漢方薬



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漢方薬は、いまでは多くの人が「Chinaからの渡来もの」と思っています。
これは現代では本当にそうで、漢方薬で使われるる薬草のほとんどは、Chinaからの輸入です。
けれど、実はもともとは、ぜんぜん違います。


黒澤映画「赤ひげ」で小石川養生所の所長を演じた三船敏郎さん
20180325 赤ひげ
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


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漢方」という言葉は、江戸中期に「蘭方医」が流行ったことから、それに対応する言葉として「漢方医」と呼ばれるようになったことに由来します。
もともとは、単に「医術」です。

江戸中期に生まれた「蘭方」という言葉は、「蘭学」といって、オランダの書物によって得られた知識がもとになっていはいますが、内容は、西洋医学そのものをオランダ語を通じて学んでいたということであって、内容は、西洋医学全般を指します。
「漢方」は、いわばアルファベットを使う「蘭学」に対応して漢字圈を意味する語で、要するに我が国に古来からある医術に、Chinaから東南アジア、インド、中東に至る、いわゆる東洋圈で育まれた様々な医術を加えながら育まれてきたものです。
Chinaの医術を指すわけではないのです。

むしろChina産の薬品は、だいたいにおいて「能書きはすごいけれど、中身はろくなものがない」というのが江戸時代の常識です。
有名なところでは、律令時代に当時の唐から輸入されていた破格の高額栄養剤がありましたが、後にわかったことは、これは水銀そのもので、むしろイタイイタイ病などを引き起こし、体を損ね、寿命を縮めます。
しかしそのようないかがわしいものが、不老長寿の妙薬とされて、なんと我が国のご皇室でも用いられていたのです。
結果、この時代の素晴らしい歴代天皇が、皆、短命になってしまっています。
要するにろくなものではない、それは今も昔も変わらない。

そのような次第で、日本の医術は、本気で患者の病気を治そうとしましたから、治療のためには、遠くインドや中東にまで、薬品、薬剤を求めています。
たとえば日本では「ライ病」と呼ばれたハンセン病対策として江戸時代初期には「大風子油(だいふうしゆ)」という薬草が用いられていましたが、これはインド原産で、日本はインドから、これを輸入していました。


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古いところでは田道間守(たじまもり・古事記では多遅摩毛理)がいます。
この人は、1世紀初頭に、垂仁天皇(すいにんてんのう)の命で常世国(とこよのくに)まで行って「登岐士玖能迦玖能木実(ときじくのかくのこのみ)」を持ち帰っています。

「登岐士玖能迦玖能木実」というのは、橘(たちばな)のことで、橘はミカン科ミカン属の常緑木です。
つまり田道間守は、みかんの木を持ち帰ったわけで、そのみかんの原産地はインドの東北部と言われています。
常世の国がどこにあるのかには諸説ありますが、そんな次第から、田道間守が行った先はインドであったといわれています。

病気の人をなんとかして助けたいと思うのは、いまもむかしも変わりません。
ですから海洋国である日本では、古来、インド、インドネシア、タイ、ビルマ、ベトナム、フィリピン、台湾、China、モンゴルなど、東洋の各地で開発されたり用いられたりしていた様々な医療方法を吸収し、それらに日本にもとからある医療法を加えて、工夫を重ねながら、日本独自の医術を発展させてきたのです。

日本は歴史の古い国だけに、こうして蓄積された医術の治癒力もすごくて、幕末に日本にやってきたフランス大使のレオン・ロッシュは、たいへんな腰痛持ちで、西洋のどの医者にかかっても、まったく治癒しなかったものが、日本の医師である浅田宗伯(あさだそうはく)が、たった一週間で、飲み薬だけでまたたく間に治してしまっています。

驚いたロッシュは、宗伯に薬の内容を詳しく聞き、その内容をフランス語に翻訳して、本国に報告しました。
その報告がフランスの新聞に掲載され、これを知ったフランス皇帝のナポレオンは、浅田宗伯に、時計2個、絨毯(じゅうたん)3巻を贈っています。
ちなみにこの浅田宗伯が商品化したのが「浅田飴」で、これはいまも多くの人に愛用されています。

江戸時代の中期までは、蘭方も漢方も、等しく医療活動ができたのですが、蘭方の腑分け(人体の解剖)実験などが行われるようになると、これが大きな社会問題となります。
たとえ刑死した無頼漢の遺体といえども、死んだら仏様というのが、日本人の考え方です。

このため、幕府は「蘭方は外科のみとする」というお布令を出します。
要するに内科など、外科以外のすべての治療は、昔ながらの漢方医療しか認めないとしたのです。

このため多くの蘭方医たちは、なんとかこのお布令を撤回してもらおうと、いろいろな苦労をするわけですが、それが時代が変わり、明治にはいると、欧化政策の中で、蘭方医の社会的な地位が大きく向上しました。
とりわけ、はじめ種痘所として江戸・お玉が池に開設された医療所が、その後東京帝国大学医学部となるに及んで、蘭方医は、西洋医学として目覚ましく発展していくわけです。

一方、旧来の漢方医たちがどうなったかというと、蘭方医が「西洋医学」なら、自分たちは「東洋医学」だと主張を始めました。
このとき、英語の「Orient(オリエント)」の翻訳語として「東洋」という熟語が考案されていたことも影響しました。

そして日本は、日清、日露の戦いに勝利し、アジアの一等国となりました。
するとChinaから、たくさんの留学生が日本に学びにやってきて、医療についても日本で学びました。
とりわけ日本における「東洋医学」は、学問的に体系化されていたため、たいへんに学び易く、またChinaに持ち帰って広め易いということで、Chinaではまたたく間に、その体系化された「東洋医学」が広まりました。

その結果、いまではすっかり「東洋医学」といえば、世界中であたかもChina発のように宣伝されるようになったのですが、「東洋」とか「医学」とか、漢字二文字以上の組み合わせで熟語を作るのは、日本語の特徴です。
Chinaの漢字文化は、一文字一意が原則です。
二文字以上の熟語を用いません。
つまり、熟語で構成されている「東洋医学」という言葉は、実は、まるまる日本語だし、その内容も、実は日本で体系化された学問であったというわけです。

念のため申し上げますが、漢方薬日本起源説を唱えているのではありません。
医術というのは、度重なる膨大な試行錯誤の中から、本当に長い年月のなかで育まれるものです。
このことは、現代医学も同じです。

世界中のあらゆる国のあらゆる民族のあらゆる村が、それぞれ独自の民間療法としての医療を蓄積していて、それらが互いに刺激しあうことによって、よりよい医療が育まれてきたのです。
日本の素晴らしいところは、患者を直したいという愛によって、どこで生まれたとか、どこが発祥だとかという政治的こだわりではなく、どこまでも患者第一に、世界中の医術を採り入れてきたことにあるのだと思います。

医薬品に使う生薬の調達先


上の円グラフは、現代の日本で調達されている生薬(漢方薬)の輸入元です。
ご覧いただいてわかりますように、83%がChina産です。
ところが、毎度のことですが、China産品は、あまり信頼性がありません。

ひとつは例えば甘草を注文しても、届いた品物には、ただの雑草が相当量混じっていたりといった極端なものがありますが、その薬草自体の信頼性が低いのです。
どういうことかというと、植物は土壌の影響を受けて育ちます。
ですから土壌が荒れたり、土質が変われば、内容成分が変わってしまいます。
このためChina産の薬草は、品質が一定しないのです。

その一定しないChina産の生薬を、日本は年間1万7千トンも輸入しています。
金額にしておよそ2000億円の輸入量です。

そんなことから、2010年以降、厚生労働省を中心に、生薬の国内栽培促進策が打ち出されています。
日本のバイオ技術を駆使して、2025年までに、生薬自給率を50%まで引きあげようという動きです。

けれど、こうした動きは、本来、農林水産省がもっと力を入れるべき分野であるということができます。
全国の農地で、いま休田となっているところで、高品質な薬草の栽培が行われるようになれば、それだけ国内産の付加価値の高い農業が可能となるのかもしれません。

先日、花粉症を漢方薬で完全治癒させたという人に会いました。
素晴らしいことだと思います。
東洋医学の促進が、そのまま高付加価値型農業に通じるのなら、それはとても良いことなのではないでしょうか。

お読みいただき、ありがとうございました。

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20160810 目からウロコの日本の歴史


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コメント

いつもありがとうございます。

No title
甘草をツムラさんが西域で日本向けに作っていらっしゃいます。
薬草は土の力、気象条件に左右されるので品質を一定に保つためにラボを作って品質管理をしていらっしゃる漢方薬輸入商社もあります。
現代科学に全部、資本や労力を投入して伝統文化の可能性を閉ざすのは反って文明を衰退させる恐れがあります。
広州薬用植物園はアジア最大の薬用植物園ではないかと思われますが、そこではオリエンテーションで薬草学の普及を子供向けに、漢方薬工場、薬膳レストランを併設してちょっとしたリゾートです。
小石川薬用植物園には行ったことはありませんが長崎のハウステンボス、対馬、択捉、石垣島など環境保全を兼ねてリゾート型薬用植物園、機械化大規模無農薬農園はいかがでしょうか?
これから日本の人口が減ってくるにせよ食料安保は自衛です。大規模農園効率化、機械化で食料自給率100%超え、水源保全。
ちなみに中国本土では農場に泥棒がくるので防人を置いています。
品質管理をほぼ完璧にできるのは日本国内においてです。中医薬の科目には薬草の真贋を見極める科目さえあります。性善説で世界と取引はできません。
辺境の地に超大型試験農地特区、自衛隊基地隣接、水源保全と国土安全のための抜き打ち随時立ち入り検査の立法,施行をご提案いたします。
水質検査、土壌検査は抜き打ちで今すぐすべきです、汚染されてからでは数百年単位かかり、日本人はヒマラヤ水系や山峡ダムに仕返しする心の醜さはなくこうしたチキンレースでは一方的に負けます。
また日本再生のためのイスラエル研修旅行(建国までの歴史、農場、産業育成、防衛について保守ブログの政治家と学ぶ旅)もあわせて。

断定はできないなネチネチ

-

No title
イタイイタイ病はカドミウムが骨のカルシウムを置き換えておこるびょうきです。水俣病は水銀の有機化合物で起こる病気ですが、この時代では有機水銀化合物はありませんから、単純な金属水銀中毒でしょうね。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

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E-mail info@musubi-ac.com
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