• サミュエルソン経済学の嘘


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    高度成長期の日本経済は、極端な言い方をすれば、「豚は太らせて食え戦略」に乗っかったものであったといえます。いまは、その太らされた豚が、食われている状態です。他国への依存をいつまでも続けていれば、当然、そのような形になります。
    真の自立を果たし、日本が日本人による日本人のための政治を実現できるようにしていくこと。現代は、そういうことを、あらためて考えるべきときにきています。

    20221118 経済学
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    ポール・アンソニー・サミュエルソン(Paul Anthony Samuelson)といえば、世界的に有名な米国の経済学者です。
    顕示選好の弱公理、ストルパー=サミュエルソンの定理、サミュエルソン=ヒックスの乗数・加速度モデル、バーグソン=サミュエルソン型社会厚生関数などを提唱し、ノーベル経済学賞を受賞した人物でもあります。

    このサミュエルソンの書いた本が、有名な『経済学』で、経済学といえば、まずはこの本の名が出てくるほど、世界的にメジャーになっている書です。
    大学時代に、この本で経済学の勉強をしたという方も多いのではないかと思います。

    そしてこの本の表紙裏にある言葉が、有名な、

     個人にとっての美徳は
     集団にとっての悪徳である


    という言葉です。
    一般にはこの言葉の意味は、個人が勤勉貯蓄を行うことは美徳だけれど、全国民がそのようになってしまったら経済は発展しない。
    むしろ個人が浪費の悪徳に走ることが、全体経済を伸ばす、つまり全体経済にとっての美徳になる。
    したがって、個人の美徳は、集団にとっては悪徳にしかならない、という意味と解せられています。

    そして現在、世界の経済運営は、基本、この思想に依っています。
    国家経済を伸ばすためには、むしろ個人が浪費してくれた方が良い。
    もっというなら、浪費を誘うことが、国家経済を成長させる、というわけです。
    若い頃から、ずっとこの考え方を正しいと信じて来られた方も多いのではないかと思います。

    けれど、サミュエルソンの経済学というのは、米国の経済学です。
    そして米国経済は、ごくひとにぎりの大金持ちがスポンサー(出資者)となり、そのスポンサーの持つ資金をいかに効率よく運営して、その出資金を増やしていくかが、実は経済運営そのものの考え方です。

    たとえば大金持ちのスポンサーさんに、
    「戦争をして多くの人の命を奪いたい。
     これをやれば大儲けできる。
     だから資金を出してくれ」
    と依頼すれば、やはりスポンサーさんは、出資を拒否します。
    まあ、なかにはソロスのような変わった人もいますけれど、彼はそもそも投資家です。
    投資家というのはリスクを取って金儲けをするから投資家なのであって、純粋な意味での代々続く大金持ち家とは、すこし事情が異なります。

    代々続く破格の大金持ち、巨富を持つ人というのは、どこの国にも必ず居ます。
    我々は、1本100円のミネラルウォーターをコンビニで買いますが、それと同じ程度の感覚で一晩で一億円を飲み代に支払うことができるような大金持ちさんというのは、どこの国にもあるものです。
    そしてその多くは、代々の大金持ちの家系ですから、基本、考え方が保守的です。
    そのような人たちから、大金を出資してもらって、大儲けをする。
    誰かが大儲けするということは、誰かが大損をするということですし、それが巨額の資金ならば、それだけより多くの庶民が損をすることになります。

    それでも、出資をしてもらおうとするときに、そもそも「大金持ちさんの個人としての美徳は、集団にとって、つまり国家経済にとっては悪徳になるのですよ」というサミュエルソンの経済学は、実に説得力のある、有意な経済学となったわけです。
    だからサミュエルソンは、世界的に評価されるようになったのです。

    けれどもこの考え方には、大きな欠陥があります。
    経済を、欲得だけにしか捉えていないからです。
    そしてまた、一部の人の金儲けの手段の正当化しか描いていないからです。

    本来、経済とは、経世済民を意味します。
    経世済民とは、多くの人々の豊かさと安全と安心、そして愛とよろこびと幸せと美しさのために行われるものです。
    古くからの日本型経済モデルは、この視点に立っています。

    サミュエルソンの経済学と、何が違うのかと言えば、答えは単純明快です。
    サミュエルソンの経済学が、一部の大金持ちの利益の極大化を図ることを目的としているのに対し、
    日本型経済モデルは、圧倒的多数の一般庶民の幸福の極大化を図ることを目的としている点です。

    天然の災害が多い日本において、ひとりだけで堤防工事をしたり、災害時の瓦礫の撤去や町の復興を遂げることはできません。
    ですから自ずと、みんなで力を合わせることになります。
    消費は、個人の対価を支払う苦痛と、その品等を得ることによって得られる喜びとの交換です。
    ですから製造する側は、儲かる商品よりも、より良い商品を供給しようとします。
    消費をする側も、安かろう悪かろう型の商品ではなく、長く使えるより良いもの、その品を得ることによって、幸福が長く続くものを得ようとします。
    ですからそこに、使い捨てではない、モノを大切にするという思想が生まれます。

    つまり日本型経済モデルでは、個人の美徳が、そのまま集団にとっての美徳になるのです。

    日本型経済モデルが、庶民経済にあるからといって、それはバラマキ政治を行えば良いというものではありません。
    ひとりでできないことを、集団の力で行うというのが日本型モデルです。
    したがって、バラマキ予算があるのなら、その予算は、産業育成に用いるべきです。

    いま半導体が不足しているのなら、国内に半導体工場をつくるために用いるべきです。
    火力発電のために、外国から何兆円も重油を買うのなら、国内に豊富にある石炭産業を復活させ、石炭による火力発電を検討すべきなのです。
    いまなら、ばい煙の問題を克服し、クリーンエネルギーとしての石炭火力発電設備を築くことは可能です。
    太陽光発電よりも、よほど効率の良く電力を得ることができます。

    食糧問題も、外国からただ買ってくれば良いという思考は捨て、国内農業の振興を図るべきです。
    おかしな輸入農薬を外国から買ってこなくても、循環経済を重視することで、国内で安全な農薬をいくらでも開発することができます。

    世の中を階層構造(ヒエラルキー)と捉え、その階層の頂点に立つ人の利益の極大化を図れば、サミュエルソンの経済学になります。
    世の中を球体構造として捉え、誰もが主役であり、誰もが脇役であるといった視点に立つと、サミュエルソンの経済学は否定され、日本型経済モデルになります。

    高度成長期の日本経済は、極端な言い方をすれば、「豚は太らせて食え戦略」に乗っかったものであったといえます。
    いまは、その太らされた豚が、食われている状態です。
    他国への依存をいつまでも続けていれば、当然、そのような形になります。

    真の自立を果たし、日本が日本人による日本人のための政治を実現できるようにしていくこと。
    現代は、そういうことを、あらためて考えるべきときにきています。

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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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