こんなに違うChinaの儒教、日本の儒教

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20180501 表紙完成2のコピー

新渡戸稲造博士が幼い頃に愛読した『南総里見八犬伝』。
もしかすると『武士道』を書くきっかけになったのも、博士が幼い頃にこの『南総里見八犬伝』を愛読していたことが、大きな背景になっていたのかもしれません。


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20180606 南総里見八犬伝
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『南総里見八犬伝』は、江戸時代の後期に滝沢馬琴によって著された物語です。
初版の刊行が文化11年(1814)で、まさに江戸文化が花開いた時期の出版、それから28年かけて物語が描き続けられ、完結したのが天保13年(1842)です。
全98巻106冊の大長編大河小説です。

八犬伝は、8つの数珠の大玉に、仁義礼智信孝忠悌の文字が浮かぶ大珠が飛散し、それぞれの文字の珠を持つ八犬士が出会い、強大な敵を倒して行くというストーリーです。
物語の中で、珠を持つ犬士同志が近づくと、珠と珠が感応しあって互いの存在を教えてくれるのですが、これを後年応用したのが漫画の「ドラゴンボール」。

また物語に登場する名刀「村雨丸」は、殺気をもって抜き放つと、刀身から氷気が立ち上って青白く輝くのですが、この「刀剣が光る」という仕様は、後年、スターウォーズで応用されて光の剣となり、また近年のソードものの数々のゲームにも応用されています。
つまり200年前に生まれた物語が、いまなお私達に大きな影響を与えているわけです。
素晴らしいことだと思います。

そういえば、青森県十和田市にある新渡戸記念館に行ったとき、『南総里見八犬伝』の挿絵入りの和綴じ本が保存してありました。
きっと新渡戸稲造博士も、子供の頃に熱心に愛読されたのだろうと、思わずうれしくなりました。

ただ本当は、もっと応用され、伝えられていなければならないのが、この物語の核になっいる「仁義礼智信孝忠悌」です。
これらは、人として大切な道であり、八犬伝は、ワクワクしながら物語を読み進み進むうちに、自然と「仁義礼智信孝忠悌」の言葉と概念を覚えるという仕様にもなっています。
そして物語とともに、これが人の生きる道として常識化していく。
このことが八犬伝と、現代のファンタジーの大きな違いといえるかもしれません。


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20180326 イシキカイカク大学

「仁義礼智信孝忠悌」は、文字はChinaの漢字であり、儒教の教えです。
説いたのは2千年以上も前の春秋戦国時代の孔子で、論語の中に登場する言葉です。
ですから「仁義礼智信孝忠悌=Chinaの教え」と履き違える人も多いです。

しかし実際には日本における儒教は、我が国にもとからある大和言葉の文化を、儒教に化体して広がったもので、純粋なChinaの儒教とは似て非なるものです。
つまり南総里見八犬伝にしても、ただ「Chinaのものだからありがたがって文字や言葉を使った」のではなく、日本にもとからある文化を下地にして、これを説明したり後世に遺したりするために、これらの文字や言葉を利用し、普及させているのです。

たとえばChina漢字における「仁」は、他人に対する親愛の情や優しさ、あるいは人として大切な愛を意味すると説かれますが、我が国ではそれを「いつくしむ心」ととらえます。つまり人と人との関係において、大切なことは互いをいつくしむ心にあるということであって、そのいつくしみのなかには、あえて鬼となって厳しくあたることなども含まれます。

また「義」は、China漢字では我が身を捧げることですが、我が国においては、ものごとのことわり、つまり条理や道理を意味する語として使われます。

その一方で、いかに孔子を尊敬したとしても、孔子が好んだ食人習慣などは、我が国ではその片鱗さえも紹介されることはなかったし、また儒教にいう「諱(き)」の概念などは、我が国では単に亡くなった人への贈り名としての「諱(いみな)」としてしか導入されていないし、使われてもいません。

ちなみにこの儒教でいう「諱(き)」という概念は「かくす」ことを意味し、上司を守るためには、嘘をついてよいし、むしろ嘘をつくことが正しいとする概念です。
つまり上司の不実は、部下は他人にかくし、秘匿しなければならない。そのためには、どれだけ嘘をついても、それは正しいことだというわけです。

論語では「諱(き)」は、次のようなエピソードとして語られます。
~~~~~~~
ある人が孔子に言います。
「私の村にはとても正直な人物がいます。その正直な人物は、自分の父親が他人の羊を盗んだ時に、それを告発しました。」
孔子は答えます。
「その人物を、正直者とはいいません。父は子のために隠し、子は父のために隠す、これが本当の正直というものです」と答えた。
~~~~~~~

要するに、尊者の為には恥を諱(かく)し、賢者の為には過(あやまち)を諱(かく)し、親者の為には疾(あしきこと)を諱(かく)すことが、「諱(き)」の概念であり、現代語に訳すと、
「偉大な人物についてはその人物の不面目な事柄は隠し、優れた人物についてはその人物の過失を隠し、自分の血の繋がった親族については欠点を隠す」となります。

つまり、避諱の本質は、自分以外の誰かのためにその誰かの恥を隠すこと。
さらに、他の誰かのために「隠す」だけでなく、隠すためには、嘘をついても構わない、いやむしろ積極的に嘘をつくべきだ、となります。

現代Chinaでいえば、国家がいわば偉大な人物にあたります。
ですから中共国家の恥になること、あるいは中共政府の過ちを隠すことは、Chineseにとって「諱(き)」であり、常識です。
国民の義務と言っても良い。

さらに国家の威信を護るためなら、嘘をついたりデマを飛ばすことさえも、まさに正義となり、推奨や賞賛に値する行為となります。
南京虐殺や百人斬りなどのでっちあげは、ですからChineseにとっては、「諱(き)」であり、あたりまええの常識となる。
それが「道徳的な行い」なのです。

このことは、逆にいえば、立証的あるいは弁証法的な真理の探究を基礎とする「科学」は、Chinaの概念では発達しない、ということです。
なぜならChineseにとっては、真実より「諱(き)」が大事だからです。

我が国は、何事も「諸命以(もろもろのみこともちて)」の国柄です。
お天道さまに恥じないことが大事なのであって、いかに上司といえども、お天道さまに恥じるような振る舞いがあれば、たとえ部下であっても、それをかくすことを良しとしないのが、我が国の国柄です。
だから、いくら孔子の論語であっても、日本人は、「諱(き)」を受け入れてこなかったのです。

たとえ儒教といえども、受け入れるものと受け入れないものが、こうして取捨選択されているのは、我が国に、その言葉に代表される道徳観が、すでに確立されていたことを示します。

脱線してしまいましたが、せっかくですので、仁義礼智信孝忠悌の儒教的意味と、日本的意味の違いを簡単に述べておきます。

「仁」
Chinese=他人に対する親愛の情や優しさ
Japanese=いつくしみ めぐみ

「義」
Chinese=我が身を捧げること
Japanese=ことはり(=理、条理、道理)

「礼」
Chinese=身分や階級による社会秩序を維持するための道徳的規範
Japanese=ことわり、ゐや (うや=うやまうこと)

「智」
Chinese=道理の知識
Japanese=さとり

「信」
Chinese=言明をたがえないこと
Japanese=まこと

「孝」
Chinese=親を絶対のものとして子が親に忠実に従うこと。
Japanese=たかふ(=親にしたがう、絶対性はない)

「忠」
Chinese=主君の言を絶対のものとして従うこと
   (ただし親への孝は、忠に優先する)
Japanese=まめなる心、まめにつくすこと。
   (親に対しても、また主君に対しても同じ)

「悌(てい)」
Chinese=兄や年長者を崇敬し従うこと
Japanese=したかふ、やすらか

こうしてみると、仁義礼智信孝忠悌の8語すべてが、China的意味と日本的意味では、微妙に異なることにお気づきいただけるのではないかと思います。

この微妙な違いを、物語を使うことで子供たちにわかりやすく説いているのが、実は『南総里見八犬伝』です。
新渡戸稲造博士が幼い頃に愛読した『南総里見八犬伝』。
もしかすると『武士道』を書くきっかけになったのも、博士が幼い頃にこの『南総里見八犬伝』を愛読していたことが、大きな背景になっていたのかもしれません。

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コメント

池上義道

No title
同じ字でも国によって捉えられる意味合いが変わるのは国の文化も反映されているので面白いですね。
非公開コメント

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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

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