軍犬金剛



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20160630 軍犬 金剛、那智


靖国神社に軍犬慰霊像があります。
彼らは満洲や南方で将兵と共に戦った軍犬たちの慰霊碑です。
そして実は二日後の7月7日は、昭和8年に陸軍省が軍犬金剛、那智号に初の甲号章を授与した日でもあります。

このときの金剛、那智号の活躍について、「金剛、那智の記念碑」のあった奉天(瀋陽)の加茂国民学校で行われた慰霊祭において、神奈川県逗子市の逗子高等女学校の先生をしておられた板倉鎮子氏が小学生に話されたものが、ネットに掲載されていましたので、ここに転載します。

**********
軍犬 金剛、那智の話
(週間小国民_昭和17年10月4日号から)

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那智は中華民国の青島の浅野浩利さんのお家で生まれました。
お母さん犬は小夜丸というシェパードです。
仔犬は全部で7匹生まれました。
オスの4頭は戦艦の名を取って、
金剛、長門、陸奥、榛名とつけられ、
雌の3頭は那智、摩耶、高雄と
巡洋艦の名を付けてもらいました。

無敵の我が軍艦のように
7頭とも揃って身体の丈夫な賢い犬ばかりでした。
そのうちでも那智はとりわけ利口なので、
当時奉天の独立守備隊第二大隊で軍犬班の将校だった板倉大尉の許で
立派な軍用犬にしようと
はるばる満州に行くことになりました。

しかし浅野のおばさんは
小さい那智がたった一人
海山越えて遠いところへ行くのが可哀想でたまらないので
いろいろ考えられた末、
それではもう1頭献納しようと、
金剛と一緒にして大連行きの奉天丸に預けられました。
二匹にすれば、途中淋しいことはなかろうとの思いやりが、
とうとう冥土の旅まで道伴れになってしまったとは
よくせきの因縁とでもいうのでしょう。

金剛、那智の兄妹犬は
大連で板倉大尉に迎えられて奉天に着きました。
着くとすぐ猛烈な訓練が始まりました。

その当時満州は、
いつ戦争があるかもわからないという危い時だったのです。
しかし、那智、金剛はさすがに難しい訓練にもすぐ馴れて、
隊でも評判の犬になりました。

そうこうするうちに満州事変が
奉天から少し離れた柳條湖で始まりました。
こういう場合にこそ軍犬は活躍しなければならないと、
金剛、那智は勇躍出発しました。

何しろ敵は1万2千の大勢で
北大営という兵舎に立て籠もって居ましたので、
味方は僅か5百名だけでしたから
夜襲することになり、
金剛、那智も参戦を許され、
初めて本当の戦争に出たのでした。

味方はみんな勇敢に戦ったので
翌19日朝
とうとう北大営を占領、
敵をさんざんやっつけました。

金剛、那智は敵弾雨の中を
伝令の任務に服しましたが、
敵は何しろ大勢ですから
激しい戦いとなり、
そのうえ夜の戦争ですから
兵隊さんも犬もバラバラになってしまいました。

日露戦争で部下の杉野兵曹長を見失った廣瀬中佐のように、
板倉大尉は金剛、那智を捜しまわりましたが、
行方がわかりません。
その当時の様子を
元の飼主だった浅野さんに宛てた
板倉大尉の手紙を読んでみますと

「午後11時より翌朝6時に亘る
 暗夜の激戦のこととて
 人犬相離れ、
 主は犬を求め、犬は主を捜すも、
 天明に至るも遂に那智、金剛の姿なく、

 戦闘以来三日、
 北大営内を隈なく捜索せしに
 金剛号は敵弾のため腹部貫通銃創、
 那智号は胸部貫通銃創をうけ、
 共に戦死しありを発見、
 誠に残念に有之候。

 勇敢なる戦士として
 敵弾のため名誉の戦死をとげたるは
 軍用犬のため決して無駄死にあらず、
 後輩幾多軍犬の発展上
 大なる功績をあげたるものと確信致し居候。

 北大営戦死の地に墓標を建てその霊を慰め申候。」

板倉大尉は、冒頭の板倉鎮子氏のご主人で、
この手紙から間もなく、錦州において戦死されました。


*********

以前、国民学校の教科書に載った軍犬利根の物語をご紹介させていただきました。
日本が飼育した軍犬は1万頭を超えます。
日華事変を含む大東亜の戦いで、もちろん初期から中期の頃までは、帰国できた軍犬もいましたが、その多くは大陸で命を失い、また終戦時に大陸で生き残っていた軍犬たちは、すべてソ連軍やChina国民党軍に引き渡されました。
ソ連軍は、その軍犬たちをそのままChina共産党軍に下げ渡し、その後の消息はすべて不明です。

ただ、どうなったかは、これら軍犬たちの血を引く犬が、Chinaにいないことから、想像に難くないことです。

日本が軍犬を用いて、最後には軍犬たちの多くの命が失われたことで、日本軍があたかも酷いことをしたように記述しているものもあるようです。
しかし、軍犬の飼育は、米軍は当時50万頭です。
その米軍犬たちが、南方戦線で日本軍の立てこもる洞窟陣地の発見に大活躍しています。
要するに軍犬を用いたのは日本軍ばかりではなくて、当時、世界であたりまえのように行われたことです。

ただすくなくとも日本の旧軍人だった方々は、戦友とともに外地で散っていった軍犬たちのために、靖国に慰霊碑を建て、そしていまも靖國神社に行くと、その慰霊碑の前に、誰が置いたのか、いつも水やお花が飾られています。
それが日本人です。

ちなみに金剛は戦後にも活躍しています。
海上自衛隊呉地方地補給基地に「金剛丸」という名のジャーマンシェパードがいました。
戦前の軍用犬と異なり、いまの自衛隊では基地内の警備を目的とする犬として「警備犬」」と呼ばれ、訓練されていました。

金剛丸が、東日本大震災のとき、救助のために被災地に出動しました。
そして介護の老夫婦を救助しました。
誰もが怯むような厳しい状況の中で、金剛丸は自衛官としての使命を立派に果たしたのです。
けれど、人より何十倍も聴覚や嗅覚が優れた犬のことです。
任務は想像を超える激務でした。

津波肺と呼ばれる病気にかかり、任務中に死亡しました。
4歳4ヶ月でした。人なら30代半ばくらいの年齢です。

靖国神社には軍犬、軍馬、伝書鳩の慰霊碑があります。
戦前の金剛や那智、メリー号なども、ここで慰霊が行われます。
けれど、戦後に殉職した自衛隊の警備犬は「戦死」ではないので、靖国に祀られることはありません。

「そんなのおかしいだろ!」と言った人がいました。
そして、犬も人間も、一緒じゃないか!と、鶴の一声で航空自衛隊の某基地のしかも1番目立つ場所に、大きな犬の慰霊碑を作ってくれました。
それが田母神俊雄元空幕長です。
そういう4つ星のジェネラルを、戦後日本の政府も、また日本の一部保守派の人たちも、騙し叩き勾留しています。

金剛や那智についてネットで調べてみますと、犬たちは被害者ニダと騒いでいるサイトなどもみかけます。
国を護り、人の命を救おうと一心に訓練され、過酷な情況の中を人とともに戦った軍犬軍馬軍鳩たちを、御霊を信じ、未来永劫、いつまでも大切に慰霊していこうとする日本人。
それを被害者ニダと言いつのるばかり人たちの垂れ流す論説にひっかかって、戦前の日本や、いま起きている事実から目を背ける現代日本人。
そしてなくてはならない人を、寄ってたかって叩き続ける現代日本人。

何かが間違っているような気がします。
政治的に日本を取り戻すという前に、私は、日本人が日本人としてのこころを取り戻すことこそ大事なことだと思っています。

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コメント

takechiyo1949

ワンコは人間の親友です
我家にも小型犬が二頭います。
今年の年末には13歳と17歳になる雄の老犬です。
血縁関係はありません。
幼い頃から一緒なので兄弟みたいに仲良しです。
とても賢い奴等ですよ。
トイレしたよ!
一緒に遊んで!
水が無いよ!
ご飯の時間!
もう寝るよ!
必ず言ってきます。
体内時計もバッチリ!
10階からの景色が大好きみたいで、いつも並んで眺めています。
「友達」が来ると大喜びです。
セミ…アリ…ハト…カラス
トンボ…チョウチョ…コウモリ
吠えますけど、尻尾を振って大歓迎してます。
只のペットなので、金剛や利根のような立派さはありません。
でも…大切な家族です。

ポッポ

No title
戦争で戦うのは人ばかりでなく,軍犬も使う。
その他に,伝書鳩を使いましたし,最近ではイルカかシャチも使うのでしょうか。

伝書鳩は鳩の本能を利用して情報の伝達手段とするのですが,軍犬の場合には,それ以上の活躍を期待して使っていたと思いますし,犬は使う人との間に感情を示しますから,担当者には道具以上の気持ちがあったと思います。
軍馬だって,重い荷物を載せられたり,大砲を曳いたでしょうから,口こそ話せなませんが,もし,話せたら「もう少し荷物を軽くしてくれ」くらいは愚痴ったのかも知れません。

それなのに,担当者が帰還するときに一緒に帰れなかったのは,何年経っても思い出すでしょうし,辛かったと思います。

日本人にとっては,一緒に仕事をする相手は道具ではなくて,友達ですし,それが戦場ならば戦友だったと思います。
お祭りしていただいて,感謝です。

No title
田母神さんに寄付した人は面白くない事件かもしれませんが、誰かさんみたいに国民の血税を横領したわけでない。
買収目的であれば選挙前に渡さないと意味無いと思うけど、実際は選挙後に労をねぎらう為だとして渡している。
素直に考えて謝礼目的しかない。
事実、選挙運動員は田母神さんの熱烈な支持者だった。
支持者に買収は有りえない。
法律違反と言えばそうだけども、恩に報いたいと思う心に誰が咎める事が出来ようか。
周りのブレーンに恵まていなかったのでしょう。
しかし、個人的には政治家になるよりは軍事ジャーナリストとして自由気ままに活動された方が田母神氏の力を100%発揮できる様な気がする。

m.e

東京地検特捜部
ねずさん、こんばんは。
田母神氏は東京地検により逮捕されましたが、罪状は政治資金横領と、運動員買収容疑でしたね。
一回目の公判が行われた、田母神氏は無罪を主張しました。
また東京地検は政治資金横領について、証拠不十分として政治資金横領を取り下げました。
残るは『運動員買収』容疑のみです。
これは選挙期間中に、日額四千円以上を支払ってはいけないという法を破ったとされる事ですが
田母神氏は選挙運動員として活動に努力した方々に『色をつけたから』と言って報酬を上乗せしておられたそうです。

それが買収にあたるかどうか、運動員の多大なる努力に対し、感謝の気持ちを込め多めに支払ったのか。
私欲から、運動員を買収して、活動を促したのか。
僕は前者でしかあり得ないと思います。昨今、支持基盤なしに選挙に勝つ事は夢物語です。
ならば後者が成立しません、寄付金を横領しようとするならば、運動員の方々に多めに払う事はしません、ケチるからです。
また組織票で当選が決まる東京都知事選において、運動員を買収するくらいなら、有権者を買収したほうが遥かに有効だからです。

僕は批判を恐れません、簡単に言えば、田母神さんは、頑張ってくれた孫、息子、娘のような方達に小遣いをあげすぎただけです。
選対の島本容疑者は嫌いです、小沢一郎を師と仰ぐ人物と産経で知りました。

直接は関係ありませんが、僕が生まれる前、敬愛するうちの爺ちゃんは、村会議員に立候補した時、他候補が現金を配っていた時
我が爺ちゃんは『イカ』を配り、宜しくと言って家々を回ったそうです。買収ですかね、これ。

と言うのはさておき、東京地検特捜部は他に捕まえねばならん連中がいるじゃないかと思っております。

犬も好きだし猫も好きです、けど日本語を話し、日本人のような顔をし、日本国籍を持ちながら、日本人にあるまじき言動を常とする輩は、大嫌いです。

にっぽんじん

相互主義
中国はその財力に物をいわせて世界中の不動産や企業を買い占めています。ドイツの最先端技術を持つ会社も買収されそうです。何の努力もしないで金で他国の資材を買っていくのです。

が、逆は出来ません。中国の不動産を外国の会社が所有することは許されません。なでこんな不公平を許しているのでしょうか。日本の土地を中国人に売れなくする規制は出来ないと聞きました。

売らないのではなく、中国と同じように「貸す」制度にすればいいのではないでしょうか。お互い対等な立場にすれば公平になります。是非検討して欲しいと願うものです。

junn

No title
夏涼しく冬暖かい「楽家」
これからの日本の家づくり
湿気に強い家
http://www.rakuie-style.com/%E6%96%AD%E7%86%B1%E5%B1%8B%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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