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人物写真で、誰もが幸せを感じる写真は、年寄の周囲に親族一同が集まった集合写真なのだそうですが、そんな集いができた日本という国は、まさに幸せの国であり、蓬莱山そのものであったといえるのではないでしょうか。
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画像出所=https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%80%85
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
!!最新刊!! チャイナ文化に「老師」という文化があります。
「老師」というのは、一般に年をとった師匠のことで、年輪を重ねた分、学徳があったり、世の中を知っていたり、あるいは武術に長けていたりします。
そうした人たちのことを「老師」と呼ぶわけですが、チャイナではこの「老師」というのが曲者で、とにかく威張る威張る(笑)
古来チャイナでは、文化として「老師」はしゃにむに尊敬しなければならないとされていて、老師に服従することが若者の勤めというのが、チャイナ文化です。
ですからある意味「老師」というのは絶対的な存在で、老師の指示には逆らえない。
それがいわば社会常識になっているし、老師の側もこのことを知っていて、やたらに威張ります。
チャイナ映画などに、よく白ヒゲを長く伸ばした老師が登場しますが、ようするにあのような人たちです。
もちろん日本でも昔から老人は尊敬するもの、とされてきましたが、チャイナとの違いは、日本の老人と違って、とにもかくにも威張ること。
この違いがどうして生まれているのかを考えると、それがどういう意味なのかが納得できます。
まず、これは日本もチャイナも、世界中同じことなのですが、ほんの百年ほど前までは、子供はよく死にました。
だいたい、十歳まで生きることができる子というのは、確率的に50%ほどで、たとえば千人の子供が生まれれば、そのうちの五〇〇人が、十歳に至らずに死んでいったのです。
現代では医療が発達して、幼児の死亡率が極端に下がり、ほとんど全員が晴れて成人できる時代となりましたが、このことが原因で、逆に幼児が病気や怪我などで死ぬと、医療過誤の問題になったりします。
これは不思議なもので、五割が死ぬという時代では、子が事故や病気から助かると、それがお医者への感謝になりましたが、医療が発達して死亡者の割合が限りなくゼロに近づくと、逆に医者の責任が問われだし、医者への感謝さえもなくなるわけです。
人間の気質というのは、ある意味、悲しい。
それはともかく、まず幼児の死亡率が五割近くもあって、その上、やっと成人になっても、食糧事情が悪くて、食材の衛生環境が劣悪だと、やはり病気や、栄養不足などで、当然、死亡率が上がります。
チャイナでは、ほんの70年前まで、平均寿命が35歳でした。(いまは77歳です)
これはどういうことかというと、長生きする人も、なかにはいるのです。
けれど、10歳までの死亡率が5割もあり、さらに30〜40歳でほとんどの人が亡くなり、60歳まで生きることができれば、長寿と言われた・・・という社会構造であったのです。
そもそも栄養状態が悪いところに、さらに衛生環境も劣悪。
ですからひとたび疫病が流行したら、感染者はまず助からないというのが、常態であったわけです。
もちろん、医療もありません。
そうした社会にあっては、50歳を過ぎたら、もはや老人で、しかもその年令に達する人は、ごくわずかしかない。
さりとて実年齢は、50〜60歳のわけです。
実際には、まだまだ若いし、覇気もあれば体力もある。
しかも、自分以外は、皆、若者たちばかり、という環境ですから、老人が希少価値で「老師」と呼ばれ、歳を重ねていること自体が、価値を持ったわけです。
繰り返しますが、「老師」とは言っても、いまでいう50代の若者です。
(現代なら50代といえば、若者と呼んでも差し付けないかもしれない)
年齢を3で割ると、人生時計になるのだそうです。
たとえば、30歳なら、24時間表示の人生時計なら、まだ午前10時です。
午前10時の社会人なら、今日の仕事に取り掛かり、仕事に集中している時間帯です。
51歳なら17時、つまり午後5時で、さあ、いよいよアフター5の時間です。
60歳だと、夜の8時。夜のお楽しみタイム、つまり人生のお楽しみタイムは、これから。
66歳だと、午後10時(22時)ですから、勉強や今日一日の反省のの時間。
69歳になると、午後11時(23時)で、そろそろおネム。
72歳で24時で、その先は午前様のサービスタイム、というわけです。
そういう次第ですから、偉そうに「老師」とはいっても、人生時計ならアフター5が始まったばかり。
これからがお楽しみタイムですから、まだまだ現役年齢そのものであるわけです。
けれどそういう年齢の人が、社会的には希少価値を持ち、「老師」と呼ばれた・・・というのが、チャイナ社会であったわけです。
ちなみに、チャイナの平均年齢の35歳(1949年当時)は、明治初期の頃のコリアの平均年齢(25歳)と比べると、はるかにご長寿です。
コリアの場合は、チャイナ以上に栄養状態や食糧事情が悪かったことを示します。
もっとも、そんなチャイナも、日本で言う江戸時代頃までの平均寿命は、24歳前後であったとされています。
では日本はどうだったのでしょうか。
明治大正期の平均寿命は44歳です。
これは江戸時代、あるいはそれ以前の時代から、実はほとんど変わっていないとも言われています。
幼児の死亡率は、チャイナ、コリア、日本とも変わりはありません。
10歳までに、おおむね5割が死にました。
ところが日本では、ひとたび成人してしまうと、その後の寿命がたいへんに長かったのです。
このことは3世紀末に書かれた魏志倭人伝にも見ることができます。
次のように書かれています。
【原文】其人壽考 或百年或八九十年
【現代語訳】その人は寿考にして或いは百年或いは八、九十年なり
つまり3世紀頃の日本人の寿命を、魏志倭人伝は80〜90歳だと書いているわけです。
これは昔のほうが寿命が長かったのかというわけではありません。
世界中、どこでも幼児の死亡率は変わりませんから、その危機を乗り越えて成人となった者がどれだけ生きるかということを表しています。
そして幼児の死亡率が5割あり、その後の寿命が80〜90年になるとどうなるのかというと、全体の平均寿命が、その半分、つまり45歳前後となります。
つまり統計的に明らかになっている明治大正期の日本人の平均寿命と、ほぼ一致します。
どうして日本人がこんなに長寿だったのかと言うと、これはチャイナの逆です。
食糧事情が良くて、安全で安心で栄養価の高い食べ物が供給され、食糧事情が良かったのです。
ちなみに、同じく3世紀の西洋の状況をみると、ローマ時代のエジプトの統計が残っているのですが、その平均寿命が24歳です。
14~15世紀のイングランドが24歳、18世紀のフランスが25歳です。
要するに世界中、どこもかしこも、平均寿命は24〜35歳くらいでしかなかったわけで、それだけ成人の死亡率が高かったし、簡単にいえば50歳を過ぎれば、もう人生も最後の老人であったわけです。
ところが日本は、世界の諸国と同じように幼児の死亡率は変わらないのに、成人すると80〜90歳くらいまで生きる。
平均寿命は世界の諸国よりも20年も長い45歳前後です。
このため日本は、古代において、不老長寿の国、扶桑の国、蓬莱山と呼ばれました。
一説によれば、道教における神仙の国というのも、実は日本のことだと言います。
実際、単純にチャイナやコリアと比べて、平均寿命が倍ともなれば、不老長寿と言われてもおかしくないかもしれません。
そしてもともと長寿国であった日本では、チャイナで「老師」と呼ばれる50代は、まだまだ普通に現役です。
とりわけお坊さんの世界などでは、50代60代は、はまだ若者扱いです。
70代でようやく壮年、80代、90代になって、ようやく年寄り、老境と言われるようになるのは100歳を越えてからなのだそうです。
その意味で、チャイナの50代で「老師」というのは、まだまだ香具師のような側面があるわけで、若者の前でふんぞり返って、あれやこれやと指図し口出しをする。
「老師」とはいっても、実年齢が若いのです。
けれど、希少価値がある。
これが日本ですと、50代はまだまだ若者扱い。
老師と呼ばれるのは、肉体も枯れてくる90代以降の話です。
そしてここまで年輪を重ねると、およそ「威張る」ということがなくなる。
しかも、昔は15〜16歳で結婚です。
17歳にもなれば、子もある。
その子が成人して、やはり15〜6で結婚して子を生むと、
90歳代にもなると、子、孫、曾孫、玄孫、来孫、崑孫、つまり曾孫のまた曾孫くらいまで会うことができました。
おばあちゃんのもとに集まると、おばあちゃんの曾孫の子が、そのまた孫を連れてくるなんてことまでありえる話になったわけです。
人物写真で、誰もが幸せを感じる写真は、年寄の周囲に親族一同が集まった集合写真なのだそうですが、そんな集いができた日本という国は、まさに幸せの国であり、蓬莱山そのものであったといえるのではないでしょうか。
日本をかっこよく!お読みいただき、ありがとうございました。
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