• 帝都不祥事件に関する訓話


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    阿南惟幾陸軍大将
    20170105 阿南惟幾


    帝都不祥事件とは、226事件のことです。
    この事件が起きたとき、阿南惟幾(あなみこれちか)陸軍大将は、陸軍幼年学校校長でした。
    そしてこのとき、「帝都不祥事件に関する訓話」を、講堂で生徒たちに行いました。
    昭和11年3月のことです。

    この訓話は、大きな改革や改善を行おうとするときに、何が必要なのかを、極めて詳細に説いているものとして、81年を経由した現代においても、たいへんに有意義な訓話です。

    たいへんに長いものですので、先に要点だけを箇条書きにしますと、次のようになります。
    <結論>226事件の決起は、憂国の熱意は諒とすべきだが、その手段は道を誤ったものである。
    <理由>
    1 陛下の御信任ある側近、並びに内閣の重臣等を殺害したのは国法侵犯並軍紀紊乱である。
    2 皇軍を私兵化し惨劇を行い官舎等を占拠したのは彼等が唱えている重臣の過失に倍する迷妄である。
    3 所属師団長以下の説諭に耳を貸さなかったのは抗命行為である。
    4 勅命が発せられても罪に服さない行為は武士道に違背する。
    5 平素の行為と最後の処置の両方を誤ることで世間の同情と真価を失った。
    6 軍隊の幹部は、羊頭狗肉の誘惑に陥ってはならない。
    7 本気で憂国の情があるならば、先ずもって自己の本分に邁進しなければならない。

    たいへんに厳しい指摘です。
    226事件については、私も決起した将校たちに同情的であり、阿南大将も、それは同じであったろうと思います。
    ただ、未来の陸軍幹部となる陸軍幼年学校の校長として生徒たちに指導すべきは、同情ではなく、軍人としての本分であり、その本分から見た学びです。

    文中に、たとえ決起するにしても「まず我が身を修むべし」と述べられています。
    原文ですと、「其身を修むべし」です。
    どこかの誰かの利権のために私物化され私用される、どこかの国の軍や民と異なり、我が国では、ひとりひとりの国民が「おほみたから」です。
    そして国民のひとりひとりが「おほみたから」であるということは、その国民自身が、まず我が身を修めていく努力が必要になります。
    臣民が「たから」であるならば、臣民は常に「たから」とされるにふさわしい高い民度を保持しなければならないのです。
    阿南校長は、そのことを強く生徒たちにたしなめているということもできます。

    さて、この「帝都不祥事件に関する訓話」の原文は、文語体です。
    読みやすくするため、先に私が口語訳したものを掲載し、末尾に原文を掲載します。



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執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
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小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
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《著書》
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