• 漢字渡来以前に日本に文字はあったか


    日本には文字がなかったという風説の根拠になっているのが『隋書・倭国伝』です。そこには「無文字。唯、刻木、結繩。敬佛法於百済求得佛經始有文字」と書かれています。
    この文は、現代語訳すると、
    「(倭国では)仏典に用いられている楷書体の文字は使われていなかった。もともとは、刻木(こくぼく)文字や結繩(けつじょう)文字(縄文文字)が使われていた。(倭国は)仏法を敬(うや)まうようになり、百済から仏典を求め得た後、始めて楷書体の漢字が用いられるようになった。」と書かれています。
    日本では、漢字以外の文字が使われていたと、ちゃんと書かれているのです。

    20201122 隋書倭国伝
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    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    628年に書かれた『隋書』の「倭国伝」に、
    「(倭国に)文字はなく、ただ木を刻んだり、縄を結んで文字代わりとす。
     仏法を敬い、百済に仏典を求めて始めて文字を得た」と書かれていることから、
    「日本には仏教渡来以前には文字がなかった」などと言われています。

    本当でしょうか。
    そこで、この『隋書・倭国伝』の原文を見てみます。

    「無文字
     唯、刻木、結繩
     敬佛法
     於百済求得佛經
     始有文字」


    と書かれています。

    読み下すと、
    「(倭国に)文字は無い。
     唯(ただ)、刻木(こくぼく)と結繩(けつじょう)のみ。
     仏法を敬(うや)まい
     百済於(よ)り仏経を求め得て
     始めて文字有り」

    となります。

    ここでいう「刻木(こくぼく)」というのは、漢字の始祖とされたチャイナの三皇時代の倉頡(そうきつ)が考案した「書契(しょけい)」のことで、書契とは「木に文字を刻む」という意味の言葉です。
    「結繩(けつじょう)」は、縄目を結んだ記号のことで、ひらたくいえば「縄文文字」ということになります。

    チャイナの三皇時代というのは、チャイナの神話に登場する三人の神《伏羲(ふくぎ)、女媧(じょか)、神農(しんのう)》のことで、半獣半神の姿をした神ということになっています。
    続く五帝(ごてい)が人間の聖人君主で、『史記』では黄帝(こうてい)、顓頊(せんぎょく)、嚳(こく)、 堯(ぎょう)、舜(しゅん)と続きます。

    チャイナでは、この三皇五帝の時代が、まさに理想国家であったのだと説かれるのですが、『契丹古伝』では、その三皇五帝は、「皆、倭種なり」と記しています。
    つまり、すべて倭人であった、と記述しているわけです。

    話が脱線しましたが、要するに『隋書』は、仏教の経典に用いられた「楷書体の漢字のことを、漢字と呼ぶ代わりに『文字』と呼んでいる」わけで、倭国では仏教伝来以前には「刻木文字、結繩文字」が使われていたと記しているわけです。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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