南シナ海と台湾について



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南シナ海


南シナ海には、西沙諸島(パラセル諸島)と南沙諸島(スプラトリー諸島)があります。
図に示した海域です。
そこで問題です。
「この海域の領土主権者は誰でしょうか。」

現在、この海域は中共政府が自国の領土だと主張し、西沙諸島に空軍基地、南沙諸島に海軍基地を勝手に建設しています。
そしてそこが自国の領土であると勝手に領有を宣言しています。

実はこのことはいまに始まったことではなく、昭和54(1979)年にも、まったく同じ問題が起きています。
中共政府が、西沙諸島に勝手に空軍基地を築いたのです。
これに対してベトナムが抗議をしました。
すると中共政府は、いきなり人民解放軍をベトナムに向かわせ、武器を持たないベトナムの民間人1万人余を虐殺しました。

これに対してベトナムは断固として戦いました。
この時期のベトナムは、4年前(1975)にベトナム戦争が終わり、北ベトナムがベトナム全土の政権を確立し、すでに1977年には国連加盟も果たしていた時期に当たります。

戦いは約一ヶ月続きました。
ベトナム戦争で豊富な実戦経験を積んだベトナム軍は、圧倒的多数の人民解放軍を押し返して敗退させました。
これが中越戦争(1979)です。

この戦争で、ベトナムは中共のベトナム本土への侵攻を跳ね返しましたが、南シナ海の海上に浮かぶ西沙諸島は、いまだ中国が軍事占領したままでいます。

同じことは南沙諸島でも起こりました。
中共政府が、フィリピンに近い南沙諸島(スプラトリー諸島)に、勝手に海軍基地を作ってしまったのです。
フィリピンは果然と中共政府に抗議しました。
そのフィリピンには、米軍が駐屯しています。
そのため中共軍は、ベトナムのときのようにフェリピン本土に攻め込むことはしませんでした。
ただし、南沙諸島は、いまもなお中国が勝手に軍事占領したままです。

さて、ここで問題です。
ベトナムは西沙諸島に関して抗議していながら、なぜ西沙諸島への軍事行動をしなかったのでしょうか。
またフィリピンは、南沙諸島に関して中共に抗議していながら、なぜそこを積極的に取り返すための軍事行動をしないでいるのでしょうか。

実はここに、国際関係に関する極めて難しい問題が横たわっています。
ベトナムも、フィリピンも、南シナ海に浮かぶ島嶼に関する領有権を持っていないのです。
つまり、ベトナムもフィリピンも、南沙諸島、西沙諸島に関して、そこが自国の領土ではないことを十分に認識したうえで、「中共の勝手な占有に関して、相手が大国であり、極めて危険な存在であることを知りながら」中共への勇気ある抗議を行っているのです。

そしてベトナムは、その抗議のために、自国民が1万人も犠牲になるという事態を招いています。
それでも断固抗議をし、その抗議が不服だとする中共軍と、一戦を交えて、断固これを撃退しているのです。

ではそもそも南シナ海の領有権は、どのようなことになっているのでしょうか。

実はこのことは、世界52カ国(日本を含む)が参加して調印したサンフランシスコ講和条約(1951)に明確な規定があります。
ちなみに、このサンフランシスコ講和条約は、日本と連合国(United Nations)との間で交わされた条約ですが、この条約に調印した日本以外の51カ国は、当時すでに成立していた国際連合(United Nations)の原加盟国です。つまり世界が承認し調印した条約であるということです。
(日本が大東亜の戦いを戦った相手である連合国と国際連合は、英語名はどちらも「United Nations」であり、両者は同じものです。)

ではそのサンフランシスコ講和条約に、南沙諸島、西沙諸島について何と書いてあるかというと、
=========
第二章領域
第二条
(f)日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
===========
(新南群島というのが南沙諸島のことです)

ここに「日本はすべての権利、権原及び請求権を放棄する」とあります。
このことをもって、日本は領土主権(領有権)を放棄したと説く人がいますが、間違いです。
なぜなら領土主権は領土の「割譲、贈与、交換、売買」以外に、主権の移動が認められていないからです。

このことは、このサンフランシスコ条約にも明確です。
すなわち日本が「renounces(放棄)」したのは、
「all right, title and claim(権利権原および請求権)」であり、
「full sovereignty(主権、領有権)」ではないのです。

領土主権というのは、「自国の領土」について、「排他的に自国の権原行使」ができることを意味します。
日本が放棄したのは、その「排他的に自国の権原行使」であって、領有権そのものではありません。
つまり、サンフランシスコ講和条約の条文において、日本が全面的に領土主権を放棄したことには、実は「ならない」のです。

何度も同じことを書いていますが、このことをわかりやすくいうと、Aさんの持ち物を、AさんがBさんに「処分してね」とお願いをしたのと同じです。
処分先(領有先)がCさんに決まれば、そのAさんの持ち物への所有権は、割譲、贈与、交換、売買などの契約(領土の割譲契約等)によって、AさんからCさんに移転します。
けれどBさんが64年経ってなお処分先を決めていないのなら、所有権自体はAさんのままです。
つまり、西沙諸島、南沙諸島、つまり南シナ海の領有権は、実はいまなお日本にあります。
そのことを日本人が自覚しているいないに関わらず、国際法上はそういうことになります。

その南シナ海について、中共政府が割譲契約も国際社会からの承認もないのに、一方的かつ勝手に領有権を主張し、そこに軍を進め、軍事基地を築いているわけです。
そもそも中共政府は、第二次世界大戦に参戦さえもしていなかったのみならず、大戦中には国家ですらありませんでした。
あったのは、共産主義を標榜する八路軍という毛沢東率いる軍閥です。

ところがその中共は、日本からカネと技術を巻き上げながら自国の軍事力を強化し、いまや南シナ海さえも「先占」を主張しているわけです。
つまり、もともと南沙諸島も西沙諸島もChinaのものだというわけです。
その理由は、かつての王朝時代にそこが領土の一部だったとするものですが、これまたとんでもない話で、もしそのような理屈がまかりとおるなら、かつての元の大帝国の版図は、中共政府の主権の及ぶ地ということになってしまいます。
世界の誰がそんなことを望むでしょうか。

中共政府が行う南シナ海への横暴は、つまるところ、日本が主権を持ったまま、現状ではいまだ連合国の長である米国が、これまで当該地の主権先を定めてこなかったことによります。
そしていまでは、その中共政府が国連の安全保障理事国です。

もし中国に正当な領有権ないし領有を主張できる権利、権限、および請求権があるならば、堂々と国連でそれを主張すれば良いだけのことです。
けれど、中国にそれはできません。
なぜなら、それを国連で主張すれば、もともとはどうなっていたかという議論になり、United Nations がサンフランシスコ講和条約で締結した条約の内容にまで議論が戻ることになり、そうなると本来の領有権者が明らかになり、中国の主張には根拠がないことが全世界の前で明白になってしまうからです。

尖閣諸島に関しては、内容はもっと明白です。
サンフランシスコ講和条約により、日本およびUnited Nations 諸国は、これを米国の信託統治の下に置くことを承認んしているからです。
=========
サンフランシスコ講和条約 第三条
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(中略)を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。
=========

ここでいう「北緯二十九度以南の南西諸島」には、琉球列島とともに尖閣諸島が含まれます。
そしてこの地域は、1972年の「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」によって、正式に日本に返還されたことは、皆様ご存知の通りです。

つまり、中共政府には何の権限もないのです。

では台湾はどうでしょうか。
台湾に関するサンフランシスコ講和条約の条文は次のようになっています。
==========
第二章 領域
第二条(b)日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
==========

つまり南沙諸島、西沙諸島と同じ条文です。
そして日本は台湾に関するすべての権利、権原及び請求権を放棄していますが、だからといってChina国民党政権(中華民国)は、台湾をいまだ軍事占領したまま、いまでは亡命政権となっているわけです。
そしてその台湾政府(中華民国政府)を、日本は国家として承認していません。

承認できないのです。
中華民国は、China本土に領有権を持つ唯一の政府を自称しています。
ところがそのChina本土には、いまは中共政府があり、日本はこれを国家として承認しているのです。
同一エリアについて、二つの国を承認することはできません。

現在台湾にある中華民国政府を、国家として承認している国は23カ国あります。
次の国です。
ブルキナファソ、ベリーズ、ドミニカ共和国、ガンビア、ガテマラ、ホンジュラス、ハイチ、キリバス、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、マーシャル、ニカラグア、ナウル、パナマ、パラオ、パラグアイ、ソロモン諸島、エルサルバトル、サントメ・プリンシペ、スワジランド、ツバル、バチカン、セントビンセント・グレナディーン。
バチカンを除き、国際的に大きな影響力を持つ国はこのなかにひとつもなく、また、日本を含むいわゆる大国で中華民国政権を承認している国は、皆無です。
これが何を意味するかというと、台湾に住む人々は、国際的には無国籍に等しい状況に置かれているということです。

では、中華民国が、China本土の政権であることをあきらめて、あらためて「台湾の政権」を名乗ったらどうなるのでしょうか。
答えはすぐに出ます。
中共政府は、台湾の領有を宣言していますから、台湾の国民党政府と中共政府は戦争になります。
では、台湾の人々は戦争を望んでいるのでしょうか。
答えはNOです。

ではどのようにしたら、南シナ海や台湾の問題を解決できるのでしょうか。
答えはひとつです。
中共政府がなくなれば良いことです。

つまり、東アジアの秩序の回復のためには、中共との友好は不要だということです。
中共政府が自壊し、台湾にある国民党政府がChina本土に戻ることが、一番良い選択であろうと思います。

20151208 倭塾・動画配信サービス2


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コメント

余命Jr.

南沙・西沙諸島や台湾が、国際法上今現在も日本の領土だとは、ビックリ仰天です、ねずさん(・_・)エッ..?。

omitu

本日も、日本に関する授業をありがとうございます。

私の主人の父親は樺太出身です。主人に「あなたのお父さんはサハリン生まれだよね」と話しかけると「サハリンじゃない。樺太だ。」と普段無口な人が主張するのです。世代は変わっても、同じ思いは受け継いでいるのだと、言葉は少なくともわかりました。 日本人には、表にはださなくても、熱い想いを持たれている方は 多いのではないでしょうか。

子無零 すこぴお

中華民国の国籍強制変更は無効と台湾人が訴えています
(日本語字幕:台湾民政府 ワシントン ナショナルプレスクラブ 記者会見)youtu.be/g7rKWhQwZ8M

 2015年2月28日にアメリカの首都があるワシントンD.C.=コロンビア特別区連邦地方裁判所で3万人の台湾人が、占領統治国アメリカと中華民国政府に対し訴えています。

動画の再生数から、「『日本国から中華民国への国籍強制変更は国際法に違反し、人権侵害である』と宣言する事を求める」と台湾人が訴えている事が殆ど知られていない事が解ります。

 国籍を不法に奪われた事に気付いた人たちが集まって、本土復帰を果たそうと「台湾民政府」を立ち上げました。
2009年アメリカでの判決civil-taiwan.org/Lin_v_USA-Court_of_Appeals_4-7-2009.pdf
・台湾人は国籍が無い
・台湾には国際社会が認める政府が無い
(同様に中華民国政府下の国民党・民進党「独立」運動は国際法上無効)
・従って台湾は政治煉獄の中にある
・アメリカ行政府は速やかに正すべき

日本でも日本語で台湾民政府の説明会が行われています。
youtu.be/8971RxY_r7U
この動画の説明でもある様に、
もし、世界中が台湾での中華人民共和国や「中華民国からの独立」を認めてしまった場合、
中華人民共和国は中華民国の継承国であるから、
その時点で中華人民共和国の内政問題に切り替わり、
台湾を正当に奪う事が出来ます。

 この事も、知らない日本人が大多数なので、同情し善かれと思って「台湾独立」に賛同しています。
「台湾加油」と応援していますが、我々が先ず正しい情報を持って行動する事が必要です。

最も重要なのが憲法問題で、
「憲法改正手続き規定が憲法にあるから護憲」
「御名御璽があるので護憲」
と言うのはどちらも
「結果オーライであったらどんな違法であっても容認する、つまり暴力容認論」
「暴力を容認しなかったら、今の占領憲法の有効論は出てこない」
「そしたら、この占領憲法を暴力で否定する事も容認しなければ矛盾」
で有る事を認識しなければなりません。

南出喜久治氏の「日本国憲法」の解説
youtu.be/4PKQG3Ob-wY?t=5099

「台湾の独立」「有事に備えて改憲」「北方四島返せ」と「日本の伝統と文化を守る」事が果たして一括りに出来る事柄なのか、
「ウシハクとシラスの世」とは何なのかが解れば理解出来ます。

憲法と台湾問題を始とする領土問題の「事実の基づいた正しい情報」を
これからも拡散しましょう。

heguri

No title
おはようございます。今日もシェアさせていただきます。

ネコ太郎

No title
以前小生がお勧めの書として紹介させていただきました
「はじめてのホツマツタヱ」ですが、
第2巻の「地(わ)の巻」が出版されました。
まだ読み始めたばかりですが、天照大神様の講話は現在の私どもにも役立つことばかりです。

junn

No title
自給エネルギーチーム
http://jiene.net/
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

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