新元号「令和」の根拠となった歌を読む

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20190402 梅
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新元号の「令和」の典拠は『万葉集』巻五、梅花の歌32首併せて序からなのだそうです。
そこで今回は、その典拠となった歌を読んでみたいと思います。

はじめに歌を紹介します。

『万葉集』巻五、梅花の歌32首併せて序

 初春令月
 気淑風和
 梅披鏡前之粉
 蘭薫珮後之香



<読み下し>
初春(はつはる)は   令(よ)き月(つき)にして
気(き)は淑(よ)くて 風(かぜ)和(なご)み
梅(うめ)披(ひら)く 鏡前(きょうぜん)の粉(こな)
蘭(らん)薫(かほ)る 珮後(はいご)の香(か)


<語釈>
令月・・・「令」は天命を授かる意があり、陰暦2月の異称で、何事をするにもよい月とされる。
気淑・・・「淑」は、しとやかとかおだやかという意味で、気がおだやか。
梅披・・・「披」は披露宴などにも用いられる漢字で、訓読みは「ひらく」
鏡前之粉・「粉」は鏡の前の粉とあるので、この場合女性のお化粧用の白粉(おしろい)のこと
珮後之香・「珮(おびだま)」は、女性が着物の帯や胸につける飾りの玉。

<現代語訳>
初春となる陰暦の2月は何ごとをするにも良い月です。
気はおだやかで、風も和(なご)んでいます。
梅は、女性たちが開いた鏡の前の白粉(おしろい)となって咲き
蘭も、帯玉の残(のこり)り香のように薫(かを)っています。

<解説>
この歌は、大伴旅人が太宰府の長官だった天平2年(730年)正月13日に、旅人の屋敷で行われた歌会で出詠された歌です。
歌の作者は、大伴旅人とも山上憶良ともいわれていますが、はっきりとした特定はされていません。
つまり、作者不明の歌ということになります。

ここでいうお正月というのは旧暦の正月ですから、いまでいうと2月の初め頃になります。
まだ寒い時期です。
その寒い時期に、この歌は「初春令月(しょしゅんれいげつ)にして」と歌いだしています。

春の始まりを迎える2月という表現も、これまた旧暦ですから、いまの暦ですと3月の中旬です。
ちょうど梅の花が開花する頃になります。
その2月のことを、歌は「令月(れいげつ)」と呼んでいます。

「令(れい)」は「りょう」とも読みますが、ひらたくいえば「令月」というのは「良い月」という意味になるのですが、ここでは意図して「良月」と書かずに「令月」と表現していますから、「令」に特別な思い入れがありそうです。

「令」という字は、神々の意思のもとに傅(かしづ)く姿の会意象形文字です。
ですからこの字には『神々の御意思として」という語感があります。
つまり2月(いまの3月)に花が開くのは、素晴らしい神々の御意思なのだ、というわけです。

そして「令月」というのは、古くから「何をするにも良い月」とされてきたときにあたります。
従って「初春令月」は、「何をするにもめでたい良い月に」といった意味になります。

続く「気淑風和」の「気淑」の「気」は、運気とか大気とかで、それが「淑」と書かれています。
「淑」という字は、しとやかとかおだやかという意味ですから、「気淑」は、気がおだやか、という意味になります。
「風和」は、そのまま「風(かぜ)、和(やわら)ぐ」で、それまで冷たい冬の木枯らしだった風が、暖かな心地よい柔らかな風に変わったことを示します。
従って「気淑風和」は、「気はおだやかで、風も和(なご)んでいる」といった意味になります。

「梅披鏡前之粉」にある「披」は、披露宴などにも用いられている漢字で、訓読みは「ひらく」です。
つまり「梅披」は、何かを梅がひらいているわけです。
そのひらいているものが「鏡前之粉」で、鏡の前の粉というのですから、これは女性が付けるお化粧の粉のことをいいます。
従って「梅披鏡前之粉」は、白梅が、まるで女性が鏡を開いて付ける白粉(おしろい)のように開く、つまり「梅が、女性たちが開いた鏡の前の白粉(おしろい)のように、咲きほこっている姿」をあらわします。

「蘭薫珮後之香」は、歌い出しの「蘭薫(らんかほ)る」は、わかりやすいとおもいます。
「珮」というのは、女性が帯などに付ける匂い玉のことで、乾燥させた花などを小さな袋に入れて、その香りを楽しむもので、「においぶくろ」などとも呼ばれているものです。
女性が動くと、そのやさしい香りが後にただよいますが、まるで蘭の花の香りが、美しい女性たちが通ったあとに薫るように、やさしく薫っている様子を描いています。

以上を要約しますと、
「初春となる陰暦の2月というのは、
 何ごとをするにもまことに良い月ですなあ。
 気はおだやかで、風も和(なご)んでいます。
 梅の花が、まるで女性たちが開いた鏡の前の白粉(おしろい)となって咲きほこり
 蘭も、女性たちの帯玉の残り香りのように薫(かを)っています。
 まことにおめでたいことです。」

といった内容の歌ということになります。

ちなみにこの歌にある「梅」は白梅で、梅の季節は桜よりも少し早い時期になります。
「紅梅」であれば、春爛漫をイメージさせます。
「白梅」の場合、冒頭の写真のように、まだ雪が降る日も残る、そんな時期です。
まだ冬の寒さが残っている。
けれど、そうした中にあっても確実に春の到来を予見させているのが白梅です。

つまり、まだまだ冷たい寒い冬は残っているけれど、心機一転、新たな暖かさのある時代に向けて、みんなで和をもって進んでいこうという意思を象徴するのが、白梅です。

「令和」という元号は、この歌から「令(よし)」と「和(なごみ)」の二字をとった元号です。

冬の寒さは春となり、
おだやかな春の季節に爛漫と咲き誇る花と美しい乙女たち。
そんな春を愛(め)で、なごむ。
まさに春爛漫。
「令和」は、これからの日本の求める姿や方向を、「令」の字で御神意とする見事な元号だと思います。


お読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

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テコ入れますが、梅はチャイナタウン。桜木はニッポン国なのでは?

更に、万葉集のその抜いた国号漢文以外初採用となった箇所の序文が漢文。!

インチキな安倍政権有利報道っぼいですね、

夏 枝野陣営に最も頑張って頂きたいものであります。

Nara Akira

日本の始まり
約4(3.8)万年にわたる本邦歴史は、「朝鮮(韓)半島から」ではなく「曙海」沿岸からです(朝鮮半島の先に史実が無い)。「自らの過去について概念を持たぬ国民は、現在、将来をも、処理することは出来ない」(シュレディンガー・ハーバード大教授)なのに。http://www.sunda-wind.net/news/7055

翠子

No title
歴史学者・倉西裕子氏のブログ「時事随想抄」に、気になる記述がありました。

「令和」は「麗和」、つまり「(高)麗・和(日本)」あるいは「(高)麗(共)和(国)」を意味するのではないか、というのです。
もちろん、書かれている順番から高麗が上で日本が下になりますから、高麗(南北朝鮮)と日本がひとつの国になり、高麗が日本を支配する、ということになります。

昨今の外国人受け入れ政策などを見ても、あながちこじつけた推理とは思えず、懸念しているところです。

-

twitterのアカウントが見られなくなっていますけど凍結されたのですか?

谷山靖浩

ねずさんの見解に感動しました。
新元号の持つ深い意味が奥ゆかしい文化の上に遡上されまた回帰されるような何とも奥ゆかしいです。

大阪市民(まもなく大阪都民)

「令和」によせて
いつもありがとう御座います。
当たり前ですが、全く想像もしなかった
素晴らしい響きをもった元号だと思いました。令は霊にも通じ、日本人全てがおのが霊性(精神性)を梅の花のように、奥ゆかしく咲かせなさないという神々の天意を感じます。浩宮皇太子殿下は、聖徳太子様が守護霊として背後におられると宗教家が言っていたのを思いだしました。号外の新聞に群がり奪いあうようにとる日本人では、令和は
厳しい世となるでしょう。けれど自分の内面性を重んじ、少しでも他者や国家、社会に貢献しようとする人々にしては、明るい安らぎと活力を感じる世になる予感がします。
新しい天皇陛下の背後には、聖徳太子様の
凛とした響きを感ぜずにはいられません。

世襲

No title
漢籍をお手本に読んだのが万葉集に載っていた!
と解説があった。
漢籍をお手本にしていた時代の歌から引用したら、
漢籍に行き当たるのは目に見えている。
国書と言ってもねぇ!
それに、東大の先生が、
「『令』は上から下に何か『命令』する時に使う字
もうひとつは、『巧言令色鮮し仁』という故事。“口先がうまく、顔色がやわらげて、人を喜ばせ、媚びへつらうことは、仁の心に欠けている”という意味で、この『仁』は儒教で最も大切な概念。今でいう『愛』を意味し、それに一番遠いのが巧言令色だと言っている。そこが引っかかる。」
と言っておられた。
『巧言令色鮮し仁』ってその通りの今の時代で、笑えた!

岡 義雄

No title
おはようございます!
今日も拝読させていただきました。シェアさせていただきます。

takechiyo1949

後世に伝えられる時代を
令和=令(よし)と和(なごみ)
丁寧で分かり易い解説!
ありがとうございます。
町中インタビューで『涼しそう』は許せても、調べもしないで『馴染めない』と宣伝している方々には呆れてしまいます。
「令和の頃は最高だったね」と後世に伝えられる時代を築いていきましょう。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
電話:080-4358-3739
出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
《著書》
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦
『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
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