昨年は「乙未の年」でした。
「乙」が、完全に完璧に成長する一歩手前の状態を表す字です。
ですから乙に女で「乙女(をとめ)」になるし、乙に姫なら「乙姫」です。
「未」は、梢の若芽の象形で、和語では「いまだ」です。
つまり「乙未の年」は、まさに一歩手前の若芽が芽吹く年でした。
昨年の最大のエポックは、4月29日の安倍総理の米議会での演説です。
4月29日は昭和天皇ご生誕の日であり、サンフランシスコ講和条約発効の日でもあります。
その日に米議会で、日本は「第二次世界大戦の敗国という立場」から、「冷戦を米国と共に戦い勝利した西側の大国」という地位に大転換しました。
このことのもたらした意味は、計り知れないほど大きなものです。
日本は、敗戦国、国連の敵国、悪魔の国という国際秩序上の地位から、世界の大国であり、世界の同志であり、世界の牽引役という立場に転換したのです。
これは簡単に言ったら
「敵国から大国へ」と変化したことを意味します。
本来なら、日本のメディアも言論人も、
「もはや戦後の少国意識、敗戦国意識ではいけない。大国として世界を堂々とリードする国家として、国民として大きな意識改革を必要とすべき」と国民にその意義を説明し啓蒙しなければならなかったはずですが、残念ながらメディアも言論人も、「敗戦国であり小国であり、その小国の中の小さなメディアなのだから、何を言っても許される」という、一言で言うなら負け犬根性、ヒガミ根性のまま、何も進歩していません。残念なことです。
もうひとつ、昨年末に行われた日韓外相会談については、保守派のなかでも意見が分かれていますが、慰安婦について、明確に「彼女たちはカネ目当ての追軍売春婦であった」という発表ではなかったことが不満であることは間違いのないことです。私もそのように思います。
けれど外相会談は、歴史の発表会ではなく、政治声明です。
これまで日本国政府が支那や韓国にお金を渡す際には、すべて秘密というわけではありませんが、いくら渡したのか、国際的にはよくわからないカタチで行われていました。
つまり世界は、日本が韓国にいくら渡したのか誰も知らない。
韓国人に至っては、日本からなど韓国は1円たりとももらっていないと、誰もが思っています。
ところが今回の外相記者会見では、堂々と10億円という金額が公表されました。
つまり韓国民ならず、世界中の人が日本が韓国に10億円渡すと知ったわけです。
すると、その10億がどのように使われるかが、韓国内を含めて、そのお金が世界中の監視下に置かれるわけです。
日本政府は、このお金をいつ払うかについて明言していません。
つまり韓国側が慰安婦像撤去を行わない、国際社会で再び慰安婦云々と騒ぐようなら、それは約束違反ですから、日本は支払いに応じる必要がないことにもなります。
おそらく韓国内では、目の前にぶら下げられた10億円について、受け取ることにさえ反対する者、我こそはもらわんとする者でごった返して、たいへんな騒ぎになるものと思います。
韓国政府は、ガラス張りの公明正大さをもって10億円の配分を決めなければなりません。
しかしお金というものは、どのように配分したとしても、からなず不満が出るものです。
一方、慰安婦像の撤去をしなければお金を振り込んでもらえない。
まさに王手飛車角取り、チェスならチェックメイト、というのが今回の外交です。
歴史的には不満はありますが、政治的には、実に見事な手腕だと思います。
この動きも、実は4月29日以降、日本が第二次世界大戦の「敗戦国」(ちなみに韓国は戦勝国を自称しています)という立場から、冷戦時代の戦勝国という立場に、日米合意の上で、大きく舵が切られたことに由来します。
繰り返しになりますが、昨年5月以降の日本の立場は、世界の敵、世界を相手にした敗戦国ではなく、いまや押しも押されぬ戦勝国の、それもきわめて重要なポジションにある「大国」という位置づけに変わっているのです。
集団的自衛権も、この延長線上にあります。
日本は、これから「大国」としての権限を得るとともに、これからは世界の中でその義務を果たしていかなければならないことになります。
そういう意味で昨年の「乙未の年」は、まさに新時代の世界新秩序に向けて「若芽が芽吹」いた年となりました。
このように書くと、「そうは言っても昨年の衆院選で次世代の党(現:日本のこころを大切にする党)が大敗北を喫したではないか」と言われるかもしれません。
けれど長い目で見れば、もし昨年の選挙で右派が大勝利、大躍進していれば、世界は日本の右傾化を逆の意味で「警戒」します。
その意味では、日本の地位と立場が「芽吹く」段階では、それは必要な「神はかり」であったかもしれません。
逆に、新時代のムーブメントを受けて、メディアの情況が変化すれば、先々は「日本のこころを大切にする党」は、間違いなく大躍進することになります。
それが時代の流れというものです。
さて今年は「丙申の年(ひのえさるのとし)」です。
冒頭申し上げた通り、「丙」は、しっかりとした台座、「申」は棒に糸が巻き付いて太くなるさまです。
つまり、昨年始まった新しい時代の息吹が、今年はしっかりとした台座にすわり、棒に糸が巻きつくように、それがものすごい勢いで強く太くなっていく年ということになります。
ちなみに60年前の「丙申」は、昭和31年ですけれど、この年には自動車保険の自賠責法が施行され、日本のモータリゼーションの幕開けとなりました。
また週刊新潮が発売され、NHKが九州、北海道で初のテレビ放送を開始、また石原慎太郎の小説「太陽の季節」が映画化され、石原裕次郎がデビュー、いわゆる享楽的で無秩序な若者たちが「太陽族」と呼ばれ、後年、享楽性と無秩序がまるで若者たちの常識的特権のようなカタチに育っていきました。
また横浜、名古屋、京都、大阪、神戸が初の政令指定都市になりました。
こう聞くと、スルリと読み飛ばしてしそうですが、実は重大問題が内包されています。
他の都市に混じって「京都」が、ただの政令指定都市にされていることです。
もともと「都」というのは、天皇の御在所を意味する言葉です。
明治に入って、天皇の御在所は江戸に移り、これによって江戸が「東の都」として「東京」となりました。
けれど京都も「都(みやこ)」が付いたままになっています。
なぜ京都と東京と、都(みやこ)という字が二箇所で使われているかというと、実は東京は「都」を移し替える「遷都」ではなく、「奠都(てんと)」だからです。
「奠都」というのは、新しく都の場所を定めることで、移し替えることとは違います。
ですから京の都も、東の都も、どちらも「都」です。
「奠都」だからです。
つまり日本は、本当は、首都が京都と東京の二箇所あるのです。
このことは平成28年の今日においても変更されていません。
とろが昭和31年の政令指定は、京の都を、ただの「政令都市」にしてしまったわけです。
その意味では、我が国における天皇おとしめ大作戦の、これは一環であり、以後ずっと、日本はすでにその4年前の昭和27年に占領統治が終わっていたにもかかわらず、天皇をないがしろにし、我が国国体を否定する統治が、その後60年間、ずっと行われ続けてきたわけです。
実になさけない話です。
また60年前は、日本初のスーパーが登場しています。
これにより、それまでの商業流通が、都市部の百貨店と、近隣型商店街というカタチから、郊外型の大型安売りスーパーへシフトするという動きが始まっています。
日本が国連に加盟したのも、ちょうど60年前です。
こうしてみると、この「丙申の年」というのが、次の60年を形作る大きな節目となっていることにお気づきいただけようかと思います。
そこで、干支と時代の動きを、もうすこし遡って概略してみたいと思います。
「壬辰の年」
平成24年、昭和27年
稔りのために新しいことが始まり、それが膨らんで行く年
・壬(じん)は糸巻きの棒に糸が巻き付いて膨らむ意
(膨らむので「壬」に女偏をつけると妊娠の「妊」の字になります)
・辰(しん、たつ)は古代の農機具の二枚貝の貝殻。
(農機具である「辰」に「曲」が乗ると「農」になります)
昭和27年 サンフランシスコ講和条約発効
平成24年 民主党が歴史的大敗北をして安倍内閣誕生。
「癸巳の年」
平成25年、昭和28年
長く降り続いた雨が止み、霧が晴れる年
・「癸(き)」は股の間からしずくが滴っている字
・「已(い)」は「止む」の別字
昭和28年 NHKのテレビ放送のはじまり。
平成25年 国会ではじめて慰安婦や南京問題が議題に。
「甲午の年」
平成26年、昭和29年
状態が大きく変化する年
・「甲(こう)」は、果実が成熟して固まる意。
・「午(うま)」は、境目。(例:正午)
昭和29年 マリリンモンローが大ブレイク。心より肉体の時代に。
平成26年 韓流ドラマなどのいかがわしさが世間に広まる。
「乙未の年」
平成27年、昭和30年
若芽が芽吹く年
・「乙」は、完全に完璧に成長する一歩手前の状態
・「未」は、梢の若芽の象形で、和語では「いまだ」
昭和30年 ワルシャワ条約機構結成、冷戦激化
平成27年 安倍首相、冷戦に終止符
いかがでしょうか。
まるで干支そのものと時代の流れが一致してはいませんでしょうか。
もうすこしわかりやすくしますと、以下のようになります。
壬辰の年(2012)妊娠
癸巳の年(2013)お腹の赤ちゃんが成長
甲午の年(2014)赤ちゃん誕生
乙未の年(2015)1歳児 ハイハイ、つかまり立ち。おむつがとれる。
丙申の年(2016)2歳児 自分で歩き、言葉を話す。
こうした干支というのは、紀元前10世紀に滅んだ殷代の支那で考案された年の数え方で、
「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の十干(じゅっかん)と、
「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の十二支(じゅうにし)
の二つの組み合わせでできています。
この組み合わせは全部で60通りとなり、60年で一巡するので、これを暦が還るで「還暦」といいます。
60歳のお誕生日を還暦のお祝いというのも、ここからきています。
干支の流れからすると、これまでの60年間支配的だった物質重視、経済重視、精神性否定という大きな流れは、60歳の定年を向かえ、第一線を退き、これから高齢化を向かえて最後は死に至ります。
一方、新時代の幕開けは、去年はまだオムツが取れ、ようやくハイハイからつかまり立ちができ、泣くこと以外に自己アピールができなかった赤ちゃんが、今年は二歳児となり、ガンガン言葉もしゃべるようになるわけです。
つまり、本来の日本という国の国柄や精神性が、いよいよ世間に向けて言葉をもって発信できるようになっていくということです。
ちなみに昔『子連れ狼』に出てきた大五郎は、設定では三歳ということになっていました。
昔の三歳ですから、これは数え年の三歳です。
いまなら、2歳児です。
2歳児というのは、運動能力が飛躍的に発達し、走る、飛び降りる、手を使わずに階段を上り降りする、両足で跳ねる、ボールを蹴る、つま先で立つなど、足を使った運動能力が目立ってくるとともに、「言葉の爆発期」と言われるほどに、たくさんの言葉をしゃべるようになる頃でもあります。
そして大人とほとんど同じぐらいに情緒が発達してくるのもこの頃です。
日本の精神文化の再生が、この2歳児になるということは、日本の精神文化に関する情報の発信速度が、ものすごい勢いで進むということでもあります。
また、これまでの保守系の様々な活動が、国政の表舞台に登場してくる時期にもなります。
もちろん前の60年に首までどっぷりと浸かっていた大人たちからみれば、まだまだそれは赤ちゃんの動きにしか見えないかもしれませんが、けれど時代は完全に、新時代に入っているのです。
さらに・・・まあ元旦から来年の話をすると笑われそうですが、来年は干支で言ったら、三歳児です。
三歳児は、ものすごい勢いで言葉を覚え、知識を増やします。
そして、この三歳児までに形成される「土台作り」が、その後の一生、つまり60年を左右します。
つまり今年から来年にかけての日本は、日本を取り戻すための、ものすごく大切な「土台作り」の時期にあたるのです。
思い返せば、これまの60年は、戦後に焼け野原となった日本が、主に物質的な面で再生する60年でした。
そして壬辰の年から芽吹いた新たな60年は、日本の精神性が取り戻される新しい60年となるものと思います。
そして今年は、その息吹が、明確に、そしてはっきりと形作られる一年となっていくものと思います。
日本人がいよいよ日本人としての大切なこころを取り戻す一年です。
それは、古くて新しい日本の復活に向けての、大きな一歩です。
今年日本は変わります!
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コメント
ムーミン親父
謹んで 新年のお慶びを 申し上げます
私「のせ かおる」は、今年で50歳でありますが、周囲の若い職場の上司の方々からは、「世間知らず」だの「一般常識がない」と馬鹿にされ、悔しい思いをしております。
しかし それは事実であり、本当の事です。
そこで・・
先人の知恵を授かろうと、3年前から「ねずさんのブログ」で勉強させて頂いております。
「百人一首」にこめられた、本当の気持ちなど、本当の気持ちが汲み取れる人間に成りたくおもいます。
ねず先生 本年も宜しくお願いします
能勢 馨 机下
2016/01/02 URL 編集
渡辺
昨年は期待が確信に変わった年でした。ねず先生の『百人一首』にも勇気づけられました。今年も学ばせていただきます。
2016/01/01 URL 編集
-
毎回ねず様の解説を拝見していて、反日自虐的史観を排して、国の一員として貢献できることを大事にしたいと思います。
万歳!
2016/01/01 URL 編集
物申すTV
ねずさん、コメ欄の皆様が、本年も健康であります様に。
去年反省すべきは自分の子供らしさ。
それ故嫌な出来事もありました。
今年はご教授の、
ドカっと座り糸を巻く、で行ってみようかと。
個人的には巳年なので巻かれるのはちょっとw
2016/01/01 URL 編集
ポッポ
本年も、よろしくお願いいたします。
昨年4月に、安倍首相はアメリカ議会で演説され、議会からは称賛を得ることができました。
また8月に、安倍首相は70年談話を発表されました。
そして12月に、安倍内閣は慰安婦問題について日韓合意とすることで、不可逆なものとされました。
当初は、そのどれもが国民にとって不安を覚えたものですが、蓋を開けてみれば、国民が待ち望んでいた結果を導くものでした。
今年を日本国民にとって総仕上げの年にするべく、頑張っていただきたいと思いますし、愛国者はその応援をしなければならないと思います。
2016/01/01 URL 編集
敦子
新年明けましておめでとうございます。
天皇陛下万歳!
皇紀2676年(平成28年)1月1日
2016/01/01 URL 編集
紫陽花
この数年、日本はもがきながらも常に強運に守られてきたように思えて仕方ありません。
年末の韓国との事でも、何故か動揺せずに居られたのもそのような積み重ねの連続の時期だったからかも知れません。
勿論油断はしておりません(笑)ですが、着々と世界が日本に味方してくれているように感じます。
それは矢張り、先人達の誠の賜物であり、理不尽に泣かされても、いつか子孫が報われるときが来るとくいしばってこられた報いを私たちが受け取っているのかも知れないとも感じられました。
そして、今この自由な世界で私たちが先人へ恩返し出来るとするならば、是までの先人への誤解を世界に紐とき、この美しき大和魂を広め平和を保つ努力の姿勢が世界のお手本となる国に成長することかも知れません。
その為に正しく日本を知ることが今の日本人の努めと思っております。
ねず先生からご教授頂いた事をしっかり受け取り、私も子孫へ残して行けるように、精進致します。
2016/01/01 URL 編集
しんざんもの
昨年こちらを知りました。
目からウロコの解説で、マスメディアがなんか違うと感じ謎だった世の中のことが、すっきりはっきりわかりました。
特に年末の隣国との件、うっかり分断作戦に流されるところでした。
今年は日本のあるべき道に私もついて行けるよう猿田彦神と、正しい皆様のブログを拝読させていただきます。
2016/01/01 URL 編集
bou
ねずさんの言葉のように
今年、日本がさらなる発展をとげることを
お祈りいたします。
良き年になるように頑張りましょう。
2016/01/01 URL 編集
junn
2016/01/01 URL 編集
junn
日本人として語り伝えたいお話を集めました。
1月1日 四方拝
http://homepage1.nifty.com/KONDO/kataritugu/0101sihouhai.htm
2016/01/01 URL 編集