ロシア製原子力潜水艦の事故を考える



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11月8日、日本海でロシアのアクラ級原子力潜水艦「Nerpa」が事故を起こし20名が死亡したと伝えられました。

事故の詳細は不明ですが、このことの意味を少しだけ考えてみたいと思います。

<記事引用>---------------------
2008年11月09日20時33分 / 提供:毎日新聞
ロシア原潜で事故、20人死亡=日本海航行中、放射能漏れなし 11月9日21時0分配信 時事通信

9日のタス通信などによると、日本海を航行していたロシア太平洋艦隊の原子力潜水艦で8日、消火装置が誤って作動し、乗組員ら20人が死亡、21人が負傷した。艦体に損傷はなく、原子炉も正常に作動しており、放射能漏れは起きていないという。
事故はセルジュコフ国防相によってメドベージェフ大統領に報告され、大統領はチャイカ最高検察庁長官に事故原因の捜査を命じた。
海軍当局者によれば、原潜は自力で航行し、9日に極東・沿海地方の港に入った。原潜の艦名・型式は明らかにされていないが、ロシア通信は、事故を起こしたのは日本海のロシア領海内で試験航海をしていたアクラII級原潜「ネルパ」だと伝えた。
事故当時、原潜には軍人81人と造船企業の関係者ら計208人が乗っていた。最高検察庁当局者は、死者のうち3人が軍人、17人が民間人で、化学消火装置のフロンガスを吸ったことが死因とみられると述べた。負傷した21人は軽・中程度の中毒症状で生命に危険はないという。 
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アクラ級原子力潜水艦というのは、ロシアの「攻撃型原子力潜水艦」です。

今回事故を起こした潜水艦は、アクラII級と呼ばれているもので、この船は、旧ソ連時代に8隻が起工され、うち5隻をロシア艦隊が使用。残りの3隻は、長く放置されいました。

今回事故を起こしたのは、この、放置されていた3隻のうちの一隻の「Nerpa(アザラシ)」。

放置されていた原潜が、なぜ息を吹き返したかというと、2007年に、放置3隻のうちの2隻をインドが7億ドルで10年間リースしてもらうという話になったから。

約300名のインドの乗組員候補がサンクトペテロブルグ近くの施設で訓練を受けているのだそうです(ちなみに2隻目の就役は2010年になると見込み)。

したがって、今回の事故は、発表の通り訓練中の事故であろうと思われます。

本来、原子力潜水艦というのは、原子力技術を持つ国でしか製造できません。
ですから保有国は限られ、2008年現在、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5ヶ国のみ保有が確認されています。

ところが、こうしたリースがはじまると、支払い能力のある国ならば、どこの国でも原潜を持つことが持つことができるようになる。これはたいへんなことです。

なぜたいへんかというと、原子力潜水艦というのは、通常型潜水艦のような航続距離の制約や頻繁な燃料補給の手間がなく、艦内の人員に必要な酸素も豊富な電力で海水から電気分解によって作り出す。二酸化炭素も化学的に吸着除去してしまいます。

だから、数ヶ月間も浮上の必要が無い。

もっとも乗組員の心理的な影響や新鮮な食料の補給、艦外からの整備などが必要なので、実際には長くても2ヶ月程度の連続潜航しか行わないそうですが。。。
しかし2か月あったら、まったく誰にも見つからずに世界中どこにでも出没することができるというのが原潜の特徴です。

原子力潜水艦には、攻撃型と、戦略ミサイル型の2種類があります。

戦略ミサイル型潜水艦は、敵国にこっそり近づき、弾道ミサイルや核ミサイルを敵国に打ち込むためのものです。最大の脅威です。ただし、構造的に動きが遅い。

これを護衛・捜索・追尾・攻撃する役割を負ったものが、攻撃型原子力潜水艦です。こちらは動きが早い。

原子力潜水艦というのは、とにかく怖い戦力で、とにかく至近距離までこっそり近づいてきてミサイルを打ち込む。ですから日本とおなじく海洋に囲まれたインドが、攻撃型原潜を保有するというのは、自国を核攻撃から守るという必要からのものということができます。

こうした背景を考えると、通常なら絶対発表しない原潜事故について、ロシア政府から公式の発表があったということは、要するに乗員にインド海軍の兵士や技術者たちも乗っていて、事実を隠ぺいすることができなかったから、と考えることができそうです。

ただ日本海は、中国原潜がうろちょろしているエリア。中国船と遭遇によって発生した事故というシナリオは、あまり想像したくありません;;;

中国といえば、先日、中国原潜が高知県沖に出没したというニュースが報道されました。
そのときの原潜のゆるゆるとした動きから、発見された原潜はミサイル型原潜であるとみられています。

ミサイル型原潜が高知沖に現れたというのは、豊後水道の閉鎖・・・つまり呉にある海上自衛隊の支援出動を無力化するという戦略上の目的を持ったものということで、国防上は重大な意味を持ちます。

インドは、非核非暴力を唱えるガンジー主義の国です。そのインドですら国防には、それなりのカネを叡智をかける。

現実に中国という脅威を持つ日本も、ただ平和主義を唱えるだけでなく、しっかりと自国の安全を守り、そのうえで世界に向けて日本の平和主義を提唱すべきだと思ったりします。

ところで、ここでいっきに話は飛ぶのですが、今回事故を起こした原潜は、自動車で言ったら、すでに10年落ちの車。トヨタクラウンなら、いまどきタクシーですらあまり見かけなくなった古い型です。
最新式で開発途上にあるのがスーパーキャビテーション技術を応用した船は、これは水中巡航速度がマッハ4以上。いまのところ、魚雷にしか装備は研究されていないようですが、海運造船の分野で、そうした最先端技術に最も強いのが日本。

日本、まだまだおそるべし!なのかもですね。

もうひとつオマケ^^

ミサイル型原潜というのは、実はめちゃめちゃ脅威で、なにせ至近距離まで近づいて核や弾道ミサイルをズドンとやる。

ほんとうにコワイ存在です。ただ、従来型のミサイル原潜は、弾道弾を搭載するために、非常に型が大きく、スピードも遅かった。

そこに、動きの速い攻撃型原潜の出番があったのですが、最近の新鋭ミサイル原潜は、攻撃型原潜より速度が速い。

さらにこれを上回る潜水艦が、スーパーキャビテーション原潜(開発中)で、こうなると戦闘機なみのスピードで海中を航行する。たいへんな時代になったものです。

スーパーキャビテーション型のものが開発されると、動きの遅いミサイル型原潜は、発見直後、目的地に到着する前に、無力化されてしまう。

それなら、何百キロも離れたところから大陸間弾道弾を打てば良いのでは?となりますが、これも最新技術では、ミサイル発射と同時に衛星追尾され、迎撃ミサイルによって簡単に撃ち落とされてしまう(開発中)。

なにを言いたいのかといいますと、これまで、人類の歴史上、常に科学は戦争に勝利するために発達してきた。兵器は、より高い攻撃力を得るために開発されてきた。

それが昨今では、迎撃システムによって「高い攻撃力をもった兵器を事実上無力化する」ために科学技術が進歩しはじめた。

そしてその最先端にいるのが、実は、日本の技術であるということです。

日本の最先端技術は、兵器を事実上無力化するためにどんどん進化している。このことは、わたしたち日本人が誇りに思ってよいことなのではないかと思います。

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国籍不明潜水艦による領海侵犯と海上警備行動の実情


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小名木善行事務所 所長
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