以和為貴にある本当の意味とは



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20180607 聖徳太子
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「以和為貴(和を以(も)って貴(たっと)しとなす)」といえば聖徳太子の十七条憲法の第一条にある有名な言葉です。
たいていの日本人なら、この言葉は一度は目にしたことがあるし、何の疑いもなく「みんな仲良くしようね」といった意味くらいに思っています。

ところが日本語は奥が深い。
十七条憲法が紹介されているのは日本書紀ですが、日本書紀は漢文で書かれてはいるものの、これを読むときにはChina式に「イーホレイクィ(yǐ hé weí guì)」と音読みするのではなくて、和語で「わをもってたっとしとなす」と読み下すのが、古来からの慣例です。
つまりもともと日本語での意味があり、それを漢字を利用して書いているわけです。

では、漢字での意味はどのような意味になるのでしょうか。
 和 稔った稲穂を口に入れる、ひとつ釜の飯を食う
 以 農具のスキ(鋤)の象形で、そこから「用いる」意味になる。
 為 象を飼いならす象形から、実施することを意味する
 貴 貨幣を手で覆う象形で、豊かさをもたらす

そこから要約すれば漢語で読んだ「以和為貴」は、
「農業を用いて、ひとつ釜の飯を食い、豊かさを実現する」
という意味になります。
語感的には、いま多くの人がこの言葉について感じる意味とほぼ同じであろうと思います。

では、大和言葉ではどのような意味になるのでしょうか。


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「わ」は、漢字にすれば「和・倭・輪・話・環・羽・把」となった字で、人の和や輪が、会話によって成立し、それによって人は羽ばたくことができること、あるいはみんな同じ(一緒)である(把)などの意味を持ちます。
つまり身分の上下の区別なく、たがいに心をひとつにして、仲睦(むつ)まじく、何事も話し合って決めるのが「わ」です。

「たっとぶ」は、旧仮名遣いでは「たつとふ」です。
古語で「たふ」は「答え」を、「とふ」は「問ふ」を意味します。
つまり大和言葉での「たふとふ」は、問に答えることです。

この両者を結合すれば、上下心をひとつにして何事も話し合って問に答える、つまりそのまま五箇条の御誓文にある、
「上下心をひとつにして盛んに経綸を行うべし」
と同じ意味になることがわかります。

つまり「以和為貴(わをもちてたつとふとなす)」は、単にナカヨクしましょうね、という意味だけではなく、「上下心をひとつにして、何事も話し合って決めよう」
という大和言葉の意味に、
「農業を用いて、ひとつ釜の飯を食い、豊かさを実現していこう」
という漢語の意味を重ねていることがわかります。

そしてこの両者を重ねれば、
「国民みんなが、
 農業を通じてひとつ釜の飯を食い、
 何事も話し合いを通じて諸問題を解決することで、
 みんなで豊かな国を実現していこう」
という語感を持つ言葉であるとわかります。

つまり、日本語を漢字で書き、書かれた漢文を日本語で読み下すということは、そこに漢文としての意味と、もともとの大和言葉の意味と、二つが重ねられていることを意味します。
この二つをてがかりにして、私達は、失われた日本の古代の文化を再現することができるわけです。

科学というものが、再現性を重んずるなら、文学においても、その再現をまずはキチンと行うことが先決ではないかと思います。
「以和為貴」を、「たっとし」と読むのか、「とうとし」と読むのかと不毛な議論を繰り返したり、あるいは記紀不要論や、聖徳太子不在論に走ったりするのは、まさに曲学阿世の徒の行う、次元の低い、すくなくとも科学する心を失った、きわめて幼稚な言説といえます。

さらにいえば日本書紀は、その冒頭に次のように書いています。
 至貴曰尊、自余曰命、
 並訓美舉等也。下皆效此。

これで、
「至(いた)りて貴(たふと)きを尊(みこと)と曰(い)ふ。
 自余(これよりあまり)をば命と並(かひ)て訓(よみ)を美舉等(みこと)と曰(い)ふ。
 下皆(しもみな)此(これ)に效(なら)ふ。」
と読み下します。

つまり「尊>貴>命」の順であると冒頭に述べて、以下はすべてそれにならうとしているのです。
したがって「以和為貴」は臣民の間についていうことであって、神々や天皇は「尊」であって、「以和為貴」のうちには入らない。
臣民よりもはるか高位にある、ということも、このわずか四字から知ることができます。

私達は簡単に決めつけるのではなく、もっと先人たちに敬意をもって接するべきだと思います。
先人たちよりも現代人の方が「すすんでいる」と思うのは、それこそ傲慢というべきです。

◯参考
ねずさんのひとりごと いまあらためて十七条憲法を読む
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-2377.html
日本書紀に書かれた最初の三神のお話 <日本書紀1-1>
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3576.html

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コメント

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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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