戦時中は、外地における軍人さんたちの食料確保のため、昭和17年に食料管理法が制定され、米の自主流通の一切が規制され、農家で生産される米は一括してすべて政府が買取って、配給するという制度になりました。
そしてこのときも、政府が一括管理する米は、古古米から優先して支給となったわけです。
戦後もこの仕組は続き、お米の配給制度がなくなったのは、なんと昭和44年(1969年)になってからです。
これにより自主流通米が流通の主役になり、美味しい新米が優先してスーパーなどで流通するようになりました。
その後も品種改良などで、より美味しいお米が開発され、しかもできるだけ美味しいうちに食べるという習慣が根付いたため、新米がもてはやされる時代となって、いまに至っています。
現代社会では、冷凍設備の充実によって、内外から集められた生鮮食料品を冷凍することで長期の保存ができるようになり、いざ災害というときにも、そうした冷凍食料品が確保できるようになったことが、最大の理由です。
そういうことができるようになった現代と、冷蔵庫も冷凍設備も存在しなかったほんの半世紀前までの人々の生活や、災害への備えなどは、まったく異なる思考のもとに置かれていたことを、私達は理解し、知る必要があります。
たとえ味が少々落ちたとしても、いざというときのために食料の備蓄を優先した社会というのは、どこまでも民衆が安全に安心して暮らせることを願ってのことであったからです。
これもまた私達の祖先が、民衆の幸せこそ国の幸せとし、民衆を「おほみたから」とする国柄を本気で築いてきた歴史によるものだからです。
ただ、食料の冷凍設備があるからと、食料を粗末にし、いざというときの災害対策としての食料備蓄がおろそかになることは、果たしてそれで良いのかという疑問があります。
東日本大震災は大きな災害でしたが、その何倍もの広域にまたがる・・・つまり南海トラフが揺れる全国一斉の大地震を、我が国は歴史上、何度も経験しています。
あるいは富士山クラスの火山の大噴火や、通常の火山の噴火と異なる破局噴火と呼ばれる大災害も、長い歴史の中で我が国は何度も経験してきています。
いざというときのために平時から人事を尽くして天命を待つ知恵と行動と、そのための社会の形成を、私達日本人は忘れてはなりません。
ひるがえって現代社会を見ると、そうした我が国の歴史を正確に把握する努力も、日常からの災害対策の精神も失われ、行政さえも「いまだけ良ければ」という短絡的思考に陥っているように思います。
陛下は、令和2年の新年にあたってのご感想で、
「昨年も台風や大雨により
多くの尊い命が失われたことに
心が痛みます。
寒さも厳しい折
住まいを失い
いまだ御苦労の多い
生活をされている
多くの方々の身を
案じております。
本年は、
災害がない1年と
なることを祈ります」
と述べられました。
こうしたお言葉を受けたなら、どんな災害が起きても盤石の国作りをしていくことが、政治の最大の役割となるであろうと思うのです。
それができない政府は、我が国の政府ではありません。
お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント
にっぽんじん
本当でしょうか?
私には冷たい自己中の国民ではないかとしか思われません。
子供の声が煩いから幼稚園の建設に反対。
音が煩いから除夜の鐘に反対。
自己中の最たるものが人命軽視です。
人の命は地球より重いと言いながら、実際は国民の命を軽視しています。
専守防衛がそれです。
攻撃されれば反撃する。
その時には日本国民の生命が失われています。
国民の生命を守っている自衛隊は攻撃されるまで何も出来ません。
トランプ大統領は自国民の生命を守るためにイランの司令官を殺害しました。
賛否があると思います。
が、自衛のためには先制攻撃も辞さない。
日本の憲法が禁じている自衛です。
日本国民は「偽善者」ではないかと危惧しています。
2020/01/06 URL 編集