• 住吉さんと高砂の松


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    ネット化が進むと、大脳新皮質ばかりが発達します。
    大脳新皮質は、個人の生き残りや個人の勝手のための選択をするところです。
    けれど人は、大脳新皮質でばかり生きているのではありません。
    脳には、もっと本質的かつ本能的な脳幹があるのと同様、人には魂が備わっています。
    そしてこれからの時代、その魂を「みがく」ことが、ますます大切になってきます。

    高砂神社
    20210227 高砂の松
    画像出所=http://www.worldfolksong.com/songbook/japan/takasago.html
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    播磨国(いまの兵庫県)の高砂の浦に、熊手(くまで)を手にしたお爺さんと、箒(ほうき)を持ったお婆さんが、松林で木陰を掃いていました。
    そこに友成(ともなり)という名の神主が現れます。

    神主「そこなご老人、有名な高砂の松とは、
       どの木のことを言うのですか?」
    爺 「いま清めているこの木こそ、高砂の松です」
    神主「高砂の松と、大阪の住之江の松は、
       遠く離れているのに、
       どうして相生(あいおい)の松と言うのでしょうか?」
    爺 「私が住吉の者で、
       婆が高砂の者です。
       私達は夫婦(めおと)でござってな、
       山海万里(さんかいばんり)を隔(へだ)てても
       たがいに通う心づかい。
       妹背の道は遠くないのです」

    お互いに心が通い合っていれば「妹背の道」遠くないとあります。
    「妹背(いもせ)」とは、妹(いもうと)が、いまでは、血のつながった実の妹のことだけを言うようになりましたが、昔は、妻のことを妹と言いました。
    妻には血縁はなくとも、夫婦になったら血縁関係を持ったのと同じ、と考えられてきたのです。
    夫婦になるための婚礼の儀は、神様の前で魂を結ぶ行事なのです。

    「背(せ)」は「背子(せこ)」のことで、おんぶした(背負った)相手、という意味です。
    妻から見た旦那は、背中におんぶした子と同じだ、というわけです。
    そしてそうやって愛し合う夫婦は、高齢になっても、なお、心と心が通い合うと、そういうことを述べています。

    そして、ここで住吉明神様が現れて、謡曲が歌われます。

     高砂や
     この浦(うら)船(ふね)に帆(ほ)をあげて
     この浦(うら)船(ふね)に帆(ほ)をあげて
     月もろともに出(い)で汐(しほ)の
     波の淡路(あはぢ)の島影(しまかげ)や
     遠く鳴尾(なるを)の沖(おき)すぎて
     はや住の江に着(つ)きにけり
     はや住の江に着(つ)きにけり

    この歌が、昔、結婚式で定番として謡われた「高砂(たかさご)」です。
    そしてこのお話は、能楽の定番の演目、『高砂』となっています。

    お話に出てくる住吉明神というのは、いま大阪市にある住吉大社のことです。
    その住吉大社の御祭神は、黄泉の国から戻られた伊弉諾(いざなぎ)大神が、禊祓(みそぎはらい)をされたときに生まれた
     底筒男命(そこつつのをのみこと)
     中筒男命(なかつつのをのみこと)
     表筒男命(うわつつをのみこと)
    です。《日本書紀》

    この三柱の神様は、古事記ではそれぞれ「底筒之男命、筒之男命、上筒之男命であり、墨江(すみのゑ)の三前大神(みまへのおほかみ)である」と書かれています。
    墨江(すみのゑ)が、住之江(すみのえ)となり、その後に住吉(すみよし)となったわけです。

    いまではすっかり内陸部になってしまっている住吉大社ですが、いまの住吉さんの場所は、もともとは白い砂浜に松林が続く海に面した場所でした。
    神功皇后の三韓征伐は、この住吉大神の御神託に基づくもので、この征伐のおかげで、半島がチャイナの歴代王朝からの脅威からの緩衝地帯となることで、我が国は以後およそ1800年、チャイナ王朝からの直接侵略から護られています。

    そして御祭神である 底筒男命、中筒男命、表筒男命は、それぞれ深層意識、中層意識、表層意識を表すとされます。
    イザナギの大神は、身につけた物を捨て、素裸になって身を清められただけでなく、意識の奥深いところにまで潜って、その禊ぎ祓いをされたのです。
    つまり、いわば心を完全浄化した先にある爽やかさが住吉様のお姿となります。

    また、高砂の松は、いまも兵庫県高砂市の高砂神社にありますが、この松はひとつの根から、黒松と赤松の両方が生えている、変種の松です。
    高砂神社は、神功皇后の三韓征伐の成功が、大国主神の加護によってもたらされたものであり、その凱旋の際に、大国主神が、この地にとどまると御神託されたために創建された神社とされています。
    そして10世紀の終わり頃、国内に疫病が流行した際に、この神社にスサノヲをお祀りしたところ、見事に疫病が沈静化したという言い伝えがあります。

    住吉さんが、心身を完全浄化した清浄さであり、海の守り神。
    高砂神社が、夫婦和合の象徴であり、大いなる国の守り神。
    つまり、和合は浄化と表裏一体だというわけで、『高砂』が、天下の平和を祝う祝賀の謡曲となるのです。

    ちなみに、全国に数ある神社のなかで、なぜか住吉大社だけが「住吉さん」と「さん」付けで呼ばれています。
    また境内(けいだい)の雰囲気というか空気も、他の神社と異なり、格式の高い古い神社でありながら、たいへんに朗らかで陽気でやさしげな、独特の空気感を持ちます。
    それはいってみれば、孫の遊んでいる姿を、目を細めてニコニコと笑ってみているおじいちゃんのような空気感で、それでいて実はそのおじいちゃんは剣術の達人・・・みたいな感じ?、要するにとても信頼感のある感じ、といった空気感です。

    神社には、神明神社(神明社、皇大神社、天祖神社などとも呼ばれる)には神明社独特の、八幡様なら八幡様の独特の、香取様には香取様の、それぞれに独特の空気感があります。
    それぞれ口語では、お伊勢さん、八幡さんなどと呼ばれることもありますが、文に書くときには、やはりお伊勢様、八幡様、香取様で、さん付けで書かれることはめったにありません。

    例外が、いくつあるかわからないとまで言われる(もしかしたら数万社?)お稲荷さんで、なにせ稲の荷物というくらいで、商売繁盛の神様とされていますが、稲荷神の神社もまた、きわめて独特な香りというか、空気感があります。

    神社ごとの空気感の違いについては、また別な機会にあらためますが、住吉大社の持つ庶民性は、非常に独特なもので、これは行った方でなければわからない。
    やはり、肌で感じるが大切です。

    ネット化が進むと、大脳新皮質ばかりが発達します。
    大脳新皮質は、個人の生き残りや個人の勝手のための選択をするところです。
    けれど人は、大脳新皮質でばかり生きているのではありません。
    脳には、もっと本質的かつ本能的な脳幹があるのと同様、人には魂が備わっています。
    そしてこれからの時代、その魂を「みがく」ことが、ますます大切になってきます。

    ちなみにみなさんは、
    「日本人は情動的であって論理性を欠く」
    という言葉を聞いたことはありますでしょうか。
    これは戦後、たいへんよく言われたことです。
    だから日本的なものはダメだ、西洋的なものが良いのだ、古いものより新しいものが良いのだ、と言われ続けてきました。
    けれど、最近思うのは、日本文化は決して情動的なだけではない。
    むしろ、論理性を突き詰めて行った先にある情動性であって、言い換えれば日本人はきわめて論理的思考を大切にしてきた民族の歴史を持つ、ということです。
    これについては、また機会をあらためて詳述します。


    ※この記事は2021年2月の記事のリニューアルです。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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