日本が世界最古の国家である理由



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20160316 朝日


「イズム」というのは、主義のことです。
民主主義とか、自由主義、資本主義、共産主義、社会主義、個人主義、全体主義、民族主義、国家主義等々、世界にはたくさんの主義があって、その主義毎に、国や民族や団体や個人までもが互いに対立し、闘争し、争っています。

先日、倭塾にお越しいただいた中山恭子先生(参議院議員・日本の心をたいせつにする党代表)が、なぜこの党名にしたのか、というお話の中で、次のようにおっしゃっていました。
「政界にいますと、さまざまなイズムが互いに対立しあっています。私は、そういうイズムよりも、日本人として、もっと大切なものがある、それが日本の心であると、かねがね思っていました」
私もまったく同感です。

18世紀末の市民革命以降、世界には様々なイズムが登場しました。
そしていま、世界において正義とされているのは、アメリカ的イズム、つまり自由と民主主義です。
けれど民主主義もよく見れば、選挙によって選ばれた国民の代表が議論し、多数決によって物事が決まります。
ですから、たとえば議員が100人いれば、51票取った側が勝ちで、49票の意見は無視されるか、もしくは最終的には弾圧されるわけです。



国家というのは法人ですので、会社にたとえることができます。
会社の経営では、社員全員の反対を社長が押し切ることで社が発展するということがよくあります。
同様に社員の多くの意見を尊重することで、会社が苦境に立つこともあります。
もちろん、その逆のケースもありますが、はっきりといえることは、その場の雰囲気や時代の動向だけでは、法人は生き残れないということです。

そもそも国家が何のためにあるかといえば、国民が集団として豊かに安心して安全に暮らせるためです。
ところが「イズム」によって、常に内部に対立や闘争があれば、いずれ内部崩壊を招いて抜き差しならない状況が生まれ、結果は腕尽くで、つまりドンパチで決着をつけなければならなくなり、敗れれば国家は崩壊します。

共産主義などはその典型で、国民の誰もが平等に平和に暮らすのだという能書きを垂れながら、実は、共産主義の幹部が王侯貴族のような贅沢三昧の暮らしをします。
ブルジョアを否定しながら、否定の頂点にある人がブルジョア以上のブルジョアになるのですから、内部に常に対立と粛清がつきまといます。
それが国家国民にとって、みんなが豊かに安全に安心して暮らせる世の中を築くかといえば、あきらかに疑問です。

民主主義や自由主義も同じです。
民衆の意見を尊重し、民衆の自由を保障すると言いながら、民衆の意見は多種多様ですから常に内部に対立や軋轢を生じ、自由は放縦となって、自己中によって引き起こされる不快によって民衆が迷惑を被ります。

国家主義は国家によって民衆が踏みつけられ、個人主義は個人間の対立が狭蝿なす騒々しさを招きます。
結局「イズム」は、どのような理想を描いても、対立と闘争、そして内部崩壊と粛清といった不幸を招くことになるのです。

ところが日本では、はるか古代に、こうしたさまざまな「イズム」を、「ウシハク統治」と、バッサリ切り捨てています。
なぜ切り捨てるのかの理由も、明確にされています。

民衆の選挙(入れ札)によるものであれ、世襲であれ、任命であれ、いったん何者かが人の上に立つ存在になってしまえば、その人は、人を支配し私有する存在です。
つまり、上下関係が生まれ、上に立つ者が、下にいる多くの民衆を私的に支配し、収奪することになります。
そしてその都度、血が流されることになります。

また、民衆によって選ばれたリーダーであっても、そのリーダーが本当に民衆のためになるリーダーであるかは疑問です。
たとえば米国には大統領制がありますが、ルーズベルトは不戦を誓って大統領に就任していながら、第二次世界大戦に参戦して多くのアメリカ人の血を流し、日本を意図的に挑発して、日本と泥沼の戦いを引き起こし、さらにはソ連や中共といった出鱈目な国に力を付けさせてしまっています。
ウイルソン大統領は、人格者と言われていますが、世界に向けて民族自決を発表することで、世界中に民族対立の災難を招いています。

要するに政治権力者が、国家最高の権威者でもあった場合、民衆はその権力者に引きずられ、結果、からなず民衆に災難が訪れるのです。
なぜなら、上に立つ者にとっては、保身がなにより必要なことになるし、保身のためには兵や部下を養わなければならないし、そのためにはお金もかかるし、お金を調達するためには、民衆から収奪をしなければならなくなるからです。
このことは、王朝社会であっても、民主主義社会であっても、共産主義でも、実はまったく同じです。
国家最高の政治権力と、国家の最高権威の融合は、民衆に上下と支配と隷属の関係を招くからです。

つまり社会に、「上か下か」という二分しかなければ、上に立つ者は、どんなにがんばっても、ウシハク者になってしまうしかないのです。
ウシとは、主人のこと、ハクとは、私有化する、私物化することです。

世の中で、上に立つことができる人というのは、ほんの一握りです。
その他大勢は下、つまり支配される側です。
そして上に立つ者が、その他大勢を支配し、隷属させ、服従させ、収奪し、自己の利益を図るようになれば、社会は、常に上下と対立と闘争、そしてそのための暴力社会に陥るのは当然のことです。
そしてその都度、社会は革命と流血を求めることになります。

実に簡単な理屈です。
一部のウシハク者が、自分たちだけの豊かさと安全と安心を求めれば、他の多くの民衆は踏みつけられるのです。
すると踏みつけられた民衆は怒り、いつかそれが社会的ストレスとなって、民衆の蜂起となり、その都度、血が流されることになるのです。
そして政権が倒れ、蜂起した民衆の中の誰かが、(それが選挙で選ばれた人であれ、世襲であれ)上に立つウシハク者になれば、その者は自身の豊かさと安全と安心を求めるようになり、またしても民衆を踏みつけることになるのです。
世界史を見れば、人類社会はすくなくともこの2千年間、同じことの繰り返しをしています。

では、どうしたら良いのか。
この問に日本の古代の人々は、明確に答えています。
それが「シラス統治」です。

シラス統治は、国家最高権威と、政治権力を立て別けるという仕組みです。
そして最高政治権力者の上に、国家最高権威を置きます。
そして国家最高権威が、すべての民衆を「おおみたから」とします。
民衆は、全員が国家の最高権威の「おおみたから」と規程されます。
そして権力者は、選挙で選ばれた者であれ、世襲であれ、試験による任官であれ、すべて、その「おおみたから」のために奉仕する者と位置づけられます。

武士といえば、お殿様であるお大名がいて、その部下たちといったイメージを持つ方が多いかと思います。
大名というのは、「大名主」の略語です。
つまり、一定地域の土地の名主さんです。
そしてその名主さんの所領は、天子様の「おおみたから」です。
もちろん、そこに住む領民も、天子様の「おおみたから」です。
そしてその「おおみたから」のみんなが豊かに安全に安心して暮らせるようにしていくことが、大名主である大名の仕事です。
それが実現できなければ、大名家はお取り潰しとなり、大名は切腹させられます。

一方武士たちは、いわば公務員です。
大名の仕事を、それぞれの機構の中で分担して受け持ち、「おおみたから」である領土領民のために働きます。
そしてそれが日本的武士道であり、日本的忠義と規程されました。
これが「公(おおやけ)に尽くす」ということです。

その武士のトップが将軍です。
将軍は国家最高の政治権力者ですが、天子様によって任命される役職です。
つまり将軍は、国家最高権威である天子様の下位に位置づけられています。

つまり日本は、はるか上古の昔から、
「上下と支配という二元構造」を脱して、
「天皇、統治者、民衆という三者鼎立の社会構造」を築きあげてきたのです。
天皇、統治者、民衆が「皇臣民」です。

「皇臣民」という三者鼎立の国の形は、その意味するところを、きちんと誰もが理解することによって、国が成り立ちます。
そうでなければ、権力を持った臣が、民衆を再び平気で踏みつけることになるからです。
だからこそ、臣にも、民にも、そうならないための教養が必要になります。
それが「知」ということです。
そして「知」と書いて、これを「シラス」と読みます。

シラス国では、民衆は「おおみたから」です。
民衆だけではありません。万物が「おおみたから」です。
ですから臣にとっても、民にとっても、自己の支配下にあるすべては、天子様(皇)からの預かり物です。
他人のものなのですから、粗末に扱ってはなりません。
だから、民衆がたいせつされます。
だから、民衆も丁寧に作業をします。
だから、良い物が作れます。

民衆にとっても、自分の周囲にいる人はすべて「おおみたから」です。
ですから誰もが個人として尊重されます。
お互いが尊重されるから、日本は人と人とが、将軍と庶民は役職は違いますが、人としては対等です。

そういう仕組がちゃんと理解されていたからこそ、源頼朝は、当時最強の軍事力を持ちながら、あえて「将軍」という地位を選択したのです。
このことは徳川家康も同じです。
家康に至っては、その時代にあって世界一の大金持ちであり、世界一の強力な軍隊を持つ大名でした。
にもかかわらずChinaの歴代王朝のように皇帝となる道を選ばず、あえて天皇によって任命される将軍職を選んだのは、シラス統治がもたらす意味を、家康自身がきちんと理解していたからにほかなりません。

シラス、ウシハクは『古事記』に書いてあることです。
『古事記』は、1300年前の書ですが、シラス、ウシハクの仕組みができあがったのは、はるかずっと以前の神話の時代です。
それは初代神武天皇以前の時代の出来事です。

日本は、神武天皇の即位の2676年前よりも、もっとはるか上古の昔から、このシラス国つくりをしてきました。
そしてその日本の統治システムは、どうみても、西欧風の「イズム」とは一線を画す、すぐれたシステムです。
だから日本は、世界最古の国家としていまも続いているのです。


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コメント

大阪市民

更新ありがとうございます。
織田信長が明智光秀によって弑せられたのは最高権力だけでなく、天皇に代わって最高権威者になろうとしたからとも言われています。明智光秀は当時最高の文化人でもあったので古事記に精通していて、
シラス、ウシハクの違いも明確に分かっていたと思います。天命に従い信長を討ったのだと言えますね。明智光秀はその後、徳川家康の顧問である天海上人になったとも千利休なったとも言われています。あれほどの武将がいい易々と名もない農民に討たれるとは到底思えません。
シラスの最高権威である天皇や皇室に危機が訪れた時に、何処からともなく天命で動く者達が現れるのが日本です。現代も必ず
おられると信じています。

-

No title
その通りなんだけどね、今の政治家も経営者も、全部ウシハク。
誰が耳を貸すんだろう。
悲しいながら、ウシハクに支配されて苦しんでいる者しか、耳も目も向けないのが今。
ウシハクは民意など尊重しないからね。
この現実を変えるには、結局血を見るしかなかったのも歴史が証明しているのではなかろうか。
この現代に至っても、それは変えようが無いのかな。

junn

No title
[もくじ]書籍『余命三年時事日記ハンドブック』
http://yomei-hanabishi.seesaa.net/article/435034396.html

junn

No title
文明と野蠻の死闘
大陸勢力と海洋勢力の對峙
http://www.jas21.com/athenaeum/athenaeum123.htm



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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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