人の名誉を大切にする



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20181014 伊藤東涯
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


人は人の噂が大好きな生き物ですから、あれこれ言われることはあるでしょう。
しかし肉体は魂の乗り物です。
魂を成長させるには、そうした批判する他人からも、学ぶべきものがあれば、そこから学ばせていただく。
そうすることで人も魂も成長できるということを、修身の教科書は教えてくれているのだと思います。
もっと言うなら、それがわからない人は、たとえ実年齢が壮老の歳にあったとしても、小学4年生以下だということです。



【お知らせ】
<東京・倭塾、百人一首塾他>
会場は都営新宿線船堀駅前にある「タワーホール船堀」です。
10月8日(月)13:30 第55回 倭塾 研修室 1330-160
10月27日(土)18:00 第30回 百人一首塾 407会議室
11月13日(火)18:00 第31回 百人一首塾 307会議室
11月25日(日)18:00 第56回 倭塾 研修室
12月6日(木)18:00 第32回 百人一首塾 301会議室
12月24日(月)13:30 第57回 倭塾 研修室
1月14日(月・祭日)13:30 第58回 倭塾
1月26日(土)18:00 第33回 ねず式ゼミナール
2月2日(土)13:30 第59回 倭塾
2月23日(土)18:00 第34回 ねず式ゼミナール
<関西・倭塾>
10月19日(金)19:00 倭塾・関西 第三回 (IK歴史勉強会 大航海時代と大国主)
11月9日(金)19:00 倭塾・関西 第四回 (IK歴史勉強会 唐の皇帝と日本の天皇)
12月8日(土)14:00 倭塾・関西 第五回 (IK歴史勉強会 稲作の歴史と古墳のお話)
<国内研修>
12月16日(日)~17日(月) 一泊二日 神話を体感する会
11月の倭塾関西の日程が11月11日(日)から、11月9日(金)19時に変更になっていますのでご注意ください。


いまでいう小学校4年生向けに発刊されていた戦前の『尋常小学修身書巻四』に「人の名誉を重んぜよ」という抄があります。ご紹介します。
文章はそのままに、文語表現を現代文にあらためています。

******
尋常小学修身書巻四
人の名誉を重んぜよ


昔、京都に、伊藤東涯(いとうとうがい)という人がありました。
父・仁斎(じんさい)から二代続いた名高い学者で、いろいろの有益な本をあらわし、弟子もたくさんありました。

同じ頃、江戸には荻生徂徠(おぎゅうそらい)という有名な学者がありました。
徂徠は、少しも遠慮をしない人でしたから、はじめは仁斎をそしったこともありました。
しかし東涯はすこしも相手にならず、また人のことを決してかれこれ言いませんでした。

あるとき、東涯の弟子が、徂徠の作った文を持って来て東涯に見せました。
そこに来合わせていた二人の客も、その文を見て、
文字の使い方おかしいとか、意味が通じないとか、
さかんに悪口を言いました。
しまいに東涯に向かって、

「先生がご覧になったら、
 傷だらけでございましょう」

と言いました。すると東涯は、

「人をそしるのは、
 天に向かってつばきするようなものです。
 人はめいめい考えが違うものであるから、
 軽々しく人の悪口を言うものではありません。
 ましてこの文はむずかしいことを
 上手に書き表してあります。
 今の世に、これだけの文のできる者は、
 まずないでしょう」
と言いましたので、皆は恥じ入ったということです。

******


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文に出てくる伊藤 東涯(いとう とうがい)は、江戸時代中期の儒学者で、1670年生まれ、1736年に67歳で没した人です。
儒学者伊藤仁斎の長男で、母は尾形光琳の従姉です。

父のはじめた私塾「古義堂」の二代目となるのですが、父の教えを忠実に伝え広めた温厚な人としてもよく知られていました。
その父の伊藤仁斎に次の言葉があります。

「学問は卑近を厭ふことなし。
 卑近を忽(ゆるがせ)にするは者は、
 道を識(し)る者に非ざるなり」


伊藤仁斎は、儒学を、ただChinaの古典を模倣するというだけのものではなくて、儒学を日本人としての人間学にしていくという新たな学問をひらいた人です。
だからこそ、学問をすることが高邁な学者の世界にこもってしまってはいけない。
そういう人は、道を識(し)る人とはいえない。
身近なこと(卑近なこと)にこそ、大事な人間学としての学問があるのだ、と述べているわけです。

荻生徂徠と伊藤東涯は、先々、互いにたいへん仲良くなるのですが、互いがまだ噂話程度でしか知らない頃、お荻生徂徠が伊藤東涯を厳しく批判したわけです。
これは、最近においても「学問の対立、学者の対立」などといって、よく話題にされることです。

また、それぞれ道を極めようと努力する人が、他の先生から、
「あいつはダメだ、あんなものは学者じゃない」
などと頭ごなしに批判否定されたり、あるいはあまりよくない例になると、あることないこと吹聴されたりします。

そういうとき、この小学4年生の教科書を思い出します。
東涯は、自分を批判している荻生徂徠の文を、
「この文はむずかしいことを
 上手に書き表してあります。
 今の世に
 これだけの文のできる者は、
 まずないでしょう」
と、その荻生徂徠から、むしろ学ぼうとしました。

人は、人の噂が大好きな生き物ですから、あれこれ言われることはあるでしょう。
しかし肉体は魂の乗り物です。
魂を成長させるには、そうした批判する他人からも、学ぶべきものがあれば、そこから学ばせていただく。
そうすることで人も魂も成長できるということを、修身の教科書は教えてくれているのだと思います。
もっと言うなら、それがわからない人は、たとえ実年齢が壮老の歳にあったとしても、小学4年生以下だということです。

自分と考え方の違う人というものは、あるものです。
というより、自分以外のすべての人が、自分とは異なる考え方をしているものです。
そうであれば、違っていることがあたりまえなのであって、違っていることをもって中傷するのは、子供にさえ及ばない。

もちろん、違っていることの内容が許せない事柄であることもあります。
早い話、押し紙を強制して発行部数を誤魔化し、それで法外な広告費を広告主からもぎ取るなどということは、これは明らかに犯罪行為です。
外国人の生活保護の不正取得や、通名を用いた犯罪の隠蔽、あるいは悪事を働いている者の悪事を指摘すると、それは差別だとひらきなおるとか、そうした悪質なものについては、これは叩かなければなりません。
しかし事実の指摘と、いたずらに対立をあおって人の尊厳を奪うこととは、意味が違います。

聖徳太子の十七条憲法の十にも次の文があります。
******
十にいわく
忿(こころのいかり)を絶ち、
瞋(おもてのいかり)を棄(す)て、
人の違(たが)うを怒らざれ。

人みな心あり、心おのおのに執あり。

彼是(ぜ)し我を非し、
我を是し彼を非す。
我、必ずしも聖ならず。
彼必ずしも愚ならず。

共にこれ凡夫(ぼんぷ)の耳、
是非の理(ことわり)なんぞよく定むべき。
相共に賢愚なり。
鐶(みみがね)の如くして端(はし)なし。

ここをもって彼人、
瞋(いか)ると雖(いえど)も、
かえってわが失(あやまち)を恐れよ。
われ独(ひと)り得たりと雖も、
衆に従いて同じく挙(おこな)え。

*****

そう。「かえってわが失(あやまち)を恐れよ」なのです。

最後に伊藤東涯の言葉です。
伊藤東涯のことばに
「君子は己を省みる。
 人を毀(そし)る暇あらんや」


※毀(そし)る=非難中傷すること

お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

松さん

4年生以下
『4年生以下だ!』
例えそう思っても、他人様にも名誉があるから、絶対に言っちゃダメってことですか。
平和ボケ老人は、未だに精進できていませんので、自分も時として4年生以下で恥ずかしいです。
でも、Crap共の挑発に乗って不毛の原野に踏み込もうとは思いません。
教えは重く受け止めます。

岡 義雄

No title
おはようございます!
今日も拝読させていただきました。ありがとうございます。
聖徳太子 十七条憲法の部分だけ拝借してFBに掲載させていただきました。またまた勝手してすみません。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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