十七条憲法の誤解釈を斬る

日本人は、ただ和を大切にするというだけの民族でもなければ、国家でもありません。常に天然の災害に囲まれている日本では、その事前事後の対策のため、常にみんなとの合意の形成こそが大事とされてきたのです。

20200615 聖徳太子
画像出所=https://toyokeizai.net/articles/-/118796
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「論」という字の訓読みは、「あげつらふ」です。
「あげつらふ」は、お互いに顔(つら)を上げて、相手の目を見て討論するという意味です。
中世から近世にかけては、目上の人には平伏して、下の者は上の人に許可されるまで顔をあげることができないものでしたから、顔(面)をあげて、相手の目を見て討論するというのは、上下関係の秩序とは別なものです。

秩序は人間社会にとって大切な(必要な)ことです。
しかし秩序ばかりを重んじて、論(あげつらふ)ことを失うと、独断専横の世の中になります。
大陸系の文化では、この独断専横を重んじます。
なぜなら独断専横は、意思決定が迅速であり、戦争に有効だからです。
外敵が常に人であり集団であるならば、これに打ち勝つには人を集めて戦うしかない。
けれど戦えば死者が出ますから、その戦いにあたっての兵は、できれば自分たちの集団ではない者たちを使用することが好ましい。
そこから奴隷兵の概念が生まれるわけで、簡単に言えば死んでもらっても構わない者たちを兵として使役することで、身の安全を図り、権力や富を維持しようとするわけです。

ところがこうした考え方は、日本では通用しません。
なぜなら日本は、天然の災害が多発する国土を持つからです。
幸いにして天災が数十年にわたって起きないでいてくれれば、大陸型の上下と支配、隷民の使役による富の構築などが、その災害のない期間中は有効になります。
けれど、ひとたび大きな災害が襲えば、上下と支配の関係は成立し得なくなるのです。


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20191006 ねずラジ
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なぜなら災害復興のためには、多くの労働力が必要です。
災害によって疲弊した地域の人々が、復興への大きな希望を保つためには、被災地となったエリアに住む人々の生活に、日頃から一定のゆとりと、高い民度がなければなりません。
このゆとりと高い民度があるから、日本では大地震の直後でも人々がコンビニの前に並ぶことができるのです。
すべての富を、人口の上位1%の人が握り、あとはすべて生きていることが精一杯の奴隷という社会では、災害が起きれば、生き残った人々は暴動をし、あるいは略奪をするしか生き残る術がないのです。

また次に大きな災害がやってきたときに、被害を最小限に食い止めるためには、防災工事の正確を期さなければなりません。
そのためには、何よりもみんなが納得ずくで完璧な工事や予防対策、復興工事などが行われる必要があります。
どこかに手抜き工事があれば、たとえばそれが堤防なら、その場所から堤防が簡単に決壊してしまうからです。

要するに古くからの国の形が、
(1)「戦火・人災」への生き残り策として形成されてきた
(2)「天然の災害」への生き残り策として形成されてきた
この違いが、日本の特殊性を形成しているということができます。
そして(2)が成立するためには、国民がそれぞれに高い民度を持ち、相互に秩序を重んじながらも、同時にちゃんと建設的な論(あげつらふ)ができるという国民性が必要になります。

ところがこのことは、同時に(1)の権謀術数型の国から見たときに、(2)の国はきわめて工作のしやすい国ということになります。
なぜならその論の場に、強硬に反対だけを主張する者を送り込みさえすれば、(2)の社会は何も決めることができなくなるからです。

ですから十七条憲法では、第三条において
「詔(みことのり)を承けては必ずつつしめ」
というルールを定めています。
討論では、互いに激論を交わして良いけれど、討論をつくして結論が詔(みことのり)として出されたときには、どんなに自分が反対の意見を持っていたとしても、出た結論にちゃんと従いなさいという意味です。

しかしそのためには、
「高い民度を持ち、
 相互に秩序を重んじながら
 同時にちゃんと建設的に
 論(あげつらふ)ことができる国民性」
が必要になります。

これが我が国が1400年前に制定した憲法の精神です。
十七条憲法は、単に「和を以て貴しとなす」ことをうたいあげた憲法ではありません。

「それ事(こと)は独(ひと)りで断(さだ)むべからず。
 必ず衆(もろもろ)とともによろしく論(あげつら)ふべし。
 少事はこれ軽(かろ)し。必ずしも衆とすべからず。
 ただ大事を(あげつら)ふに逮(およ)びては、
 もし失(あやまち)あらむことを疑へ。
 故(ゆへ)に、衆(もろもろ)とともに相弁(あいわきま)ふるときは、
 辞(ことば)すなわち理(ことはり)を得ん」

これが第17条です。
「物事は独断で決めてはいけません。
 必ずみんなとよく討論して決めなさい。
 小さな事、自分の権限の範囲内のことなら、
 ひとりで決めても構いませんが、
 大事なこと、つまりより多くの人々に
 影響を及ぼすことを決めるときには、
 必ずどこかに間違いがあると疑い、
 かならずみんなとよく議論しなさい。
 その議論の言葉から、
 きっと正しい理が生まれます。」
というのが、この条文です。

そしてこの条文が、第一条の文言につながるのです。
「一にいわく。
 和を以(も)って貴(たつと)しとなし、
 忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。
 人みな党(たむら)あり、
 また達(さと)れるもの少なし。
 ここをもって、
 君父(きみやちち)に順(したが)わず、
 また隣里(となりのさと)に違(たが)ふ。
 しかれども上(かみ)和(やわら)ぎ
 下(しも)睦(むつ)びて
 事を論(あげつら)うに諧(かな)うとき、
 すなわち事理(ことはり)おのずから通ず。
 何事か成らざらん。」

つまり十七条憲法は、あくまで上下の身分を越えて顔を合わせて議論することの大切さと、そのためのルールを定めた憲法なのです。
ただ単に「和を以て貴しとなせ」というだけではない。
それにそもそも「和を以て貴しとなせ」というのなら、なぜ「和」が大事なのかの理由が明確にされていなければなりません。
その理由を明確にしないで、単に頭ごなしに「和が大事」と述べているのが憲法だというのなら、それではただの教条主義であり、どこかの新興宗教と同じです。

そうではなく、まず冠位十二階があり、身分の上下を明確に定めたうえで、十七条憲法においては、その身分の垣根を越えて、互いに心を開いて議論しましょう。
そうすることで我が国は間違いのない、あるいは少ない、国になることができるのだ、ということを示したのが十七条憲法であるわけです。

これは五箇条の御誓文の第一「広く会議をお越し万機公論に決すべし」と同じことです。

日本人は、ただ和を大切にするというだけの民族でもなければ、国家でもありません。
常に天然の災害に囲まれている日本では、その事前事後の対策のため、常にみんなとの合意の形成こそが大事とされてきたのです。

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コメント

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あげつらうにはもう一つ別のニュアンスがあるように思っていました。
人を批難し嘲笑し皮肉たっぷりにこき下ろす
当て字なら揚げ辛うとでもなりましょうか
外来種のカミツキガメがやっているのはまさにコレで
国家の大事を論う人にはそれなりの資格や品格や知識良識が必要で
一部地域でのみ当選しただけの事では無く
広く国民から一定数のリコール願いが出されない人という
条件でも加えないと議論に支障をきたすままかと

松さん

下山で迷ったら上に進め!
『東倉里(동창리)から複数の弾道ミサイルが発射されました!』
『我国着弾は10分後!』
『ワシントンとニューヨーク着弾まで約40分!』
こんな臨時ニュースが突然流れることは無い(だろう)とは思います。
しかし、政府を非難し怒鳴ってる暇も、逃げる時間も無く、防御できなけば死にますね。
恐怖を煽る訳ではありません。
現実的には、常に備えなければならない相手が近隣に存在します。
『言ってることは正論だ。で?だから?なに?』
そう聞き返す方に限って、私心塗れの私見(持論?)を声高に宣います。
勇ましい主戦論も含め「公論」って何ですか?
世論のことですか?
それは正論ですか?
最近…どう受け取れば良いのか分からない言説が多過ぎます。

公務に私心は厳禁です。
つまらない忖度も私心の内です。
党派を問わず、法を破る私欲の成れの果ての議員や庶民がいます。
恨み辛みが渦巻き、和や協調などとは程遠い生きざまです。
こんなザマで、十七条憲法などの仁恵や徳義を取り戻すことはできるのでしょうか。

『下山で迷ったら上に進め!』
山岳部顧問の教えです。
戻る?
引き返す?
不安と疲労の中では、相当の覚悟と精神力が無ければ実行不可能です。
それでもリーダーは決断しなければなりません。
国の統治も同じだと思います。

ねず先生の他、会ったことも話したことも無い方々だとしても、そのテーマやエピソードや課題を毎日拝読拝聴しながら、色々と模索しています。

にっぽんじん

工作員
敵対する国に潜入し、情報を盗んだり、フェイク報道で世論を煽ったりして敵対する国の国益を損なう人たちを工作員といいます。

工作員は外国人だけとは限りません。
敵対国に篭絡された自国民も工作員になります。
政治家、財界、学会、マスコミなど世論に影響が大きい人物が狙われます。

オーストラリアは中国が送り込んだ工作員の影響で中国の支配下に置かれようとしていました。それに気づいた現政権は中国離れを始めています。

一方日本はどうでしょうか。
オーストラリアと同じことが起きている可能性があります。
日本の国土が中国資本に買われ、北海道では静岡県に相当する土地が売られているそうです。

この問題は以前から取り上げられ、国会議員の間でも問題視されながら公明党や自民党内の大物親中議員の反対で潰されています。
日本の国益を損なう行為が国会で取り上げられないとしたら、親中議員や党は工作員と言われても仕方ありません。

国会内の工作員を排除しなければオーストラリアの二の舞になります。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
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