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    謙徳公
    謙徳公


    このブログの読者の方なら、戦前戦中の教育と、現代教育のあまりの落差に、正直がっかりさせられている方も多いかと思います。
    たとえば百人一首の謙徳公の歌です。

     あはれともいふべき人は思ほえで
     身のいたずらになりぬべきかな

    父は旧制中学なので戦前の教育を受けた人だったのですが、その父から小学校の頃に、
    「謙徳公というのは、つましくて徳の高い貴人のことだ。この歌は、そういう徳の高い人であっても、いざという時に不退転の決意を示すことが大事であること詠んだ歌なのだ」と教わった遠い記憶があります。
     
    この歌は『拾遺集』(九五〇)に掲載されている歌でもあるのですが、そこの詞書には、
    「ものいひ侍りける女の、のちにつれなく侍りて、さらに逢はず侍りければ」と書かれています。
    「交際していた女性がつれないので、この歌を書いて送った」というわけです。

    他にも謙徳公には『一条摂政御集』という著書がありますが、そこには、
    「くちおしき下衆なれど、若かりけるとき女のもとにいひやりけることどもをかき集めたるなり」とあります。
    今風にいえば「若気の至りではあるけれど」というわけです。そして、
    「年月をへてかへりごとをせざりければ、負けじとおもひて言ひける」と続け、この歌が巻頭に飾られています。

    歌を字義通りに解釈すれば、
    「あわれな人に成り下がると思うぞ、このままではむなしく死んでいくだけでしかないではないか」です。
    冷たい態度の女性に対して、
    「私と付き合わなければ、おまえはむなしく死んで行くだけの人生になってしまうのだ」と言っています。もっと噛み砕いていえば、
    「私と一緒になることがおまえの幸せなのだ」ということです。かなり強引です。

    けれど少々強引であろうが、いざというときに本気を出せるのが男なのだと、父は笑っていました。
    その父は学校で、同じことを戦時中の旧制中学で教師から教わっています。



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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
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