広島原爆の日に寄せて



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20180501 表紙完成2のコピー

日本が行ったのは国際法に従った「戦争」です。
しかし原爆は無辜の市民の大量殺戮を目論むものです。
これはすでに「戦争」ではなく、いわば「場外乱闘」です。
だから昭和天皇はご聖断をもって戦争を「終戦」させられたのです。


20180806 原爆ドーム
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【お知らせ】
<東京・倭塾、百人一首塾他>
8月2日(木)18:00 百人一首塾 第28回←日程を変更していますのでご注意ください。
8月15日(水)ねずさんと靖国昇殿参拝
8月26日(日)14:00 チャンネルAJER主催・誰も言わないねずさんの世界一誇れる国日本
9月15日(土)18:30 百人一首塾 第29回
9月23日(日)13:30 第54回 倭塾・東京 第54回
<関西・倭塾>
8月10日(金)19:00 倭塾・関西 第一回 (IK歴史勉強会 十七条憲法と創生の神々)
9月9日(日)14:00 倭塾・関西 第二回 (IK歴史勉強会 イザナギ・イザナミと古代の朝鮮半島情勢)
10月19日(金)19:00 倭塾・関西 第三回 (IK歴史勉強会 大航海時代と大国主)
11月9日(金)19:00 倭塾・関西 第四回 (IK歴史勉強会 唐の皇帝と日本の天皇)
12月8日(土)14:00 倭塾・関西 第五回 (IK歴史勉強会 稲作の歴史と古墳のお話)
<国内研修>
12月16日(日)~17日(月) 一泊二日 神話を体感する会
11月の倭塾関西の日程が11月11日(日)から、11月9日(金)19時に変更になっていますのでご注意ください。


昭和20年(1945年)8月、広島と長崎に原爆が投下されました。
6日が広島、9日が長崎です。
この原爆によって、広島では20万人の市民の命が奪われ、
長崎では14万9000人の市民が犠牲となりました。

戦争には、戦争のルールがあります。
それが戦時国際法です。
通常時の法律とは異なります。
戦争では、人と人とが殺しあいます。
悲しいことですが、それが事実です。
しかしそこにも一定のルールがあります。
それが戦時国際法です。

軍人は戦いに際して軍服を着用します。
なぜなら戦時国際法がそのように定めているからです。
軍服を着、制帽や軍用ヘルメットを被り、武器を手にしていれば、殺しても構わないというのが戦時国際法です。
殺さなければ自軍が殺されてしまうからですが、それでも「軍服、制帽またはヘルメット、武器携行」という3つの条件があるのです。

その戦時国際法は「無辜の市民への虐殺」は許していません。
いまでもナチス・ドイツが世界から糾弾されているのは、アウシュビッツ強制収容所等で市民への虐殺を行ったとされていることが原因です(それが事実かどうかはさておいてです)。


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戦場において、ある程度市民に犠牲者が出てしまうことは、やむを得ないことです。
戦争は非常時なのです。
先に避難せず、そこにいた方が悪いと考えるのが戦時国際法です。

しかし原爆の一般市民への使用は、「戦闘に巻き込まれた被災者」とはまったく意味が異なります。
原爆でわかりにくければ、核爆弾と明確に申し上げたいと思います。
核爆弾の投下は、明らかな戦時国際法違反です。
なぜなら、「軍服、制帽またはヘルメット、武器携行」の軍人同士の戦いではなく、頭から無辜の市民の虐殺を意図したものだからです。

これが何を意味するかというと、先の大戦が、その終期において、
「国際ルールに基づいた究極の国家外交としての戦争」ではなくなったということです。

わかりやすくするために、戦争をルールのある「リングの中での打ち合い」に例えるなら、核の使用は「ルールのない場外乱闘」になったことを意味します。
なぜなら核の使用は「無辜の市民への虐殺」そのものだからです。

昭和天皇の終戦の詔勅に、次の言葉があります。
「加之(しかのみならず)、
 敵は新(あらた)に残虐なる爆弾を使用して、
 頻(しきり)に無辜(むこ)を殺傷し、
 惨害(さんがい)の及ぶ所、
 真(まこと)に測(はか)るべからざるに至る」

ここに書かれた「新(あらた)に残虐なる爆弾」というのが原爆のこと、つまり核爆弾のことです。
昭和天皇は、
これはもはや戦争ではないからと、終戦を決意されたのです。
陛下の終戦の詔勅の続きにそのように書かれています。

「而(しか)も尚(なお)交戦を継続せむか。
 終(つい)に我が民族の滅亡を招来(しょうらい)するのみならず、
 延(ひいて)人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。
 斯(かく)の如(ごと)くは、
 朕何を以(もって)か億兆の赤子(せきし)を保(ほ)し、
 皇祖皇宗(こうそこうそう)の神霊(しんれい)に謝(しゃ)せむや」

お言葉を要約すれば、
「原爆の撃ち合いになってしまったということは、
 最早<ルールある戦争>ではなく、ただの<場外乱闘>である。
 この上なお、<場外乱闘>を継続するのか。
 それは単に民族の存亡の問題ではなく、
 人類存亡の問題にまでなるのではないか。
 そのようなことになったら、
 朕は何を持って
 皇祖皇宗のご神霊に謝ったら良いのか」
です。

実は、日本に原爆(核爆弾)が投下された昭和20年の1月、陸軍は原爆の完成を陛下に奏上しています。
内容は、
「原爆(当時は新型爆弾と言いました)を敵国(米国)に投下することによって新たな戦況を開く」
というものです。

3月には沖縄戦が開始されています。
沖縄市民を本土、あるいは沖縄本島の北部に疎開させる。
そうして敵を沖縄本島の南部にひきつける。
敵の大艦隊が集結しているど真ん中に原爆(核爆弾)を落とす。
敵の艦隊は瞬時にして全滅します。

そのうえで、米本土(ハワイという説もあり)に、原爆(核爆弾)を投下する。
すでに敵艦隊は壊滅しており、本土への原爆投下は米国民に大きな動揺を走らせる。
これによって一気に和平に持ち込む、という作戦計画です。

けれど昭和天皇は、言下に陸軍の作戦計画を却下されたのみならず、即時、原爆(核爆弾)開発の中止をお命じになられています。
理由は終戦の詔勅にある通りです。

そのために沖縄の守備隊は大苦戦を強いられることになりました。
そして本土には、2発の原爆(核爆弾)を、逆に日本が落とされる結果になりました。

6日に広島に原爆(核爆弾)が使用されたという報告が入ると、陛下はすぐに終戦に向けて動かれました。
そして2発目の原爆(核爆弾)が長崎に落とされた9日には、終戦の詔勅の準備に入られています。

陛下は軍事行動や戦争継続の是非について口を出すお立場ではありません。
政治も軍事も、すべては旗下の政府および大本営が責任をもって遂行すべきことであって、陛下は、それら実施者に権威を授けられるお立場です。
ですから陛下ご自身がご命令を出されるということは、我が国の制度上、あってはならないことです。

しかしその我が国の古来からのしきたり上、あってはならないことを、陛下は昭和20年に、二度行われているわけです。
ひとつは、原爆(核爆弾)開発および使用の禁止。
もうひとつは、逆に原爆を落とされた後の、終戦の意思決定です。

終戦の詔勅は、8月14日付けです。
15日にそれが玉音放送として、全国民に向けて放送されました。
この時点で、日本はすでに戦いを継続するだけの体力がなかったから、終戦の御聖断をされたのだと、多くの戦後の識者の方々の弁ですが、間違っています。
ベトナムを見たら良いです。
圧倒的な火力を持つ米国は、国土を盾に戦ったベトナムに敗戦しています。
日本が戦いを継続するすることは、十分に可能だったのです。

もちろん、苦しい戦いになることでしょう。
けれど、一億玉砕、本土決戦となる前に、陛下は戦争を終結されるご聖断を行われました。
理由は、戦争が戦争でなく、すでに場外乱闘に至っていたからです。
それは我が国が行うべきものではないからです。

今日は、広島の原爆の日です。
広島の平和記念公園には、
「安らかに眠って下さい
 過(あやま)ちは繰返しませぬから」
と刻んだ慰霊碑があります。

この文言については、様々な議論があります。
この碑文に書かれた「過ち」というのは、先の大戦における「場外乱闘」のことを意味していると申し上げたいと思います。

私たち日本人は二度と「場外乱闘」の犠牲になることはないし、また世界からそのような「場外乱闘」を無くしていく。
そのことこそが、昭和天皇の御心であり、終戦の意味であり、平和記念公園の碑文の真意であり、どこまでも平和を愛する民としての日本人の生き方であると思うのです。

終戦の詔勅の末尾のお言葉です。

「宜(よろし)く
 挙国(きょこく)一家(いっか)子孫相伝(あいつた)え、
 確(かた)く神州(しんしゅう)の不滅を信じ、
 任(にん)重くして道(みち)遠きを念(おも)い、
 総力を将来の建設に傾け、
 道義を篤(あつ)くし、
 志操(しそう)を鞏(かた)くし、
 誓(ちか)って国体の精華(せいか)を発揚(はつよう)し、
 世界の進運(しんうん)に後(おくれ)ざらむことを期(き)すべし。
 爾(なんじ)臣民、其(そ)れ克(よ)く朕が意を体(たい)せよ」

はっきりと申し上げます。
戦争が、無辜の民を虐殺するような場外乱闘に至るのなら、我々はたとえその戦(いくさ)を放棄してでも名誉ある撤退を選ぶ。
我が国はそういう国だし、それが昭和天皇の大御心だし、日本人として誇りです。
終戦から73年。
私たちは、いまあらためて、昭和天皇の大御心を思い返すべきときに来ているのではないでしょうか。

お読みいただき、ありがとうございました。

※この記事は2017年8月6日の記事のリニューアルです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

はらさり

時々想うこと
こんにちは。

私は時々想うんですが、それは「原爆や大空襲で亡くなった人たちは戦争に勝とうが負けようが哀しい思いをしたのではないか?」という事です。
生き残った被害者の方々も、家族や友人達と悲惨な別れ方をしたでしょう。
なんだか反戦主義者のようですが、戦争に良い・悪い、勝ち負けは無いと思います。私は個々がどう戦争を感じるかを尊重したいです。

No title
この慰霊碑は66年前に設置されたもので主語の論争があったが、将来、過ちの意味はGHQに洗脳され日本の誇りを失った日本人に成り代わるかもしれませんね。

岡 義雄

No title
おはようございます!
昨日は忙しくて訪問できませんでした。
今日、FBにねずブロの一部を勝手にシェアさせていただきました。
すみません。そしてありがとうございます。

川田

いつもお世話になっております。
歴史を省みない人類は滅びます。核不拡散などと誤魔化さず核廃絶こそ人類の悲願です。正義無き力が核爆弾です。過ちを省みる事ができない白人と、良心が欠如している隣国をなんとかしなくてはなりません。白人が撒いた種は白人が刈り取れと言いたい!

日本を愛する日本人から一言・・・

昨日大東亜戦争終結の詔書を素読しました。
 昨日、まほろば教室(現在は国語ワークス広島)で大東亜戦争の詔書を素読しました。毎年8月の教室では実施しています。多くの国では王様や皇帝は戦いに負けると国を捨て逃亡するのが一般的なのですが我が国の陛下は自分の命はどうなっても良いからと敵将に国民への食料を要請されました。
 日頃は我々にとって陛下は雲の上の存在でありますが正に水や空気と同様、日本人にとってのお宝ですね。
 また文部省唱歌「我は海の子」も歌いました。戦後教科書から抹殺された
6番と7番です。7番では”軍艦に乗り組みて海の資源を護ろう”との威勢の良い歌詞です。竹島、尖閣諸島、北方領土など外国に侵されつづけていますが
明治の文部省は素晴らしい仕事をしていたのですね。
 戦争を陛下の一言で終結させる。すごい事です。イラクも日本のようにと米国は思ったのでしょうが、世界に一人しかおられないのです。


 

なおと

No title
今日は 広島の原爆の被災者追悼の日です。亡くなられた方々の為に御祈りします。

慰霊碑の文章は 書き換えた方が良いのではないか?
過ちはさせません。と
東京裁判のパール判事が "過ちとは 一体誰のことか"と激怒したと聞いています。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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