• 天皇の四方拝と初詣のお話


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    四方拝は、今上陛下が神々に、
    「これらの厄災が、まっさきにまず我が身に振りかかるようにしてください」と祈られる元旦未明の儀式です。
    天皇がすべての厄災をお引き受けくださるのです。
    そうなると我々民衆に残るのは「良いこと」だけになります。
    ですから新年の参拝のことは、普段の参拝(拝み参らせる)ではなくて、特別に「初詣【はつもうで】」と呼びます。

    20210102 四方拝
    画像出所=https://mainomichi.com/mblog/four-way-worship/
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    新年おめでとうございます。
    皆様はお正月はどのようにお過ごしでしょうか。
    ねずブロでは毎年、お正月は
     元旦 その年の干支の話
     2日 天皇の四方拝と初詣のお話
     3日 霊(ひ)のお話
    をさせていただいています。
    毎年の定番ですが、3つとも日本人として大切にしていかなければならない文化であると思うからです。

    今回は2日ですので、四方拝【しほうはい】と初詣【はつもうで】のお話です。

    天皇の四方拝は、天皇が元旦の夜明け前に行われる皇室祭祀です。
    戦前戦中までは、四方節【よほうせつ】とも呼ばれていました。
    元旦の、まだ夜が明けないうちに、天皇陛下が特別の祭殿に入られて神々をお招きし、お祈りを捧げられる神事です。

    その祈りは、ちょっとショッキングな祈りです。
    天皇が神々に、
    「国家国民の
     ありとあらゆる厄災は、
     すべて私に先に
     お与えください」

    とお祈りされるのです。

    どういうことなのか、少し詳しく述べます。
    知らす国において、天皇は臣民を代表して神々と繋がる御役目です。
    その天皇が、年のはじめに神々を皇居にお招きします。
    お招きされる神々は次の通りです。

     伊勢神宮(皇大神宮・豊受大神宮)
     天神地祇
     神武天皇の陵(みささぎ)
     先帝三代の陵(明治天皇、大正天皇、昭和天皇)
     武蔵国一宮(氷川神社)
     山城国一宮(賀茂神社)
     石清水八幡宮
     熱田神宮
     鹿島神宮
     香取神宮


    そして次の祈りを捧げられます。

     賊冦之中過度我身
     毒魔之中過度我身
     毒気之中過度我身
     毀厄之中過度我身
     五急六害之中過度我身
     五兵六舌之中過度我身
     厭魅之中過度我身
     万病除癒
     所欲随心
     急急如律令


    この祈りの言葉の「中過度我身」について、これを「我が身だけには降りかからないようにしてくれ」と願っているなどというくだらない解釈をする人がありますが、どこにも「降りかからないように」を意味する文字は使われていません。

    使われている「度」という字は、「かならず」と同じ意味の漢字です。
    少し詳しく申しますと、「度」は、「广+廿+又」で成り立つ字です。
    「广」は、建物の中。
    「廿」は、器、
    「又」は、人が手を交差している象形です。

    つまりこの字は、屋内で器を前に人々が手を交差して何かをしている象形で、そこからモノサシなどで計る度量衡【どりょうこう】や尺度【しゃくど】などを意味する漢字になり、決まった単位を意味することから、後に「のり」とか「おきて」、「かならず」という意味に用いられるようになった字です。

    文中にある「中」は、「百発百中」という言葉がありますが、要するに必ずと同じ意味で、また「中毒」という言葉に代表されるように、「毒などを受ける」といった意味を持ちます。

    そこから文中の「中過度我身」は、「かならず我が身の中を過ぎよ」という意味の言葉とわかります。
    つまり天皇は、新年の初頭にあたり、まだ暗いうちに四方の神々を宮中に呼び出して、あらゆる厄災は、誰よりも先に、まず自分にふりかけて下さいと祈られるのが、四方拝なのです。

    このことは、最後に
     萬病除癒(万病を取り除き癒せ)
     所欲随心(欲するところは神の御心のままにあり)
     急急如律令(その成就よ速まれ)
    と祈られていことでもわかります。

    「降りかからないこと」が「急急(はやまれ)」では、意味が通じませんし、「随心(神の御心のままに)」という意味ともつながりません。

    要するにこの祈りは、
    「あらゆる厄災は、
     民衆がそれを受ける前に、
     まずは我が身を通してください。
     そして万病を取り除いてください。
     自分の心は常に神々の御心のまにまにあります。
    そして「急急如律令(その成就よ速まれ)」
    とという祈りなのです。

    陛下は、新年のはじまりにあたって、誰よりも早く起きて、
     ありとあらゆる厄災は、自分の身にこそ降りかかれ。
     そして万病が取り除かれ、民が癒やされるよう
     自分の心は神々のまにまにあるのだから
     厄災は我が身にのみ先に降りかかれ、

    と祈られるのです。

    では、その厄災とは何かといえば、
    「賊冦、毒魔、毒氣、毀厄、五急六害、五兵六舌、厭魅」
    です。

    「賊冦」は、危害を加えようとする悪い賊です。
    「毒魔」は、この世に毒を撒き散らす魔です。いまの時代ならメディアかも。
    「毒氣」は、人に害を与える悪意です。
    「毀厄」は、人を傷つける苦しみや災難です。
    「五急」は、五が森羅万象を示す五行(木火土金水)、これが急というのですから突然発生する自然災害のことです。
    「六害」は、十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)の中の二つの支が、互いに争う害を言います。要するに先輩後輩や世代間の争いなどですから、ひとことでいえば人災です。
    「五兵」は、戈戟鉞楯弓矢のことで、戦火のことです。
    「六舌」は、二枚舌どころか六枚舌ですから、外交による害のようなものです。
    「厭魅」は、「えんみ」と読みますが、人への呪いのことをいいます。

    四方拝では、今上陛下が神々に、
    「これらの厄災が
     まっさきにまず我が身に
     振りかかるようにしてください」
    と祈られているのです。

    その四方拝が、皇居において元旦の早朝に行われたあと、夜が明けると、一般の民衆(臣民)が、氏神【うじがみ】さまに初詣に行きます。

    近年では、自分の家の氏神さまがどの神社かわからない、という方が多いですが、氏神さまというのは、産土神【うぶすながみ】のことを言います。
    つまり、自分がいま住んでいる土地の神様です。
    近年では、だいぶ町名も変わってしまっていますが、だいたい町内に、戦前までの旧行政区分による市町村名を冠した神社があります。
    それが土地の神様である産土神がおいでになる神社です。

    さて、我々一般人の初詣は、こうして四方拝によって天皇がすべての厄災をお引き受けくださったあとに行うものです。
    天皇がすべての厄災をお引き受けくださったあとの参拝ですから、人々に残るのは「良いこと」だけです。
    このため新年の参拝のことを、「拝み参らせる=参拝」ではなく、「初詣【はつもうで】」と呼びまです。

    「初詣」は「詣でる」という字が使われます。
    「詣」は、言偏が魚偏に変わると「鮨」という字になります・
    「旨」は、匙【サジ】で食べ物を掬う姿の象形文字で、美味いものがあるところに行く、といった意味の字です。
    新年においしいものが神社にあるということではなくて、おいしいものを食べさせていただけることへの感謝を捧げに行くから「詣でる」なのです。
    昔から「初詣に行くと、良いことがあるよ〜」というのは、そこから来ています。

    世界中に、王や皇帝と名のつく人は、古今東西、歴史上枚挙に暇がないほど、数多くいたし、いまもいます。
    けれどそれらすべての王侯貴族は、ことごとく「支配者として君臨する人」です。
    これを古い日本語で「ウシハク」といいます。
    君臨する人というのは、現代の世界でもそうですが絶対に責任を取らないし、民衆のことを単に雨後【うご】の筍【たけのこ】のように「いくらでも生えてくる雑草」という程度にしか思わないものです。

    このことは議会制民主主義でも同じで、選挙で選ばれてしまえば、任期中は権力者として君臨できるわけです。
    そして君臨する人というのは、実はオウムの麻原彰晃と同じです。
    自分のことを神だと思うようになります。
    神だから、民衆に対する生殺与奪の権を持つし、自分だけが神として崇め奉られようとします。
    このような人は、自分のことを神とでも思っているから、自分では絶対に責任を取らないし、自分のことしか頭にない。
    つまり自分が神だと思いこんでいるだけで、その実態は魔物【まもの】であり、西洋風に言えば悪魔です。
    魔物や悪魔を社会の頂点に置けば、ろくな社会にならないのは自明の理です。

    西洋文化というものは、植民地支配が始まった16世紀以降に力をつけた民衆が18世紀末頃から王権を否定し攻撃することで生まれた比較的新しい文化です。
    その新しい文化に染まることが良いことだからと、特に戦後は「古い衣【ころも】を脱ぎ捨てて」などという標語が我が国でもさかんに言われるようになりましたが、どっこい、我が国の文化は4万年前の新石器時代からずっと続く様々な試行錯誤の蓄積の中で育まれ、8世紀にはほぼ完全な形で出来上がった文化です。
    つまり欧米の文化がわずか200年少々の歴史しかないのに対し、我が国の文化は1300年の歴史の中で、様々な紆余曲折を経験する中で育まれた文化なのです。
    「古い衣を脱ぎ捨てて」ではなく、いまこそ「古い衣を引き出して」新たな日本文化を開眼させるべき時代【とき】なのです。

    その日本文化の根幹にあるのが、天皇が民衆のことを知り、民衆を「おほみたから」として、先祖代々を意味する神々と直接つながられる「知らす」統治です。
    「知らす」とは、現代語にすれば「お知りになりなさい」という意味です。
    天皇が民衆のことを深くお知りになられ、その天皇が民衆を「おほみたから」とされることで、天皇が任命する政治権力者が、どこまでも民衆が豊かに安全に安心して暮らせる社会の実現のために責任を持つ、という社会の仕組みです。

    ですからシラス統治のもとでは、民衆が神々の「たから」です。
    神々のたからであるということは、民衆に国家として最高の尊厳が与えられているということです。
    つまり究極の民主主義といえる統治が、シラス(知らす、Shirasu)です。
    日本は、神話の昔から、このことを基本にできあがっています。

    そして日本がシラス国であるためには、民衆の側にも高い民度が求められます。
    そうでなければ民は我執我欲に走り、なかでも飛び切り欲の深い者が富や政治を私物化して独占し、他の民から収奪をはじめてしまうからです。

    ですから知らす統治には、そうしたゆがみを正す機能が必要です。
    それが荒魂【あらたま】です。
    まっすぐにすることを「たける」といい、漢字で書いたら「武・健」です。
    世界中、どの国の言語でも、武は攻撃(アタック)か防御(ディフェンス)のためのものです。
    しかし我が国ではどこまでも、歪みを正してまっすぐにする「たける」ために用います。

    人々が私的な欲を自ら抑えこみ、誰もが公徳心を持って真っ直ぐに生きることができるならば武は必要ないかもしれません。
    けれど、そのようなことは人間社会ではあり得ませんから、歪みを正す武【たける】が必要となるのです。
    いまの日本に欠けているのは、その武です。
    そもそも歪みを正すための「武」と、他人の迷惑を顧みない暴力とでは、まったく意味も方向も結果さえも異なるものです。

    ともあれ、高い民度を保たなければならない国に、私たちは生まれました。
    これはとてもたいへんなことです。
    ひとりひとりにルールが求められるからです。

    赤信号ならば、誰もいなくても、ちゃんと停まらなくてはならない。
    それは誰もいなくても監視カメラがあるからではなくて、天が見ているからです。

    そしてどこまでも謙虚に、自分の幸せだけでなくみんなの幸せを願っていく。
    天皇陛下が率先して、元旦の早朝から、そうしておいでになるのです。
    国民もまた、互いの「愛」を大切にする。
    そうすることで、互いに信頼しあえる国を築いていく。
    それが日本であり、日本人の行動です。

    日本をかっこよく!
    お読みいただき、ありがとうございました。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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