• 重慶空爆について考える


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    広島・長崎に落とされた原爆、東京大空襲や、太平洋沿岸の各市町村への米国の艦砲射撃等の無差別爆撃は、これより先に日本軍が、中国の“重慶”を爆撃し、無差別に市民を殺戮したことがきっかけになっている、という説があります。

    『重慶抗戦紀事』によると、日本軍の重慶への爆撃は、1938年12月4日より1943年8月23日にかけて、断続的に218回行われたとされており、中国側の死者は計11,800人、家屋の損壊は17,600棟となっているとか。。

    一般市民への無差別爆撃は、1899年のハーグ陸戦条約での禁止事項です。

    そのジュネーブ条約を先に破り、一般市民への虐殺を日本が先にしたのだ、というのが彼らの主張のようです。

    都市部への爆撃は、それが軍事施設であれば、正当な軍事行為です。
    そしてその軍事施設(飛行場、兵器庫、兵舎、対空設備、艦船等)への攻撃を受けた際、一般市民が巻き込まれないように、配慮するのは、むしろ攻撃を受ける(可能性を含む)側の軍に課せられた使命です。

    つまり、軍は、一般市民に対して、避難命令を出さなければならない。
    もし、その避難命令が出されず、避難措置が採られていなかったのなら、それが戦闘中のことであれば、爆撃してきた側の国の責任ではなく、むしろ攻撃を受けた側の責任です。

    そこで重慶爆撃についてみてみると、どうも不思議なことがある。

    まず、責任追及というものは、責任を追及する側と、される側の特定が必要となります。

    この場合、責任を追及される側は、もちろん日本です。

    では、責任を追及する側は、誰でしょうか。

    1938年~1943年当時、重慶にいたのは、蒋介石率いる国民党です。

    国民党は、南京を追われた後、重慶を首都と定めた。

    ただし、この時点で、国民党は中国の正当な政府ではなく、単なる中国エリアの軍閥にすぎません。
    なぜなら、国民党が中華民国をうちたてて、蒋介石が初代総統に就任するのは、1948年のことだからです。

    そして毛沢東率いる中国共産党が中華人民共和国を打ち立てるのは、1949年10月1日(中華人民共和国建国記念日)です。

    つまり、重慶爆撃があったと彼らが主張する1938年~1943年というのは、まだ中華民国も、中華人民共和国も誕生していません。

    つまり彼らは、どちらも、この時点では正当な政府ではなく、重慶を統治していたのは、中華民国・・・いまの台湾であり、毛沢東率いる中華人民共和国は、この時点では、重慶は、他国ですらあった。

    そして中華民国は、いまにいたるも重慶に関する日本の責任追及はまったく行っていず、かさねていうなら、東京裁判の判事として名を連ねた中に、梅汝敖(中華民国派遣)もいるけれど、その東京裁判で重慶空爆に関しては、まったく問題視されてもいない。

    つまり、中華人民共和国が、重慶空爆被害を主張するのは、そもそも筋違いであるともいえそうです。


    さらに重ねて年次の推移をみてみると、

    第二次世界大戦のはじまりは、1939年9月1日のドイツ軍によるポーランド侵攻。

    大東亜戦争の開始(真珠湾攻撃)は、1941年12月。


    で、重慶爆撃が、1938年12月からとするなら、戦争前の出来事ということになります。

    なるほど、1938年当時といえば、前年の7月に盧溝橋事件があり、ここから日華事変がはじまっています。

    しかし、当時の中国は、清国が倒れたあとで、国家はいわば内乱状態にあり、蒋介石率いる国民党と、毛沢東率いる中国共産党が互いに衝突し、内乱を起こしていた時期にあたります。

    要するに1938年~1943年という、日本軍が重慶爆撃を行ったとされる期間は、国際法上は、中国に政府はなく、いわば、いまのソマリアのような無政府状態になっていたわけで、日本はその無政府状態にあったシナに、治安維持のために出動していた。

    よく、日中戦争という言葉が使われます。
    そしてその日中戦争において、日本は、重慶を無差別爆撃し、多くの市民を殺傷したという。

    しかし、戦争というのは、国家対国家の紛争解決の最終手段をいいます。

    まだ中華人民共和国も、中華民国も誕生する前の段階では、中国には国家はない。
    ない国と戦争はできないから、これは「国家対国家の戦争」にあたらない。

    では日本軍が戦った相手はなにかというと、蒋介石率いる当時「国民党」を名乗った中国のいち軍閥であって、幸か不幸か、当時の中国共産党とは、日本軍は、一度も戦火をまじあわせていない。


    日本側資料によると、重慶爆撃は、作戦が終了するまでに72回(=中国発表は218回)の長期の空襲を行っているけれど、1941年9月には、日本軍は作戦を打ち切っている。

    ところが、中国側の主張では、重慶爆撃は1943年8月まで続いたという。

    作戦を打ち切っているのに、爆撃がされるはずもなく、これはあきらかにおかしい。


    さらに被害者の人数の問題があります。

    冒頭に、≪中国側の死者は計11,800人、家屋の損壊は17,600棟≫という、中国側の発表数字を書きましたが、

    中国の発表は、年々被害者の数が増えている。

    2000年07月13日
    「死亡した2500人の同胞を」

    2001年06月06日
    「市民1万1889人が死亡、1万4100人が負傷」

    2004年07月14日
    「被害者は5万人以上で」

    どうもあやしい。


    ねずきちは、人を利用主義的に利用するということが、いちばん嫌いです。

    なかでも亡くなられた人の数というのは、その亡くなられたおひとりおひとりが、生きていた人間であって、おひとりおひとりにそれぞれの人生があったことを思えば、数を間違えるなど、言語道断です。

    おひとりおひとりに人間としての尊厳を認めるならば、数は実際より少なかったら死者への冒涜になるし、多くてもやはり冒涜だと思うのです。

    人を大切に思うなら、数の間違いなんて、あってはならない。

    その数が、年々変化する。
    それってつまり、亡くなられたおひとりおひとりの人命を尊重するという考えではなくて、数にモノをいわせて、おのれの政治的主張を押し通そうとする政治的プロパガンタにすぎない。

    政治的プロパガンタであるということは、亡くなられた死者をすら利用主義的に利用しているわけで、それは人として許されない行為ではないかと思う。


    さらに続けます。

    日本軍による空爆はあったのかなかったのか。南京陥落後、蒋介石が重慶に逃れ、ここを国民党の本拠地に置いたのは事実です。

    そして日本軍が、重慶爆撃をしようとしたのも事実です。
    ただし、当時の日本軍は、爆薬もガソリンも乏しく、爆撃対象は飛行場と軍事施設に限られた。

    中国の文章によると、
    「1940年6月上旬頃までの爆撃は、もっぱら飛行場と軍事施設に向けられていたが、重慶市街にも相当数の対空砲台があり、そのため味方の被害も増大する状況となったので、作戦指導部は遂に市街地域の徹底した爆撃を決意した。」
    などと書かれています。

    山本七平の「ある以上体験者の偏見」という本がありますが、そこには次のような文章があります。

    -------------------------------------
    (日本軍)の欠陥兵器を次々にあげていけば際限ないが、あまり長くなるのでこの章の最初に述べたAさん、陸軍の重爆隊の生き残り、の言葉を収録し、それを敷衍してこの稿を終わろう。

    「新聞に出なかったけれどなぁ、重慶・昆明の爆撃はひどかったよ。

    日本の高射砲は絶対に当たらネーが、中国のは米国製でなぁ、よく当たりやがるんだ。

    一回行けば八機は落とされた。重爆ってのは九人乗ってたんだぜ、そのたびになぁ、
    8×9=72人 の遺骨無き部隊葬よ」
    ------------------------------------

    どうやら、上の中国側の文章にある、
    ≪重慶市街には相当数の対空砲台があり≫、
    ≪味方(日本軍)の被害も増大する状況≫

    の2つは、事実のようです。

    問題はそのあとに続く、≪市街地域の徹底した爆撃を決意した≫ですけれど、当時の世界で、市街地の無差別爆撃ができるほどの余裕があったのは、米軍だけです。

    日本にはそれだけの余裕はありません。

    日本が重慶への爆撃を行ったことは、陸軍飛行戦隊の記録にもある。

    しかし、基本的に物資の乏しい日本機が爆撃を行うのは、軍事施設への精密爆撃です。しかも、いく都度、むしろ日本の方が、飛行機を撃ち落とされている。

    高機能の高射砲を持ちながら、一般市民が巻き添えになったとするならば、それは当時重慶を占領していた国民党軍が、一般市民に対する避難勧告を怠ったからであるといえます。


    出撃して撃ち落とされた日本兵にも、亡くなられた中国の方にも、深く追悼の意を表したいと思います。

    いまとなってたいせつなことは、戦時中に大切な命をなくされたおひとりおひとりへの深い追悼と慰霊が第一と思います。

    そして追悼と慰霊に際して、たいせつなことは、亡くなられたおひとりおひとりへの追悼です。

    間違っても数ばかりが先行し、肥大化するようなことは、あってはならないことだし、それを政治的に利用するなどということは、なにより、亡くなられた方々への冒涜であると、ねずきちは思います。

    亡くなられた方の数に洩れがあってはならないし、同時に、数ばかりが独り歩きして増えることもよくない。人の命というものは、そんないい加減なものではないと思うのです。

    重慶市で、兵士にせよ、一般市民にせよ、お亡くなりになられた方がおいでになるなら、その方々が当時の施政者にとって大切な方々なら、当然、誰と誰がお亡くなりになったかきちんと把握されていることでしょう。

    当然、人数もはっきりとわかる。

    それが「わからない」というなら、当時の重慶の施政者は、兵士や市民を「顔のある人間」、「たいせつな人」としてみていなかったということになる。

    人の命は、じっぱひとからげにされるべきものではないです。

    人の命がかかっている事柄である以上、もし重慶爆撃による一般市民の死傷者を問題視するなら、ただ相手が残虐だ、残虐だと騒ぐのではなく、具体的な事実を正確かつ詳細に検証すべきでなないかと思います。

    人はそれぞれ幸せに生きる権利を有するものだと思います。
    そして人々の集合体である国家は、人々の命に責任がある。

    数も正確に知れないような政府なら、それはもはや政府ですらない。

    避難勧告すらせずに、一般人の人命まで犠牲にしたというなら、それはもはや政府の名に値すらしない。

    ひとの命を大切にしないような政府なら、重慶政府が政府の名に値しないものであることを自ら認めているに等しい。

    そしてもし、重慶無差別爆撃なる主張が、なかったことを、政治的にあったとしているなら、人命軽視もはなはなだしい。

    なぜならそれは、人の命というものを、政治的にもてあそんだことになるからです。

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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
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