私たちの神話

20160924 大国主神
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古事記は大和言葉を漢字で書き記したものとして知られています。
全文で何文字くらいあるのかというと、古事記上巻、中巻、下巻の三巻を合わせて、約5万5000字です。
このうち古事記の上巻は、神話の時代です。
文字数は約1万9000字です
構成は次のようになっています。

(一) 序文
(二) 創生の神々
(三) 伊耶那岐命と伊耶那美命
(四) 天照大神と須佐之男命
(五) 大国主命と葦原中国の平定
(六) 邇邇芸命
(七) 海幸彦と山幸彦

なかでも、特筆すべきが(五)の大国主神話です。
上巻の文字数のおよそ三分の一を占める約7000字が割かれています。

ところが考えてみると、これはおかしな話にも思えます。
大国主は、出雲一国の神様だからです。

この時代の「国」がどういう概念であったのかは諸説あります。
参考になるのは『宋書倭人伝』です。
そこに、西暦478年の「倭王武の上表文」が転載されています。

この上表文は、倭王武(雄略天皇)が、宋の皇帝に提出した国際文書です。
宋書というのは、古代の中国にあった宋の国の正史です。
Chinaの史書は、自国の王朝の歴史については、正邪がひっくり返ったり、怪しげなところも多々あるのですが、周辺国に関する事情については、客観的事実として、ここにはあまり嘘は書かれていないと推察されます。
そこに次の記述があります。

***
封国は偏遠にして、
藩を外に作(な)す。
昔より祖禰(そでい)躬(みずか)ら甲冑をめぐらし、
山川を跋渉(ばっしょう)し、
寧処(ねいしょ)するに遑(いとま)あらず。
東方五十五国を征し、
西のかた六十六国を服し、
渡りて海の北、九十五国を平らぐ。
***

古い言葉でちょっとむつかしいので、いつものようにねず式で現代語に訳してみます。

 我が国日本は宋からは遠いところにあります。
 昔から我が皇室の祖先は、
 みずからヨロイを着てあちこちを征伐して、
 東の方角に55カ国、
 西の方角には66カ国、
 そして、
 海を北に渡って95カ国を平定して、
 国を統一しました。

「海を北に渡って」というのは、「朝鮮海峡を渡って」という意味です。
この文から、雄略天皇当時までに、倭国(わこく)は、国内で121カ国、朝鮮半島で95カ国を統一して倭国を形成したとわかります。
倭国は、日本本土から朝鮮半島にいたるまでの合計216カ国を統一したというのです。
この記述から、古代の朝鮮半島に、日本の広大な領土があったことがわかります。

雄略天皇が国を統一するまで、つまりそれ以前の神代における「国(くに)」というのは、いわば村落共同体を指す言葉であったのではないでしょうか。
村=国です。
大陸ならば、都市国家といったイメージです。
ただ日本の場合は、おそらく平和だったのでしょう。
巨大な石の城塞のようなものはまったく築かれていません。

古事記を読むと、実は、イザナキ、イザナミの二柱の神から生まれた子たちが、子孫を繁栄させ、全国各地に散って言った様子が、(三)伊耶那岐命と伊耶那美命のところに描かれています。
それが「国生み」神話で、なぜそのように言えるかというと、生んだ国々に、なぜか別名として男女の名前が書かれているからです。

次のようになっています。

 ***

一 淡路島(別名)狭別島二 四国(別名)伊予(いよ)二名島(ふたなしま)
  伊予の国 (別名)愛比売(えひめ)
  讃岐の国 (別名)飯依比古(いいよりひこ)
  阿波の国 (別名)大宜都比売(おおげつひめ)
  土佐の国 (別名)建依別(たけよりわけ)
三 隠岐(おき)の三子之島(みつこのしま)
       (別名)天之忍許呂別(あめのおしころわけ)
四 筑紫島(九州)
  筑紫の国     (別名)白日別(しらひわけ)
  豊の国(とよくに)(別名)豊日別(とよひわけ)
  肥の国(ひのくに)(別名)建日向日豊久士比泥別
           (たけひむかひとよくにひねわけ)
  熊曽(くまそ)の国(別名)建日別(たけひわけ)
五 壱岐島      (別名)天比登都柱(あめひとつはしら)
六 対馬        (別名)天之狭手依比売(あめのさてよりひめ)
七 佐渡島
八 大倭豊秋津島(おおやまとあきつしま=本州)
       (別名)天御虚空豊秋津根別
        (あめつみそらとよあきつねわけ)
九  吉備児島 (別名)建日方別
十  小豆島  (別名)大野手比売(おほのでひめ)
十一 大島   (別名)大多麻流別(おほたまるわけ)
十二 女島   (別名)天一根(あめひとつね)
十三 知訶島  (別名)天之忍男(あめのおしを)
十四 両児島  (別名)天両屋(あめふたや)

 ***

各島の別名として、愛比売(えひめ)とか、飯依比古(いいよりひこ)などのように、男女の名前が描かれているわけです。
なぜこのような記述がなされているのでしょうか。

おそらくは、イザナキ、イザナミの子孫たちが繁栄し、子孫の数が増えてきたとき、その地へと旅立っていって、それぞれの地に住むようになったか、あるいは、それらの地にいる豪族の子女と結婚したか。
いずれにせよ、こうして日本中が親族共同体となるわけです。

そして『宋書倭人伝』ですと、なんだかいかにも征伐し征服したかのような記述になっていますけれど、実は大国主神神話のところでは、大国主神があらためて、それら諸国と縁戚関係を結ぶことで、出雲一国の王であった大国主神が、大いなる国の主となっていった様子が、沼河比売と結ばれたり、それに対して須勢理毘売がヤキモチを焼いたりというところに描かれています。
つまり、争いや戦乱ではなく、婚姻という極めて平和的な、戦いというより愛によって再び全国が統一された様子が描かれています。

こうして中つ国を統一した大国主神ですけれど、古事記は、その大国主神が、なぜ中つ国を統一する偉大な王になることができたのかを、まだオオナムチと呼ばれた若い日から書き起こして、さまざまな試練を経て、最後には偉大な大王となっていく様子を詳細に描くことで、書き表しています。

そこには、成長の物語があり、ロマンがあり、さまざまな教訓があり、何度読んでもあきない面白さがあります。

戦後生まれの私たちは、神話教育を受けていません。
またある程度日本神話をご存知の方であっても、神話をただのおとぎ話のように、いや、おとぎばなしですら、教訓がありますから、むしろ絵本の童話のようなものとしてしか、多くの人たちは認識していません。

これは実にもったいないことだと思います。
神話は日本の上古の昔からの言い伝えです。
神武天皇よりも古い言い伝えです。
ということは、最低でも3千年以上も、生き残っている物語です。

いま書店さんに行くと、たくさんの現代小説が売られています。
果たして3千年後に読まれ続ける小説は、その中に何冊あるでしょうか。
そう考えると、神話の持っている力というか、そこに込められた何かを探り、知ることは、とっても貴重なことに思えます。
しかもそれは、私たちの祖先の物語なのです。

昨年来、倭塾では、この神話について。
「ねずさんの百人一首」では、百人一首の歌のお話の塾を、毎月開催させていたいだいています。
お時間がございましたら、みなさまも、是非お越しください^^

お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

junn

No title

愛信

有識者メンバー、政府系会議の常連ぞろい
有識者メンバー、政府系会議の常連ぞろい
https://twitter.com/karyn_poupee/status/779498269189693440

この者達には日本民族の根幹をなす皇室について議論する資質があるとは考えられない。
 支な朝鮮に支配されている反日売国テレビ局・マスコミのTBS,やフジテレビのアホな論調で
皇室の権威を貶めることは許しては成らない。 弐歩民族を愚弄する安倍晋三氏の委員選定に強く抗議する。
詳細は
【マスコミ隠蔽の掲示板】最新版
http://www.aixin.jp/axbbs/kzsj/kzsj4.cgi
【マスコミ隠蔽のタイトル一覧】最新版はこちらをクリックして下さい。

だいだい

以前、一総理の方が講演会にて神の国と発言されたことを思い出します。

そのときは理解に苦しみましたが、もしかしたらこの神話からとすれば合点がしました。

国を治める祖先の苦労や教訓が詰まったのが神話だとすれば、その記憶が遠ざかってしまえば、易々と異国からの侵略を許して諦めてしまう心情に陥ってしまう。

個人的には、ねず先生の悲痛な心の叫び声が伝わってくると思いました。

国民誰もが身分を問わず共通した長い歴史認識がある日本国に戻らなければ。

先人の長い歴史の産みの苦しみに匹敵するほどの歴史認識を再び私達が作りあげていけるでしょうか?

人が止むに止まれず喧嘩をする場合、必ず原因があります。そして、大きな喧嘩になればなるほど忘れないものです。

国も個人も同様に、先人が残したこの祖国を奪われることがないように歴史認識を持ち維持していくことを強く希望します。

そして、私自身も平和な祖国に奉仕する誇りを抱き、そのありがたみを周りの家族や知り合いと分け合っていきたいと思います。

拙文が長くなりました。

最後に、祖国を愛せなくて何故世界の国々と仲よく暮らしていけるでしょうか?

失礼します。

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あるいは、Facebookに戸籍と違うと言った人が、なぜ小名木さんの戸籍を知っているというのでしょうか?

悪意のあるFacebookへの連絡者には、Facebook身元を明らかにしてもらい、何らかの対応をとった方がよいのではないでしょうか。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
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