首都圏外郭放水路

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首都圏外郭放水路-1


上の写真、何の写真だと思われますか?
宇宙ステーション、映画「指輪物語」のスタジオセット、機動戦隊ゴレンジャーの秘密基地・・・

実はこの写真は、関東の地下にある巨大調圧水槽です。
はんぱな大きさではありません。
幅78メートル、長さ177メートル、高さは18メートル、サッカースタジアムがまるごと一個、すっぽりはいる大きさです。

内部はまるで、秘密の地下パルテノン神殿のようです。
写真に写っている柱は、1本が奥行7メートル、幅2メートル、重さは約500トン。
このような巨大な柱が、この水槽には59本も立っています。

この巨大水槽は、首都圏外郭放水路とよばれる地下巨大設備の一部です。


首都圏外郭放水路は、平成18(2006)年に完成した施設で、そのスケールはまさにギネス級です。
洪水を取り込む杭(くい)は、直径が30メートル、深さは70メートルに達し、そんな巨大な杭(くい)が、5本、
地下50メートルのところを横に伸びる地底トンネルは、直径10メートル、全長6.3キロの巨大トンネル、
冒頭の重量500トンの柱がそびえるマンモス水槽・・・

集めた水は、最後には地下から汲み上げて、江戸川に排水するのですが、そのエンジンの出力は、1万4000馬力、なんと25メートルプールいっぱい分の水を、たった1秒で排水してしまうという、すごいものです。
すべてがギネス級の世界最大級の地下放水路なのです。

設置されているのは、埼玉県春日部市の国道16号線の地下、深度50メートルのところです。
このあたり一帯は、もともと荒川と利根川にはさまれていて、薄いお皿のように土地が低くなっているところです。

埼玉県東部の地形-1


下の図は、関東地方の貝塚の分布とそれから推定した縄文時代の海岸線ですが、図の赤い四角のあたりです。
このあたりが、当時の陸と陸に挟まれた隘路となっていたことがおわかりいただけようかと思います。
こうした地形から、このあたり一帯は、昔から大雨のたびに水が出るところでした。

関東地方の貝塚の分布とそれから推定した当時の海岸線
関東地方の貝塚の分布とそれから推定した当時の海岸線


越谷市には、下間久里(しもまくり)、上間久里(かみまくり)という地名がありますが、これは大雨が降ったときに、着物の裾を膝の下までまくらなきゃいけなかったところが下間久里、モモのあたりまでまくらなきゃいけなかったあたりが、上間久里と名前がついたものです。

関東地方の開拓は、はじめ平安時代に新田の開発が行われはじめたのですが、それでも戦国時代くらいまでは、広大な沼地となっていました。
この耕地化が進んだのは、徳川さんが江戸に城を構えるようになってからのことです。

徳川家康は、まだ政権が豊臣方にある時代から、江戸の治水事業に本格的に乗り出し、まず◯◯堀と呼ばれる排水路を数多く開削し、それと同時に農民の移住と定着を進めました。
この江戸時代の治水方式は、中心となる農地や村落を守るために、上流に、大遊水池を設け、大雨が降った時は、その遊水池一帯が被害を被ることで、逆に村落や江戸市中を守るというものでした。
水がいっきに流れてくれないというのなら、どこかに水を逃がして、そこに貯めるしかないわけですから、ある意味、これはたいへんに理にかなったやり方です。

ところが、江戸期に3000万人くらいだった日本の人口は、明治にかけて爆発的に増加していきました。
このため、かつて遊水地であったところも農地として開墾され、それだけでなく人が住むようにさえなったのです。
もともと水が出るところなのです。
だからそこらあたり一帯を非常時の遊水池にしていたのです。

あくまでも非常時用ですから、通常は水は出ていません。
普通の土地です。
だからそこに田ができる。人が住む。

農地なら、まだいいのです。
土地自体に貯水能力があるからです。
けれど宅地にされてしまったら、貯水能力さえも失われる。
その結果、埼玉県東部は、大雨のたびに水没する、ひどい状態となったのです。

下の写真は、水屋(みずや)といって、当時の各農家などが、大雨時に避難するために自分の屋敷の土地内に作った避難施設です。
写真で、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、地上150センチくらいまで、石組みで土台が作られていて、がっしりとした丈夫な二階建ての家が、その上に建てられています。
こうした避難用の建物が、つい最近まで使われていたのです。

水屋
水屋


こうした事態は、なにも埼玉県東部に限ったことではありません。
全国各地に、同様の問題は起こりました。

そこで考案されたのが、放水路です。
大雨のときに、雨水をまとめて、どこかの川に流すのです。

こうしてできたのが、北海道ならいまの新釧路川は、もともと放水路として作られた者ですし、東北では新北上川、東京の荒川放水路、名古屋の庄内川放水路、関西の新淀川、広島の太田川放水路などです。
他にも日本中にたくさんの放水路があります。

これらは地上にできた人工の川です。
ところが埼玉県東部で起きた問題は、すでに宅地化が進み、いまさら用地の買収をするとなると、その費用が巨額になり、しかも地権者との交渉のために、どれだけの期間がかかるかわからない、という問題でした。

けれど水害被害は、待ってくれません。
そこで考案されたのが、地下に世界最大の巨大放水路を造るというものだったのです。

それにしても、ジャンボジェット機のエンジンを応用した「1万4000馬力のタービン」って。。。
す、すごい!!

ちなみに、この施設、見学会も行われています。
個人でも、団体でもOK。
見学会参加は、無料です。
ただし、圧巻の「調圧水槽見学」は、階段約100段を自力で往復歩行できる方に限るとか。

よろしかったら、お子様やお孫さん連れで、見学にいかれてはいかが?

◆国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所
首都圏外郭放水路ホームページ
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html


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首都圏外郭放水路 - Japan's Exterior Super Drain in the Capital Region


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コメント

古希のネトウヨ

大深度地下は地震にも強いと聞きました。
だから あの時も地下鉄は大丈夫だったと。
原発も大深度地下に作れば、地震でも大丈夫と言うことにはなりませんかね。
 日本の国土は 太古より木を植え 水路を造り 山を削り 海を埋めて国土を作ってきたのだと思います。
この営みをやめたら 自転車が倒れるように 日本も終わりなのです。 公共事業はやり続けなければならないのです。
ボーイスカウトが野営をするときは、最後の撤収の号令がかかるまで 野営地の造営改善をし続けます。
 経済的理由で 国土の弛まない改善を怠ることは許されない。 利益優先のキムチ頭に汚染されると、防潮堤の予算をケチって想定外なんて言わねばならなくなる。
 日本の 土建技術は世界に冠たるものではあるが、その経営層を日本に取り戻さねば、たててる最中に倒壊するどこかのビル工事を笑えなくなる。
 良いものを作る。笑われないものを作る。
そんな心意気で作るのが日本人のやり方。
 金儲けのためにする 損しないようにごまかしてやったふりをするのが、シナチョン流

 先の天井版崩落事故の時かっての日本では考えられないことが起こったと言う感想を持った。
我が国の 上から下まで隅々に巣くってしまった あの忌まわしい病原菌を何とか駆除除鮮しなければと焦る。

ポッポ

この放水路、最近テレビでよく紹介されていますが、さすがに大きいですね。
考えてみれば、元々の雨水対策は、1時間あたり50ミリメートルに耐えられれば良いとの考えからです。しかし、最近の集中豪雨はそれ以上の場合もあるわけで、結果としてこんなに大きいのが必要になったのだと思います。

また、水屋が凄いと思いました。昔、川が決壊したところなどには、軒先に船を吊っていた家が見受けられましたが、今では洪水がなくなって船もなくなっています。


ところで、アメリカを習近平氏が訪問しました。
40年ほど前に、時の大統領のニクソンがピンポン外交で、中国へ行ったのが、今の経済大国である中国を作ったといえると思いますが、今の軍事大国の中国を見たら、ニクソンはピンポン外交は良かったといえるのでしょうか?

アメリカの政治家を思い浮かべていたら、余分なことも思い出しました。
民主党・元首相の菅直人の妻(伸子氏)は、日本のヒラリー・クリントンなどと自称していましたが、今度の参議院選挙に出るのでしょうか?
ヒラリークリントン氏は夫君が大統領を退いたとき、上院議員の選挙に出馬しました。そして、その後に国務長官に就かれたのです。
菅伸子氏は夫君が首相になったからと、浮かれて日本のヒラリーと口走ったならばともかく、日本のマスコミの前でこのことを話しています。
言ったなら、出馬すべきです。・・・・・・もっとも、当選するようなら日本の世も末ですけれど・・・・・

貼り付け

正直言って、 キリスト教 が爆発的に伸びた時というのは、「絶対権力者が改宗した時」なんです(クリスチャン首相はこれまでも居ましたが「絶対権力者」ではありませんでした)。ローマ帝国での成功にしても、果たしてどこまで成功一色だったかどうか。

なぜ4世紀に金口イオアンとかエルサレムの聖キリル(キリロス)とか、説教の名手としての聖人が輩出しているかと言えば、 ローマ帝国 で キリスト教 が国教化され、猫も杓子も信者という事態に、迫害下の熱心な信者相手には不必要だった初歩的な信仰教育が必要になっていたからです

金口イオアン の説教やエルサレムの聖キリルの説教とか読むと興味深い。不熱心な信者に対する叱責と、初歩的な内容の説教の数々。

「解り易い」+「厳しい」。「熱心な信者達によって草の根からローマ帝国が染め上げられた」わけでは無かった事が判ります

絶対権力者も改宗していない状態で、1%まで信者数を持って行って、それなりの影響力を学校教育を通じて及ぼしているのは、楽観と怠惰は禁物ですが、数字・比率について言えば、これは悲観絶望するほどの現状ではありません。

某出鱈目本のように400年を「しばらくして」と乱暴にまとめるのではなく、やはり100年単位くらいでは年代把握をしておいて、歴史に示された救いのプロセスを知っておくことは大事です。怠惰は罪ですが、絶望や諦めもまた罪です。

気長に希望をもってやろうではありませんか

団塊の世代の後輩

以前にもコメントしましたが、この発想は私の亡き伯父夫婦が住んでいた大阪市港区の地下巨大プールと同じですね、これらの建造には莫大な費用がかかります、大阪、東京規模の都市でなければ財政的に不可能・・よって平成の大合併で無理やり赤字町村を固めた吹けば飛ぶような私の住まう“市”にとっては高根の花・・困ったものです・・それでも公の発想の皆無なシナ&南北朝鮮よりは幸せといわねばなりませんね。やれやれ・・

-

ネットでよく画像を見かけるので存在は知っていましたが、ちゃんとまとめられてみるとものすごい施設なんですね。

1秒で25Mプール排水とか思わず目を疑ってしまいました。
これは是非一度見学してみたいものです。

ひがしかん

久しぶりの投稿になります。
更新お疲れ様です。

最初の写真には見覚えがありますね。
平成仮面ライダーシリーズでは有名なロケ地としても何度か使われている場所で、私の知る限りでは2009年「仮面ライダーディケイド」では戦いで柱を壊されまくってました(もちろん、コンピュータグラフィックスによる演出で実際に壊したわけではありませんがw)。
建設の途中で大雨に見舞われ、重機が台無しになるのを覚悟で水を引き入れて23区が洪水被害に遭うのを未然に防いだ、という話も聞いております。
ただ、排水用の大型ポンプまで設置されているとは知りませんでした。

こういう地道な努力を無視して、公共事業を悪し様に扱う人達が呆れるほどいるのが信じられません。
我々は護られている。
しっかり心に留めておきたいと思います。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
『誰も言わない ねずさんの世界一誇れる国 日本』
最新刊
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』

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