いろいろな歴史認識

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20160324 高千穂峰と天の逆鉾
高千穂峰と天の逆鉾


歴史とは「過去の事実の因果関係を記述したもの」のことをいいます。
少し詳しく言うと、歴史は

  直進する時間
  時間を管理する技術
  文字で記録をつくる技術
  ものごとの因果関係の真実

の4つが揃ってはじめて歴史となることを意味します。

ところがこのような、いわば「歴史因果関係説」というのは、世界の中ではむしろ少数派です。
たとえば古代インド文明は、歴史を持ちません。
なぜなら、彼らは輪廻・転生の思想を持ち、事件や事故の原因を前世に求め、その結果を今生と考えるからです。
前世が未来になる場合もあるわけですから、そこには時間の直進さえありません。

またイスラム文明も、一瞬一瞬はすべてアラーの神の思し召しと創造によると考えます。
瞬間自体が新たに創造されるものなのですから、そこに因果律はありません。
つまり「歴史を持たない文明」も、世界には数多く存在するのです。

一方、「歴史を創作する文明」もあります。
それがヨーロッパの地中海文明と、China文明です。



ヨーロッパでは古代ギリシャのヘロドトスが『ヒストリア』を書きました。
この書の序文でヘロドトスは、
「世界は変化するものであり、その変化を語るのが歴史である」と述べています。
そして、バラバラで対立と闘争を繰り返していたギリシャの都市国家が、強大なペルシャがやってきたので、最後にはみんなで協力してペルシャをやっつけた。めでたしめでたしという筋書きを書いています。

これは、不当な侵略を前に、英雄たちが立ち上がって勝利するという筋書きです。
ですからそこには、世界がまとまるための恐怖の帝国の存在を必要とします。
戦後の国連秩序といわれるものになっています。

一方、China文明においては、前漢の武帝に仕えた司馬遷が著した『史記』が歴史書の原点になっています。
これは皇帝の正統性を記したものです。
誰が正統かということは、もっと簡単に言うと、誰がいちばん偉いかです。
それがChinaの歴史観です。

この場合、共通の敵の存在の必要はありません。
前の王朝の不当性だけが問題となります。
このとき、本当は前の王朝を「倒す側」が相当な非道を繰り返しているのですが、歴史認識では、その非道はことごとく前の王朝、前の支配者の「せい」になります。

Chinaにおける歴史観というのは、もともとがそういうものですから、王朝の交代のたびに歴史が書き換えられます。
なぜなら、偉い人が代わるからです。
逆にいえば、現代Chinaの歴史認識は、いまの中共王朝が消えてなくなるまで、変わることはないということです。
かれらにとっては、真実は関係ないのです。
必要なことは正統性だけです。

要するに、その時点で誰が一番偉いのかだけが問題になりますから、そこに真実は必要ありませんし、直進する時間も、因果関係も必要ありません。
都合に合わせて、あとから書き換えるのが歴史だからです。

ここまでを整理すると、
1 西洋の歴史は「共通の敵に対する英雄譚」であり、
2 Chinaの歴史は「誰が上にいるかを証明するためのもの」であり、
3 印度の歴史は「前世との関連」であり、
4 イスラムの歴史は「アラーの思し召し」です。

では、日本における歴史は、どのようなものでしょうか。
日本には、万古不易の共通の敵などはいませんし、
神々の時代から正統な天皇が存在していますし、
前世からの因縁よりも現在の暮らしと未来の子供たちが大事ですし、
アラーの神もいません。

そうなると歴史は、現状を打破するために学ぶものという概念が生まれてきます。
つまり歴史は「学ぶもの」ですから、いちばんたいせつなことは「歴史の真実」という概念が育ちます。
なぜなら、歴史は因果関係に基づいて、普遍的価値を探求するためのものだからです。

ですからたとえば南京問題を例に出すと、
中共王朝にとっては、王朝の正統性確保のために、日本軍による蛮行が「あったことにしなければならないもの」ですから、中共王朝が現代と未来を担うためには、事実関係として「あった」ことが必要なこととなります。
ですから「なくても」、「あった」ということになります。

一方日本にとっては、歴史は真実を探るものですから、実際にあったのかなかったのかが問題になります。
真実を探求しようとする国と、都合により真実を改変する国では、その立脚点が180度異なります。

では、それを西欧に持ち込んだらどうなるかというと、彼らにとって歴史は英雄譚ですから、南京で虐殺があったことになれば、第二次世界大戦の戦勝国は英雄になるわけですから、これはなかなか認められないことになります。
西欧が南京事件をなかったと認めるときというのは、中共が彼らにとっての脅威となり、共通の敵となったときです。
つまり、日本が西欧社会とともに、人類共通の敵である共産主義や、嘘と欺罔の悪魔の所業と、積極的に戦う英雄の一員とならない限り、どこまでも日本は人類共通の敵というポジションから抜け出せないことになります。
それが現実です。

実は南京問題というのは、いろいろな見方ができるものでもあるのです。
当時の国民党は、南京城内を占領したあと、城内に住む民間人に銃を突きつけて強制徴兵し、特戦隊がその民間人に後ろから銃を突きつけて日本軍と戦わせていました。
日本軍は、そうした「民間人で銃を撃ってくる者」と戦ったわけですから、ドンパチが起これば、当然、「後ろから銃を突きつけられて、銃を手にして日本軍に向けて発砲する民間人」を殺生しています。
その意味では、民間人の死傷者は出ているのです。

けれど、戦時国際法によれば、国家同士の戦争は、軍服を着用し、ひと目で軍人と分かる鉄兜や帽子をかぶり戦いの責任者のもとで、銃を携行している者を相手に戦うものであり、そうでない者は民間人であって殺害してはならないものとされています。
では、当時のChina国民党兵がどうだったかというと、軍服を着ている者は、基本、戦わず、民間人に銃を突きつけて前線で戦わせていたわけです。
しかも軍の総指揮官の蒋介石も、前線の責任者の唐生智も、戦いがはじまる早々に、南京から逃げ出しています。
つまり和平を結ぶ相手さえいないという状況にあったわけです。
そのうえ、蒋介石率いる国民党は、領土と国民に責任を持つ国家ではありません。単なる軍閥であり、領土もなければ領民もありません。
そんな領土も領民もいない軍閥が、勝手に南京を占領して、民間人に銃を突きつけて戦いを強要していたわけです。

このような場合、戦時国際法に従えば、China国民党は軍とはそもそもみなされません。
これは過激派によるテロであり、その過激派を排除して南京の治安を回復しようとした日本軍に対して、たとえ強制徴用であったとしても、発砲する者があり、しかもその発砲者らが軍人なのか民間人なのか見極めがつかないという状況にあれば、これは戦う相手とみなされますから、老若男女を問わず、本来は降参するまで、皆殺しをすべき相手ということになります。

ところが彼らは、いったん降参したと見せかけて、隠し持った武器で騒乱を起こしているわけですから、この場合、その場にいるすべてのChineseが、殲滅の対象となったとしても、戦時国際法上は、むしろそれが正統な行為となります。
にもかかわらず、日本側はそうした殺戮となる状態を防ぐために、誠実な努力を重ねているわけですから、これはもう神の軍としかいえない行動といえます。

それだけの恩恵を被ったChinaが、それでも日本を悪く言うのは、その後に中共王朝ができたからです。
その中共王朝は、昭和24年で、日本にとっては終戦後のことにすぎません。
にもかかわらず中共王朝が南京を持ち出すのは、彼らの正統性が、彼らが日本軍と戦い、Chinaから日本軍を追い払ったから、です。
実際には、彼らは日本と干戈を交えていないにもかかわらず、彼らは自分たちの正統性を確保するために、そうした事実を「創作」したわけです。
それが彼らにとっては、必要な歴史です。

つまり、上辺は歴史戦といわれていますけれど、これは国家間の、実は文化的価値観の違いの問題でもあるわけです。
良い悪いではなくて、世界には、そうした理不尽が、まだまだたくさん残っているということです。

けれど私たちは日本人です。
そして日本人にとって、必要なことは、事実としての明確な因果関係としての歴史であり、未来を担う力です。
私たちは、それを捨てる必要も、曲げる必要も、まったくないと思います。

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コメント

takechiyo1949

天下とっても二合半
私は理系なので、歴史はどちらかと言えば今も苦手でした。
過去を学んで何の役に立つ?
流れ?背景?何の為に学ぶ?
そんなふうに思ってましたが、進学や試験があるので仕方無く嫌々勉強してましたね。
『日本ってどういう國?』
就職して同期の独逸人に聞かれましたが何も答えられませんでした。
その独逸人の若者は日本の「お城」が大好きで、一緒にあちこち訪ねました。
『昔の武士は歩幅が広かったのかな?階段の一段が何でこんなに高い?』
『木造で、こんなに高く建物を造るなんて凄いよね!』
目の付け所が鋭いんです。
独逸人に負けたく無い!
それが動機かも知れません。
日本をもっと知りたい!

考えてみれば、年号や歴代著名人を暗記しても仕方無いです。
歴史って、もっと身近なものなんですよね。
そんな訳で…気が付けば日本に生まれた自分に誇りと自信が持てるようになっていました。

御先祖様の國創りと世道人心の育成…その失敗と成功の史実を学ぶ。
私達もまた失敗と成功を重ね、それらが連面と続くのが歴史。

『天下とっても二合半』ではありますが、私達と我國が目覚めれば世界の良心も目覚める!
「ねずブロ」のお世話になりながら、そう思っています。

beanv

今回のお話は、中華文化圏における価値観(諱・荘・穆)を理解する前提として、「歴史」“histry”という名詞がじつは文化圏ごとに根源的にまったく違うとした点で画期的なものに感じました。私は私のできる範囲で、これを広めていきたいと思います。
 
いまのネットには、第一線を退いてから日々のニュースにコメントを寄せる場がいくらでもあり、そうした場では、GHQか日教組かの価値観に漬け込まれたピクルス脳で推論したことを公言しては若い連中に手ひどく論破される初老の姿を散見します。
 
肩書きがあった頃はまかり通ったムチャな一般論のご高説も、肩書きがないネットでは通用しない。しかし、そうした方がたが阿呆ではないことは、ちょっと発言一覧をつつけば容易に見て取れます。長年勤められた業務に関することならば具体的かつ詳細に問題点を整理し方策を授ける立場にある方がたが、片や一般論として社会問題に言及すると、たやすく若者に論破されてしまうのです。頭が固いとか柔らかい以前に、青少年時代に間違った屁理屈という甘酸に脳を漬け込まれたからでしょう。私はこのことをピクルス頭とかピクルス脳と言っているわけです。
 
ですから、こうしてねずさんがおっしゃって下さったように、ピクルス脳を直撃する俯瞰図を示すことで、ハッとなさる方がたも多いのです。そうした方がたは、日本とか日本人という単語そのものにすぐ拒否反応を示しますので、世界をこのように俯瞰図にしていただけると、私としてはとてもありがたいです。
 
いや増しにアクセス増えてらっしゃるので発言は控えておりますが、毎回楽しみに拝見してます。いつもありがとうございます。

くすのきのこ

No title
こんにちは。
”墓碑”という本が2008年に出版されています。1959~1962年の
間に、3500万人のチャイナの人々が餓死したという記録です。これは、
元新聞記者の楊継縄氏による著作です。新聞記者の受けるルイスライアンズ
賞を受賞したそうですが、アメリカのハーバート大学の授賞式へ行こうにも
国外出国禁止を中共政府にくらったそうです。
この大規模な餓死のバックに毛沢東の大躍進計画(1958~1961年)
があります。これにより2000~5000万人が餓死してしまい、国家主
席を辞任。勢力復帰の動きが次の文化大革命へ。そして1億人近くがなんら
かの被害を。
大躍進計画の被害は、チベット民族の多い青海省、四川省で酷く、推計では
合わせて990万人に登ると。これには、パンチェン・ラマ10世(ロブサ
ン・ティンレー・チューキ・ギャルツェン)も七万言上書で言及していると。
・・チャイナの歴史は、今や海外により見つめられています。法輪功学習者
に対する弾圧を国際的に非難し始めたのはカナダでした。
しかし例えばチャイナの映画”カイロ宣言”(1915年公開)では、カイロ
会議に出席していたのはルーズベルト、チャーチル、蒋介石であるし写真も
残っているにもかかわらず、蒋介石の代わりにスターリンと毛沢東に扮した
役者がポスターにのっていたという捏造ぶりで、チャイナのネット民も批判
していたという始末。捏造は崩壊を早めるというのに。
・・・こういうのが、チャイナの実情です。



ナポレオン・ソロ

異文明の歴史観
小名木様 ソロと申します。 
 異文明の歴史観についての御説、読ませて頂きました。 この課題、私なりに解釈してみました。
 シナ文明 真実の歴史を必要としない文明と言うのは、陸続きで支配者がくるくる変わる事を許さざるを得ない、不安定な状況に有ったからなのでしょう。同じ事を繰り返す愚に気づいて居乍ら、終に正解を見いだせなかった文明でしょう。
 イスラム文明 正義を神に仮託した文明とは、自身の名を遺す事も期待できない状況、つまり、後世の人間を信用していない状況だと思います。 神は人間が創りだしたものと言う暗黙の了解があるからこそ、必要以上に戒律を設け、厳しくしているとしか思えませんし、其処には進歩は起こりようがない。
 西欧文明 英雄が(人間が)世を変えて行く=メシアが降臨して、世を糺す。と言う未来への期待で、今世の現実に含まれる悪徳を容認する、判断を先送りにする、と言うのでは、単なる妄想に過ぎません。ユダヤ教ゲッセネ派のイエスが、説いた「隣人愛」等、何処にも存在できないから、隣人とは、同じ神を信じるもの、同じ色の皮膚を持つモノとなって、結果差別を容認する文明となったが、それを修正できない。
 インド文明 神は、人間を支配するダケの存在である。魂は不滅で、定量しか存在せず輪廻を繰り返す事で、生まれ出る人間の魂を補って居る、全ては自然現象であって、人間の歴史等意味はないから、未来永劫同じ事を繰り返すダケになる。 釈迦牟尼は、輪廻は否定しなかったが、この未来永劫同じ、と言う業から抜け出すに、智を以てすれば出来ると説いた。 是が仏教でしょう。

 この先、好むと好まざるに拘わらず、世界は、多元な価値観が入り交う場となりましょう。 小名木さんの文明の歴史観考察も、文明比較と言う意味でお書きになられたモノと拝察いたします。 私は、未来に起こる現実の問題を、如何に解決したかと言う経験則を、子孫に残す意味で歴史はあるモノだと思って居ます。ですから、真実を伝えない歴史は意味が無いと思って居ます。
 歴史は、御説の通り
  直進する時間、時間を管理する技術、文字で記録をつくる技術
  ものごとの因果関係の真実
 の4つが揃ってはじめて歴史となるのです。 勝者にだけ都合のよい嘘の歴史は、端に、やがて勝者の身を滅ぼすだけ、同じ事をされるダケで、結果、子孫に何も有益な事は伝えられないと思います。

taigen

No title
国連人権委員会の人権感覚 慰安婦
http://yomouni.blog.fc2.com/blog-entry-5479.html#comment

>真実は一つ。理もこちらに有る。
しかし、それが通らない。辛いですね。

junn

No title
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
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