しました。
「ようやく塾を卒業し、掛川藩に教授として召し抱えになりました。これから掛川に向かいます。いままで本当にお世話になりました。ありがとうございました」

そしておすみに、こう言いました。
「あなたさえよければ、私の妻になってください」

その後、二人はめでたく祝言をあげました。

 ***

まるで、リチャード・ギアが主演したハリウッド映画『愛と青春の旅立ち』そのもののようなストーリーですが、こちらは実話です。
大事なことが二つあります。
ひとつは、掛川藩にお抱えになったばかりの松五郎が、売春婦であるおすみを妻に迎えているという点です。
もし日本人が、売春婦を卑しい職業と考えていたのなら、松五郎がおすみを妻にすることはありえません。
これから藩の若侍たちに学問を教える人物が、卑しい職業の女性を嫁にするなど、許されることではないからです。
ところが掛川藩は、松五郎の妻のことを全く問題にしていません。
それどころか藩の重要な任務となった朝鮮通信使の通訳兼交渉役にさえ、松五郎を抜擢しています。

そしてもうひとつの大事なことは、おすみが宿屋の売春婦でありながら、松五郎に仕送りしたり、ならず者にからまれてカツアゲされたときに、そのお金を代払いしている点です。
よく、戦後の時代劇などでは、売春婦たちは子供の頃に女衒によって連れてこられ、売春宿の主人に借金漬けにされ、年季があけるまで無理やり働かされたという設定がなされています。
要するに、これが噓だ、ということです。

女衒に買われてきたのは事実です。
仕事ですから、つらいこともあったでしょう。
けれど経済的には、彼女たちは実に豊かでした。

当時の売春婦というのは、十七歳から二十二歳くらいまでしか働かせてもらえません。
それ以降は、それまでに貯めたお金で、自分で小さなお店を開いたりしました。
売春婦たちには、それくらいの稼ぎと経済的余裕が、実はあったのです

幼い頃から雇い入れ、申し訳ないけれど商売に使わせていただく。
その代わりに、彼女たちが一生食うに困らないだけの貯えと、教養と技能を、しっかりと身につけさせようというのが日本の風俗の伝統です。

商売以上に、人を大事にする。
それが、私たちの日本であり、それができたのは、権力者の上位に、天皇というありがたい存在がいるため、権力者は天皇の民である私たち民衆を私物化することができないという国のカタチ(構造)があるからにほかありません。

松五郎は後に松崎慊堂と改名し、日本を代表する学者になりました。
そしておすみは、冒頭にお話しした渡辺崋山や、高野長英など、江戸後期の名だたる論客や学者たちから、母のように慕われながらこの世を去りました。

職業に貴賤はありません。
そして職業や身分よりも、その人物が、人として尊敬できるかどうかや、人としての矜持(きょうじ)を失わずに生きているかどうか、そういうことを大切にしてきたのが日本人です。
それは、ひとりひとりの人間を公民(皇民)として扱うという日本古来の伝統・考え方から生まれ育まれた、日本人の美質です。

※この記事は拙著『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人・第二巻』でご紹介したお話です。

お読みいただき、ありがとうございました。

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12 進取の気象
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コメント
職業の貴賤、人の貴賤。
こんにちは!
今日も拝読させていただきました。シェアさせていただきました。
ありがとうございます。
職業に貴賤はあっても、人に貴賤はありません。どのような生業でも、きれい、汚いはあります。人が忌み嫌う職業はあります。しかし、それを厭わず、却って人の役に立つ仕事として取り組む。そこに人の尊さがあると思います。
2019/01/23(水) 14:30 | URL | 岡 義雄 #-[ 編集]
ゴネ徳は許さない
日本政府は韓国軍のレーダー照射事件に関して「協議中止」を決めました。嘘を繰り返す韓国との協議は「無駄」と理解したからです。
日本は大人の対応をすると言っているが、このまま幕を降ろせば「ゴネ徳」で韓国を益々つけ上がらせることになります。

我儘な子供をしつけるのも大人の役目です。
「ゴネ徳」を許してはいけない。
2019/01/23(水) 12:21 | URL | にっぽんじん #-[ 編集]
人に貴賤はあると思います。
『貴賤貧富』と申しますが、職業や身分を貴賤で捉える物の見方…私は本能的に嫌います。
貴=高給で誰もがやりたい職?
賤=薄給で誰もがいやがる職?
しかし、如何なる生業に居ても、その心や志や生き様に依って「人の貴賤」はあります。
今朝は何とも貴く美しいお話。
私もその様に生きたい!
熟々思いました。
2019/01/23(水) 10:41 | URL | takechiyo1949 #VCU7f5e.[ 編集]
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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』

『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦

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