日本人にとっての悪とは



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     20170226 古事記壱

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20170303 悪源太義平
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「悪」という字は、旧字では「惡」と書きます。
「惡」は、「亞」+「心」で成り立つ漢字です。
「亞」は、墓室を上から見下ろした象形です。
「心」は生きている心臓です。
つまりこの字は、もともと「墓室の下に生きた心臓がある様子」の象形です。
生きたまま墓室に入れられているのです。
これほどの不幸はない。
だから「悪」です。

Chinaでは、古い昔から漢字が使われていました。
ところが実は、その字の「読み方」は、時代によっても地域によっても様々です。
だから漢字には、呉音・漢音・唐音、宋音・朝鮮音・客家音・上海音・中古音・北京音・慣用音など、様々な読み方があります。
「大」であれば、呉音なら「ダイ」、漢音なら「タイ」、唐音なら「タアア」、客家音なら「ツァイ」、上海音なら「ドュ」、北京音なら「タァ」です。
読み方はバラバラなのです。

読み方がバラバラなのに、どうして漢字が共通文字になたかというと、漢字はもともとが象形文字ですから、言葉が通じなくても、文字で相互の意思の疎通ができたからです。
その漢字によって古い昔に四書五経が書かれ、いわゆる支配階層の人たちはこの四書五経を学びました。
ですから、一語一語の「読み方」が、地域や時代によって異なっていても、文字によって意思の疎通が図れたのです。
これが漢字の特徴です。
漢字は、いってみれば「♂・♀」の記号と同じです。
各国によって「読み方」が違っていても、記号を見れば「男・女」とわかる。

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一方、日本語は、一音一音に意味のある言語です。
たとえば「うみ」なら、「う」は迂や宇と同じで、だだっぴろいこと、広大なことを意味する音です。
「み」は「水」です。
ですから、
「う」=広くて広大な
「み」=水
との組み合わせが「海」です。
そうなると淡水をたたえた広くて広大な水を区別しなければならないので、「みずーうみ」という言葉が成り立っています。

つまり日本は、音の組み合わせで言葉に意味を持たせる言語の国でありながら、そこにあとから記号としての文字である漢字を輸入して採り入れたのです。
そしてそのために、日本語に近い意味を持つ漢字に、大和言葉の読みを与えました。
これが訓読みです。

ところがそのために、漢字には漢字が意図していない意味が重ねられるケースが生まれました。
たとえば冒頭の「悪」なら、
 音読み=「アク、オ」です。
 訓読み=「わる、あし、にくむ」です。

日本語の「わる」は、
「わ」が和とか輪のことで、
「る」は放射や拡散を意味します。
日本人はもともと和を大切にする民族ですから、その「わ」が破られることが「わる」だという認識です。

その「わる」が、漢字ならば墓室の中に生き埋めにされてしまう不幸と同じだということで、「わる」という日本語に、「悪」という漢字が当てられました。

ところが現代人の私たちは、まさに「わる」という意味だけで用いますが、古い時代には、たとえば「悪源太義平」というように、悪という字が悪い意味ではなくて、良い意味に用いられることがあります。
この場合の「悪」は、元気の良い、力強い、剽悍なといった意味です。

なぜそうなるかというと、漢字に音読みと訓読みがあるためです。
「悪」の音読みは「アク」ですが、大和言葉で「あく」といえば、「あ」が中心、「く」が集まることですから、様々なものが中心点に集り、そこに力が湧いてくるという、良い意味になります。
つまり元来の日本語の「あく」は、力強いとか、剽悍であるといった良い意味、
漢字の「悪」は、よろしくない意味。
たまたま「あく」と「悪(アク)」は、音(よみ)が同じですから、「悪」が力強いとか、剽悍なといった意味に用いられてしまっているわけです。

日本人は古来、力強くて剽悍なモノやヒトが大好きです。
なぜならそれは「悪(あく)」だからです。

一方日本人は、モノを神様からの授かりものとして大事にします。
ですから、それを「割る→わる→悪」ことは好みません。
なぜならそれは「悪(わる)」だからです。

たとえば最初のうちは、女性でありながら上にいる人達をビシビシと舌鋒鋭く攻撃する美人議員や、同様に政府要人を攻撃的に追い詰める議員さんなどに、多くの日本人は力強さや剽悍さを感じて、「悪(あく)」としてこれを歓迎します。
ところが実際にそういう人が上に立ったとき人々に求められることは、ただ攻撃的なだけであったり剽悍であったりすることではなくて、人々をまとめ、物事を前向きに前進させる力です。
これを「わる」ことは、敬遠されます。
なぜなら日本人にとって、和を「割る」ことは「あしきこと」であり、「にくむ」べきことだからです。

国会を観ていると、民進党や共産党が、ただひたすら対立姿勢だけを全面に押し出して、空虚なパフォーマンスを繰り返しています。
しかし、ほとんどの日本人は、国会での対立など望んでいません。
むしろ、低次元なやり取りが延々と繰り返されている国会を観て、ただ呆れるばかりです。

国民が国会に望んでいるのは、誰もが安心して安全に豊かに暮らせるように、しっかりと国政を取り仕切っていただくことであって、議論のための議論や、アッキーナ事件などという、くだらないレッテル貼りや、何年に原子炉廃絶といった言葉の遊びではないのです。

実は、こうした議会における足の引っ張り合いは、いまに始まったことではありません。
戦前は、もっとひどいものがありました。
議会制民主主義のもとでは、議員にとって最大の関心事は、選挙に受かることです。
もちろん中には、政治家としての信念を貫くことを最大の人生の道と考える政治家(議員)もいます。
そういう議員こそ、まさに大物政治家といえるのですが、ほとんどの議員はそうはいきません。
まずは議員として生き残らなければ、政策も政治もないからです。

戦前は政友会と民政党という二大政党制となっていましたが、このため昭和10年代には日本社会全体が二大政党に別れていて、どこの県にも交番が2つあったのだと、これは倉山満先生から教えていただきました。
交番に、政友会系と民政党系があったのです。
また、当時の鉄道は、政友会系の人が鉄道大臣のときには駅名が全部右書き、民政党系に政権交代すると、それが全部左書きに変えられました。
当時の日本は、国をあげてそんなことばかりやっていたのです。

そしてその対立する議会が、予算の決定権を持っていました。
ですから民政党系の内閣であれば、政友会はその予算案に猛反発します。
予算が決まらなければ予算の執行ができませんから、国会は解散するか、内閣が総辞職するかしかありません。
こうなると、もはや外地で何が起ころうが、選挙に関係なければ議員たちはまったく相手にしなくなります。

昭和12年には、あの通州事件が起きました。
200名を越える日本人が、世界史上稀なる残虐な手口で虐殺されたけれど、政治は何も動かない。
何も動かないから、Chinaは事態をエスカレートさせ、内地に戻ろうと上海に集結した3万人以上の日本人を、第二の通州事件にしようとして始まったのが、第二次上海事件です。

当時の日本について「軍部の暴走」という人がいますが、軍はどこまでも政治の意思で動きます。
暴走どころか、何もできずに「腰の軍刀は竹光か!」と罵られていたのが、現実の姿でした。
要するに、政党抗争による政治の空白が生まれていたのです。

米国の場合、議会の上に大統領がいます。
大統領という政治的意思決定力を持った親分の下に、上院、下院という左右の組頭がいるわけです。

日本の場合、内閣総理大臣は議会政党の代表者にすぎず、その上にあられる天皇は政治権力を持ちません。
この、日本の伝統的価値観や社会の仕組みに、無理やり西洋の立憲君主制度を模倣し、あてはめようとした結果が、二大政党による政治の空白であり、相次ぐ戦争であったわけです。

日清戦争のときも、清国のあまりの蛮行に、当時の山県有朋内閣は、軍事費を増大させることで内需を刺激するとともに、清国からの脅威を取り除こうとする予算案を計上し、議会によってこれが否決されました。
それによって起こったのが、日清戦争です。

日露戦争のときも同様に、半島の有事に備えるために早々に軍事費の増大を図らなければならなかったものを、議会がこれを潰し、結果、日本は戦争に巻き込まれることになりました。

日華事変は上に述べた通りです。

会社の経営を、社員の人気投票で選んだ執行部が行ったらどうなるのでしょうか。
しかもその執行部が、二大政党となって、互いに足の引っ張り合いしかしないという情況になったら、その会社は一体どうなるのでしょうか。
会社が社員たち全員の運命共同体であり、世界中の企業との激しい競争に常にさらされているのと同様に、国もまた、国民の運命共同体であり、世界の国々との激しい競争にさらされているのです。

そのことに思いをいたすとき、もともとの日本にあった和を大切にするということ。
その和とは、輪であり、輪には必ず中心点があること。
その中心点とは、神々でいえば、天之御中主神であり、また天照大御神であり、国においては天皇であり、これらを国の中心において、まずは国民がまとまっていく。
これをシラスといいます。

そしてそのシラスなかに、太政大臣や将軍などのウシハク統治者を置き、権力者は同時に責任をしっかりともって正邪の識別をしっかりと担って政治にあたるという社会体制を築いてきたのが日本です。
日本人にとって「悪」とは何か。
このことを追求していくと、総理にアッキード事件とレッテルを張ったり、闇雲に「おかしい」とか「あやしい」を連呼するような連中こそが、「悪」であることがわかります。

日本を取り戻すために必要なことは、日本の歴史伝統文化をいちどしっかりと再認識し、その上で、現状の問題点、将来発生しそうな問題点を踏まえて、しっかりとした未来を築いていくということであろうと思います。
単に場当たり的な、「問題だ、問題だ」と対処療法ばかりを議論しても、おそらくは何も変わらない。
むしろ、既存の体制の中での利得者たちから、ただ叩かれるだけで、何も決めることができないということが実際のところであるように思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

猫めでる婆

やるときはやる、何が何でも、だから日本人。
本日再度、我が県にオスプレイが三機飛来し、いよいよ北朝鮮の挑発に対するデモンストレーションかなと田舎のお婆にも理解できました。
当該オスプレイ機の果たす役割は一般市民には理解できないというか教えてもらえないでしょうが、大変心強く、ありがたく思い、手を合わせたい気持ちでけたたましい爆音を聞きました。
日本国を守ってくださってありがとうございます。
当地は田舎なため、静寂を破られると何があったんだと大騒ぎになるはずですが、そのような苦情等は今のところありません。
ただNHKが大騒ぎをしました。
日本国を守るために離発着するアメリカ軍の戦闘機等が五月蠅いとかおっしゃる国境の島々の方々に申し上げたいです。
本州も覚悟を決めていますので、死なばもろともでございます。

-

No title
▅▀▅▀原子力潜水艦保有▀▅▀▅
対弾道ミサイル用陸上配備型イージスシステムを設置し
ても、それらは対潜水艦用ではないので、北鮮のSLBM実
用化が現実味を帯びている今、潜水艦対策の重要性が増
しています。その最有力な策が原子力潜水艦保有で、最
低4隻必要のようです。しかし、完全仕様のものはアメリ
カからの供与はほぼ不可能で、自主開発には時間がかか
りすぎます。そこで、発電部分に東芝の液体ナトリウム
を冷却材とする新型小型炉4Sのようなものを利用する、
通常動力の電池潜水艦が、コストと開発期間に関し有望
です。

4Sは、簡単に緊急停止でき、装填されている核燃料が少
量で、安全基準の目安の敷地境界距離が半径20メートル
のようで、安全性が高いそうです。

junn

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デンマークと和歌山の交流
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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