• ゲバルト国家


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     日本書紀は企画から完成まで、まる40年かけています。ということは、親の代、祖父の代からずっと編纂が続けられてきたものです。ようやく日の目を見ることになったとなれば、全国の誰もが歓迎します。そして、できあがった日本書紀を、何百年もの間、国民教育に用いてきたのです。
     こうすることで、日本は、国家権力と国家最高権威の分離を実現しました。そんなことを成功させることができたのは、世界の数千年の歴史に登場する数多(あまた)の国家の中で、なんと日本、ただ一国です。日本人は、このことの持つ意味の重要性を、あまりに軽く見すぎています。

    平城京 朱雀門(復元)
    202010122 平城京朱雀門
    画像出所=https://gachimama.com/20190425suzakumonhiroba
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    以前、赤穂浪士に対する幕府の処分のことを書いたときにも申し上げましたけれども、国の行政機構が、権威を持つ機構なのか、権力だけに頼る機構なのか、そこには雲泥の差があります。

    一般に国家の三要素は、
     1 領域(Staatsgebiet:領土、領水、領空)
     2 人民(Staatsvolk:国民、住民)
     3 権力(Staatsgewalt)
    とされていますが、この「3」の権力にある「Staats-gewalt(スターツ・ゲバルト)」は、「Staats(スターツ)が国家、「gewalt(ゲバルト)」が権力を意味します。

    「gewalt(ゲバルト)」というのは、暴力を意味する単語でもあります。
    同じドイツ語でも、権力のことを「macht(マクト)」と書くなら、それは実行力を意味することになるのですが、国家権力が「ゲバルト」であるということは、西洋では、国家そのものを、(諸説ありますが)ある種の暴力装置とみなしているといえるのかもしれません。

    要するに「権力=暴力」であるわけで、一定の領域内に住む人々を暴力で支配するというのなら、それは日本で言えば、ヤクザのシマと何ら変わりがないことになります。

    しかし我々日本人の感覚としては、暴力団の縄張りと、国家の領域は、まったく意味が異なります。
    我々日本人にとって国家機関とは、あくまで行政(治世)機構のことです。
    ですから日本人にとっての国家要素は、暴力ではなく、「民衆に対する責任ある行政を行う政府」がこれに代わります。

    ということは、日本人は政府に責任を求めていることになります。
    これは当然のことで、権力があるということは、当然、その権力の大きさに応じた責任を伴うものと考えられるからです。
    日本人にとっては、それは、ごく自然な、ごくあたりまえのです。

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  • 趣味は何ですか?


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    202010121 サッカー
    画像出所=https://www.irasutoya.com/2018/12/blog-post_334.html
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    初めて会った人から、「趣味は何ですか?」と聞かれることがありますね。
    この質問には、主に3つの目的があるといわれています。

    1 趣味のジャンルから、その人の持つ価値観の方向性(文系か理系かなど)を知る。
    2 趣味から話を広げることでコミュニケーションを深める。
    3 どのようなことに打ち込むタイプなのかを推し量る。

    ですから、紋切り調に「ありません!」では、会話にならない(笑)。

    そこでたとえば「趣味は読書です」などと答えますと、相手は「この人は文系の思索型の人なのかもしれないな」などと察するわけです。
    そして「どのようなジャンルの本を読まれるのですか?」と続けることで、興味や関心の方向性がわかり、対人ならそこからコミュニケーションの輪を広げることができるし、面接なら、どういう役割に沿った仕事ができる人かを推し量れるというわけです。

    ですからたとえば「ゴルフです」と答えたなら、意外と活発で自然が大好きなタイプで、向上心が強い人かもしれない、となるし、
    「どのくらいで回るのですか?」と聞いたら、何とシングルの腕前だということでで、見た目と違って、ひとつのことに真剣に打ち込むタイプの人だとわかります。

    「今はもうしていないけど、若い頃はテニスをしていたなあ」
    「いいですねえ。どのくらいやられていたのですか?」
    「中学から高校、大学までテニスばっかりやってたよ。」
    「すごい!、どうしてそんなに打ち込まれたんですか」
    「いやね、こう見えて、運動することが大好きでね」
    「なるほど、テニスを通じて、どんなことを学ばれましたか?」
    「そうだねえ、結構激しいスポーツだからね。苦しくてもへこたれないことかな」
    「それって、大事ですよね。
     いまも何かスポーツを?」
    「あはは。最近はマラソンにも手を出しましてね」
    「そりゃすごい!」
    「東京都大会に4度出ました。
    「完走できましたか?」
    「テニスの経験が活きましたね」
    「すごいですね。鍛えてるなあ」
    「でも去年からはコロナの影響でね」
    「そうなんですよねえ・・・」

    なんて具合に話がはずむと同時に、相手のコミュニケーションが深まるというわけです。

    要するに趣味を聞くというのは、単に話のネタにしているというだけでなく、考え方や行動の癖を知ることで、お互いに失礼のないように、そして同時に深いお付き合いができるようにしていく、ある種のコミュニケーション・ツールであるわけです。

    もっとも、そうは言っても俺には趣味らしい趣味はないし・・という方も多いことと思います。
    でも心配は要りません。
    実は、本当は、ないのが普通なのです。

    だいたい人間というものは、いろいろなものに興味や関心を持つし、飽きるということもあります。
    仕事なら、収入や生活と一体ですから、人生これ一筋、なんてことも可能ですが、趣味となると、仕事ではなく、プラスアルファの部分です。そして多くの場合、そのプラスアルファの部分というのは、多岐に渡っているのが普通です。
    これしかない!という人の方が、実は少数派なのです。

    そもそも趣味というのは、漢字の意味からすれば、
    「その人が、より味わいを感じる物事」
    のことをいいます。

    つまりゴルフが趣味だとか、釣りが趣味だとか、読書が趣味だとかいうのは、単にその人が、より何らかの味わいを感じる物事にすぎません。
    そういう意味では、中高年の場合、多くは「テレビを観るのが趣味」であるのかもしれないし、ウォーキングやスクラッチも趣味のうちにはいるかもしれない。

    つまり趣味というのは、本来、単に料理が好きだとか、映画が好き、芸術が好き、旅行が好き、あるいは手芸やプラモデルが好き、自衛隊が好き、スポーツ観戦が好き、サッカーが好き、酒が好き、などなど、その人が味わいを感じることができるものなら、実は何でも良いのです。
    生花が好き、花を観るのが好き、猫が好き、犬が好き。
    それでぜんぜんOKです。

    ただ、人間関係上の準備として、心のなかに「趣味を聞かれたら、こう答えよう」というものを、何かひとつ持っておくことは、コミュニケーション・ツールとしての心がけといえるものなのかもしれません。
    そしてこのとき、好きなものを答える際に、ちょっとだけ工夫をしておくのです。
    それは、「その事が好きな理由を一言でいえるようにしておく」ということです。

    「趣味といえるかどうか。
     猫が好きでしてね。なんだかかわいくって」
    「へえ〜〜飼ってらっしゃるの?」
    「はい。」
    「何匹?」
    「実は5匹」
    「ええ〜〜っ、買われたのですか?」
    「いや、実はぜんぶ拾い猫です。
     怪我していたり、捨てられたり。
     そんな猫を里親みたいな感じで育てているんです・・・」

    この会話のポイントは、最初に「なんだかかわいくて」と、理由が会話に挿入されたところにあるようです。

    「映画が好きですね。
     といっても、もっぱらネットでの視聴ばかりですが。
     でも、映画ってなんだか視野を広げてくれるような気がするんです。」
    「たとえばどんな?」
    「時間とか、空間とか、歴史とか」
    堅物と思っていた人が、意外に広い視野を持っていそうですが、ここでも「視野を広げてくれそうな気がします」というひとことが、会話を発展させています。

    「趣味はゴルフです。
     腕前はぜんぜんですが、
     スコアより緑の中で、
     長い時間を友人と一緒にゆったりと
     すごせることが、何より魅力です。」
    いますよね。スコアよりも、たのしいゴルフを優先する方。
    人間的な魅力にあふれるタイプに多いように感じさせますが、ここでもやはり理由を軽く添えたことが、会話を弾ませています。

    世の中のハイテク化がすすむほど、ハイタッチ、つまり人と人とのぬくもりや、コミュニケーションが求められるようになります。
    これは人間が生物である限り、どうしてもそのようになってしまうものだといわれています。

    そして2021年、これからの時代は、製品(モノ)そのものでなく、モノが媒介する「消費する時間」が富を生む時代になっていくと言われています。
    もっといえば、どれだけ長い時間、顧客をその場に留めておくことができるかが利益を生むわけです。

    この二つを合わせ考えると、ぬくもりやあたたかさ、そして長い時間をともにすごせることが、時代の主流になっていくということになろうかと思います。
    そうした時代に、なにより求められるのは、コミュニケーション力です。

    小さな趣味のお話ですが、意外と大きなお話でもあるということで、明日のねずブロにお話をつなげたいと思います。


    お読みいただき、ありがとうございました。
    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行でした。


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    2月5日に、建国記念日を前にして新刊『日本建国史』が出ます。
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    20210115 日本建国史
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    2月5日に、建国記念日を前にして新刊『日本建国史』が出ます。
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    Amazonのページを見ると、たったひとこと
    「ねずさんこと小名木善行による
     思わず涙がころぼれる日本の歴史」
    と書いてあります。

    これは本当の話で、出版社で編集を担当いただいた方が、原稿チェックしながら、おもわず涙を流された・・・ことから来ています。

    2月11日は「建国記念の日」です。
    その日を前に、『日本建国史』を発刊できることを、とてもうれしく思います。

    前々から、バラバラな日本史ではなく、ある程度「通し」で書き表したものをと思っていたのですが、さりとて詳しく書き出せばきりがないし、本がやたらと分厚くなってしまいます。

    それでも本を厚手にすれば、読まなくても「積んでおく」だけで、なにやら良い買い物をしたという満足があったりするものですが、筆者の役割と活動は、常に、日本人の覚醒と、そのために必要な、そしてできることをやっていく、というものです。

    ですから、本ならば、できるだけ読みやすく、わかりやすくて、おもしろくてためになる、というだけでなく、どこかで心の琴線に触れて、心にポーンと音が出る、つまり心に灯(あか)りともる、そんな、「読める」本でなければならないと思っています。

    人は理屈では動きません。
    感じて動くから、感動という言葉があります。
    理動という言葉はありません。

    つまり一読して、熱いものが内側にこみあげ、心の底から「日本ていいなあ、そんな日本を大切にしたいよね」と熱い感情に包まれるだけの迫力ある内容にしなければならないと思っています。

    実は学校で習う歴史は、歴史学ではありません。
    学校で習うのは、考古学であり、文献史学です。
    考古学は、遺物や遺構から、たとえばそこに城跡があれば、それが本当に城跡かどうかを調べるのが考古学であり、何年から何年までそこにお城があり、誰がその城の城主だったのかを文献から調べるのが文献史学です。
    そしてそれらの調査結果の集大成が、いわば教科書です。
    だから学校の教科書は、考古学と文献史学の成果です。

    一方、歴史というのは、そうして集められた歴史の切片(せっぺん)を、ジグソーパズルを組み合わせるように、ストーリー化して再現していくことが歴史です。
    ですから歴史は、勝者の側から書くのと、敗者の側から記述するのでは、同じ時代や事実を描いても、ぜんぜん別なストーリーになります。
    そしてこの両者は、どちらが正しいのか?と問えば、答えは「どちらも正しい」のです。

    ただし条件があります。
    それが、「再現性」です。
    歴史を勝者の側から書いても、敗者の側から書いても、それは何でも良いけれど、このような事実があったから、結果としてその事件が起こり、その結果がどのようになったのか、ということが、なるほどそれなら、そういうことが起こるよね、と誰もが納得できるだけの再現性を持たなければならないのです。

    そこで本書では、次の目次だてで日本の建国の歴史を記すことにしました。

    ***もくじ***
    はじめに

    第一章 日本のはじまり
    一 太古の昔の日本の姿
    二 稲作の始まりとしての縄文時代と弥生時代
    三 お米と日本建国
    四 神武東征
    五 建国と肇国
    コラム 米国の教科書に書かれた日本の歴史

    第二章 日本の形成
    一 日本武尊と弟橘比売命
    二 熊襲、蝦夷、土蜘蛛
    三 十七条憲法の本当の意味
    四 持統天皇による国家再建
    コラム 西洋における女性観、日本における女性観

    第三章 日本文化の生長
    一 聖武天皇と光明皇后
    二 和気清麻呂と平安遷都
    三 平安の時代を開いた藤原薬子
    四 新田の開墾百姓としての武士の台頭
    コラム 右近と敦忠の恋の物語

    第四章 日本の中興
    一 源平合戦と三種の神器
    二 源義経と静御前
    三 元寇の恐怖
    四 南北朝時代のはじまりと後醍醐天皇
    五 田分けと田寄りの新政権
    コラム 異説のもつおもしろさ

    おわりに
    なぜ東南アジアに白人国がないのでしょうか

    *********


    ひとつひとつの物語のタイトルは、これまでねずブロに書いたり本に書いたりしてきたものと同じですが、内容はオリジナルで、一新しています。

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    お読みいただき、ありがとうございました。
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    小名木善行でした。


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  • 国語力の低下は思考力の低下


    1月16日(土)倭塾開催します。

    意味がわかって会話をするのと、意味がわからずに会話するのとでは、雲泥の差があります。昨今では、英語教育のために、国語教育のための授業時間を短縮するという動きになっていますが、もったいないことです。

    20201229 国語
    画像出所=https://www.amazon.co.jp/%E5%9B%BD%E8%AA%9E-4%E4%B8%8B-%E4%BB%A4%E5%92%8C2%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81%E6%A4%9C%E5%AE%9A%E6%B8%88%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E7%A7%91%E7%94%A8/dp/4813800718/ref=asc_df_4813800718/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=342527685522&hvpos=&hvnetw=g&hvrand=5972857130361526647&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009266&hvtargid=pla-960532403026&psc=1
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    日本人が日本人としての誇りを取り戻し、日本の再生を図ろうとする取り組みにあたり、歴史を重要視する方は多いと思います。
    もちろん筆者もそのように思います。
    けれど、もうひとつ、大切なファクターがあります。
    それが「国語力」です。

    当然のことです。
    我々は日本語で考え、日本語で判断し、日本語で人に伝えます。
    ですから日本語力(国語力)の低下は、思考力の低下、判断力の低下、伝達力の低下を招きます。
    これはたいへんなことです。

    思考力も判断力もなく、伝達力も足りないとなれば、何が起きるのか。
    せっかくの人生を怠惰と享楽のみで過ごし、人とのコミュニケーションもできずに自分の殻(それもかなり柔らかい)に籠もり、ただ大手メディアに操られるだけになります。
    また、自分で考えて決める力がないから、誰かに決めてもらわなければならなくなります。
    論理的にあきらかにおかしい、あるいは不合理なものであっても、簡単に騙される。
    かつて、優秀だとされた主に理系の若者が、オウムに騙されたのも、この構図です。

    あるいは判断が論理でなく、感覚的になりますから、好きか嫌いかだけでしか物事の判断ができず、三高(高学歴、高身長、高収入)が良いとか、中身のない空き缶流とかに簡単にハマり、騙されることになります。

    近年では国語よりも、英語を教えるべきだなどといった議論が盛んですが、これもまた怪しいものです。
    肝心の思考力や判断力といった人が生きる上で必要な技術を教えず、多国の人たちとのコミュニケーション力を優先するというのですけれど、そこに大きな錯誤があります。

    たとえば、日本語で平等と対等は、まったく異なる概念ですが、英語ではどちらも「イコール(Equal)」です。
    つまり平等と対等の意味の区別がつかなくなる。
    あるいは「天皇」のことを「エンペラー(Emperor)」と訳すけれど、エンペラーは、王の中の王、つまり中国的な皇帝を意味する言葉です。
    皇帝は絶対の「権力」を持つ存在です。
    しかし我が国の天皇には、「権力」はありません。
    天皇は国家最高の「権威」です。
    つまり、英語圏の一般的通念である「エンペラー(Emperor)」とは、まったく次元の異なる存在です。
    こうした違いをわきまえずに、天皇を「エンペラー」と訳したら、天皇があたかも帝王や皇帝であるかのような錯覚をしてしまうし、またそうした単語でコミュを図れば、相手に大きな誤解を与えてしまいます。

    ちゃんと物事を理解しないで、ただ翻訳したところで、きちんとしたコミュニケーションは成立しません。
    やみくもに、天皇をエンペラーと訳すのではなく、天皇とエンペラーの違いを明確に認識するための思考力を養うのが国語教育です。
    日本語がわからないのに、英語を中途半端に学習したら、頭の中がおかしくなるのはあたりまえです。

    私達は日本語で生活し、日本語で思考し、日本語でコミュニケーションをするのですから、先ずは日本語をしっかりと身につける必要があるのです。
    では、現代の国語教育について、文科省の学習指導要綱はどのように書いているのでしょうか。

    ********
    言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
    ⑴ 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
    ⑵ 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
    ⑶ 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
    ********

    つまり国語教育の範囲を「日常生活に必要」な範囲に限定し、その日常生活における「用語の良さ」を自覚させようというわけです。
    そして国語の「技術を伸ばす」ことに重点が置かれています。
    このことは、ものすごく簡単に言えば、現代の国語教育では、上の人に対して適切に敬語で話せる技術を教えているだけ、ということになります。
    なにしろ思考力さえ、日常生活に限定してしまっているのです。

    では戦前戦中の学習指導要綱では何と書いているのでしょうか。

    ********
    国語科学習指導の目標は、児童・生徒に対して、聞くこと、話すこと、読むこと、つづることによって、あらゆる環境におけることばのつかいかた熟達させるような経験を与えることである。
    ところが、これまで、国語科学習指導は、せいまい教室内の技術として研究せられることが多く、きゅうくつな読解と、形式にとらわれた作文に終始したきらいがある。今後は、ことばを広い社会的手段として用いるような、要求と能力をやしなうことにつとめなければならない。それを具体化すると次のようになる。

    一 表現意欲を盛んにし、かっぱつな言語活動をすることによって、社会生活を円滑にしようとする要求と能力とを発達させること。
    二 自分を社会に適慮させ、個性を伸ばし、また、他人を動かす手段として、効果的に、話したり、書いたりしようとする要求と能力を発達させること。
    三 知識を求めるため、娯楽のため、豊かな文字を味わうためというような、いろいろなばあいに応ずる読書のしかたを、身につけようとする要求と能力を発達させること。
    四 正しく美しいことばを用いることによって、社会生活を向上させようとする要求と能力とを発達させること。
    ********

    「せいまい教室内の技術、きゅうくつな読解、形式にとらわれた作文」とは、いつの時代の教育のことでしょうか。
    文中では、欧米の学制を真似たばかりの明治初期の頃の国語教育を指していますが、これって、そのまま現代における国語教育そのものです。

    国語は、日本社会が共通して持つ社会的交流の手段であり、かつひとりひとりが人生をひらくための思考ツールです。

    「国語なんて、習わなくたって、会話はできる」などという人もいますが、では「愛」とは何でしょうか。
    音読みで「あい」と読んでも、意味はわかりません。
    けれど訓読みで「愛(め)でる、愛(いと)し、愛(おも)ひ」と読めば、自ずと日本における愛の意味がわかります。

    意味がわかって会話をするのと、意味がわからずに会話するのとでは、雲泥の差があります。
    昨今では、英語教育のために、国語の授業時間を短縮するという動きになっていますが、もったいないことです。


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  • ゲバルトとパワーのお話


    1月16日(土)倭塾開催します。

    政治権力というのは、武力、財力、情報力の三つによって構成されます。
    国は、領土領域と住民を支配しますから、その領土領域内の住民の中で、もっともこの3つを制した者、つまりパワーを得た者が、政権を担います。

    20210110 パワーゲーム
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    小名木善行です。

    世界中どこでも、政権交代があれば、交代を仕掛けた側(政権交代を実現させた側)が、以後の政治の中心、つまり権力者になります。
    なぜそのようになるのかというと、「政権=パワー(威力)」だからです。
    世界の歴史がこれを証明しています。

    最もパワーの強い者が、政権を担うのです。
    そのパワーというのは、武力、財力、情報力の三つによって構成されます。
    国は、領土領域と住民を支配しますから、その領土領域内の住民の中で、もっともこの3つに秀でた者、つまりパワーを持った者が、政権を担います。

    王朝であれば、王の権力は、国内最大のパワーです。
    フランスのルイ王朝であれば、ルイ14世の時代には、王は太陽王とまで呼ばれた絶対権力者でしたが、ルイ16世の時代に、米国が英国から独立するための独立戦争のために、莫大な資金と兵力を米国独立に注いだ結果、ルイ王朝は財力と武力を低下させました。
    結果、財力と情報力を得るに至った市民によって、市民革命が起きて、ルイ王朝は滅んでいます。

    この話を持ち出すと、決まって「ルイ王朝が滅んだのは、マリー・アントワネットが国民の生活を顧みずに贅沢三昧な暮らしをしたからではないか」と言い出す人がいますが、ドラマの見過ぎです。
    ルイ15世の妾(めかけ)だった娼婦上がりのデュ・バリー夫人の贅沢は、マリー・アントワネットの比ではないし、もしマリー・アントワネットが太陽王ルイ14世の妻なら、巷間言われる贅沢の10倍贅沢をしても、それを咎める人など、誰もいなかったことでしょう。


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  • 第79回 新年倭塾開催のお知らせ(再掲)


    コロナの緊急事態宣言が出ましたが、参加者数を制限することで、倭塾は予定どおり開催します。
    今回の倭塾では、新年の事始めとして、はじめに皆様と富岡八幡宮様で正式参拝を行い、それから倭塾の開催となります。
    集合時間は、参拝も含めて13時半開講となります。

    20201228 迎春
    画像出所=https://all-guide.com/%E6%96%B0%E5%B9%B4/
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    今回の倭塾のテーマは「日本建国史」です。
    実はこのタイトルで2月はじめに新刊が出ます。
    『日本建国史』
      https://amzn.to/2LuOGgX

    この新刊から、一足早く要点をお届けしたいと思います。
    本だけに書き尽くせなかった日本建国のお話。
    新年を迎えての2021年の大胆予測から、我々日本人にとっての原点まで、みなさまとご一緒に考えてみたいと思います。

     *

    また、今回の倭塾では、開始前に皆様とともに、富岡八幡様への新年の正式参拝を行います。
    このため通常ですと13:30から倭塾開講となるのですが、今回は同時刻から先ず正式参拝を行います。
    希望者はどなたでもご参加いただけます(階段の上り下りもあり、強制ではありませんので、そのまま婚儀殿にて待機されても構いません)。
    正式参拝終了後、少しの休憩をはさんで、倭塾開講となります。
    初穂料は1000円です。

     *

    コロナ問題が再燃していますので、会場にはアルコールの消毒液とマスクをご用意し、ご来場者には検温を実施します。
    また会場では、
    ・皆様に会話の際のマスク着用をお願いします。
     (水分補給の際のみマスクはずすことはOKです)
    ・会場では、30分ごとに5分間、2箇所以上の窓開けを行い換気をします。
    ・今回の開催は、会場定員の半分の参加者までに限定します。
    ・お席は前後左右1メートルあけるように設置します。
    以上、必要な対策を取りながらの開講になります。

     *

    開催場所は東京・江東区の富岡八幡宮、婚儀殿です。
    倭塾(公開講座)は、大人から子供までどなたでもご参加いただける、ねずさんの私塾です。
    女性のご参加が多いのも、倭塾の特徴です。
    塾生としての登録が必要なわけでもなく、当日お越しいただければ、どなたでもご参加いただくことができます。

     ***

    1 日 時 令和3年1月16日(土)
          13:00 開場
          13:30 富岡八幡様正式参拝(初詣)
          14:15 倭塾開講
          16:30 終了
    2 場 所 富岡八幡宮・婚儀殿
          〒135-0047 東京都江東区富岡1丁目20−3
    3 テーマ 日本建国史
    4 講 師 小名木善行
    5 定 員 25名
    6 参加費
     ☆初穂料 1000円
     ☆参加費 
      (1) ご新規        2500円
      (2) 倭塾参加経験者    2000円
      (3) ご夫婦で参加 お二人で2000円
      ※事前振込は必要ありません。当日会場でお支払いください。
      (4) 未成年者          無料
      (5) ご家族お友達招待特典
       これまでに一度でも倭塾にご参加されたことのある方が、倭塾初参加となるご家族・ご友人などをお連れの場合、そのお連れの方を人数に関わりなく初回参加のみ無料とします。
    7 参加方法
      直接会場にご来場ください。
    8 Facebook参加ページ
      お手数ですが下のページで
      「参加」ボタンをクリックしてください。
      ↓↓↓
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    9 主 催 小名木善行
      開催協力 日本の心をつたえる会

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    小名木善行でした。


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  • 新年の抱負


    20210103 新年
    画像出所=https://illustimage.com/?id=13222
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    画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)



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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    正月2日の朝は「初夢の日」とも言われています。
    ところが不思議なことに今年は、富士山、鷹、茄子を3つとも寝起きの夢に出てきました。
    こんなことは初めてです。
    一層精進してまいりたいと思います。

    さて、ねずブロを書き始めて今年で13年目になります。
    新年の年頭にあたり、今年の抱負を述べてみたいと思います。

    ○新年の抱負
    「2021年は希望とぬくもりの年を目指す」

    具体的には、
     1 関西倭塾の新規開講
     2 海外発信
     3 新著出版
    の3つを通じて、抱負を実現していきたいと思います。


    ○抱負 「希望とぬくもり」

    今年の干支は辛丑(かのとうし)で、厳しさが襲う一方で、新たな動きが重低音の響きのように、根底から広がっていく年となります。
    そしてたいへんな時代に大切なことは「希望と人のぬくもり」です。
    歴史を通じ、古典文学を通じて、ひとりでも多くの人に「希望とぬくもり」をお届けできるよう、精進してまいりたいと思います。


    1 関西倭塾の新規開講

    これまで行ってきた東京倭塾と並んで、今年から関西倭塾を開講します。
    時期や日程は、後日公開します。
    東京でこれまで行ってきた倭塾同様、毎月の開催です。

    2 海外発信

    youtubeを利用して、日本文化を英語で世界に発信するということを実施します。
    春には準備に入り、初夏頃にはスタートしたい。
    また、海外の人と語り合う番組つくりもしていこうと思っています。

    3 新著出版

    1月に『日本建国史』が出版されます(予定)。
    そのあと、今年は、古事記の解説版、および、先代旧事本紀のねず式訳に挑戦してみたいと思います。
    あと出版社さんが見つかれば、小説も書いてみたいな。
    タイトルは、「真説・忠臣蔵」か、「新・義経記」なんて。


    批判や対立ではなく、「むすび」の中にこそ真実がある。
    清いだけではなく、陽(ほがら)かなことが大事。
    重くて濁ったものを持っているのが人間。
    中今(なかいま)を大切に生きる。
    未来は希望に満ちている。
    シラス国日本を取り戻す!!


    新しい年も、引き続き、よろしくお願いします。

    小名木善行 拝

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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
『誰も言わない ねずさんの世界一誇れる国 日本』
最新刊
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』

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