• 大阪で5000人が死んだ事件から学ぶべきこと


    過去に大阪で起きたこと。
    その歴史から我々が学ぶべきは、今に活かせる事柄です。
    そういう教育を復活させ、かつまた日本経済を復活させる。
    そのために必要なことは、大人も子供も共に学べる新しい教育です。

    20230330 天保の大飢饉
    画像出所=https://www.aflo.com/ja/contents/20778664
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    天保の大飢饉といえば、学校では「凶作のために全国で30万人以上もの餓死者が出た」と教わります。
    このうち大阪市中での餓死者数は、およそ5000人。
    全国の6分の1にあたる餓死者が大阪で生まれました。

    けれど本来学校で教えなければならない歴史は、そこにあるのではないのです。
    もちろん全国的な災害としての飢饉も重要です。
    けれど、大阪で起きたことは、少し様子が違うのです。

    江戸時代の大阪といえば、まさに商業流通の中心地です。
    つまり全国のお米が集まる場所でもありました。
    このため凶作が続いて全国的にお米が足りない時期でも、大阪は比較的裕福に乗り越えることができていたのです。

    その大阪で5000人を超える餓死者が出たのは、実は、飢饉そのものが原因であったこともさりながら、実は、お丘の町奉行所による米の買い占めが原因でした。

    この時代は、これまた学校で教わる水野忠邦の天保の改革の時代です。
    天保の改革は質素倹約を重んじた幕政の改革であったと学校で教わりますが、その結果はまたたく間に全国の経済を冷えさせ、さらにこれに天保年間の大凶作が重なったのです。

    そしてこの時期に、11代将軍徳川家斉にかわり、徳川家慶が12代将軍に就任しました。
    たとえ飢饉のさなかであっても、幕府の威信を保つために将軍交代の儀式は派手に行わなくてはならないからと、この時に水野忠邦が目を付けたのが、天下の台所の大坂でした。

    ただでさえ経済が冷え、そこに凶作による食糧難が重なった時代です。
    けれど水野忠邦は、強引に自分の実弟である跡部良弼を大阪東町奉行に赴任させ、天下の台所といわれた大阪で「将軍交代の準備」という名目で、大商人からせっせと米を買い集めて江戸に廻送させたのです。

    結果何が起こったかと言うと、大阪での米価の高騰です。
    そしてこれによって食えなくなった大阪の一般庶民が、なんと5000人も餓死したのです。

    この事件から学ばなければならない大切なことがあります。

    それは「富が流出したら経済が冷え込む」ということです。
    江戸時代の富はお米です。
    現代はお金です。
    そしてどちらも、外に向けてそれらが流出したら、みんなが貧乏になるのです。

    先にも述べました通り、江戸時代の大阪は商業流通の中心地です。
    ですから全国のお米が集まりました。
    だから、大阪に住む人々は、飢饉に際しても、あまり飢えるというところまで追い詰められることは少なかったのです。

    ところが天保年間のときは、大坂町奉行所がせっせとお米を買い集めて、そのお米を江戸へと送り出しました。
    奉行所が大枚をはたいてお米を買い付けたのです。
    それで果たして大阪の景気が良くなったのかというと、答えはNOです。
    むしろ米がなくなって餓死者が相次ぐ結果になったのです。

    このことが意味する歴史は重要です。
    それは、どんなにたくさんのお米(富)を集めてきても、その富が外に流出したら大阪に餓死者が多発した、ということだからです。

    現代の日本経済も同じです。
    日本人がいくら一生懸命働いても、その富が海外に流出したら、日本の景気は良くならないということ同じだからです。

    大阪を例にとれば、現代の大阪府民がいくらせっせと真面目に働いて稼いでも、そうした集めた富が、外国資本が行う公設の賭博場(IR)で、外国資本の利益として海外に流出したら、大阪経済が未来永劫冷え込むということと同じことなのです。

    日本がせっせと良いものをつくり、これを外国に売って儲けたお金が国内で循環するから、日本が好景気になるのです。
    それが、人々が一生懸命に働いても、そうして儲けたお金が外国に流出したら、日本の景気が冷え込む。
    あまりにもあたりまえの理屈です。

    大規模店舗法が2000年に廃止され、地方都市に大型のショッピングセンターができるようになりました。
    すると、それまでは、その都市の商業規模が年間30億円だったとすると、その30億円の売上を市内の商店街で分け合っていたものが、大型店に年間15億円持っていかれるわけです。
    すると市内の商店の売り上げの合計が、30億から15億に減少する。
    しかも市の税収は、それまでなら市内の商店から得ていたものが、大型店は本社が東京や大阪、あるいは外資なら海外にあるわけです。
    つまり納税は、市外に行われることになる。
    結果、市の商店街がシャッター通りになり、市の税収も下がって市の財源が減り、さまざまな行政サービスに影響が出る。
    これが2000年以降の日本経済冷え込みの要因のひとつになっています。

    一方、かつてのバブル経済がなぜ起きたのかと言えば、それまで日本企業が輸出などで儲けたお金が、海外での不動産取得やリゾート開発等に遣われていたものが、日米貿易摩擦の結果、海外での投資が困難になり、その投資が国内の不動産売買に向けられるようになった。
    その結果、日本国内で大量のお金が循環することになって、まさにバブル経済の好景気が起こったと、実はそういうことなのです。

    要するに、お金もお米も同じなのです。
    せっかく集めても、それが他所に流れ出せば、景気が冷えるし、
    自分のところで回るようになれば、好景気になるのです。

    消費者が、一円でも安い買い物をしようと日々努力し、そうやって浮いたお金でビトンのブランドバックを買っていたら、富が海外に流出します。
    消費者が、一円でも安い買い物をしようと、中国産品ばかりを買っていたら、富はどんどんと中国に流出しますから、日本経済は冷え、中国経済が好調になります。

    家計も同じです。
    父ちゃんが稼いだお金が、家庭内に据え置かれれば、その家庭はお金持ちになります。
    どれだけたくさん稼いでも、それ以上に外にお金が流出すれば、その家は貧しくなります。

    天保の大飢饉で大阪で起きたこと。
    その歴史から我々が学ぶべきは、ただ飢饉が起きたの、江戸時代は貧しかったのということではなく、そのときの経験を今に活かせる内容です。
    そういう教育を復活させ、かつまた日本経済を復活させる。
    そのために必要なことは、大人も子供も共に学べる新しい教育です。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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