■□■━━━━━━━━━━━━━■□■新刊 『奇蹟の日本史』ねずさんが描く庶民をこんなに幸せにした日本というシステムhttps://amzn.to/3eeXDcohttps://good-books.co.jp/books/2967/■□■━━━━━━━━━━━━━■□■『すずめの戸締まり』を観てきました。 世界は、変わることができる。 それも、長年続いた支配と隷属の世界が、いま終わろうとしている。 それは、新しい、愛と喜びと幸せと美しさの世界の始まりを意味している。 そんなことをあらためて確信できた映画でした。
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画像出所=https://suzume-tojimari-movie.jp/saisoku.html
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
!!最新刊!!新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』を観てきました。
このアニメ映画は、11月27日までの累計動員数が460万人、累計興収は62.6億円に達するのだそうです。
これは前々作『君の名は。』の同期間とほぼ肩を並べるペースなのだとか。
そして2023年には、世界199カ国で上映が予定されているのだそうです。
この現象に、YoutubeサイトやSNSなどでは、いち早く「すずめの戸締まりの真実」などといった投稿が相次ぎ、さまざまな人が、さまざまに解説を試みていますので、屋上屋を架すような解説は避けたいと思います。
ただ何より、「これは!」と思ったことがあるので、そのことをお伝えし、共有しようと思います。
それは映画の最後の方に出てくる、「はじめに全部あった」といった意味のセリフです。
311の震災によって、何もかも破壊される。
身近な人との人間関係がこじれる。
どうしてそうなるのか、意味がわからないような苦難が襲う。
けれど、そうしたもののすべてが、実は全部つながっていて、気がつけば、いちばんたいせつなものは、自分の足元【あしもと】にあった。
そういうことが語られたセリフです。
また、神はときに理不尽な試練を与える。
人間には、それが神か悪魔かさえもわからないし、自分がなんのために、そんな理不尽を与えられるのかわからない。
けれどわからないまま、何年にも渡る困難に巻き込まれていく。
けれどそれらは、あとになって振り返ってみれば、それらはぜんぶつながっていて、自分の心底【しんてい】にいちばんたいせつなものを気付かせるための導きになっている。
こういった日本的、もっというなら神道的な価値観が、そのままアニメとして描かれていると思いました。
日本で大ヒットとなったこの映画が、世界で放映されるようになると、ここに実におもしろいことが発生します。
それは、アニメで描かれた日本的価値観が、価値観の押し付けではなく、ドラマのストーリーとして、自然に世界中の人々の意識のなかにスッと入っていくということです。
世界では、というより現状の世界の中心をなしている西洋的価値観のもとでは、神とはあくまで人類の創造主であり、オーナーであり、絶対の存在であると説かれます。
人は不完全で過ちを冒す存在であり、だから人は常に神に赦【ゆる】しを乞わなければならないとされます。
ところが『すずめの戸締まり』に出てくる神は猫の姿で、主人公のすずめを追い詰めては逃げ出すという、一見すると身勝手な存在です。
けれど、映画を通じて、そんな猫の姿は、主人公のすずめそのものの化体した姿であることがわかるようになっています。
ヒトは、生命誕生のバクテリアの時代から持つ肉体の原始的欲求を持ちます。
それは生きるための食欲と、次世代に子を残すための性欲です。
その原始的欲求が、ヒトが社会を営むうえで、いつしか食欲が物欲に、性欲が支配欲へと変遷していき、さらにこの2つが競争原理によって地位得たいとか、名誉を得たいといった社会的欲求に形を変えています。
このことは裏返しに言えば、物欲も支配欲も、そのために地位や名誉を得たいという欲望も、もとをたどれば、人ぶりがまだバクテリアだった当時からの、食欲と性欲といった原始的欲求が、ただ形を変えたものにすぎないということです。
そして世界は欲望社会となり、その欲望を達成したごく少数の者が支配層となって、人々への生殺与奪の権を握り、そのごく一部の支配層が、自らを権威付けるために利用したものが、唯一絶対神という存在であったわけです。
これにより、支配者の持つ支配権は、唯一絶対の神から与えられたものという理解が生まれます。
そうでなくてはならないのです。
なぜなら、神から与えられた支配権だと言っても、「いや、私は別の神から支配権を与えられていますので」となれば、支配が完成しないからです。
この場合、異なる神、つまり異なる支配者は、完膚なきまでに滅ぼしていかなければならないとなり、それが大規模殺戮である戦争を生んでいます。
でも、それらすべては、原始時代からの食欲と性欲の変形したものにすぎないわけです。
ところが日本的価値観は、そうした理解を根底からひっくり返します。
なぜなら日本では、食欲は感謝の心となり、性欲(自分の遺伝子を後世に残したいという本能的欲求)は、相手を愛【いとし】く思う心であり、神とは、自分自身の中に内在する霊(ひ)が、本物の神へと昇華したものであり、過去の祖先たちが神そのものであると理解されてきたからです。
つまり日本人は、たいせつなものは、いつも自分の足元にあると考えてきたのです。
このことは、人間が原初から持つ食欲や性欲、あるいは人類が社会を営むようになってからの物欲や支配欲、名声欲といったものを根底から切り崩します。
なぜなら、物欲は感謝になり、支配欲は周囲の人々の幸せへの奉仕となり、名誉名声はむしろ「しんどい」もの、余計な重みであり荷物であるとみなされることになるからです。
明治以降、日本社会は欧風化の波に乗り、西洋的価値観こそが新しいもの、進んだものとする考え方が主流を占めるようになりました。
これによって、江戸時代までの日本にあったすべてのものは、古臭いものとして国家ぐるみで捨てる対象となり、このことが戦後、いよいよ強化されて、いまでは多くの日本人がすっかり欧風化して、欲望を満たすことが良いことであり、そのために自分を騙して無用な対立を行い、そうした想念が、いまではすっかり『すずめの戸締まり』でいう、地底の大ミミズのような怨念の塊【かたまり】のようになってしまいました。
だからあらためて、そうした怨念にしっかりと鍵をかけて戸締まりし、足元にある大切なものをいまいちど、しっかりと取り戻していこうではないか、ということが、この映画のメッセージであるように思います。
そしてこうした考え方が、理屈や理論ではなく、アニメという媒体を通じて、世界中の人々の心へと染み込んでいくことは、おそらく世界がいま持っている価値観を、根底からひっくり返し、人類が新たなステージに立つ未来を切り開くことになるのではないかと思います。
世界は、一部の支配者のために存在するものではありません。
いま生きているひとりひとりが、今生の様々な困難を乗り越えて、神へと昇華していくための試練の場が、私たちが生きている世界です。
そして、一見すると理不尽にしか思えない出来事は、実は、自分自身が招いている、自分自身が化体し招いたことにすぎない。
『すずめの戸締まり』は、前作の『天気の子』から、わずか三年での上映です。
わずか三年の間に、これだけの内容を持った作品が生まれたのは、そこに日本的価値観とは何かを、あらためて追求した成果であろうと思われます。
映画館でおもしかったのは、だいたい映画は、本編が終わってエンドロールになると、ポツポツと席を立つ人が現れるものなのに、この映画では不思議なことに、エンドロールの最後まで、誰も席を立とうとしなかったことです。
これは不思議な現象です。
そしてこのエンドロールの中で、この映画を作成したスタッフが、日本人ばかりではなく、チャイニーズやコリアンも数多く含まれていたことにも、あらためて感動しました。
それは、日本的価値観と呼んできましたが、それを理解できる人たちが、日本人でない人達にもちゃんと伝わっているということであるからです。
世界は、変わることができる。
それも、長年続いた支配と隷属の世界が、いま終わろうとしている。
それは、新しい、愛と喜びと幸せと美しさの世界の始まりを意味している。
そんなことをあらためて確信できた映画でした。
日本をかっこよく!お読みいただき、ありがとうございました。
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