愛と喜びと幸せと美しさ



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日本書紀がどれほどまでに人の命を大切にし、民衆の幸せを念じて書かれているか。
だからこそ日本書紀は、永く我が国の国史の教科書とされてきたのです。
その日本書紀を軽く扱うことがどれだけ異常なことなのか、私たちはもう一度考え直してみなければならないのではないでしょうか。


20180115 愛と喜びと幸せと美しさ
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3月24日(土)13:30 第49回 倭塾公開講座
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 *****

せんだって、日本書紀のイザナキ・イザナミの国生みの神語をご紹介しました。
国生み部分についても、まだ全部終わっているわけではなくて、これから「一書曰」として提示された10書の国生みの記述の解読をすすめていかなけれななりません。
その意味では、まだ「序の口」にさしかかったばかりで、いま申し上げることではないのかもしれませんが、ただ、ここまでの日本書紀のほんのわずかな語りだけを読んでも、本当に日本書紀には「愛と慈しみ」があふれていると思うのです。
そしてそれこそが、神々の人類社会への思い(思いのことを日本書紀では「愛(おもひ)」とも書きます)そのものなのではないかと思います。

そもそもイザナキ、イザナミが生まれるまでの創生の神々の記述の大和言葉での読み解きでは、
 平地で苗を植え、
 草葺屋根の屋敷には
 麻を編む男女がいて
 そこで人々が豊かに暮らし
 誰もが大地に根ざした生活をし
 みんなの顔が笑顔に輝き、
 そこに伊弉諾尊(いさなきのみこと)と、
 伊弉冉尊(いさなみのみこと)が
 お生まれになった。
と、ここがすでにとてもあたたかな記述です。
喜びにあふれる生活そのものが描かれているからです。

そしてこのあと、イザナキ・イザナミが、天浮橋(あめのうきはし)に立たれてオノゴロ島を作られるのですが、そこでは、二神がオノゴロ島を作った理由を、日本書紀は「豈国(あにくに)」と書いています。
一般に古語辞典などをひくと、「あに〜や」というのは反語的表現であると説明されています。
しかし、日本書紀が書かれた時代には、漢字に決まった読みが与えられていたわけではなく、大和言葉の意味に近い漢字をいろいろと工夫しながら採り入れていた時代にあたります。
つまり、日本書紀は、もっと漢字そのものの意味というか原点に基づいて記述が進められているわけです。





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20180115 豈国


そのような視点に立って「豈」という字を解字すると、この字はもともと据え置き型の太鼓(上の図)を意味する象形文字です。
その据え置き型の太鼓は、軍隊の行進などに際して使う、いまの小太鼓のようなものとは違います。
喜びのときやお祭り、あるいは楽しい祭典などの際に用いられる太鼓です。
つまり誰もが笑顔になるお祝いの場、あるいは喜びのための神聖な儀式などに用いられたのです。

そして「国」というのは、いまでこそ国家を意味しますが、この時代には、いまでいう社会そのものを表す字でもあります。
そもそも社会という熟語自体が、英語の「Society(ソサエティ)」の翻訳語で幕末に造られた言葉です。
それまでは、社会=国でもあったわけです。

つまり日本書紀がいう「豈国」は、「喜びあふれる誰もが笑顔で楽しい社会」を意味します。
そしてイザナキ・イザナミの二神は、その「豈国」を求めてオノコロ島を造り、そこに降り立たれているわけですから、二神が、この世を造られた理由は、「喜びあふれる誰もが笑顔で楽しい社会」を築くためであったのだということが、日本書紀に書かれているわけです。
そしてこのことが、日本の原点ということになります。

そしてこのあとに、二神は、そのオノゴロ島で国生みをします。
最初に生まれた子が淡路島(日本書紀の記述は淡路洲)です。
この島の名前は、「あはぢ」だから、そのような名前にしたと書いています。
「あはぢ」は、大和言葉では「吾恥(あはぢ)」です。
つまり最初の子は、恥ずかしい子なのだから、次の子を成したのだと書いているわけです。

女性にとって、最初の出産は、とてもたいへんなことです。
もちろん二番目以降の出産もとてもたいへんなことですが、最初の子は、はじめて悪阻(つわり)を経験し、お腹が丸々と大きくなり、苦しい出産が行われるのです。
もちろん喜びもありますし、周囲の期待もあることでしょう。
けれど、その子が、赤子のうちに亡くなってしまうということが、昔はよくあったのです。

いまでも、初産で子供が亡くなり、そのショックで精神面で異常をきたしてしまう、それがすこしきつい言い方なら、悲しみのために何もできなくなってしまう女性は、多いものです。
それだけ出産は、たいへんなことだし、死産や、赤ちゃんの死亡はとてもつらいことなのです。

日本書紀の記述は、そのショックや辛さを、少しでも和らげることに、積極的に貢献しています。
「初産に何があったとしても、
 それは『吾恥』なことなのだから、
 がんばって次々と子を産みなさい。
 イザナキ・イザナミの二神だって
 そのようにして国生みをされたんだよ」
このことが、どれだけ多くの女性達を元気づけてきたのか。
すごいことだと思います。

そして古事記は、さらに5番目の子として「佐渡」をあげています。
その佐渡は「双子の島」だというのです。
そしてさらに続けて、
「世の中に双子があるのは、
 この神事がもとになっている」
と記述しているのです。

後年、あるいは東洋諸国において、儒教の影響から、双子は犬と同じ「一胎多産」だから、それは畜生腹であって縁起が悪いから、双子の片方は養子に出す(日本)、食べてしまう(Chi-na)などという扱いがされてきたことを考えると、なんと日本書紀は、愛にあふれているのだろうかと感心させられます。
日本書紀は、
「神様だって双子を生んでいるんだよ、
 それはとても素晴らしいことなのだよ」
と教えてくれているのです。
そしてその佐渡は、世界有数の金山となりました。

日本書紀がどれほどまでに人の命を大切にし、民衆の幸せを念じて書かれているか。
だからこそ日本書紀は、永く我が国の国史の教科書とされてきたのです。
その日本書紀を軽く扱うことがどれだけ異常なことなのか、私たちはもう一度考え直してみなければならないのではないでしょうか。

最近とみに思うのですが、私たち現代日本人は、日本書紀が書かれた8世紀、つまりいまから1300年前の人たちよりも、もしかしたら精神面とか文化面では、1300年オクレてしまっているのではないかという気がします。

畜生腹や、長男だけを可愛がるという風習は、Chinaから渡来した儒教文化です。
もちろん儒教に様々な學ぶ点は多々あります。
しかしそうした渡来文化は、同時にろくでもないものまで日本にもたらしたという側面もあるのです。

たとえば、そのChinaから、7〜10世紀頃の日本にもたらされた不老長寿の健康薬品があります。
最高級に調合されたものとされ、我が国では御皇室をはじめ、限られたごく一部の高級貴族しか口にすることはできない(と宣伝された)妙薬です。
もちろん、謳い文句は、Chinaの皇帝や神仙だけが口にする妙薬で、これを飲めばあらゆる難病から開放され、何千年も生きることができるとされた丸薬です。
今風に言えば「皇室御用達の漢方秘薬」です。

いまではその中身の成分がはっきりわかっています。
「水銀」です。
持統天皇など中世の天皇や貴族が御短命であられたのは、まさに唐の国から渡来したこの秘薬(水銀)の中毒であったといわれています。

漢字もまたしかりで、ほぼすべての漢字の成り立ちは、きわめて残酷なものです。
「教育」も、そのままChina式に読めば、「乳幼児をムチで叩いて肉を締めて食べる」という意味になります。
それを私たちの祖先は、大和言葉で「をしへ、はぐくむ」と訓読みしたのです。
「民主」も、そのままChina式に読めば、「主人が何もしないでその利を得るために民衆を盲目にして使役する」という意味になります。
大和言葉(訓読み)では、「たみがあるじ」です。
「たみ」とは、田で働くみんなのことです。

つまり、外国のものは「取捨選択して国風化する」ことによってはじめて真に役立つものとなるのです。
そして常にその国風化の根幹にあったのは、私たちの先祖の子孫への限りない愛だったのです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

KK

やまと言葉の重み
お疲れ様です。
普段何気なく書いている漢字ですが、一文字一文字が持つ意味、背景は本当に深く重みがあるものなのですね。
勉強になります!
そう思うと、一文字一文字噛み締めながら丁寧に書きたくなります。(今はワープロの時代ですが^^;)
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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