まだ他にもいろいろあるのですが、実際のギリシャ神話は、親子兄弟の乱脈・乱倫と残虐、親殺し、子殺しという、ある意味非常に不道徳性に満ちた物語です。
逆にいえば、そういう物語が口伝で伝承されても違和感がないほどに、大陸の人々は厳しい自然環境の中で過ごしたであろうし、生き残るために必死であったということもできます。
他にも、大陸の馬賊に伝わる童話では、夫婦に子供がたくさんできたので、隣の家族の馬や羊を奪った。
このとき子供を殺すのがかわいそうだったので生かしておいたら、子供が長じて自分の家族が皆殺しにされた。
殺すときは皆殺しにするものだ、というものなどもあります。
そういえば、「開けゴマ」で有名なアラジンの物語は、盗賊から財宝を奪った盗賊アラジンの物語です。
盗賊団のボスが人々のヒーローであり、それが人々のアイデンディディを形成する根幹としての神話となっているわけです。
これに対し、日本の古事記には、不道徳や残忍な物語がまったくありません。
近現代にいたって、古事記には書かれていないような物語が、あたかも古事記に書かれているかのように語られたりしているものがあります。
ところがそれらは、古事記の原文にはまったく書かれていないものです。
なぜなら日本の神々の時代の物語は、「神話」ではないからです。
「神話」は、英語では「Myth(ミス)」といいます。
ギリシャ神話、ケルト神話など、ヨーロッパには民族ごとの古くからの神話がありますが、キリスト教の普及によって、それらはすべて「根拠のない作り話」とされました。
正しいのはキリスト教だけであって、聖書に書かれていない物語は、すべて「ただの説話や童話、作り話」でしかないとされたわけです。
ヨーロッパのおとぎ話には、精霊や妖精、魔女などが出てきますが、実はそれらは、大昔にはそれぞれの民族の神話の主人公たちであったわけです。
それが教会によって否定されることによって、それらはおとぎ話となりました。
これに対して日本の神代の時代の物語は、もともとは「神語(かむかたり)」と呼ばれました。
「神語」というのは、神々の時代の物語であるという意味です。
個々の家の祖先は、すこし家系の古い家なら、20〜25代くらいまで、ご先祖をさかのぼることができます。
お亡くなりになったご祖先を「仏様」といいます。
ところがそれ以上古いご祖先になると、どの家も全部家系がつながってしまいます。
ご先祖が「かぶって」しまうのです。
言いかえれば、25代を越えるご祖先は、すべての家系の共通のご祖先ということになります。
これを私たちの祖先は、ご先祖を上(かみ)に逆上った「神」と呼びました。
そしてその「神」たちの物語という意味で「神語」と呼ばれたわです。
つまり裏返しにいえば、私たち日本人にとっての「神語」は、日本人すべてに共通するご祖先の物語であるということになります。
そして我が国の天皇は、その「神語」の時代から続く、我が国でもっとも貴いお血筋ということが、国家最高権威におわすことの意味になっています。
そして日本は、そうした国家最高権威を戴(たい)することによって、極力無用な争いを避けてきました。
事実、近代にいたっても、ご皇室は朝鮮王一族や、女真族一族(満洲王一族)と縁戚関係をもち、隣国と争いのない歴史を築いておいでになります。
だから「日朝戦争」も、「日満戦争」も起こっていないのです。
これは仮にの話ですが、もし英米が植民地獲得に強欲を出さず、Chinaの極めて悪質な政治工作に加担せず、日本とともにChina・朝鮮・満洲の平和と安全、そして庶民の生活の向上のために力を貸してくれていたら、おそらく、いまごろ、東亜は大発展し、平和を愛する価値観は、世界に広がり、すくなくとも、戦後の歴史にあったようなChinaの大虐殺や韓国難民、ベトナム戦争、チベット虐殺、ウイグル問題など、まったく起こっていなかったであろうと思います。
なぜなら天皇の存在によって、社会の道徳的価値観が崩壊しないからです。
社会の道徳的価値観が崩壊したとき、いちばん困るのは、一般庶民です。
早い話、順番待ちで並んでいるときに、腕力のある者が平気で横入りしてきたら、誰もが気分を害します。
このような横入りを防ぐものは、警備員や警察の仕事ではなく、社会そのものが健全な価値観を共有しようとするところに根幹があります。
社会に歪みがあるところに、美しく真っ直ぐなものが入ってきたら、社会はどのようになるでしょうか。
むしろ、美しく真っ直ぐなものを除外しようとします。
それが現実です。
日本は、はるか古い時代からの「神語」を持つ、世界でも稀有な、そして世界で最も古い歴史を持った国です。
これからの未来を築いていく上においても、また日本を取り戻す上においても、私は「神語」の復活が引き金になるものと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント
takechiyo1949
神々は貴族?
人間は無知?
愛憎の世界?
神だから何をしても良い?
突っ込みどころ満載です。
我国のご先祖様の物語。
学び始めて十年に満ちません。
それでも神話と神語の違いは認識できていると思ってます。
古事記
万葉集
そして…日本書紀
ねず先生の弛み無いご尽力に着いて行くばかりです。
日本を取り戻したいですから。
2020/01/25 URL 編集
垂逸
旧紀宮様も現在では表に出ない生活をされておられます。女性皇族は結婚によって身分を剥奪されます。そのような待遇を改善することも考えずに、ご結婚の相手にまで文句をつける人々の頭の中を疑います。そもそもどのような代償があったにしても結婚相手を押し付けるようなことが合ってはなりません。秋篠宮殿下は非常に美しい規範を示されました。
今上陛下もご老齢で隠居を望まれていらっしゃいます。これは当然のことです。このブログで紹介された四方拝等の祭祀は天皇がお祀りするもので、摂政が代行することはできません。今上陛下はご自身ではそのような祭祀を行う体力が無いことと、摂政を置いたのではそのような祭祀が引き継がれないことをご心配になっておられるのです。
2017/09/06 URL 編集
神無月
このお話は、貴重な内容ですから、ひとりでも多くの方に読まれ、心構えを持つことは大切なことと思います。
「神語」の意味も判りました。
日本人の心のルーツに繋がる気がします。
仮にのお話ですが、ねずさんが思われる様に、平和なアジアになっていたかも知れませんね。そう思いますと残念な現実です。
個人的な思いですが、大東亜戦争は国家存亡の危機を脱するための戦いでしたが、結果として、東南アジアの植民地を解放する偉業を成し遂げました。しかし、自らは敗戦国として米国の元に下りました。
日本は負けたのですから、欧米は、失った植民地を取り戻すことも出来たのではないかと思うのです。
しかし、東京裁判で日本の戦争を侵略行為とし罰した為、欧米も再植民地化(侵略)をすることが出来なくなったと思うのです。
そう、考えますと、日本の敗戦も人類の進歩には大きな意味があったと思うのです。
世は、七難八苦を与えますが、人類の歴史を観れば、中世の奴隷制度や身分制度が当たり前の時代から、現代の人権擁護や平等化の流れは間違っているとは思えません。
人類も、少しずつ間違いを経験しながら進歩しているのでしょう。
今現在の人類の大問題は、富の一極集中なのかと思います。
シラスには、富の平等化も必要と感じるのは間違いでしょうか?
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2017/09/05 URL 編集
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神話の継承者である皇族の宮様が
一般人と婚約されるそうです。
旧皇族や武家の男性とお見合いするように回りは促さなかったのですかね。
恋は盲目というけど、皇族としての自覚が上回って欲しかったと想います。
2017/09/05 URL 編集