• <日本書紀1-9>国生み(5)ある書にいわく(1〜2)


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    前回、天照大御神から素戔嗚尊(すさのをのみこと)誕生までの日本書紀本文を紹介しましたが、今回は「一書曰(あるふみにいわく)」として日本書紀が紹介している11編の異説を訳してみます。
    たいへんに長いものですので、何回かに分けてご案内します。
    くどいようですが、ここは本文ではなく「一書(あるふみ)」に書かれた記述です。


    曙海
    20190407 曙海


    <バックナンバー>
    <日本書紀1-1>創生の神々(1)
    <日本書紀1-2>創生の神々(2)
    <日本書紀1-3>創生の神々(3)
    <日本書紀1-4>創生の神々(4)
    <日本書紀1-5>国生み(1)

    <日本書紀1-6>国生み(2)
    <日本書紀1-7>国生み(3)大日孁貴(おほひるめのむち)誕生
    <日本書紀1-8>国生み(4)月読神からヒルコ、スサノヲの誕生
    <日本書紀1-9>国生み(5)ある書にいわく(1〜2)


    (1)一書の1
    <原文>

    一書曰、伊弉諾尊曰「吾欲生御宇之珍子。」乃以左手持白銅鏡則有化出之神、是謂大日孁尊。右手持白銅鏡則有化出之神、是謂月弓尊。又廻首顧眄之間則有化神、是謂素戔嗚尊。即大日孁尊及月弓尊並是質性明麗、故使照臨天地。素戔嗚尊、是性好残害、故令下治根國。珍、此云于圖。顧眄之間、此云美屢摩沙可梨爾。

    <読み下し文>
    一書(あるふみ)に曰(いは)く。
    伊弉諾尊(いさなきのみこと)曰(のたまは)く、
    「吾(われ)、御宇(あめ)の珍(うず)の子(みこ)を生(うま)むと欲(おも)ふ」
    乃(すなは)ち、左(ひだり)の手を以(もち)て、白銅鏡(まそかがみ)を持(と)りたまふとき、則(すなは)ち化(な)り出(いず)る神有(あ)り。
    是(これ)を大日孁尊(おほなむちのみこと)と謂(まを)す。
    右(みぎ)の手(て)に白銅鏡(まそかがみ)を持(もち)つとき、則(すなは)ち化(な)り出(いず)る神(かみ)有(あ)り。是(これ)を月弓尊(つくゆみのみこと)と謂(い)ふ。
    又(また)首(みぐし)を廻(めぐら)して顧眄之間(みるまさかり)に則(すなは)ち化(な)る神(かみ)有(あ)り。是(これ)を素戔嗚尊(すさのをのみこと)と謂(まを)す。
    即(すなは)ち、大日孁尊(おほひるめのみこと)及(およ)び月弓尊(つきゆみのみこと)は、並(なら)びて是(こ)れ質性明麗(ひととなりてうるはし)。
    故(ゆゑ)に天地(あめのした)に臨(のぞ)みて照(て)らして使(つか)ふ。
    素戔嗚尊(すさのをのみこと)は、是(こ)れ性(さが)、残(そこな)ひ害(やぶ)るを好(この)む。
    故(ゆゑ)に、根國(ねのくに)に下(くだ)し令(せし)む。
    (珍(うず)、此(これ)をば于圖(うず)と云(い)ふ。顧眄之間(みるまさかり)、此(これ)をば美屢摩沙可梨爾(みるまさかりに)と云(い)ふ。)


    <現代語訳>
    ある書によれば、イザナキノミコトが「私は天下に珍神子(うずのみこ)を生もうと思う」とのべられて、左手に白銅鏡(まそかがみ)を持たれると、大日孁尊(おほなむちのみこと)がお生まれになられました。
    次に右手に白銅鏡(まそかがみ)を持たれるとを月弓尊(つくゆみのみこと)がお生まれになりました。
    次に首をめぐらせて横目で見たときに、素盞嗚命(すさのをのみこと)がお生まれになりました。
    大日孁尊(おほなむちのみこと)とを月弓尊(つくゆみのみこと)は、ともに性質が明(あき)らかで麗(うるわ)しい神様でしたので、天地を照らす神様としました。
    素盞嗚命は、残害を好む性質だったため、根国に下しました。
    (珍は「ウズ」と読みます。顧眄之間は「みるまさかりに」と読みます)


    <解説>
    最初の一書では、蛭児(ひるこ)は出てきません。
    はじめに「イザナキノミコトが、私は天下に珍神子(うずのみこ)を生もうと思うと述べられた」とあります。
    「珍」と書いて「ウズ」と読むようにと注釈がありますが、「ウズ」というのは、天子だけが手にすることができる比類のない立派な道具のことです。
    ですから「珍神子」であれば、イザナキだけがなしうる「比類のない立派な神様」、といった意味になります。
    ちなみにここでは、本来、生むのは女性神のイザナミのお役目のはずですが、なぜかこの書は、男性のイザナキによる単体での神生みという記述になっています。




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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

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