近年の初等国語教育への疑問



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あらゆる分野の教育の基礎になるのが、国語と算数といわれています。
なかでも国語教育は、そもそも教科書の記述が国語で書かれているわけですし、数学の応用問題に至る場合でも、まずは問題文への読解力がなければ、問題を解くことも叶いません。
ところが近年の国語教育は、文章の読解力を身につけるものではなく、小学生の児童たちに問題文への感想を書かせる、つまり問題文を評価させる方向に傾倒しているといわれています。
読んで全体を理解したり、筆者の意図を読み解くのではなく、文章の切れ端に反応して評価することが重んじられているというのです。



20170817 小学生
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 *****


先日ある先生から伺ったのですが、最近、小中学生の国語力が、極端に低下しているのだそうです。
これは文部科学省の小学校教育指導によるもので、国語教育において、子供たちに読解力をつけさせることよりも、感想を述べることに比重が置かれるようになったことが理由なのだそうです。

どういうことかというと、昔は、国語教育では、文字の読み書きもさりながら、読解力を付けさせることに比重が置かれていました。
ですから子供たちは、まず、教科書に書かれた文を理解し、その理解を助けるために文法や漢字を習いました。

文には必ず書かれた目的があります。
ですから国語教育は、子供たちが、その筆者の意図をいかに汲みとることができるようになるかが問われたのです。

ところが現代の初等・国語教育は、子供たちはすでにあらゆる知識を持って生まれてきているという仮説に基づいています。
ですから国語教育においても、その文を書いた筆者がどのような意図を持って書いたかよりも、そこに書かれたものについて、子供たちが何を感じるか、という視点が第一にされているわけです。

と、このように申し上げますと、「それはそれで良いのではないか」と思われるかもしれませんが、十分な読解力が育っていないうちに、「文から何を感じるか、どう思うか」と問われれば、いきおい子供たちは、その文の全体の趣旨ではなく、文章の一部や単語を切り取り、その切り取った部分を、自分目線で「評価」や「評論」をするようになります。





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早い話、たとえば、
「私は琵琶湖に行ったとき、その風景の美しさに感動し、ひとつの和歌を思い浮かべました」
という文章があったとすると、昔の教育なら、そもそも筆者はなぜ琵琶湖に行ったのか、琵琶湖の風景はどのような点が美しいのか、そこから感動する心とは何か、筆者はどのような和歌を思い浮かべたのだろうかといった、文意から様々な事柄を察しながら、洞察力や情緒性を養おうとし、そのために必要な文法力や読解力が育成されていたわけです。

ところが近年の初等教育では、読んで君はどう思うかに力点が置かれます。
すると、
「琵琶湖に行ったから感動したのではなく、そもそも行く前に調べるべきだったのではないか。
「何をもって美しい風景といえるのか、琵琶湖のどこが美しいのかが書かれていないからわからない」
「和歌を思い浮かべるという発想が古い。私なら映画のシーンを思い浮かべます。」
あるいは、
「感動したいなら、私はエグザイルのコンサートが良い」
「全体を見れば美しい風景でも、近くにはきっと虫が飛んでいてきも〜い」
「和歌を思い浮かべたのは気取っている。J-POPで良いじゃん」

要するに、文章の全体ではなく、文の部分を切り取って、その部分に反応するようになるわけです。
そして、それがいまどきの「国語力」になっているわけです。
つまり、児童たちが教科書や筆者の書いた文章を評価しているわけです。

なるほど考えてみれば、いまのテレビなどのメディアがそうです。
事件や事故の報道には、必ずコメンテーターの評論や評価が付属します。
視聴者は、その評論や評価を視て、それをまた評価し、感想を述べます。
腹が立つとか、納得できるとかです。
それを友達に話すと、その評価をまた、友が評価評論します。

政治関連なら、「総理がこのような発言をしました」という報道自体が、総理の見解の全体像ではなく、部分を切り取った形で行われます。
つまり報道そのものが、バイアスのかかった評価評論になっています。
そしてその報道を、コメンテーターたちが、口々に論評します。
論評には、オヒレハヒレががついて、総理の意向や発言の趣旨などどこへやら、全然別な意味の発言のように印象づけられます。
視聴者は、それを観て、また評論・評価しています。

いまの日本は、まるで「一億総評論社会」です。

そうなるしかないのです。
学校の初等教育自体がそのようになっているからです。

その結果、
<長文の読解力が育まれない>のです。
つまり、長い文章を読んでも、理解できない。
本来なら、読んで筆者の趣旨意向を理解し、その上で、自分の頭で考えるという順番になるはずが、読むこと自体が、評価評論するためになっているのです。
相手の意見そのものが理解できない。

国語教育は、すべての科目のもとになる基礎教育です。
はたして、そのような国語教育を受けたこれからの日本人が実社会や外国に出て、果たして通用するのでしょうか。

思うに、すべてではありませんが、テレビに出ている評論家やコメンテーターの多くが、普通の実社会では通用しない(真面目に働くことのできない)タイプの人たちのように思えます。
そのような人たちが、テレビに出て法外な出演料をもらい、日本社会のリードオフマンとなっていることが、果たして「神州ノ不滅ヲ信シ、任重クシテ道遠キヲ念ヒ、総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ、道義ヲ篤クシ、志操ヲ鞏クシ、誓テ国体ノ精華ヲ発揚」する人材群といえるのでしょうか。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

べこたろう

No title
評論家社会ですか…
私事ですが、私が学生時代、サークルで楽器をしてまして、その時のトレーナーの先生がプロ楽団を定年で引退した方でした。
その先生と酒飲みしてる時に言ってた言葉を思いだしました。
「評論家なんて基本、口ばかりで録なものじゃない」って意の事を述べてました。
確かに音楽の世界って、演奏家や作曲家として生きていける人なんてごく一部ですし、そもそも音楽に関わる仕事に関われるのかな?って状態のようですね。
そのなかで評論家してるって事は…と考えるとトレーナーの先生の言ってた意もわかるのです。
評論家の仕事なんて本来西洋の国王付きのピエロ位な立ち位置で良いはずが、何とか評論家(口は出すが手は出せない)が大手を振るってる今の日本、国語教育の劣化が一因なのか、国語教育を劣化させようとする連中の差し金なのかですね。

ネコ太郎

ペクチェ?
子供の社会の教科書を見て、びっくりしました。
昔の朝鮮半島の地図の解説で百済と書いて、「くだら」と併せて「ペクチェ」とルビが振ってあります。また新羅にも「しらぎ」と「シルラ」の併記があります。

「くだら」自体が当時の発音と解釈していたので、「ひゃくさい」と書くならまだしも、「ペクチェ」とは一体何なんでしょう。
現代の韓国語の発音を併記する意味があるのでしょうか?
そもそも韓国人に「百済」を読ませようとしても、読めないのが現実でしょうに。
恐るべき偏向教育です。

takechiyo1949

ねず先生
毎日勉強させて頂いてます。
海外に出ていつも感じますが、英語がどんなに達者でも、自国の文化や正史を理解していなければ『日本ってどんな国?』という質問にも答えることはできません。
日本の魅力を正しく伝えることで、相手国の文化も深く知ることができると熟々感じています。

モーリン

古典だって
 高校の国語から古典がなくなる話もあったそうで、日本語を正しく話、聞き、理解するということを軽く扱いすぎていると思う。1000年以上の歴史のあるこの国の文学や文芸を理解できないならば、それは文化も伝統も歴史も捨て去るに等しいと思う。表現できるかどうかというのは、中身を如何に伝えるかということで、いい文をたくさん読まねば身につかないだろう。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

《動画》「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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