目的と手段



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手段を目的化するのは、おかしな議論です。
おかしなものを強制しようとすれば、それは教条主義になります。
けれどいまの日本には、あまりにもそれが蔓延しているようです。


20180205 目的と手段
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夫唱婦随とか男尊女卑とか男は仕事で女は家事等々を道徳観としてきわめて重要視される方が結構おいでになったりします。
そのように教わって育ってきたから、そうあるべきだ、とお考えのようなのですが、すこし違うように思うのです。

それだけでは、
「なんのために」
という目的感が欠けているからです。

日本書紀を読むと、たとえばイザナキとイザナミが天の浮橋に立たれてオノゴロ島を築くときに、その目的、つまり何のためにオノゴロ島を築いたのかが明確に書かれています。
「豈国(あにくに)」を築くためです。

「豈」という漢字は、愛やよろこびや幸せや美しさのときに打ち鳴らす「楽太鼓」と呼ばれる据え置き型の太鼓の象形です。
従って「豈国」というのは、「明るく楽しく喜びあふれる楽しい国」を意味します。
イザナキとイザナミは、そうしてできたオノゴロ島に降臨し、そこで国生み神生みを行ないます。
それらはすべて「喜びあふれる楽しい国」で「愛とよろこびと幸せと美しさ」を実現するためであったということが、この「豈国」という一語で示されています。
これが目的になります。

一説によれば、オノゴロ島とは地球のことなのだそうです。
そうであれば、神様が地球を造った目的は、「愛とよろこびと幸せと美しさ」を実現することにあることになります。
そしてその生みの果てに、人類が誕生しています。
人類もまた、「愛とよろこびと幸せと美しさ」を実現することが目的になります。

そのために人類はイエを営みます。
そのイエの集合体がムラです。
ムラの周囲には、食べ物などの恵みをくださるハラが広がります。
そのハラの向こうには、また別なムラがあります。
そのムラとムラの集合体がクニです。

何のためにイエやムラやクニがあるのかといえば、誰もが「愛とよろこびと幸せと美しさ」を実現するためです。

けれど、イエの中でもそうであるように、ムラやクニにも、一定のキメが必要です。
そしてキメには、それを強制し実行する力が必要です。

いまの時代なら、それが憲法をはじめとした法であり、それを強制する権力です。
従って、憲法も法も強制力の権力も、すべては、クニを営むための手段です。
手段は、目的を達成するためのものです。

愛もよろこびも幸せも美しさも、それが常態化すると「あたりまえ」になってしまいます。
だから苦難や葛藤があります。
そのように考えると、悲しみや苦しみや葛藤も、「愛とよろこびと幸せと美しさ」という目的を得るために必要なこととわかります。

シミは、洗えばサラになります。
だから目に見えないケガレは、ミソギをしてハラヒます。
すべては、「愛とよろこびと幸せと美しさ」を求めるという目的のもとにあります。

サラのまま(あるいはサラだけ)では、感動がないのです。
シミがあるから、サラの感動があります。
つまり人生には苦難があるから、その向こうに幸せがあります。

戦後の教育では、
「国は悪いことをする。
 だからそれを監視するのが国民の役割なのだ」
ということを、学校で教えました。
この教育をまともに受けた優秀な生徒が、我が国の官僚になったり、我が国のエリートとして国会議員になったから、官僚も国会議員も、誰もが自分は監視役だと思いこんでいます。

けれど国民から見たら、彼らは監視役ではなくて、施政者です。
上の教育で教えられることでいえば、「悪いことをする側の人たち」です。
ということは、戦後的価値観に従えば、国会は、悪いことをする人たちが、悪いことをする人たちを監視する場」ということになってしまいます。
これを「目くそ、鼻くそを嗤う」といいます。
どちらもただのクソです。
クソならまだ肥料になって再生利用が可能です。
それさえできないものは、ただの害毒です。

道徳的価値観は、それ自体が目的ではありません。
誰もが豊かに安心して安全に暮らし、暮らしの中で愛と喜びと幸せと美しさを実現していけれるようにしようではないかという根本目的があって、そのために、みんなで守ろう、大切にしていこうというためのことが道徳です。
道徳は手段であって、目的ではありません。

東野圭吾作の『さまよう刃』という小説があります。
映画化もされたので、ご存知の方も多いかと思いますが、娘を監禁強姦致死させられた父親が、加害者の少年たちを殺しに行くという物語です。
この物語では、警察は加害者の少年の身を護るために、その父親を殺害します。
物語の中で「警察官が護るのは法であって人ではない」などというセリフが出てくるのですが、戦後的価値観の痛点を突いた作品として、たいへんよく売れた小説です。

要するに、法か正義か、どっちが大事なのかという問題提起をした作品のわけですが、これは鶏が先か卵が先かと同じ議論です。答えがない。
小説ネタには良いかもしれませんが、現実には、法も正義も、どちらも手段でしかありません。
人々が豊かに安心して安全に暮らせるようにするためにあるものです。

手段同士がどっちが大事かと議論しても、それは乾電池の+極とー極のどっちが大事かと議論するようなもので、意味はありません。
目的を見失うと、このようなパラドックスに陥ります。
これを空論といいます。

憲法議論も同じで、憲法を大切に守ることが目的化すると、意味の分からない議論になります。
日本の憲法であるならば、日本国民が豊かに安心して安全に暮らすことができるようにしていくことが目的なのであって、憲法はそのための手段にすぎません。
そうであれば、国民の安全と安心と豊かさのために、必要に応じて変えていくのがあたりまえです。
憲法を護ることが国家の目的ではないからです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

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No title
法学的には憲法も手段です。構造主義的に見ても憲法の前文および条文は、民主主義概念や言説として存在する人権や平和といったものを相対化して明文としたものです。そこを見誤ると、憲法をまるで異教徒の経典のように対象化することになってしまいます。また人権概念は、近代以降の民主的国家要件としての合意でもあります。合意の明文化の手段という面を常に抑えておかないと、改訂が安易に行われる危険があります。

bou

議会破壊を目的とする共産党
江崎道朗先生の本を一部引用します。〈長文失礼します〉

今も昔も共産主義者のやり方は変わらないと思います。

【議会破壊を目的とする共産党】
http://rakusen191.blog120.fc2.com/blog-entry-2044.html
「コミンテルンの謀略と日本の敗戦・江崎道朗著」より一部抜粋
共産党はスパイ工作と非合法活動を重要視するP225から

 政党というのは、議会制民主主義のプレーヤーである。政策を国民に訴え、選挙で支持を集め、議会で多数派を得て政権を獲得する。よって議会制民主主義というルールを尊重している。
 ところが、コミンテルン、共産党だけはまったく違う。彼らは、議会制民主主義そのものを破壊しようと考えているのだ。
 議会制民主主義を「破壊」するために、国会を「政治不信」を煽る宣伝の場として利用しているにすぎないのだ。この基本的な構図が日本ではほとんど理解されていない。

 しかも、共産党の特異性はそれだけではない。
 他の政党とは異なり、共産党は非合法部門を抱えているのだ。
 非合法、つまり法律に違反している組織として、将来に武装隆起に備えた軍事部門、いわゆるテロ組織と、スパイ工作組織などを持っているのが、共産党なのである。

 コミンテルンの規約の中にも、合法活動と非合法活動が必要だと明記しており「三 革命的議会主義」という節では、議会内の活動についても同じ方針を掲げている。
 《三-二 ・・・・・選挙後の議会内フランクションの組織は、その時に党全体として合法的であると非合法的であるとにかかわらず、完全に共産党中央委員会が掌握していなければならない》〈『コミンテルン・ドキュメント一』〉
 議会内フランクションとは、議会内に送り込んだスパイ組織のことだ。このスパイ組織を共産党中央委員会は掌握しておかなければならないとしているわけだが、その前提として、スパイ組織を持つことが義務づけられているのである。

 議会には、議員だけでなく、議会を支える多くの職員、スタッフが存在している。これらのスタッフの中に、共産党はスパイを送り込み、議会を混乱させるための情報を収集しているわけだ。
 ちなみに共産党は、政府内部の人間しか知りえない情報を踏まえて政府の「汚職」や「失政」を追及することを常套手段とするが、そうしたことができるのは、政府内部、官僚たちに、共産党のスパイ、あるいは同調者が多数存在しているからである。官僚は政治邸に中立性を保ち、秘密を保持する義務が課せられているが、それでも政府の内部文書が流出するのは、こうした工作の「成果」なのだ。 
 このように議会や政治内部に、「スパイ」または「同調者」のネットワークを張り巡らし、政治を混乱させようというのがコミンテルンの方針である。

 コミンテルンの指示に従って、共産党は非合法組織だけでなく、非合法組織も完全掌握しながら、いつでも議会を転覆できる準備をしておかなければならない。機が熟したら議会を転覆し、一気に権力を乗っ取ることを前提にして、合法・非合法を含めた議会対策を行うのである。

 しかも多くの国で、国会議員は、憲法と法律によって政治活動の自由が保障されている。この「政治活動の自由」を利用しながら、国会や政府内部に送り込んだスパイたちの活動を支援し、政府の「悪事」を暴露して、政治不信を高める宣伝活動を高める宣伝活動を展開することが、国会議員の役割なのだ。》

楽さん

No title
お久しぶりです。

護憲派は目的のために手段を選んでいると思います。
目的は戦勝国のために日本を弱体化させておくことです。
日本が滅びて中国や韓国や北朝鮮が喜ぶ、
それが彼らの願いです。

下っ端の一般人はともかく上は確信犯です。
邪悪な日本が滅びれば世界に平和が訪れる。
革命を起こした末に世界が統一されれば恒久平和が
訪れると信じている人々の末裔が彼らなのです。

革命ののちに粛清が始まる世の常は関係ありません。
彼らには理想しか見えていません。

syn-i

魂は売らない
こんにちは。ほぼ毎日訪問させていたた゛いておりますが、ブログ改竄されていませんか。非常に違和感といったものを感じています。もし、それが本当のことでしたら、小名木先生の御心中、お察し申し上げます。今の日本社会の現状を象徴しているのでしょうか。
゛愛も喜びも幸せも美しさも゛
現在、失われつつある中で、このブログからは日本人の持つ優しさや、人柄が心地良く伝わってきます。もう一つ言わせて下さい。
これは私、個人的に考えていることなのですが、人は目の前に銃を突きつけられた時、
為す術も無く、まったくの無力の存在なのか
。このことを改めて考える必要があると思います。先の大戦で、我々日本の先人たちが護ろうとしたもの、遺してくれたもの、それは日本人が持つ、精神の力だったと私は考えています。現代の競争原理といったものが、対立を生み出すものでしかなく、そこに自己のみの利益しか求めていない人々が存在するのではないか。世界は腹黒いですから。
あるキリスト者が、世界を旅して、悪い人間なんているようにはとても思えないと、感想を語っているのを見た時に、それが一つの真理であって、悪というものは人間が作り出すものであるという原理原則を日本人は今一度、考える必要があると思います。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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