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天忍穂耳命

(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています)仕事をする上で大切なことは「報告、連絡、相談」といわれています。
「ホウレンソウ」という言葉で、これが代表されます。
「報告(ホウ)・連絡(レン)・相談(ソウ)」です。
この3つを、ひとつにまとめたら、やっぱりいちばん重要なことは「報告」であろうかと思います。
実は、現代用語には、「報告」に代わる言葉がありません。
というより、現代人は、報告以外に方法を知りません。
ところが大和言葉は「報告」以上に大切なこととして、
「復奏(かへりごと)」という言葉を用いています。
この「復奏」という言葉は、戦後、神話教育がなくなったせいで、完全に死語になっている言葉です。
ところがかつての日本では、この「復奏」ということを、「報告」以上に大切にしていたし、その大切さが幼年時代に教えられていたし、大切なこととして社会常識化もしていたのです。
そして現代の実社会においても、実はこの「復奏」が、言葉は失われているけれど大切なこととして、事実上運用され、実施されています。
ただ残念なことに、私たち戦後世代は、「復奏」という言葉が失われることによって、その大切さを理解せず、多くの場合、これが単なる通過儀礼のようにしか認識されていません。
そしてそのために、多くのビジネスマンが、その地位を失ったり、組織の中で、信頼や信用を失ったりしています。
古事記は、その「復奏(かへりごと)」の重要性について、これを物語というカタチで、誰にでもわかりやすく教えてくれています。
気がつけば、誰にでも理解できる、重要なことです。
なぜなら、人は、人の間で生きているからです。
実はこういうところに、古事記の凄みがあります。
古事記は、何千年にもわたって蓄積された我が国の文化や伝統の大切さの意義を、物語のカタチで、失われた未来においても、これを復元させる書き方をしているのです。
原文ですと、わりと短い部位なのですが、私達現代人には、説明がないとわかりにくくなっている部分でもありますので、4回に分けて、このことを書いてみたいと思います。
実社会で生きるビジネスマンにとっても、あるいはたいせつな家庭等においても、きっと役立つお話になろうかと思います。
というより、もし自分が、このことを学生時代にでもちゃんと知っていたら、たぶん自分のサラリーマン生活は、きっと全然違ったものになっただろうなあ、と思いました。
これを知らなかったために、どれだけ人生を遠回りしたか。。。。
実はいま、友人がイスラエルに行っているのですが、その友人が、イスラエルのビジネスマンたちが、まさにこの「復奏」を知って、世界のビジネスの舞台で活き活きと活躍していることを教えてくれました。
「復奏(かへりごと)」があるかないかで、人間関係もビジネスも、劇的に活性化するし円滑になるのです。
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このことの重要性を語っているのが、古事記の神話にある「葦原の中つ国の平定」の物語です。
はじめに、そのあらましを述べてみたいと思います。
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1 葦原の中つ国の平定のあらまし
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天照大御神が、「豊葦原(とよあしはら)の千秋長五百秋(ちいほあき)の水穂国(みずほのくに)は、我が御子(みこ)の天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)の知らす国ぞ」と仰せになり、その天忍穂耳命が、天の浮橋まで行くわけです。
ところが天忍穂耳命は、「下界はひどく騒々しい」と仰せになって、高天原に帰ってしまわれます。
そこで、高木神や八百万の神々が相談して、先にまず天菩日神(あめのほひのかみ)を下界に遣わします。
けれど三年経っても「復奏」しない。
やむなく神々は、続いて天若日子(あめのわかひこ)を下界に遣わします。
ところが天若日子は、大国主神の娘の下照比売(したてるひめ)と結婚し、8年経っても「復奏」しない。
そこでキジを天若日子のもとに遣わして、どうなっているのか問わせようとするのですが、そのキジが天若日子の家の前に着いたところを、天佐具売(あめのさぐめ)が、その鳴き声がよろしくないから射殺すべきと天若日子に奏上し、天若日子は、そのキジを矢で射殺してしまいます。
ところがその矢はキジを射殺したあと、高天原まで射上がり、高木神は「もし天若日子が、命(みこと)を誤(あやま)たず悪しき神を射た矢がきたのなら天若日子にあたるな。もし邪心が有るならば、この矢は天若日子にあたれ」と言って、矢を地上に戻します。
すると矢は、天若日子の胸に刺さり、天若日子は死んでしまいます。
その後に天若日子の葬儀が行われ、そこにもまた感動の物語があります。
そして建御雷神(たけみかづちのかみ)が中つ国に派遣され、大国主神に国譲りを迫る、というのが、古事記に書かれたこの物語のあらましです。
この流れから、多くの解説書などが、
天忍穂耳命 = やる気ゼロ
天菩日神 = 寝返り
天若日子 = 裏切り
建御雷神 = 武神の凄み
などいった物語であると解釈し、説明しています。
ところが、古事記の原文に書かれた漢字を一字一字紐解いていくと、実は、もっと重要な事がここに描かれていることに、あらためて気付かされます。
そもそも古事記は、古事記が書かれた時点で伝わっていた神話の誤りをただし、我が国の正史として大切な物語を抽出して、これを国家の典教としようという「目的をもって」書いたものだと、その序文に書かれています。
しかも古事記は、天皇の命令によって編纂が開始され、まる30年かけて研究された成果が、天皇に提出されたものです。
つまり、そこに書かれた物語は、国家の典教としてふさわしい内容があるから、古事記に収蔵されているといえるのです。
そうとわかれば、天照大御神という最高神から直々に命令を受けた嫡子の天忍穂耳命が、天照大御神の命令でありながら、やる気がなくてほったらかしにしたとか、勅命をもって派遣された天菩日神がいとも簡単に寝返ったとか、あるいは天若日子がただの裏切り者だとか、それだけでは、あまりにも浅はかな読み方です。
もっと大切なことが書かれているのです。
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2 詔(の)らす、請(こ)はす、復奏(かへりごと)
────────────
まず天忍穂耳命ですが、「下界は騒々しいと告げた」というところは、原文では
於是、天忍穂耳命、於天浮橋多多志而詔之
「之千秋長五百秋之水穂国者、
伊多久佐夜芸弖有那理」
更還上、請于天照大神と書かれています。
読み下し文にすると次のようになります。
ここに天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)、
天浮橋(あめのうきはし)にたたして詔(の)らさく、
「豊葦原(とよあしはら)の
千秋長(ち)五百(いほ)秋(あき)の水穂国(みづほのくに)は、
伊多久佐夜芸弖(いたくさやぎて)ありなり」
更(さら)に還(かへ)り上(のぼ)り、
天照大神(あまてらすおほみかみ)に請(こ)はす。ここにある「伊多久佐夜芸弖(いたくさやぎて)あり」というのは、古い大和言葉で、「いたく騒々しい」といった意味です。
問題は、実はここに、
「詔(の)らす」と
「請(こ)はす」と二つの用語が用いられていることです。
天忍穂耳命は、まず「下界は騒々しい」と「詔(の)」らしたのです。
「詔」という字は、「言+刀+口」でできています。
そこからこの字は、「神秘の力を持つ刀」を捧げて、祝いの言葉を口で唱えて神招きするさまとなり、神を招いて行われる天子の「みことのり」を意味する字となったものです。
天忍穂耳命は、天照大御神の子です。まさに天子です。
その天子が、神々を招いて「みことのり」されたのです。
ということは、天忍穂耳命が「(下界は)いたく騒々しい」と告げた相手は、天忍穂耳命が招いた神々、つまり、天忍穂耳命が天の橋に降り立つ際に同行した部下の神々に対するものであるとわかります。
そしてこのあと天忍穂耳命は、高天原に「還り上っ」て、命令者である天照大御神に、「請(こ)はされた」のです。
「請」という字は、「言+青」でできていますが、青は澄み切った心を意味します。
澄み切った心で請い願うから「請」です。
つまり、天照大御神には、「請」が使われていることは、天忍穂耳命は、天照大御神に何かを請求したことになります。
その請求に基づき、古事記は続けて、
高御産巣日神(たかむすひのかみ)は、
天照大御神の命をもって
天の安河(やすのかわ)の河原に、
八百万神を集めて思金神(おもひかねのかみ)に思慮をつくさせた」(原文)
高御産巣日神・天照大御神之命以、
於天安河之河原、神集八百万神集而、
思金神令思と書いています。
天忍穂耳命は、高天原に還り上って、命令者である天照大御神に報告をし、そこで何かのお願いをしているわけです。
だから「請(こ)はす」です。
けれど、天照大御神は、命令者であっても、命令を下す権力者ではありません。
命令の名宛人であって、その命令責任は、命令を下す際の意思決定をした高御産巣日神(たかみむすひのかみ)です。
同時に高御産巣日神は、最高権威である天照大御神のために、最高権力者として政治的に具体的な対策を講じなけれなりません。
ですから八百万神を集めて思金神(おもひかねのかみ)に思慮をつくさせています。
高御産巣日神が招集した神々に、どのような思慮をつくさせたのかについて、古事記は次のように書いています。
この葦原の中つ国は、我が御子の知らす国ぞと言依せ賜える国です。
しかしこの国には、道速振(ちはやふ)る荒振(あらふ)る国つ神たちが
多数あります。
(ですから天忍穂耳命が地上界に行く前に、先に誰かを遣わすべきです)
そこでどの神を遣わしたら良いでしょうか。」
そこで思金神と八百万神々が協議して、
「天菩比神(あめほひのかみ)を遣わすのが良いでしょう」
と決めます。
ところが天菩比神を遣わしてみたけれど、大国主神に媚びへつらって、三年経っても「復奏(かへりごと)」をしてこなかった、と古事記は書いています。
ここで「復奏」という言葉が登場します。
さて、ここまでの流れの中で、
詔(の)らす (天子の部下へのお言葉)
請(こ)はす (清明な心で奏上する)
そして、
復奏(かへりごと)
という3つの言葉が出てきました。
では「復奏」とは、どのようなものでしょうか。
明日は、「天菩日神(あめのほひのかみ)」の行を通じて、その「復奏」について考えてみたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
「報告」だけではない、「復奏」という古事記に書かれた大事な観念とは
第一話
天忍穂耳命第二話
天菩日神第三話
天若日子第四話
下照比売
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「お詫びと訂正」
第一巻八十三ページに「これは千葉の常若神社の渡邊宮司から教えていただいた話なのですが、聖徳太子の十七条憲法の各条文は、それぞれ創成の神々の神名と関連付けて書かれているからこそ、十七条なのです」とありますが、私が教わったことは古事記と聖徳太子に関するお話であり、聖徳太子の十七条憲法と神々の神名との関連付けは教えていただいたことではなく、私の考えであると、渡邊宮司をはじめ、関係各位に深くお詫びして訂正いたします。
コメント
junn
http://gaia.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/2014-246d.html
2017/05/15 URL 編集
とおりすがり
<三浦さんの古事記学の骨子は何か。まず漢文(変体文字)で書かれた古事記を書き言葉ではなく語り物の世界としてとらえる。『口語訳古事記』の語り部は共同体の周縁に生きる老翁だ。都の辻(つじ)や村々をまわり物語を伝える乞食人(ホカイビト)のような集団もおり、語りには振り付けもあったことを、古事記のリズミカルな表現から類推する。
「平家物語の琵琶法師のように、物語は滅んだ者たちを鎮魂するためにも語られた。古事記には国土創成や国譲りの神話の枠組みで、スサノオやヤマトタケルやマヨワ王など、王権から疎外されて悲劇に終わる逸話が異様に多い。悲恋と戦い、大胆な性や汚穢(おわい)の描写、シンデレラストーリーや復讐譚(ふくしゅうたん)、誰が聞いても面白いゴシップや荒唐無稽(むけい)な物語世界が古事記には展開する。聞き手も貴族や後宮の女性たちだけでなく、民衆にもよく浸透していたと思う」
さらに古事記には日本書紀では大きく削られてしまった出雲を舞台とした神話の比重が大きい。大和朝廷の勢力圏だけではなく四、五世紀の日本列島には出雲という大きな勢力があったことが考古学の成果で分かっているという。>
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2013092502100045.html
乞食人
読み方:ホガイビト(hogaibito)
食物の恵与を受けて暮すこと。
別名 乞食(こじき)
http://www.weblio.jp/content/%E4%B9%9E%E9%A3%9F%E4%BA%BA
その昔、今とは違う意味で「乞食」と呼ばれる旅芸人のような人達が居て、その人達が超古代から「古事記」を語り継いだ?
そんなことをふと思いました。
2017/05/15 URL 編集