• なぜ私達の祖先は漢字を用いたのか〜額田王の歌を題材に〜


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    亀甲文字や鹿骨文字を組み合わせて新たな意味を持たせると、それが会意文字(漢字)になります。
    会意というのは「意味を合わせた」というもので、いわば漢字の熟語のようなものです。
    単漢字よりも熟語の方が、はるかに多くの意味を込めることができるように、単音の神代文字よりも漢字のほうが、一字に複数の意味をもたせながら、さらに複雑な意味をもたせることができるようになります。
    私達の祖先は、漢字を輸入したのではなく、活用したのだ、ということが、私は正解であろうと思っています。


    上村松篁 春丘
    20181130 上村松篁 春丘
    (画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
    画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


    なぜ私達の祖先は漢字を用いたのかを、『万葉集』にある額田王の歌を題材に考えてみたいと思います。
    『万葉集』は759年に成立した我が国最古の歌集です。
    『万葉集』で有名な和歌といえば、たとえば額田王(ぬかたのおほきみ)の

     あかねさす紫草野行き標野行き
     野守は見ずや君が袖振る

    があります。
    この歌の歌意は一般に「茜色に輝く紫草の禁野で、あなたが私に袖を振る様子を野守が見てしまうのではありませんか」といったものであるとされています。

    ところが実は、このような「漢字仮名交じり文」で一般に知られているこの歌は、実は『万葉集』では漢字ばかりで次のように書かれています。

    【題詞】天皇遊猟蒲生野時額田王作歌
    茜草指  武良前野逝  標野行  野守者不見哉  君之袖布流

    題にある「天皇遊猟蒲生野時」というのは、668年5月に行われた天智天皇ご主催の蒲生野での遊猟会を指します。
    旧暦の5月5日は、いまの暦ですと6月中旬になります。
    ちょうど梅雨の始まる前くらいの季節です。

    歌の冒頭にある「茜草」は、2字で「アカネ」読みますが、アカネの開花時期は8〜9月です。
    従って、ここでは「アカネ」の花を詠んでいるのではなく、単に草としてのアカネのことを言っているとわかります。
    アカネは、「アカネ色」という言葉があるように、古来その根が、染料として用いられます。
    つまり「茜草指」と書くことで、「染料として用いられるアカネ草で染めるように、指し示す」という意味がここに込められていると考えられます。
    同時に空がアカネ色に染まる時間帯、夜明け、夕方の時間帯の意味にもかかります。


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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

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