• 花さそふ比良の山風吹きにけり


    ◆◆ニュース◆◆
    新刊『日本建国史』発売中。
    https://amzn.to/2LuOGgX

    Amazonベストセラー1位(古代日本史)


    八百年前も、三百年前も、今の日本も日本です。
    その日本人の心に明かりを灯す。
    それは、何も大上段に振りかぶることではなくて、ほんのちょっぴり「日本ていいな」と思っていただくだけで良いのだろうと思います。
    その小さな積み重ねが、やがて大河となって日本を覆い、日本の正気を取り戻すのです。
    これが「積小為大(せきしょういだい)」です。
    日本の大きな改革は、この「積小為大」によってこそ成し遂げられるものであると思っています。

    川面の桜



    人気ブログランキング
    応援クリックこちらから。いつもありがとうございます。

    歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
    小名木善行です。

    桜の季節になりました。
    宮内卿の歌をご紹介したいと思います。

     花さそふ比良の山風吹きにけり
     漕ぎ行く舟の跡みゆるまで


    (はなさそふ ひらのやまかぜ ふきにけり こきゆくふねの あとみゆるまで)

    この歌は新古今集に掲載された歌です。
    宮内卿(くないきょう)というのは、右京権大夫(うきょうごんのたゆう)であった源師光(みなもとのもろみつ)の娘です。
    13世紀はじめの女性です。

    宮内卿の歌は、たいへんいビジュアル性に富んでいるといわれています。
    母方の祖父が高名な絵師であったことの影響かもしれません。

    上の句の「比良(ひら)の山」というのは、琵琶湖の南岸、大津から高島にかけての山並みです。
    「花誘ふ」は、比良の山から吹いてくる山風が、桜の花びらを散らしている様子です。
    風が吹き寄せてきて、向こうに行ってしまう。
    そんな風君が、桜の花びらに、
    「ね、一緒に行こうよ」と誘っている、というわけです。
    このあたり、風も花も、ともに擬人化していて、とてもやわらかくてあたたかです。
    そんなあたたかさが、歌にうららかな春の陽光を添えています。

    そこに下の句の
    「漕ぎゆく船の跡」が絶妙です。
    これは川面一杯に散った桜の花びらをかきわけながら、和舟が一艘、進んでいくと、その航跡の桜の花びらが退いて、そこだけ水の面が現れる、そんな様子です。

    陽光うららかな春の日、
    比良の山からの吹き下ろした風君が、桜の花びらに「一緒に行こうよ」と誘っている。
    誘われた花びらが風に舞い、小さな小川の川面いっぱいに広がる。
    その川面に和舟が一艘、川面の桜の花びらをかきわけるようにすすんでいる。
    すると和舟が通ったあとにだけ水面があらわれる。
    実に見事な情景描写だと思います。

    また、「花を誘う風」というところに、大勢を率いた(誘った)、ひとりの男、といったイメージが重なります。
    おそらくこの歌は、どなたかのお誘いで、大勢で行ったお花見会を詠んだ歌なのでしょう。

    この歌を本歌取りして詠んだ歌があります。
    ご存知、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の辞世の句です。

     風さそふ 花よりもなほ 我はまた
     春の名残を いかにとやせん


    ここでは「花誘ふ風」を、「風誘ふ花」としています。
    つまり誘う側である主役の男性が強調されています。
    そんな爛漫と咲き誇る桜花よりも、自分はもっと春の名残をとどたいのだ、どうしたらそれができるのだ?
    というのが、この歌の趣旨です。

    こちらの歌は、宮内卿よりも500年もあとの時代のものです。
    歴史と文化は、ちゃんとつながっているのですね。

    殿中松の廊下での刃傷事件で、その日のうちに切腹を申し仕った浅野内匠頭はこの歌で、
    「大勢の思いをどうやってとどめたら良いのだろうか」
    と呼びかけています。
    殿の辞世の句での今生最後の呼びかけです。
    殿と思いをひとつにする家臣たちは、では、どのように対応したら良いのでしょうか。

    八百年前も、三百年前も、今の日本も日本です。
    その日本人の心に明かりを灯す。
    それは、何も大上段に振りかぶることではなくて、ほんのちょっぴり「日本ていいな」と思っていただくだけで良いのだろうと思います。
    その小さな積み重ねが、やがて大河となって日本を覆い、日本の正気を取り戻すのです。
    これが「積小為大(せきしょういだい)」です。
    日本の大きな改革は、この「積小為大」によってこそ成し遂げられるものであると思っています。


    ※この記事は2015年4月の記事のリニューアルです。
    お読みいただき、ありがとうございました。
    日本をかっこよく!! むすび大学。


    人気ブログランキング
    ↑ ↑
    応援クリックありがとうございます。

    講演や動画、記事などで有償で活用される場合は、
    メールでお申し出ください。

    nezu3344@gmail.com
     最新刊
     

    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    \  SNSでみんなに教えよう! /
    \  ねずさんの学ぼう日本の最新記事が届くよ! /

    あわせて読みたい

    こちらもオススメ

検索フォーム

ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
『誰も言わない ねずさんの世界一誇れる国 日本』
最新刊
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』

スポンサードリンク

カレンダー

02 | 2021/03 | 04
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

*引用・転載・コメントについて

ブログ、SNS、ツイッター、動画や印刷物作成など、多数に公開するに際しては、必ず、当ブログからの転載であること、および記事のURLを付してくださいますようお願いします。
またいただきましたコメントはすべて読ませていただいていますが、個別のご回答は一切しておりません。あしからずご了承ください。

最新コメント

スポンサードリンク

月別アーカイブ

ねずさん(小名木善行)著書

ねずさんメルマガ

ご購読は↓コチラ↓から
ねずブロメルマガ

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
テーマは、ご自由に設定いただいて結構です。
講演時間は90分が基準ですが、会場のご都合に合わせます。
E-mail nezu3344@gmail.com

電話  080-4358-3739

スポンサードリンク

コメントをくださる皆様へ

基本的にご意見は尊重し、削除も最低限にとどめますが、コメントは互いに尊敬と互譲の心をもってお願いします。汚い言葉遣いや他の人を揶揄するようなコメント、並びに他人への誹謗中傷にあたるコメント、および名無しコメントは、削除しますのであしからず。

スポンサードリンク