ひなまつりを祝って



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3月3日は「ひなまつり」の日です。
そこでみなさんに質問です。
写真は、男雛(おびな)と女雛(めびな)ですが、この置き方は、写真のように向かって左が男雛、向かって左が女雛という置き方が正しいのでしょうか。
それとも、その反対(むかって右に男雛、左に女雛)が正しいのでしょうか。


20190228 お雛様
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


答えは「どちらも正しい」です。
ただ「地域による違い」があります。
写真のように向かって左に男雛を置くのが関東雛、その反対が京雛です。

もともと江戸時代までは、京雛の置き方(写真と反対の置き方)が正しい置き方で、それ以外の置き方は存在しないものでした。
時代劇などで、もしお雛様が写真のような置き方でしたら、それは時代考証の間違いということになります。

ところが大正天皇が即位の礼のときに、「洋装で」即位の礼を執り行われた大正天皇が、西洋式に(写真のような)向かって左に立たれたことから、古風なお雛様の置き方まで、全国的に写真のようになりました。
いまでは京都だけが、古風に従って男雛を向かって右に置いています。

もともと日本では、何ごとも左が上、右が下という慣習がありました。
「ひだり」の「ひ」とは「神霊(ひ)」のことで、「みぎ」の「み」は「身」を意味します。
何ごとも御神霊が上、我が身はその下ということから、左が上です。


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京都御所の平安宮内裏の紫宸殿(南殿ともいう)の前庭には、桜と橘(たちばな)が植えられていますが、これを「左近の桜、右近の橘」といいます。(下の写真)

紫宸殿
20190228 紫宸殿


御覧頂いてわかるように、向かって右が桜、左が橘です。
これを「左近の桜、右近の橘」と呼ぶのは、御所の側から見て、左が桜だからです。
下座からみての右左(つまり向かって右左)ではないのです。

昔の太政官には、左大臣、右大臣がいましたが、天皇から見て左側(つまり向かって右側)に座るのが左大臣です。
そして右大臣より左大臣のほうが上席とされていました。

もっというと、我々が神社で参拝するとき二礼二拍手一礼をしますが、この二拍手のとき、はじめに両手を合わせたあと、右手を左手の指の第一関節くらいまですこし引きます。
つまり、右手を下に引くわけです。
そのうえで二拍手を行います。
これもまた、「ひ(神霊)」が上、み(身)が下」という慣習に基づくものです。

お雛様の男雛と女雛は、それぞれ天皇皇后両陛下を表します。
古い昔から続く行事ですが、驚いたのはある学者の先生が、「江戸時代の庶民は、天皇の存在なんて誰もしらなかった」と平然と述べられていたことです。
だったら江戸時代やそれよりずっと以前から続く「おひなさま」の存在を、どう説明するおつもりなのでしょうか。

このお雛様のおもしろいのは、西洋式に言うなら天皇の座は玉座にあたるのですが、西洋の王室にせよ、Chinaの皇帝の座にせよ、あくまで王や皇帝ひとりだけが着座し、その妻の席は脇に寄せて造られるか、あるいは席そのものがありません。

ところが我が国では、天皇皇后両陛下が並んで着座されるという姿で雛飾りが行われます。
我が国では、イザナキ、イザナミの時代から、男女は対等なのです。
そしてその男女が結ばれて子が生まれます。
だから
「男(1)+女(1)+子(1)=3」
で、3月3日が「ひなまつり」です。
つまり3月3日がひなまつりだということは、そのまま男女が対等な存在であることをも意味します。

ちなみに「対等」と「平等」は違います。
区別なしに、ただやみくもに一緒にするのが「平等」です。
「対等」は、男には男の役割、女には女の役割があり、互いに相互補完しあうことをいいます。

余計なことを書くと、5月5日は端午の節句で、こちらは男の子のおまつりです。
端午の節句というのは、China式の呼び方で、5月の最初の午(うま)の日(節句)のことをいいますが、これを我が国では、これを昔から男子の日としてきました。
いまでは男女に限らず「こどもの日」となっていますが、これは女性人権団体等からの圧力で、女の子も入れろという圧力があって、無理やり変形されたものです。
もともとは男の子の日です。

なぜ5月5日が男の子の日かといえば、5(五)というのは、五穀(ごこく)を意味するからです。
五穀というのは、米、麦、粟、きび(またはひえ)、豆を意味しますが、総じて穀類一般のことを意味します。
その五穀を育み、誰もが安心して安全に暮らせるように働くのが、男子の役目です。
そして男子は、そのために命をもかけます。
だから農民、町民の区別なく、鎧武者の人形を飾るのです。

ちょっとした慣習にも、それぞれ意味があるものです。
そしてその意味というのは、我が国においては、誰もが豊かに安心して安全に暮らすことができ、人生において愛とよろこびと幸せを実現できるように、臣民が一丸となっていこうという姿勢から生まれています。
そしてこのことを昔の人は「美し(うまし)」と呼んだのです。

『古事記』では、それこそが神々の「もろもろのみこと(諸命)」と書いています。
それが神様の命令だというのです。
『日本書紀』では、その命令の目的を「豈国(あにくに)」と書いています。
「豈国」というのは、「よろこびあふれる楽しい国」のことです。

これが我が国の、古代から続く、ゆるぎない品格です。
その品格を、国民の常識に取り戻すことこそ、日本を取り戻す、最大の鍵となるものです。

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コメント

まめはな

No title
右大臣左大臣の位置が、上座から見たものという説明に納得です。
それから、男(1)+女(1)+子(1)=3なので3月3日が雛祭り、ということも。
これなら忘れません。ありがとうございました。

takechiyo1949

ありがとうございます。
kyoko様
ありがとうございます。
そういうことでしたか!
皆様よくご存知で「ねずブロ」共々とても勉強になります。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

kyoko

おだいり様におひな様
いつもお世話になっております。
「お内裏様におひな様」の件ですが、童謡『うれしいひなまつり』(作詞:サトウハチロー)作曲 1936年発表)では確かにそのように歌われています。
最近NHKテレビ「チコちゃんにしかられる」で見たのですが、作詞者のサトーハチロー氏は「お内裏様」は「男女ペア」ということを知らずに作詞をしたことを生涯気にかけていたとのことです。
彼の没後も現在に至るまで歌詞の間違いは修正されていません。もう仕方ないですね。(>_<)

岡 義雄

No title
こんにちは!
今日も拝読させていただきました。シェアさせていただきました。
ありがとうございます。
最近の日本人の劣化が酷くて悲しい限りです。
自分さえ良ければいいのか、そうなっていることに気づかないのか、我が儘気まま、傲慢がまかり通っています。
我が家で日本人の民度の低下に関わる話題を話さない日はありません。話題が尽きないほどあるということです。残念なことです。
「美味し国」最近コマーシャルで流れていますが、「美味し国」を
貫くには多くの努力と責任がついて回るということですね。
日本は、我が国は、多くの先達のお蔭で世界に誇れる独自文化を築き上げ、現在まで維持されて来ましたが、ここ暫くは非常に不安定な状態になっていると思います。邪な力が原因だと思いますが、それを排除する手段を持たないのが現状ですね。困ったものです。
トランプ大統領在任中に安倍総理が強権発動してでも日本のために「現行憲法破棄~新憲法制定」「自衛隊の国軍化」「核兵器の所持」「拉致被害者の全員奪還」不法滞在者の一掃(特に在日)、帰化人の再審査、反日主義者の職業剥奪と国外追放。上げたらきりがありません。まあ、出来るかどうか分かりませんけど、出来ないなら出来るように法改正。
安倍総理を全面支持している訳ではありません。何事も是々非々で見ているつもりですが、今出来るのは安倍総理をおいて他にありませんので、ぜひ頑張っていただきたいと願っています。

takechiyo1949

知らないことだらけ(汗)
人形の町に住んでいます。
製作会社のHPを覗いてみますと、雛人形配置の来歴はねずさんの仰る通りですが、面白いコメントを見つけました。
童謡《うれしいひなまつり》の二番の歌詞についてです。
-------------------------
お内裏様と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔
-------------------------
「お内裏様とお雛様」
この歌詞について、人形店さんは『ちょっと違うかな~?』と仰っています。
・男雛=お内裏様?
・女雛=お雛様?
私達のイメージは間違い?
人形店さんの見解はこうです。
-------------------------
《お内裏様》
本来は男雛・女雛の二人が揃った対の状態を言う。
《お雛様》
男雛や三人官女・五人囃子なども含め全ての雛人形を指す。
《正しい呼び方》
伝統文化に従った呼び方。
・男雛=お殿様
・女雛=お姫様
-------------------------
全く知りませんでした。
地元のこと…地場産業のこと
勉強しなければなりません。

はらさり

し、知らなかった
ねずさん、みなさん、おはようございます。
わが家にも娘のひな人形があり、毎年飾るのを楽しみにしていますよ。
ただ、今年は引越しが重なり、飾るのを中止にしました。お雛様お内裏さまには可哀想なんですが、仕方がありません。

ひな祭りの意味を知りませんでした。
何となく飾っていました。天皇皇后両陛下を形取っていたなんて。
ウチはマンション住まいなのもあり一段飾りのひな人形です。

こどもの日って男の子のお祝いって感じでしたが最近では女の子もたしかに混じってますね。何でも平等にし過ぎている空気が伝わってきますね。私は生物学的に女ですが、狩や戦う事は多分出来ません。無理、無理ですよ。対等でありたいと思いますが。ちなみに食いしん坊の私は桜もちも柏もちもついでにウグイスもちも大好きで食べます。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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