月末なので本のご紹介



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20161129 読書
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よく、どんな本を読んでいるのですかと聞かれるのですが、乱読です(笑)。
特に特定の分野を決めて読んでいるわけではありません。
サラリーマンの頃は、月に最低でも20冊は読んでいたのですが、最近は、読書の数は激減しました。
それでも、何かを得ることができる本に出会うと、やはりそこには喜びがあるものです。
そこで、これから月末には毎月、その月のまとめとして、当月に読ませていただいた本のうち、感動のあった本を、ご紹介していこうと思います。
今月は三冊です。

1 『人を動かすリーダーの条件』岩渕秀樹著、KKロングセラーズ
2 『群青の墓標』横家伸一著、文芸社
3 『自由と愛国のマーチ』山口采希著、かざひの文庫

 ***

『人を動かすリーダーの条件』
岩渕秀樹著、KKロングセラーズ


海上自衛隊の海将補を勤められた岩渕秀樹さんのご著書です。
岩渕さんは、護衛艦隊旗艦艦長やイージス艦などの指揮官を勤められた経験を活かし、定年退官後は企業などにおける人材教育のための会社の役員として、あるいは子供の未来を拓く塾の運営などをされながら、活躍されている人です。

その岩渕さんは、昨今の日本の民間企業の組織の荒廃ぶりに警鐘を発します。
たとえば、日本の企業で、部下が定時になると、
「お先に失礼します」
と言ってさっさと帰る。

もしこれが米国の会社であれば、その部下は、
「I’ll go back first ! 」
とボスに言うのでしょうか。
そのように言えば、ボスは間違いなく、
「明日から仕事に来なくて良い」
と言います。

上司から業務を与えられているのです。
仕事が終われば、
「本日の業務はここまで終わりました。
 これにて退社してよろしいでしょうか」
と、その日の業務報告を上司に行い、そのうえで上司から
「おつかれさん」と許可を得て、
「ありがとうございます。
 それではお先に失礼します」
と挨拶して帰る。

その一連の流れが確立されて、はじめて、組織が機能していくということを書いておいでになります。
そうでなければ、ただの時間給奴隷です。
時間になった。帰る。「お先に〜」
昨今の日本では、よくみかける光景です。
けれど、仕事はどこに行ったのでしょうか?

20161026 倭塾バナー


【倭塾】(江東区文化センター)
〒135-0016 東京都江東区東陽4丁目11−3
第35回 2016/12/24(土)13:30〜16:30 第4/5研修室
第36回 2017/1/14(土)13:30〜16:30 第4/5研修室
第37回 2017/2/26(日)13:30〜16:30 第4/5研修室

【百人一首塾】(江東区文化センター)
〒135-0016 東京都江東区東陽4丁目11−3
第 9回 2016/11/24(木)18:30〜20:30 第三研修室
第10回 2016/12/8(木)18:30〜20:30 第三研修室
第11回 2017/1/19(木)18:30〜20:30 第三研修室
第12回 2017/2/ 9(木)18:30〜20:30 第三研修室

そういう基本姿勢がとれない部下について、これはこの本に書いて有ることではありませんが、江戸時代の基礎教育の要となった『童子教』は、厳しく戒めています。
 畜悪弟子者 悪しき弟子を畜(やしな)へば
 師弟堕地獄 師弟地獄に堕(を)ちる

組織は、チームです。
そのチームに異物を認めれば、チームは破壊します。
全員で一丸となってバレーボールをやっているのに、
「私はサッカーがしたいの!」
と言い張る者がいれば、排除するしかないのです。
それが組織です。

この本にあったことですが、昨今の日本の企業では、入社同期を「ライバル」として競争させる間違いも指摘されていました。
本来、同期は団結を図るものであって、張り合うものではありません。
組織において、どっちが上かは、指揮命令の上下のラインにもとづきますけれど、同時に良い意味での横の連帯が図られていなければ、互いの意思の疎通を欠き、これは組織に重大な危険を招くことになりかねません。

ここから得た感想ですが、たとえば日韓関係について、たとえばスポーツなどにおいてさえ、日本のメディアは日韓を「永遠のライバル」などと表現したりします。
もうそこから間違っているのです。
そもそもライバルなんて日本語は、かつては存在しなかったし、日本語にないから、仕方がないから、「Rival」をそのままカタカナ外来語として使っているのです。
だからいつも日本は、親善試合をもちかけます。
ちなみに、明治以来の官僚用語で、親善というのは同盟国に、友好は敵対国に対して使う言葉です。
だから日中は、いつも日中友好です。

話を戻します。
岩渕さんは、旧日本海軍以来の伝統の日本的組織にある、仲間意識、連帯責任を育むことを中心に、本当の意味で「人を育てる」とは、あるいは「役立つ人材」とは何かを、この本の中で、述べておいでになります。
私など、サラリーマン時代は「組織の異端児」みたいに言われていたので、この本を読んで、いまさらながら現職時代の自分の至らなさを痛感させられました。

若い世代、現職世代の方々に、経営者、管理職、平社員の別なく、是非、お読みいただきたい本だと思います。



『群青の墓標』
横家伸一著、文芸社

最後の沖縄県官撰知事であった島田叡(しまだ あきら)を主人公にした小説です。
横家さんのお話では、この本を書くにあたって、ねずブロの
「沖縄の二人の知事・・・泉守紀と島田叡」
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-809.html</u>">http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-809.html
「命をかけて守る 荒井退造」
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1069.html</u>">http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1069.html
を、何度も読み返していただいたのだそうです。
拙記事が、こうして素晴らしい著者と出会い、小説として新たな展開を見せてくれたことは、本当にありがたいことと思います。
また、そのことを隠そうともせずに、私にお話くださった横家さんの度量の広さにも感動しました。
そうでないある人は、名刺交換をした際に、逃げるようにして去られましたから(笑)

さて、島田知事は死ぬとわかっていて沖縄県知事を引き受けた人です。
そして最後の最期まで沖縄県民の命を守ろうと、牛島中将らとともに在られた人です。
軍人は最後の最期まで、銃で戦います。
島田知事は、軍人ではありませんから、銃は持ちません。
けれど彼が、どこまでも県民の命を守るために行った行動は、まさに戦いそのものといえます。

荒井警察部長もまた、最期の瞬間まで、知事らとともに、ひとりでも多くの沖縄県民の命を守ろうと、辛い仕事を必死になって遂行された、素晴らしい警察部長です。
そしてこのお二人が、ここで極限に生きる人として、その雄姿がいきいきと活写されています。

連日猛爆に晒され、刀折れ、矢尽き、食べるものも水さえもない。
篭った塹壕の中は、屍体と血と糞尿の匂いが充満している。
痛い、苦しいといううめき声が後を絶たない。
死んだほうが、よっぽど楽。
誰もが、そうとしか思えない過酷な環境の中で、最後まで「知事と行動をともにしたい」と願い出た嘉数秘書官と警固の巡査部長に、島田は次のように言います。

「君たちはまだ若い。
 戦争が終わった沖縄のために
 もう一花も二花もさかさなあかんのや。
 決して死ぬんじゃない。
 強く生き抜くんや」

島田知事は、関西弁です。沖縄の人じゃない。
けれど島田知事は、同じ日本人として、同じ同胞として、責任者として、島田知事は、最期の瞬間まで、地元の沖縄県民の命を最優先に生き抜きました。

昭和20年6月25日、荒井退造警察部長の命がもう長くないと悟った島田知事は、荒井部長に、せめて死ぬときくらいうまい空気を吸わせてやろうと、我が身の危険を顧みず、荒井を背負って軍医部壕を出ます。
もう誰も止める者もいません。
荒井を背負い、小さな浜辺に降り立った島田は、荒井を横たわらせ、波の音をきかせました。
「荒井君、打ち寄せる波の音が聞こえるか。
 きれいな満月が見えるやろ」
 もうすぐ筑波山が見える。
 君が生まれた清原村(栃木県)に帰れるでえ」
島田の声が聞こえたのが、荒井の目尻から一筋の涙がこぼれる。
荒井は、前知事や内政部長のように、戦争になる前に逃げ出す機会もあったろうに、馬鹿正直に仕事に打ち込んだ結果がこの始末です。
荒井自身は納得ずくでも、家族には諦めきれないものが残る。
けれど、荒井の家族だからこそ、殉職した夫を、父を誇りに思うことだろう。
「荒井君、長いことご苦労さんやったなあ。
 ありがとう。
 まっすぐ、故郷の栃木に帰るんやで」

島田知事に、当時の安倍源基内務大臣は、島田知事を
「其ノ志、其ノ行動、真ニ官吏ノ亀鑑ト謂フベシ」
と讃え、我が国行政史上初となる内務大臣賞詞と顕功賞を贈りました。

沖縄戦がどのようなものであったのか。
そしてその激戦の中で、人々がどのように生きたのか。
この本は、特に、若い世代の方、あるいは沖縄問題に関心のある方にお読みいただきたい本です。



『自由と愛国のマーチ』
山口采希著、かざひの文庫

山口采希さんは、教育勅語や五箇条の御誓文などを曲にして歌っている女性歌手です。
この本は、その山口采希さんの初のエッセイ本です。

何が感動したって、この采希さんの、語り口です。
たとえば、
「私たちの国の歩みを知るということは、
 難しい勉強じゃなくて、
 迷子になりそうな時の
 心の地図を得るということ」

歴史とは何か、歴史を学ぶとは等々、むつかしい理論で語られる方は多いですけれど、山口さんのすごいところは、そこに山口さんなりの解釈を入れて、きわめてオリジナルに、わかりやすく、平易な言葉で、誰にもなっとくできるように、明るく笑顔で、語られるという点です。

これはもう、天賦の才としか言いようがないと思います。

是非、ご一読を。
お子さんや、お孫さんにも、気楽に読んでいただける本として、お勧めです。



お読みいただき、ありがとうございました。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

junn

No title
【日教組】性モラルの崩壊で日本を滅ぼす!
http://ameblo.jp/ganbaredameomajide/entry-11947054493.html

-

No title
▀▅▀▅漢族人脈の主要国権力層への侵透▀▅▀▅
以下の例のように、漢族の主要国の権力層との人脈形成
が、日本人とは比較にならないほど進展しています。

・トランプ周辺への侵透
メディア王マードックの前妻の漢族女性Wendi Dengは、
イバンカ夫妻と親密であり、彼女がイバンカのソーシャ
ルメディア記事に載ることがよくある。また、マードッ
クを通じてのクシュナーと英国元首相ブレアの仲介もあ
り、英政界とユダヤ人社会にも関係を持つ。イバンカの
長女のベビーシッターは漢族で、北京語教育の養育係で
もある。これはWendi Dengの工作の可能性がある。

・ユダヤ人社会への侵透
漢族とユダヤ人社会の親密さの最もいい例が、親漢族派
のキッシンジャーである。その他、Wendi Dengを介する
クシュナーとの関係や、フェースブック創設者のザッ
カーバーグの漢族妻もいい例である。トランプはクシュ
ナーを通じ、かなりユダヤ人社会とのしがらみがありそ
うで、キッシンジャーとの面会を考えると、トランプが
AIIB参加などの親漢族政策を打ち出しかねない。

・ロシア政界への侵透
満州の漢族人口が1億以上で、シベリアの人口が約600万
程度なので、人口圧力はかなり高く、すでにシベリアは、
漢族の人的かつ経済的影響力が侵透している。よって、
漢族依存のシベリア利権が存在し、既得権益化して、そ
れに依存する親漢族ロシア人も多数いる。彼らは、漢族
の意向に従って、対日強硬路線を取らざるを得ず、北方
領土問題解決の障害になっている。その例として、シベ
リア研究のロシアの某シンクタンクのアナリストが、ロ
シア政権の意向の説明の講演で、漢族の対日歴史観の代
弁を行い、内容は近平と全く同じ主張だった、と言うこ
とが挙げられる。さらに、Wendi Dengは、プーチンとは
顔見知りである。

・オーストラリア政界への侵透
ターンブル首相の息子は、漢族共産党党員の娘と結婚し
ている。また、ラッド元首相は、流暢な北京語を話し、
漢族政府関係者と会談する時は北京語で話すこともある。
長女の夫は、香港出身の漢族である。

以上のように、のこのこしていると、日本抜きの米露中
の日本包囲網ができます。

花田良春

新企画 期待しています
いつもながら、すばらしい記事を提供していただき有難うございました。

今回はあたらしい企画でしたが、素晴らしい内容で、とても感動しました。

1 『人を動かすリーダーの条件』岩渕秀樹著、KKロングセラーズ
「 組織において、どっちが上かは、指揮命令の上下のラインにもとづきますけれど、同時に良い意味での横の連帯が図られていなければ、互いの意思の疎通を欠き、これは組織に重大な危険を招くことになりかねません」

確かに、現在は縦系列は重視されていますが、横の連携(和)ということは忘れられています。日本人の本質を見失っているということかと思います。(私事ながら、42歳の次男が、独立して会社を経営しています。是非読ませたい本です)

2 『群青の墓標』横家伸一著、文芸社
敗戦後、日本軍隊と軍人は、これでもか、これでもかという叩かれ方をしてきました。
日本人としての誇りを取り戻すために、是非読んでみたいと思います。

3 『自由と愛国のマーチ』山口采希著、かざひの文庫
「山口采希さんは、教育勅語や五箇条の御誓文などを曲にして歌っている女性歌手です。」
ということでしたので、早速、インターネットで調べてみましたところ、日本の伝統をうたい続けていこうということのようです。
12歳までに、その国の神話を学ばなかった国は、確実に滅びると、ある英国の歴史学者が言ったとか。及ばずながら、日本の神話を、子供が歌えるような形で形にしたいという小生の目指すところと一致する、希望の星を見出すことが出来、嬉しく思います。

* 蛇足ながら、『人を動かすリーダーの条件』と『自由と愛国のマーチ』の2冊を早速発注しました。

これから毎月末が楽しみです。

ねづさん期待しています。 !!!

(82歳老翁)
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
むすび大学事務局
E-mail info@musubi-ac.com
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