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先人たちが目指した日本の姿。それは私達の国が常に「よろこびあふれる楽しい国(=豈国)」であり続けることです。


逢いたい。無性に・・・穴澤利夫大尉

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思想的ドグマによって歪むと、どんなに頭の良い人でも、正しいものが正しく見えなくなります。「体(たい)斜めなら、影(かげ)斜めなり」なのです。つまらないドグマによって歪むのではなく、素直に日本人としての心を取り戻すことのほうが、よほど大事なことなのではないでしょうか。


穴澤利夫大尉
20190505 穴澤利夫大尉
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


穴澤利夫大尉(出撃時少尉、没後二階級特進で大尉)は、大正11年(1922)2月12日生まれの会津(福島県那麻郡)の出身の特攻隊員です。
幼い頃からたいへんな読書好きで、幼い頃の夢は、故郷に児童図書館を作ること。
そのために彼は文部省図書館講習所を卒業してから中央大学に進学しています。

この時代、親の仕送りで遊んで暮らせる学生なんていうのは、まずいません。
穴澤大尉も、お茶ノ水にある東京医科歯科大学の図書館で司書としてアルバイトをしながら勉強しました。

昭和十六年夏、穴澤大尉19歳のとき、バイト先の図書館に、図書館講習所の後輩たちが実習にやってきました。その中に、後に婚約者となる孫田智恵子さんがいました。
これが運命の出会いでした。

お二人はこの年の暮れ頃から交際をはじめられたそうです。
当時は大学生の男女が付き合うなどということは、はしたないこととされた時代です。
ですからもちろんデートなんてできません。
もっぱら手紙のやりとりでの交際でした。

 智恵子様へ
  半年前、
  あなたがグラジオラスを持ってきて
  図書館の花瓶に生けてくれた日の夜、
  僕は誰もいない図書館でそれを写しました。

手紙には、繊細なタッチで模写したグラジオラスの絵が添えられていました。



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20190317 MARTH





お返しに智恵子さんは手紙で

  たまゆらに
  昨日の夕(ゆふべ)
  見しものを

と上の句を手紙にしたためました。
すると穴澤大尉が、

  今日(けふ)の朝(あした)に
  恋ふべきものか

と下の句を返します。
柿本人麿呂の歌です。
意訳すると、
「あなたと昨夜お会いしたばかりなのに、
 一夜が明けると
 もうこんなにもあなたが恋しい」
となります。

お二人は一緒に歩いたこともデートしたこともありません。
もちろん手さえ触れたこともありません。
それでもお二人の心と心、情感と情感、教養と教養が、互いの愛をはぐぐんで行ったのです。

お二人は結婚を望みました。
けれど穴澤大尉の郷里の兄が猛反対でした。
これは当時はよくあることでした。
「都会の娘なんて信用できない」というのです。
それにひきずられて両親も結婚に反対しました。

大東亜戦争の真っ只中です。
穴澤大尉は昭和18年10月1日、戦時特例法によって大学を繰り上げ卒業となり、陸軍特別操縦見習士官第一期生として、熊谷陸軍飛行学校相模教育隊に入隊しました。
穴澤大尉は、入隊の時点で死を決意されたそうです。

昭和十九年十月、神風特別攻撃隊が編成され、十二月八日、飛行第二四六戦隊に配属されていた穴澤大尉のもとに、特別攻撃隊第二〇振武隊員選抜の知らせが届きました。
その任地の三重県の亀山兵舎に、智恵子さんが訪ねて来てくれました。

同僚達は気をきかせて、二人を旅館に送りだしました。
けれど穴澤大尉は、連日の猛訓練の疲れで寝てしまいました。
二人は清い交際のままででした。

昭和20年3月9日、前日に両親を説得した穴澤大尉は、東京の智恵子さんの家を訪ねました。
智恵子さんのご両親に結婚したい旨を告げ、ご了解をいただきました。
喜んだ穴澤大尉は、その日は目黒にある大尉の親戚の家に泊まりました。

翌朝の明け方、大事件が起こりました。
東京の三分の一を焼き尽くした3月10日の東京大空襲です。
死者は八万人以上となりました。

智恵子さんの無事を心配した穴澤大尉は、まだ夜が明けないうちに親戚の家を飛び出しました。
智恵子さんの実家に向かったのです。
焼け跡も生々しい町でした。
歩いて、その焼け跡を行きました。

同じ頃、穴澤大尉の身を案じた智恵子さんも、夜明けとともに目黒に向かいました。
いかなる偶然でしょうか。
それともお二人の引き合う気持ちがなせるわざだったのでしょうか。
二人は巣鴨の大鳥神社のあたりで、バッタリと出会いました。

互いに生きていた。
いまならハグして互いの体温を感じ合うところです。
けれど当時は互いの姿を見て、互いに生き残ったことを喜び合いました。

穴澤大尉は戦火の中にあっても、当日中に大宮の飛行場に帰らなければなりません。
智恵子さんは、穴澤大尉を送って、二人で国電に乗りこみました。

空襲の直後のことです。
国電は避難する人があふれかえっていました。
超満員です。
あまりの混雑のため、智恵子さんは息苦しくなって、穴澤大尉の勧めもあって池袋駅で電車を降りました。

これが二人の永遠(とわ)の別れとなりました。
ひと月後、穴澤大尉から手紙が届きました。

 去月十日、
 楽しみの日を胸に描きながら
 池袋の駅で別れたが、
 帰隊直後、
 我が隊を直接取り巻く情況は急転した。
 婚約をしてあった男性として、
 散ってゆく男子として、
 女性であるあなたに
 少し言って征きたい。

 あなたの幸を希う以外に何物もない。
 徒に過去の小義に拘るなかれ。
 あなたは過去に生きるのではない。

 勇気をもって過去を忘れ、
 将来に新活面を見出すこと。
 あなたは今後の一時々々の
 現実の中に生きるのだ。

 穴澤は現実の世界にはもう存在しない。
 極めて抽象的に流れたかも知れぬが、
 将来生起する具体的な場面々々に活かしてくれる様、
 自分勝手な一方的な言葉ではないつもりである。
 純客観的な立場に立って言うのである。

 当地は既に桜も散り果てた。
 大好きな嫩葉の候が此処へは直に訪れることだろう。

 今更何を言うかと自分でも考えるが、
 ちょっぴり欲を言って見たい。

 1、読みたい本
   「万葉」「句集」「道程」「一点鐘」「故郷」

 2、観たい画
   ラファエル「聖母子像」、芳崖「悲母観音」

 3、智恵子
   逢いたい。話したい。無性に・・・。

 今後は明るく朗らかに。
 自分も負けずに朗らかに笑って征く。

 昭20・4・12
 智恵子様
     利夫

手紙の書かれた日付と、利夫さんの戦死の日付は、同じ日でした。
おそらく出撃の直前に、書かれた手紙だったのでしょう。

智恵子さんは、穴澤大尉との面会の折のとき、
「いつも一緒にいたい」と、自分の巻いていた薄紫色のマフラーを渡しました。
穴澤大尉は、その女物のマフラーを首に巻いて出撃されました。



読みたい本の中に「万葉」とあります。
万葉集のことです。
先日、ある東大の学者さんが、
「万葉集にある勇ましい歌は昭和の戦争期に軍国主義に利用されていた」
などと朝日新聞に書いておられました。
この先生は著書でそのように述べておいでなのだと朝日が報じていました。

なるほど激しい戦いは、ともすれば人の心を失わせます。
このことは世界中の国々で、戦争といわず平時の暴動でさえ、はげしい略奪に至ることを考えれば明らかなことです。
けれど私達の若き日の父祖は、軍務という生死の土壇場にあってなお、万葉のやさしい心を愉(たの)しむやさしい心を持っていたのです。

穴澤大尉の遺書にもそのことは明らかです。
単に日本のものだけを挙げるのではなく、そこにはラファエルの「聖母子像」も挙げられています。
単純な国粋主義に陥っていたわけではなく、美しいものを美しいと感じる素直な心を持ち、その心があればこそ、特攻という究極の出撃をなさっておいでです。

文を書いたその教授は国文・漢文学者であり現代国文学界の大御所の肩書を持つ教授です。
しかし残念ながらその人は、日本の文化性の深さを理解しない、外国人の留学生レベルの、極めて幼い見解しか持ち合わせていない曲学阿世の徒であると申し上げたいと思います。

思想的ドグマによって歪むと、どんなに頭の良い人でも、正しいものが正しく見えなくなります。
「体(たい)斜めなら、影(かげ)斜めなり」なのです。
つまらないドグマによって歪むのではなく、素直に日本人としての心を取り戻すことのほうが、よほど大事なことなのではないでしょうか。


お読みいただき、ありがとうございました。

※この記事は2009年8月の記事のリニューアルです。

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英霊を忘れない
当時の若者の教養の高さ、純真な心の在りようが伝わります。現代の我々がいかに無教養で、体裁を取り繕うことばかりで、真実を直視する勇気も正義を貫く気概も失い、どれだけ退化したかを痛感します。智恵子さんの幸せを祈りつつも智恵子さんとの決別を宣言し、男子の務めを全うした穴澤大尉は、軍国主義の申し子だったのでしょうか。違うと思います。たとえ愛する人のためであっても戦ってはいけないのが平和だと考える現代日本。しかし、忘れてはいけないのは、世のため人のために命を懸けた潔さに偽りはないということ。こんな思いを胸に散った英霊の方々を忘れないようにしたい。
2019/05/12(日) 20:28 | URL | 里の牛 #-[ 編集]
お二人の生き様は何度読んでも胸がギュッとなります
最後の最後まで智恵子さんを愛し、幸せを願って綴った穴澤大尉の手紙の一言一句。
そして…穴澤大尉の言葉を受け止めて生きた智恵子さん。
お二人の生き様は何度読んでも胸がギュッとなります。
2019/05/11(土) 09:22 | URL | takechiyo1949 #-[ 編集]
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Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』

『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦

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私は、相手に対する尊敬の念を持たず、互譲の精神も、相手から学ぼうとする姿勢も持ち合わせない議論は、単なる空論でしかなく、簡単に言ってしまえば、単なる揶揄、いいがかりに他ならないものであると断じます。

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