修身教育とはどのようなものであったのか



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どうしてそうなるのか、なぜそうなるのか、その結果何が起きたのか、自分がその当事者ならどのように決断し行動するか、その場合どのような結果になるのか。
そうしたことを系統だてて学ぶことは、夢中になるほど楽しいものです。
しかも生徒たちは、互いの感動をクラスメイトとシェアし合うことができる。
そしてその感動する心そのものを育成することで、生徒それぞれが持つであろう価値観の源を提供したのが修身教育であったのです。


20180828 戦前の学制
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


【お知らせ】
<東京・倭塾、百人一首塾他>
8月26日(日)14:00 チャンネルAJER主催・誰も言わないねずさんの世界一誇れる国日本
9月15日(土)18:30 百人一首塾 第29回
9月23日(日)13:30 第54回 倭塾・東京 第54回
東京の倭塾・百人一首塾は10月から会場がタワーホール船堀に変更になります。
10月8日(月)13:30 第55回 倭塾 研修室 1330-160
10月27日(土)18:00 第30回 百人一首塾 407会議室
11月13日(火)18:00 第31回 百人一首塾 307会議室
11月25日(日)18:00 第56回 倭塾 研修室
12月6日(木)18:00 第32回 百人一首塾 301会議室
12月24日(月)13:30 第57回 倭塾 研修室
<関西・倭塾>
8月10日(金)19:00 倭塾・関西 第一回 (IK歴史勉強会 十七条憲法と創生の神々)
9月9日(日)14:00 倭塾・関西 第二回 (IK歴史勉強会 イザナギ・イザナミと古代の朝鮮半島情勢)
10月19日(金)19:00 倭塾・関西 第三回 (IK歴史勉強会 大航海時代と大国主)
11月9日(金)19:00 倭塾・関西 第四回 (IK歴史勉強会 唐の皇帝と日本の天皇)
12月8日(土)14:00 倭塾・関西 第五回 (IK歴史勉強会 稲作の歴史と古墳のお話)
<国内研修>
12月16日(日)~17日(月) 一泊二日 神話を体感する会
11月の倭塾関西の日程が11月11日(日)から、11月9日(金)19時に変更になっていますのでご注意ください。


修身教育や道徳教育をするというと、よく反論として挙げられるのが、
「価値観の押しつけはよくない」
という言葉です。
本当でしょうか。
修身や道徳は価値観を「押し付ける」ものなのでしょうか。
そもそも「押し付ける価値観」とはどのようなもののことを指して言っているのでしょうか。

先に結論を申し上げると、戦前戦中までの修身教育は、生徒たちに価値観の元になる感動を教えるものでした。
つまり修身は「価値観を押し付ける」ものではなくて、「生徒ひとりひとりが自分なりの価値観を形成するための元になる感動を提供し、生徒たちがその感動をわかちあう」ものであったのです。

そもそも何に価値を求めるかは、人によって違います。
早い話、ゴルフ大好きな人もいれば、釣りが好きな人もいる。
碁や将棋が好きな人もいるし、読書が好きな人、料理が好きな人、お酒が好きな人、タバコが好きな人もいます。
まさに人それぞれです。

そして同じゴルフ好きでも、ドライバーで遠くに打つことが無上の喜びの人もいれば、パターで決めることに喜びを見出す人もいる。
なによりスコアが気になる人もいれば、広い芝でゲームをした後の風呂と一杯のビールが大好きな人もいる。
みんな少しずつ違うのです。
好きだというのは、そこに価値を見出しているということです。
どこが好きかは、千差万別。
つまり価値観は千差万別なのです。


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しかし千差万別であっても、互いに共有しあうことはできます。
どこで感動するかというお互いの違いを認識しあうことで、お互いの違いを認識しあいながら、それでいてお互いの感動を高め合うことができます。

早い話、ひとつの感動する映画を観て、
「どこが良かった?」
「あたし、ここが良かった」
「そうか。俺はあそこが良かった」
「そうよね〜。感動だったよね〜」

要するに修身教育は、感動する心を養うためのものであったのです。
様々な物語を通じて、クラスのみんなで、ときに涙し、ときに笑う。
いわば前頭葉を鍛えるのが修身であり、その感動を、同じクラスの仲間達とともに共有し合うのが修身の授業であったのです。

そもそも戦後は、学制がいまと違います。
いまは、小学校の次は中学、次は高校という選択肢しかありませんが、終戦までは小学校の次は中学以外に、高等小学校、高等女学校、実業学校、実業補習学校など、実は選択の幅があったし、優秀な子なら飛び級もありました。
教育制度が画一的でなく、選択肢がたいへんに多かったのです。

なぜそのような学制になるかには理由があります。
教育の根本となる方針が「系統教育」だったのです。
これは、ものごとの成り立ちや起こったことについて、
「なぜそのようになるのか、
 それによってどのような結果が起き、
 将来にどのような影響をもたらしたのか」
を生徒たちに教え、考えさせるものでした。

たとえば鎌倉幕府の成立を例にあげるなら、なぜ何のために鎌倉幕府を頼朝が築いたのかを系統だてて学ぶことにより、そこからでは具体的に幕府を鎌倉に置くならば、何が必要なのか、みんなで考えていくといった教育が施されていたのです。
すると面白いことが起きます。
生徒ひとりひとりの個性が、雪崩のように出てくるのです。
たとえば、
 幕府ができるなら鎌倉の町をどのように築いたら良いか。
 区画整理をどのように設計したら良いか。
 建物はどのような点に注意して築いたら良いか。
 幕府の組織はどのような体制にすべきなのか。
 人夫や職人さん達の手当をどうするか。
 どのように財政を切り盛りするか。
 帳簿はどのように取っていくのか。
 彼らの食事はどのような献立にしたら良いのか。
 鎌倉という新しい町における文化はどのように形成したら良いのか。
 人々が幸せに生きるために、どのような法制度をつくるべきか
等々、生徒それぞれ個性や傾向性によって、物事の見方や捉えかた、方向性が異なるのです。

そしてその傾向性によって、建築に興味のある子なら、工専へ、
まかないに興味のある子なら調理の専門校へ、
人々の統率に興味のある子なら師範学校へ、
作業員としての技量を磨きたい子なら実業専門校へ、
組織や体制論をもっと深く学びたいなら、普通科へ
武士(もものふ)として国の護りに就きたいのなら陸海軍の学校へと、それぞれの進路が定まっていったのです。

これに対し現代教育は「問題解決教育」と呼ばれる教育です。
どのように違うかというと、鎌倉幕府がなぜできたのか。できた鎌倉幕府をどのような構造にしていくのかといったことは全部無視して、明らかな事実である、
「鎌倉幕府の成立は何年か」
「答え、1192年」
という点だけをひたすら教え込むという内容になっています。

この場合、「出来の良い子」というのは、あたかもクイズのような問題に、すばやく正確に答えることができる子ということになります。
その子の個性も価値観も関係ありません。

要するに集団就職して工場で働くことに適合した生徒を、すばやくたくさん作れば良いのであって、そのために学制がGHQによって変えられたわけです。
終戦時、日本は占領統治されましたが、普通なら敗戦国は巨額の戦費賠償を払わなければならないのに、日本は国土が焼け野原で、嘘みたいになんにもない。
食べ物すらない。
ただ幸いなことに日本人は勤勉で働き者だから、とにかく働かせて国力を付けさせて、戦費賠償とは別な名目で奉仕させる。
そのために必要な教育方法が採られたわけです。

したがって国民が自ら考える力を養成する、つまりそれぞれの判断の元になる価値観を育成するための教育は、戦後、全部修正されました。
もっともわかりやすい例が、修身教育とともにGHQが禁止した「地理」教育です。

「そんなことはない。地理はいまでも科目の中にあるよ?」という方は、何もわかっていない。
江戸時代から終戦まで、我が国における地理教育は、いわば教育の根本にあたる科目でした。
何を教えるかというと、たとえば小学校の低学年であれば、その学校の学区内にある町の名前の由来を教えます。
私は廣澤小学校でしたが、廣澤という名前は、なぜ廣澤なのか。
駅前にある連雀町は、どうして連雀という名前なのか。
高町はどうして高町という名前なのか等々です。

そして中学年になると、それが日本全体に広がります。
なぜ京都は京という名で、東京は東京という名前なのか。
秋田はどうして秋田という名前なのか。
さらに高学年になるとそれが世界に広がり、どうしてニューヨークはニューヨークと言う名前なのか。
ロンドンはどうしてロンドンで、パリはどうしてパリという名前なのか。

つまり地理は、単にイギリスの首都は何という名前ですかと問うのが「問題解決教育」ですが、「系統教育」では、どうしてそうなるのかが問題になるのです。
人は知れば知るほど、その対象のことを好きになります。
ですから地元のことを知れば地元が好きになるし、地名を通じて世界中のことを知れば世界が好きになる。
そして好きになる心は、愛する心を育むのです。

ところが「問題解決教育」では、ただのクイズ王が生まれるだけです。
知識そのものが目的であって、そこに感じる心が育成されません。
たまにテレビに、クイズ王の物知りさんが出てきて、次々と人名や地名を当てますが、なるほどよく知っているなあとは思いますが、彼らはそういう知識を持つことに計り知れないよろこびを持つ人達なのでしょうけれど、国民のみんなが、彼らと同じクイズ王の座を競ったとしても、国はひとつもよくはなりません。

餅は餅屋で、互いに自分の得意な分野で、大好きな人のために、大好きなクニのために、精一杯力を尽くしていくところに、人の幸せがあり、人生の充実があり、生きる意味があるのではないかと思います。
そしてその生きる意味をどういう形で達成するかは、まさに人それぞれなのです。

反論として、「系統教育」は、「単に系統的に配列された学習内容を順番に学習していくもの」であると述べる人たちもいます。
これに対し戦後の「問題解決教育」は、「生徒自らが学習問題や仮説を設定して自分の手足や頭を使ってその仮説が正しいかどうかを検証していく学習方法」です、などと説明されたりします。

しかし、肝心の「設問の系統の理解がない」のです。
それでは生徒たちは仮説の構築ができません。
いくら綺麗事を言っても、問題解決教育は、試問の答えが○か☓かという二者択一型の教育でしかなく、このことは、テストを採点する側からしてみれば、きわめて採点が容易というメリットがある反面、生徒の側からすれば、すべての教科が、ただの暗記科目になってしまうわけです。

そしてこうした「問題解決教育」をベースに学制を組み立てれば、出題者にはあらかじめわかっている答えを述べることだけが教育の目的となり、それなら制約のある学校よりも、そのことだけに特化した塾の方が、目的に徹している分、生徒たちにとっても楽しい教育の場になるわけです。

一方、戦前戦中の子供たちは、小学校に通うのに、片道6キロも7キロもある学校への道のりを、毎日歩いて通学し、田植えなどで親から学校を休めと言われると、泣いて学校に行けないこと、その分勉強が遅れてしまうことを悔しがりました。

そりゃそうです。
学校教育が系統教育であり、どうしてそうなるのか、なぜそうなるのか、その結果何が起きたのか、自分がその当事者ならどのように決断し行動するか、その場合どのような結果になるのか。
そうしたことを系統だてて学ぶことは、夢中になるほど楽しいものです。
しかも生徒たちは、互いの感動をクラスメイトとシェアし合うことができる。

そしてその感動する心そのものを育成することで、生徒それぞれが持つであろう価値観の源を提供したのが修身教育であったのです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

日本人の暮らし向き

No title
普段は仕事の合間に細々とブログを書いていますが、昨日から急に5倍近いアクセスがあり、驚いて調べると「ねずさん」のページに辿り着きました。流石のパワーに光栄と驚嘆しきりです。
この度は、参照頂きまして感謝申し上げると共にご興味のある資料、画像をご利用頂ければ幸甚です。
ねずさんの歴史観が日本史の標準になる日を願っています。

アシオ

No title
1943年  アッツ島玉砕
1952年  GHQ廃止
1953年 山梨県 臨時教員養成所が都留に設立
1954年  アッツ観音 建立
1955年 都留短期大学に改名
1960年 都留文科大学に改名


山梨県の都留文科大学は、前身は都留短期大学といって、1955-1961年の期間に運営されていたようです。
その都留短期大学の初代学長が友枝高彦さんといって、修身の本ばかり書いておられた人物だったようです。

アッツ島玉砕の山崎保代さんの故郷である都留は、玉砕の代名詞です。
そこに初等教育の機関を建てたということは、ただのノスタルジーではなく、なんらかの政治的な意図があったのだと思っています。
友枝高彦さんが初代学長に選ばれた、という事実から、修身の復活を意図していたのではと考えています。


実は、私の母校は都留文科大学です。
今年の5月29日に、ねずさんのブログで、アッツ島玉砕と、都留市が山崎保代さんの故郷である事を知りました。
その時に、すべての疑問が氷解したような気がしました。
人口3万の谷間の集落に、わざわざ大学を建てなければならなかった必然性が、わかったような気がしました。


私の書き込みが、何らかの新たな知見に繋がってくれたなら、OBの1人として幸いです。

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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

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