• 日本の歴史にモブキャラはいない


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    「世の中に雑草という草はない。
     どんな植物でもみな名前があって、
     それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。
     人間の一方的な考え方で、
     これを雑草として決めつけてしまうのはいけない」
    昭和天皇が植物学者である牧野富太郎の言葉を引用されて仰られた有名な御言葉です。
    私達日本人にとって、絶対に譲れない大切な考え方がここにあります。
    現実の世の中に、モブキャラなんて存在しないのです。

    20220220 モブキャラ
    画像出所=https://commons.nicovideo.jp/material/nc86587
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    「モブキャラ」というのは、ビデオゲームなどにおける背景キャラのことです。
    人物であっても、ゲームの中ではただの背景ですから、モブキャラ自身に個性はありません。
    建物や並木と同じ、ただの背景です。

    西洋史を学ぶとわかりますが、西洋においては、歴史は、常に英雄譚であって、英雄以外は、すべて「モブキャラ」です。
    実際に歴史の中に生きた人たちでありながら、あくまで歴史の表舞台に現れるのは英雄たちだけであり、それ以外の人々は、ただ悪役に屠殺されるだけの存在であったり、命令によって前進する大軍の中の兵士でしかありません。
    つまり背景としての「モブキャラ」であって、「モブキャラ」自身に個性はありません。

    有名な『ノアの箱舟』の物語にしても、人類の腐敗に神がお怒りになって、ノアに箱舟作りを命じたという筋書きですが、そこで腐敗していたとされる圧倒的多数の民衆については、そのひとりひとりに個性はなく、やはり「モブキャラ」扱いです。

    歴史だけではありません。
    いままさに現在進行系で動いているウクライナ問題にしても、そこでの報道は、あくまでプーチンの思惑とか、売電陣営の動きがどうのとかといった、英雄譚としての扱いであって、現にウクライナで暮らしている普通の庶民、普通の人々は、すべて「モブキャラ」扱いです。

    これが東洋史(チャイナの歴史のこと)になるともっと激しくて、魏の曹操とか劉備玄徳、諸葛孔明、関羽雲長など、数々の英雄豪傑が登場しますが、それ以外の人々は、ただ英雄たちに殺されるだけの、ただの「モブキャラ」です。

    しかし、歴史に登場する様々な事件、現在進行形で起きている様々な事件は、英雄譚であって、その事件の中の当事者として生きている人々は、ただの背景キャラの「モブキャラ」にすぎないのでしょうか。本当にそうなのでしょうか。

    違うと思います。
    それどころか、この世にモブキャラなんて、ひとりもいません。
    むしろ、モブキャラ扱いされている人々こそが主役なのが、我々が住んでいるこの世界というものであろうと思います。これこそが真実です。

    とらえ方が根底から間違っているのです。
    「モブキャラ」扱いされていても、そのひとりひとりは、それぞれの人生の主役です。
    英雄は、そうした「自分の人生の主役として生きている人々」のために、なんらかの働きをした人にすぎません。
    つまり、本来の主役は、むしろ歴史の中で「モブキャラ」として扱われている民衆(庶民)こそにある。

    日本の歴史の西洋史や東洋史との最大の違いが、ここにあります。
    我が国の歴史に、「モブキャラ」はひとりもいないのです。

    大阪夏の陣のとき、初陣でありながら敵中深くまで押し入って大奮戦した木村重成のもとで、最後まで死力を尽くして戦って散っていった前園良寛という人物がいます。
    大阪城内で勤めていた、ただの茶坊主のひとりです。
    ですから西洋史、東洋史なら、ただの「モブキャラ」として扱われるだけの人物であったことでしょう。

    けれどそんな良寛は、5人力の力自慢。
    優男で人気のある木村重成が妬ましくて仕方がない。
    そこで木村重成に難癖を付けて、恥をかかせようとする。
    けれど木村重成のやさしさに触れて心を入れ替え、夏の陣で最期まで大奮戦をして死んでいきました。
    そんな歴史が、ちゃんと語り継がれているのが、日本の歴史です。

    徳川対豊臣という大きな歴史の中では、それはちっぽけな波風にすぎないものであったかもしれません。
    けれど、そんな小さな波風のひとつひとつに、生きた人の人生があり、誠実があり、熱意があり、努力があり、人の心があったこと。
    そういうことを大切にしてきたのが、我が国の歴史なのです。

    だから万葉集の中には、一般の、普通の庶民のあんちゃんや、ねえちゃん、とっつぁんやおばちゃんの歌が数多く掲載されています。
    そのひとりひとりは、その他大勢ではないのです。
    そのひとりひとりにこそ、人生があり、そのひとりひとりの人生にこそ、本来、私達が大切にしていかなければならない、人の暮らしがあるというのが、我が国の古来の考え方です。

    最近、ネットを操作していると、時折、ゲームの広告が入ります。
    そんな広告の中に、ゾンビの大軍を機関銃を操作して、ただひたすらになぎ倒していくというゲームの紹介がありました。
    おもしろいゲームなのかもしれないし、人気があるのかないのかまでは知りませんし、知りたいとも思いませんが、そのような人を人とも思わないようなものが、たとえゲームとはいえ世の中にあるということが、とても悲しく思えます。

    なぜなら、そこにあるのは、「主役以外はモブキャラ」という、ものすごくねじ曲がった考え方であるように思えるからです。
    それって、自分勝手そのものです。
    自分以外は、モブキャラだという考え方です。
    ありえない愚考です。
    あってはならない態度です。

    それが、昭和天皇が植物学者である牧野富太郎の言葉を引用されて仰られた有名な言葉があります。
    「世の中に雑草という草はない。
     どんな植物でもみな名前があって、
     それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。
     人間の一方的な考え方で、
     これを雑草として決めつけてしまうのはいけない」

    私達日本人にとって、絶対に譲れない大切な考え方がここにあります。
    現実の世の中に、モブキャラなんて存在しない。

    常々思うのです。
    一寸の虫にも五分の魂だと。

    我々は人間です。
    ひとりひとりが、「おほみたから」です。
    誰一人、モブキャラなんて存在しないのです。
    常にそのことを忘れない。
    それこそが、明日の日本を拓く鍵となると、私は信じています。


    ※この記事は2022年2月の記事の再掲です。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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