朝顔につるべ取られてもらひ水



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20170704 朝顔につるべ取られてもらひ水
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 7月17日(祝・月)18:30 CGS【ねずさんとふたりごと】公開収録
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 7月23日(日)14:00 第 1回 名古屋倭塾 公開講座(テーマ:古事記)
 7月27日(木)18:30 第17回 百人一首塾 公開講座
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 9月 2日(土)18:30 第18回 百人一首塾 公開講座
 9月17日(日)13:30 第43回 倭塾 公開講座
10月 1日(日)日心会『ねずさんと古事記』出版記念イベント
 *****

戦時中の日本の小学校である国民学校の小学6年生向けの国語教科書『初等科國語七』に、次の俳句が掲載されています。
一学期が終わりに近づくこの時期に、当時は学校でこんな俳句を習っていたわけです。

 ***
<国民学校『初等科國語七』>

十九「朝顔に」

 千代(ちよ)

 朝顔につるべ取られてもらひ水
 木から物のこぼるる音や秋の風
 何着ても美しうなる月見かな
 ころぶ人を笑うてころぶ雪見かな

 一茶(いつさ)

 雀の子そこのけそこのけお馬が通る
 やせ蛙まけるな一茶これにあり
 やれ打つなはへが手をする足をする

 ***

全部の俳句の意味の紹介は一昨年していますので、今回は割愛します。
加賀の千代女の最初の句「朝顔に・・」の歌だけ、ご紹介してみます。
(全部の句の紹介は↓コチラ↓)
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-2689.html



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千代女というのは、加賀千代女(かがのちよめ)のことで、江戸時代中期、18世紀の俳人です。
石川県白山市の出身で、素晴らしい俳人というだけでなく、日常生活においても人々から大変に尊敬された女性としても有名です。
女性俳人の代表とされ、名句をたくさん残していますけれど、ボクはひそかに「加賀の千代女は小式部内侍(こしきぶのないし)の生まれ変わりではないか」と思っています。
小式部内侍は、和泉式部の娘で、生前は母が偉大な歌人であったことから、たいへんなイジメに遭い、短い命を生きた女性です。
彼女は、和泉式部の娘として、最高の環境で和歌を学び、平和な江戸中期に生まれ変わって、俳人・加賀の千代女として充実した人生を長生きしたのではないか。
そんな気がしています。

 朝顔につるべ取られてもらひ水

冒頭にある絵は、歌川国芳が、この「朝顔につるべ取られてもらひ水」を絵にしたもので、まさに歌のイメージにぴったりの絵になっています。
「ある朝、
 井戸で水を汲もうとしたら、
 朝顔が釣瓶に
 つるを巻きつけていました。
 水を汲むには、
 その朝顔のツルを
 千切ってしまえば済むところ、
 そんなことをしたら
 なんだか健気な朝顔がかわいそうで、
 隣の家に水を貰いに行きました」
といった意味の句です。

わずか12文字の短い言葉の中に、朝の情景や朝顔の清々しさが浮かび、ツルを切らずに水をわざわざもらいに行く女性の、やさしい心が、心地よく伝わってくる名句です。
朝が出勤前の忙しい時間帯であることは、昔も今も変わりません。
そんな忙しい時間にあっても、小さなやさしい心遣いを忘れない。
健気な植物をおもいやる。
自然をたいせつにする。植物をたいせつにする。
そんな「思いやりの心」の美しさ、たいせつさを、この句はあざやかに描いているということができます。

日本文化というのは、この「思いやりの文化」です。
そしてこのことは、日本人を日本人たらしめる特徴でもあります。

その「思いやりの文化」がどこから、いつから始まったのかといえば、それは縄文の昔からとしか言いようがないと思います。
ただし、それが国の形として明確化されたのは、推古天皇から元明天皇へと続く、飛鳥天平から奈良への時代であったろうと想像しています。

なぜかというと、この時代に日本は、Chinaの文明文化と、日本の文明文化の違いを明確に認識し、日本の国柄をはっきりと固定化させるという選択をしているからです。

十七条憲法がそれですし、飛鳥浄御原令や、大宝律令がそれです。
とりわけ大宝律令では、刑法(律)の世界において、まさに日本的文化を明確に根付かせたということを、先日書かせて頂きました。
(参考)古い時代は遅れていたのか?
   http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3436.html

「日本は島国で海に守られたから独自の文化を形成し得た」
という意見は、私は、物事の本質を形骸しか見ようとしない偏った見方だと思っています。

そうではなくて、
「日本は天皇のもと、
 日本としての独自の文化を築こうとして
 官民をあげて努力を重ねてきたから、
 独自の日本文化を形成し得たのだ」
と思うのです。

そこでよく問題にされるのが、
1 古くからの日本を保持していく
2 グローバル化して進んで世界はひとつを目指す
という二つの課題の対立だと、よく言われます。
前者は保守主義とか、保守派と呼ばれ、後者はグローバリストと呼んだりするそうです。

私から見ると、
「はあ? 何いってんの?」です。
それが、
「対立の罠(Opposing trap)」
だと気付くことが大事だと思うのです。

何もなく平和に暮らしているところに、いかにも対立があるかのように言葉巧みに擦り寄る。
もともとそこには対立も争いもなかったのに、いかにもあるかのように演出する。
中身が何もないことだから、これは宗教論争と同じようなものになり、対立は理論ではなく感情になる。
そして対立が抜き差しならないものになる。

そもそもこの両者は、まるで150年前の幕末の尊皇攘夷か開国開明かの争いとまるで同じです。
平和に暮らしていた日本人が、外国人に乗せられて、気がつけば開国開明(佐幕派)、尊皇攘夷(薩長)であるかのような争いが演出され、双方に南北戦争で余って不要になった中古の武器が渡されて、両者が泥沼のような内戦をはじめ、勝った薩長がいつの間にか開国開明派となって、新政府をつくっていた・・・というのが幕末から戊辰戦争、明治新政府にかけての動きです。

幕府は大政奉還までしていたのに、そもそもこのような内戦の必要があったのか。
内戦を防ぎ、平和裏に開国開明をする方法は他になかったのか。
そういうことを、ひとりひとりがしっかりと考えることが、私は「歴史を学ぶ」ということであろうと思っています。
「歴史にIFは禁物」なのではなくて、「歴史こそIFが必要」です。

なぜなら歴史は、実際にあった史実を俯瞰して、そのヒストリーを明確化する学問だからです。
本能寺の変があった・・・これが史実です。
本能寺の変はなぜ起きたのか・・・これが歴史です。

「IF」が禁物なのは、考古学とか文献史学とかのことであって、これらには「IF」は禁物です。
しかし「歴史」は、いわば筋書きです。
そこから何を学び、何を得るかが大事です。

話が脱線しましたが、幕末に起きた内戦、それはまさに外国によってもたらされた「対立の罠(Opposing trap)」に、黄金を持つ日本がまんまとはまり、騙され、国内に感情的な対立を生み、志士たちが互いに殺し合いをはじめ、挙げ句の果てが国内を真っ二つに割った内戦まで始まってしまった。

保守主義とグローバル主義の対立というものが、まさに、これと同じトラップであるように、私には思えるのです。
だからそれらの主義を主張する人たちに、逆に伺いたいのです。
「国内で内戦をしたいのですか?」と。

そんなことを本気で希望している人は、異常者ではない、およそ普通の日本人なら皆無であると思います。
大切なことは、開国か鎖国かとか、保守かグローバルかということではなくて、いまある現実のなかから、いかにより良い、住みやすい未来を築いていくかにあるのではないかと思います。
左翼とか右翼とかが大事なのではなくて、みんなナカヨク(中翼)が大事なのです。

日本には、世界最古の国民国家としての歴史文化伝統があります。
そして世界の国々や諸民族にも、それぞれの国の歴史文化伝統があります。
両者は対立すべき問題ではなく、違いをむしろ楽しむべきものです。

日本人だから日本料理しか食べてはならない、というのでは、つまらないです。
タイ料理もあれば、中華料理もある。ロシア料理やルーマニア料理もある。
そうした諸外国の様々な料理を学び、東西を融合させて、より美味しい食べ物を考案し、楽しんでいく。
それを、ロシア料理しか食べてはいけない、食べるべきではないなどと言い出したら、ふつうなら絶対にその人は「頭のおかしい人だ」と言われます。
けれど、思想の分野では、まったくもってそういうことが言われ続け、対立があおられています。

私達日本人が様々な国の料理を「おいしい」と楽しむことができるのは、その基礎に、「より美味しいものを楽しんでいただきたい」と思う「思いやりの心」という日本的精神が根底にあるからです。
そうした日本的精神を大切に育むところに、諸外国の文化を日本風にアレンジして受け入れるという多文化共生があります。
つまり日本を大切に思う心や日本の歴史文化伝統が根底にしっかりと根づいているからこそ、異なる文化を受け入れることができるのです。

それを、日本を否定して外国を受け入れる、あるいは外国を否定して日本だけを受け入れるという狭いドグマに支配されるから、おかしな対立論になります。
日本が円を否定して、ドルやユーロを日本の通貨にすることが、果たして日本人にとって幸せなことでしょうか。
むしろ日本の円が強くなって、世界で円が受け入れられるくらいになることの方が、たいせつなことなのではないでしょうか。

同様に、私達が「朝顔につるべ取られてもらひ水」というような、小さな「思いやりの心」を大切にするという文化を失わず、むしろそれを育み、世界で通用する立派な思いやりのある国民になっていくことのほうが、よほど大切なことといえるのではないでしょうか。

吉田松陰は、日本が滅ぶ、日本が亡くなってしまうのではないかと心配する水戸藩の郷士、堀江克之助に、次の書を与えています。
「天照の神勅に、
  日嗣之隆興 天壞無窮
 と有之候所、
 神勅相違なければ
 日本は未だ亡びず、
 日本未だ亡びざれば、
 正気重て発生の時は必ずある也、
 只今の時勢に頓着するは
 神勅を疑の罪軽からざる也」

現代語すると次のようになります。
「天照大神の神勅には、
 天皇を頂点とする我が日本の興隆は天地に終わりなし
 とあります。
 日本がいまだ滅びていません。
 ならば、
 日本国が正気になるときは必ずやってきます。
 ただいまの時勢に翻弄されるのは
 天壌無窮の神勅を疑うということです。
 それは、決して軽くない罪です。」

お読みいただき、ありがとうございました。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

くすのきのこ

No title
こんにちは。明治維新は日本の歴史の必然だったでしょうねw
慶喜は・・失敗するのなら端から将軍にはなりたくない・・と父上に書いて
います。そしてカソリックのフランスを・・オランダではありませんよ・・
一時的な相棒に選んだ。カソリックとは、幕府が一番に忌避してきた宗派で
す。自覚があろうと無かろうと、幕府は国内から一掃しなければならない勢
力と心中したようなものですw慶喜は水戸学の土地で幼少時から過ごしてい
ますし、幕府は朝廷を牽制しつつもその基盤は尊王。・・あれ?信長にも似
ていますねww賢明だった慶喜は形式を整える役割を粛々とこなしていった。
外国勢力は、ある程度の日本国内の乱が起きて自分らの懐にカネが入るまで
煩く表に裏に干渉してきたでしょうから。それを呑み込んでいったのが日本
の武士階級の人々でしょう・・ある程度の内乱は必須だった・・だから全国
規模の動乱は起きない。徳川の家の勢いが落ちているのも気づいていたはず。
階級社会の限界は、貨幣経済の発達によって痛く感じていたでしょうから。
英国関係者とは家康の海外外交時代に、お互いに世話になってたりするわけ
です。それを薩摩は交戦の後に取り込んだ。この時点で波の方向は明瞭に。
どんなに惜しくても時代の波に逆らえば、かえって粉砕される。そんな中で
日本伝統の形式美を尊重した、慶喜を始めとする江戸末期の人々・・幕府側
も攘夷志士たちも・・美しい。無血開城は、数人の偉い人達によって成され
たわけではなく、日本庶民も含めた皆の無意識の総意であったでしょう。
明治政府は尊王攘夷を開国尊王攘夷に代えて外国勢力とバリバリ遣り合った。
日本の伝統・・何も言わず、何も聞かない、それでも形になっていく。尊王
攘夷は現在も奥の奥のところで続いています。言葉の力の届かぬところで。
人は生きるべきを生き、死ぬべきを死ぬ。政権もそれに伴う法も同様です。
その生成消滅の中で、神武天皇と同じY遺伝子の上の因子を保つ血筋を保っ
て生き抜いてきたのが皇室です。社会がどんなに変遷しようとも、皇室とい
う核の下に新しい政権の世が開くという形式美w多民族多文化共存で歴史を
綴ってきたという証である多神教の神官が御上。生成消滅とは言うが、以前
からの根があって芽をふいて興り、消えたように見えるけれども根を残す。
おお~きな見方をすれば不生不滅かもw



-

いつもありがとうございます。
思いやる心は、日本人の持っている
大きな特質の一つです。それは人間だけでなく、ねず先生の仰るように動物や植物にも思いやる心を持っています。 和歌は察する文化だという事ですが、察する=思いやる事と同じですね。 日本は口下手で外人みたいに 自己主張しないと言われますが、 そうじゃなくて、察する事ができる能力に長けているから、はっきり言わない事もあるのです。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
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E-mail info@musubi-ac.com
電話 072-807-7567
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