日本人としての誇り・・・岡倉天心

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岡倉天心
岡倉天心


基本的にこのねずブロでは「あまり著名な人物は扱わない」、日本史の中に登場する、あまり知られていないけれど、実は、こんなにものすごい人がいた、というのがテーマのひとつになっています。

その意味からすると、岡倉天心(てんしん)のような有名人を書くは、いささか気が引けるのですが、やはり横山大観を書いたら、その師匠の岡倉天心を書かないと話が進まない。

岡倉天心は、
文久2(1863)年の生まれですから、横山大観よりも5歳年上になります。
本名は覚三(かくぞう)で、天心はいわばペンネームです。

なぜ「天心」かというと、若いころに心臓のあたりの手術をしたことがあり、その傷口が「天」の字に似ていて、心臓のところに「天」の字があるので「天心」と名乗ったのだそうです。

岡倉天心は、横浜の生まれです。
父親は福井藩士で、もともとのご先祖は、近江の浅井家の家中だそうです。
そうです。織田信長に滅ぼされたあの浅井長政です。

父の岡倉勘右衛門は、福井藩士で、藩命を受けて外国との貿易に従事したほどの英語通で、その家庭環境から、岡倉天心も英語がペラペラだった。

彼はその語学力を活かして、明治の初めごろ、若干26歳で帝国博物館理事、美術部長、28歳で日本青年絵画協会会長などを歴任し、以降も日本の伝統美術を諸外国に誇りを持って紹介したのみならず、西欧美術の良いところは積極的に取り入れ、新しい日本美術の構築を図っています。

その意味で、戦前、戦後の日本に蔓延するいわゆる西洋かぶれ、共産主義かぶれの反日左翼のように、いたずらに外国のものだけが良くて、日本は遅れている等といった偏ったものの考え方は、まったくしていません。

むしろ逆に、日本の伝統文化に誇りを持ち、そこに西洋の良い部分を取り入れることで、ますますの発展を期そうとした。
そこが岡倉天心が、後世に残る美術政治家と呼ばれるゆえんでもあろうかと思います。

岡倉天心は、明治23(1890)年、28歳のときに、新規開設した東京美術学校の校長に収まるのですが、そこで横山大観らを見出し、育てています。

天心によれば、日本画というのは、長い日本の歴史の中で育まれ、一定の「型」が出来上がっている。
けれど大切なのは、人に何かを伝える画家の「心」にあり、その意味で技術的な部分に関しては、欧米に素晴らしいものがあるのなら、それら技術は、むしろ積極的に取り入れるべきだとしています。

こうした考え方が、日本画檀のいわゆる守旧派という人たちを刺激し、岡倉天心は、結果として世間を敵に回すことになってしまう。
そして35歳の3月には、東京美術学校の校長職を追われ、4月には引っ越したばかりの自宅が、火災にあって全焼。

そんな中で日本美術院を設立するのだけれど、守旧派からは何かと批判されるし、経済的にも、厳しい状況に至り、その日本美術院も、創設から3年ほどで、運営経費が底をつき、運営が成り立たない。

失意の天心は、なにもかも捨てて、明治34(1901)年に、単身でインドへと旅立ってしまいます。

翌年帰国し、先輩の九鬼隆一男爵の引きで、明治36年には文部大臣に就任するはずだったのだけれど、これも頓挫。
失意の中で、東京の家を引き払い、風光明美な茨城県五浦の海岸に移り住んだのが、明治36(1904)年のことです。

この年、米国のボストン美術館から招待され、横山大観らを連れて渡米し、そこで日本画展を開いて、これが大成功する。

そのとき、ボストンの街を歩いていた時のことが有名な逸話になっています。

天心ら一行が羽織袴(はかま)すがたで街を歩いていると、ひとりのアメリカ人が声をかけてきた。

「君たちは、何ニーズ? チャイニーズ? ジャパニーズ? それともジャワニーズ?」

これに答えた天心、流暢な英語で、「我々は日本の紳士である。君こそ何キーか? ヤンキーか ドンキーか? モンキーか?」と言い返した。

<原文>
“What sort of nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?”

“We are Japanese gentlemen.
 But what kind of key are you?
 Are you a Yankee? or a Donkey? or a monkey?”

さすがとしか言いようがありませんが、こういうウイットに飛んだ対話というのは、日本人として日本の歴史、文化、伝統に誇りと自信を持っていなければできるものではない。

ちなみに、話はすこし横道にそれるかもしれないけれど、たとえばハリウッドといえば、世界中のクリエーターたちが集う街です。

そこでは「なんでもやります!」「安くてもいいです!」と言って、売り込んでくる人たちも多いといいます。

けれど、プロデューサーにしてみれば、「なんでもやります」は、「自分には特技がないのです」という意味に聞こえるし、「安くてもいいです」は、「高いギャラを得る器ではない」と本人が宣言しているに等しい。

そういう人間は、逆に敬遠されてしまうか、単なる使い捨て扱いにされるのがオチというのが実情だそうです。

これは日本国内でも同じことです。
自分を安売りする者は、結局は「経済的に無価値です」と宣言しているようなもので、世間はそういう者を相手にしない。
およそ経済を価値観の中心にすえる活動においては、それが日本やハリウッドに限らず、世界の常識です。

そういう意味では、たとえばねずブロや、無料で配布している日心会メルマガなども、経済的には無価値、逆にいえば「カネがとれるような価値はないもの」と看做される。
それが経済中心主義社会の現実です。

けれど伝統的日本社会の文化は、価値を経済ではなく、心に求める。
無私の心で社会に尽くすことが「価値あること」とみなされる。

それが日本の文化だし、逆にいえば、カネがあるから偉い人という概念は、古来日本人の道徳観には、存在しないといえるのではないかとも思うのです。

いずれにせよ、日本人に生まれた以上、いたずらに外国にかぶれるのではなく、日本人が育んできた様々な素晴らしいものについて、謙虚に学び、しかるうえで、外国の良いものを取り入れる。
それが正解であろうし、岡倉天心は生涯をかけてそのことを貫いたからこそ、時代を超えて尊敬される人物となっているのではないかと、ボクは思っています。

岡倉天心は、大正2(1913)年、新潟県赤倉温泉の別荘で永眠されました。
同日、陛下は生前の天心の功績に、従四位、勲五等双光旭日章を贈られた。

天心の墓所は、いま、東京豊島区駒込の染井墓地と、茨城県の五浦にあります。

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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
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執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
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日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
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