• 筆順教育が日本をダメにする


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    かつての日本人がとてつもなく優秀だった理由のひとつが、漢字教育にあります。
    なぜなら漢字の持つ象形性は、子供の抽象化、概念化する能力、推理力、主体性、読書力を拓くものだからです。
    実際、昔ながらの漢字教育で、幼児の知能指数が漢字学習で100から130にも伸びたという報告もあります。
    ところが戦後教育は、当用漢字や常用漢字によって漢字の持つ象形性を奪い、さらにこれに輪をかけたようにでたらめな筆順を子供達に強制することで、より一層、子供達の目のみならず、日本人全体から漢字から得られるべき抽象化、概念化する能力、推理力、主体性、読書力を奪ってしまっています。

    20180107 筆順教育
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    筆順というのは、上から書くとか、左側から書くといったルールに基づいていると教わったご記憶があろうかと思います。
    ところがそのように「教育」されることで、実は戦後生まれの私たちは、漢字の持つ象形性を無理やり見えなくさせられています。

    たとえば「必」という字があります。
    現代では、筆順を下の図の順番に書くようにとしています。
    必の書き順
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    ところがこれでは、この字が、いったい何を意味している漢字なのか、さっぱりわかりません。
    もともとこの字は音読みが「ヒツ」で、訓読みが「かなら(ず)」ですが、訓読みの「かならず」は、絶対にとか間違いなくといった意味の言葉です。
    だから「必勝」などといった熟語に用いられます。

    その「絶対に」とか「かならず」ということは心に刻(きざ)むものです。
    だから「心」に、斜めの線である「ノ」を書くのです。
    従って「心」を書いてから「ノ」を書けば、自然と「心に刻む」という意味が明確になります。
    「必」という字を書く都度、「心に刻むのだ」という意志が生まれます。

    要するに筆順というものは、漢字のもつ象形性をより明確にするためのものでもあるのです。
    これをバラバラにしてしまったら、漢字の持つ意味がわからなくなります。

    終戦後、GHQが入ってくると、作家の山本有三や土岐善麿らが
    「日本では漢字が濫用され、これが軍国主義を形成した。
     従って漢字教育は軍国主義の復活につながる」
    などと主張しました。
    どこをどう取ったら、そのような見解になるのか、まったく意味不明としか言いようのない主張ですが、英語圏で暮らすGHQの職員らには、なるほど日本語はむつかしかったのでしょう。
    そのことと、山本有三らの主張が相まって、昭和21年には当用漢字が指定されました。

    さらにこのとき、「學」を「学」などの略字にすることが定められています。
    ところがそれだけでは不安だったのでしょう。
    今度は、筆順まで文句をつけ始めたのです。

    昭和21年頃といえば、昭和天皇のご意向を受けたマッカーサーが、日本人が餓えないようにと、さかんに人道支援を行った一方で、日本解体のために「良い」とされることは、片端から実行に移されていた時代です。
    もっとも昭和23年には、GHQのジョン・ペルゼルが、日本語の表記をすべてローマ字に改めさせようと計画していますが、これは成功しませんでした。
    というのは、事前にGHQの指導によって、当用漢字表が出されていたわけです。
    朝令暮改は、さすがにマズイだろうということになった。

    おかげで日本語の表記の漢字仮名交じり文は、維持されるのですが、「あらゆる日本的なものを破壊することが正義」とされた時代です。
    それなら漢字の持つ象形性を失わせ、教育から漢字からの推理力・読解力を奪ってしまえということになって、「學」を「学」と書き、「敎育」を「教育」と書くという、いわば簡体字のような当用漢字の普及を図るだけでなく、筆順を指定することで、漢字の持つ意味を「わからないようにさせよう」という運動が起こったのです。

    何も知らない日本人こそ、いい面の皮です。
    子供達は、指定された筆順でなければ、テストで点をもらえない。
    ですから素直に、その漢字と書き順を受け入れました。

    それから70年。
    いまでは、自分の名前の漢字でさえ、意味がわからない人がほとんどという状況に至っています。

    たとえば「成」という漢字があります。
    よく名前に使われる漢字です。
    この字は、昔の旧字は↓の字で、よく見ると「ノ」に「丁」と小さく書かれていることがおわかりいただけるかと思います。
    20180109 成る

    「丁」は釘の象形で、これに「戈」と書いてありますから、戈で釘を打ち付ける、つまり、成形するという意味の漢字となっています。

    つまり、この字は本来は、「ノ」と「丁」を書いてから「戈」と書くのが良いのです。
    ところが現代教育では、下の図の書き順が正しい書き順とされています。
    成の書き順
    (画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。尚、本日の画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)

    はたして、この書き順で、「成」という字の持つ象形性とか意味が理解できる人などいるのでしょうか。

    漢字は、もともとが象形文字から出来ているものです。
    ですからたとえば「魔」という字を見ると、中に「鬼」がいます。
    この字は、「广」+「林」+「鬼」でできているわけですが、「广」は、屋根の下ですから室内です。
    家の中が林の中のようだということは、家の中が薄暗いわけです。
    その薄暗いところに鬼がいるのです。

    「魔」という字は、異常なほどに何かに執着する人(例:色魔)や、なにかをなそうとする者を阻害するもの(例:睡魔)のことを言いますが、「魔」という漢字の意味がどうのとまる暗記するのではなく、漢字のもつ象形性をしっかりと学んでいくことによって、実は、漢字は私たちに、たいへんな理解力、洞察力、推理力をもたらしてくれるものなのです。

    これは伊勢雅臣(いせ・まさおみ)さんが書いておられことですが、
    「幼児の時から漢字を学ぶことで、
     抽象化、概念化する能力、
     推理力、主体性、読書力が
     一気に伸びていく。
     幼児の知能指数が
     漢字学習で
     100から130にも伸びたというのも
     当然であろう」

    かつての日本人がとてつもなく優秀だったのは、子供の頃からこうして漢字を学んでいたことが重要な要素のひとつであったという側面は見逃せないものであると思います。
    その意味では、戦後教育は、日本人を幼いうちからアホにする教育であったといえるのかもしれません。


    ※この記事は2018年1月の記事の再掲です。
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Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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