1月8日は『戦陣訓』が示達された日

20191123 万葉集表紙1200
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過去を否定するということは、いま力のある者を否定することにつながるわけですから、革命思想には都合がよいわけです。そのような一部の人のためだけの革命思想に、力のないインテリほど染まりやすい。そういう染まりやすい性格だから、いくら頭が良くても出世しないのに、本人は正義を自称する。
こうして悪が正義となり、正義が悪とされる世の中になっていくわけです。
虚心坦懐に、曇りのない眼(まなこ)で、事実を自分の目で確かめる。
それは自分の人生だけでは、決してたくさんのことはできないかもしれないけれど、それでも真実とは何か、そして正しい心を目指していく。それこそが、教育と文化によって災害対策国家を形成してきた日本人本来の、そして令和の日本人のこれから生き方であろうと思います。


20200105 戦陣訓
画像出所=http://bwtachiyomi.ninja-web.net/page015.html
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


1月8日は、昭和16(1941)年に、東条英機陸軍大臣から『戦陣訓』が示達された日です。
『戦陣訓』といえば、「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」という一節だけが、やたらと宣伝されていますが、部分だけを取り上げて悪意ある批判を繰り返すのは、悪意を持った人たちの工作の常套手段です。
実際に書かれていることは、人として大切な心がけです。

『戦陣訓』には、その意図を書いたものがあります。
昭和16年3月に陸軍省から出されたもので、タイトルは『戦陣訓の根本精神』です。
そこに書かれていることは、これから日本を取り戻そうとするときに、とても大切なことでもあります。
そこにあるのは、

◯理屈ではなく感動
(感激する心に訴える。
 理屈はそれを補強するためのもの。
 この点、真逆の展開に陥(おちい)りがち。)

◯家族のたいせつさ
(昔風に言うなら忠孝の道。
 今風に言うなら、家族のたいせつさ)

そしてこのことは、実は『万葉集』の書かれた精神とまったく同じものです。
『万葉集』というと、総論としては「格調高い万葉の世界」などと歌いながら、個々の歌の解釈を読めば、残念な解釈ばかりを連ねている解釈本が多いようです。
先入観を捨て、素直な心で『万葉集』を読めば、そこにはまるで宝石のような素晴らしい文化の薫(かを)りがひろがっています。

そこで今回は『『戦陣訓』の根本精神』の冒頭の10ページをご紹介します。
現代語訳、原文の順です。
ただ頭ごなしに否定するのではなく、人生に一度は、本当は何が書かれているのか触れてみる。
するとそこに素晴らしい学びを見出すことができる。
これこそ日本の文化的特徴です。

一方、戦前から蔓延が始まり戦後に猛烈な勢いで国内を席巻した共産主義思想は、歴史認識においでも「進化論」を是とし、古いものは常に新しいものより「遅れている」とし、否定の対象とします。
いまより古いものは必ずいまよりも悪いものであるという決めつけから過去のすべてを見ようとします。
そういういわば「上から目線」を咎(とが)めると、逆に「そのような上から目線はいけない」などと切り返します。
まさに「ああ言えばこう言う」で、嘘ばかりの虚構ですが、その虚構の上に、様々なものを構築しようとするわけですから、出来上がるものは常に砂上の楼閣になります。

馬鹿げた話ですが、過去を否定するということは、いま力のある者を否定することにつながるわけですから、革命思想には都合がよいわけです。
そのような一部の人のためだけの革命思想に、力のないインテリほど染まりやすい。
そういう染まりやすい性格だから、いくら頭が良くても出世しないのに、本人は正義を自称する。
こうして悪が正義となり、正義が悪とされる世の中になっていくわけです。

虚心坦懐に、曇りのない眼(まなこ)で、事実を自分の目で確かめる。
それは自分の人生だけでは、決してたくさんのことはできないかもしれないけれど、それでも真実とは何か、そして正しい心を目指していく。
それこそが、教育と文化によって災害対策国家を形成してきた日本人本来の、そして令和の日本人のこれから生き方であろうと思います。



20191006 ねずラジ
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『『戦陣訓』の根本精神』・・陸軍省

昔から各藩には、それぞれ藩の教訓というものがありました。
たとえば、佐賀藩には有名な『葉隠れ』がありました。
島津藩、細川藩、毛利藩なども藩の教訓を持っていました。
また会津藩には会津武士としての精神訓がありました。

陸軍でもかねてから、将校や生徒のために、旧幕府の時代に各藩が持っていた教訓のいいとろこだけをとった精神資料の発行を考えていました。
勅諭や典令、綱領等に常に内包されている純粋な日本的精神があります。
その精神を軍として、いかに実行に結びつけるかが重要課題です。

この度支 那事変が勃発して支 那大陸に多くの将兵が派兵されました。
戦地に赴いた彼らからも『戦陣訓』の必要性は、強く求められていました。
陸軍当局でも同じ認識がありました。
そこで世に出されたのが『戦陣訓』です。

『戦陣訓』を作るにあたって最大の課題だったのは、
作るのはいいけれど「いったいどのようなものを作ったら良いか」ということでした。

実戦を前提にした軍の『戦陣訓』である以上、『戦陣訓』は、
「一読しただけで陶酔し、人が自然に実行に追い込まれるだけの迫力ある内容」
でなければなりません。
なぜならそういうものでなければ役に立たないからです。

つまり『戦陣訓』に何が必要かといえば、
「人をして自然に実行に追い込むだけのもの」です。
では「人をして自然に実行に追い込むもの」とは、どのようなものでしょうか。

答えは「感激」です。

戦場にある将兵は、感激性が非常に強くなっているものです。
その強くなっている感激性を、正しく理性と一致させ、一死奉公の実をあげさせる。
このために、戦陣訓の第一の主眼は「感情の指導」ということになりました。

近頃では、世間一般に「感情の指導」ということが足らないと言われています。
「感情指導」のためには「人間の純情」が必要です。
そこで『戦陣訓』は、天皇陛下に対し奉る国民の真情を呼び起こしました。
そうすることで忠君愛国の大義に徹するように導きました。

日本精神の道徳の根本は忠孝にあります。
戦陣の夜半、戦闘が止んで皆が寝静まる深夜、兵士たちの脳裏に去来するのが何かといえば、それは両親であり兄弟です。人としての自然の情です。

親が子に何を希(ねが)っているかといえば、一死君恩に報ずることです。
つまり、孝の純情が、忠の大義に通じるのです。
この純情をつかむことによつて、至誠を表すことができます。
純情即至誠なのです。
軍隊は、表むきは孝を論じません。
ですが忠の大義は、孝の純情から発します。

軍人勅諭の中に「朕か国家を保護して上天(しょうてん)の恵に応し、祖宗の恩に報いまゐらする事を得るも得さるも、汝等軍人か其職を尽すと尽さゝるとに由るそかし」という文があります。
口語訳したら「朕が国家を保護し、高天原の恵みに応じて、代々の天皇の恩に報いることが出来るのも出来ないのも、お前たち軍人がその職務を尽くすか尽くさないかにかかっているのだぞ」となります。

陛下がこのように仰せであるということは、陛下が「大孝」を大切にするご決意であられると拝察されます。
とりわけ「お前たち軍人がその職務を尽くすか尽くさないかにかかっている」というお言葉は、自然の間に忠孝をお示しになられたお言葉です。
まさにここに日本の国体の精華があります。

同じく軍人勅諭には、
「されは朕は汝等を股肱(ここう)と頼み、汝等は朕を頭首と仰きてそ其親(したしみ)は特(こと)に深かるへき」とあります。
口語訳すると「だから朕はお前たちを手足のように信頼する臣下と頼み、お前たち軍人は朕を頭首と仰ぎなさい。そうすればその親しみは更に深くなることであろう」となります。

これは理屈を越えた君臣の情的結合です。
まことにありがたいことです。
戦陣訓が述べていることは、まさにこの情的結合です。
それは崇高な人情の発露であり、道義の結晶です。

戦陣訓では、例えば本訓その二の第一「敬神」の項で忠孝を心に念じと説き、
第二の「孝道」においては純情と大義の関係を説き、
「戦友道」においては信頼の至情を説いています。

戦陣訓の「軍紀」、「協同」では、
「命令一下、喜び勇んで死地に投じ」とか、
「喜び勇んで我を捨てて協カし合う精神を発揮し」というように、
「喜び勇んで(=欣然)」という言葉がいくつも使われています。
これは「感情の発露」です。
「みんな喜んで行け
 理窟ではないぞ!」
いざというとき喜んで死ぬということが「欣然(きんぜん)」です。

この心をおし進めて行くと、戦場では勇怯の差は、実ははなはだ小さいものでしかない、ということがわかります。
戦場でもっとも大きな働きをするのは責任感の差です。これが大きいのです。
ですから本訓の「責任」では、
「責任を重んずる者、これ真に戦場における最大の勇者である」と説いています。
責任感こそが、どんなに恐怖心が強い者でも、自暴自棄にならずに、献身的に殉国の大勇者にし得ると教えているのです。

また、智謀の差も極めて小さいと説いています。
実行力の差こそが大きいと教えています。
このことは、「率先躬行(そっせんきゅうこう」の項で、
戦陣は実行をを尚(たっと)ぶと指摘しています。

「名を惜しむ」の項では、義を重んずることが、個人を美しくし全軍の戦力を極大化させるとと説いています。
徳義を重んじることこそ武人の大本をまっとうするのです。

さて、最後に一言。
武人がいやしくも戦場に出たからには、生還を期せぬ覚悟が大事です。
自分の遺体が帰れるとは考えてもならないと教えています。
けれどもし、九死に一生を得て生還する場合のことを、本訓の「戦場の嗜(たしなみ)」に書きました。

実はこのことは、軍当局としては、はなはだ心苦しいことで、『戦陣訓』起草の際、この一項を書くべきかどうかについては、たいへんな議論になりました。
それほど書くのに迷いました。
けれど百人中、九十人迄は事実上生還しているのだから、これらの者に対して、帰還に対する「武人の心得」は、やはり必要ではないかということになって、この一項を加えました。
この点は、生還を期さない武人の覚悟と矛盾するものではないと考えています。

以上、戦陣訓を一貫する思想について大要を述べさせていただきました。
要するに『戦陣訓』は、「情と義」が全文のいたるところに綾のように織なされているところに特色があるのです。


==========
(原文)
「戰陣訓」の根本精神   陸軍省

昔から各藩には、それ ゞ 藩の教訓といふものがあつた。例へば、佐賀藩に「葉隱論語」があり、島津藩、細川藩、毛利藩といづれも藩の教訓を持ち、會津武士には曾津武士の精神があつた。
曾つて、陸軍では將校生徒のために、舊幕時代各藩の持つてゐたかうした教訓のいいところだけを採つて「日本精神資料」として研究し、勅諭、典令、綱領等に示されてゐる精神要素の生粹をどう實行するか──と云ふことの必要を痛感し想ひをこのことに致してをつたのである。
たま ゝ 、今次事變の勃發となり、支 那大陸の戰陣に臨んだ將星の多くが、「戰陣訓」をつくることの必要を認め軍當局においても同じ認識の下に「戰陣訓」の世に出る動機となつたものである。
さて、「戰陣訓」をつくることになると一體どんなものをつくることがよいか──この點について「戰陣訓」の基礎となり底流をなすべき一番大事なことは、一讀、陶醉して人をして自然に實行に追ひ込む迫力のある訓書であらねばならぬ──さう云ふものを書かなければ、物の役にたたぬと云ふ點であつた。
で、この「戰陣訓」を一貫して、何が入つてゐるかと云へば、「人をして自然に實行に追ひ込むもの」が盛られてゐる。「人をして自然に實行に追ひ込むもの」とは一體、何であるかと云へぱ「感激」である。
戰場にある將兵は、感激性が非常に強くなつてゐる。この強くなつてゐる感激性を捉らへて、正しく、理性と一致させて、一死奉公の實をあげさせなければならない。で、第一の着眼は感情の指導といふことであつた。近頃、世間一般に感情の指導といふことが足りないと思ふ。感情指導のためには、人間の純情を捉らへねばならない。それで、この「戰陣訓」は、天皇陛下に對し奉る國民の眞情を喚び起したものである。かくして、忠君愛國の大義に徹するやうに導かねばならぬとの構想の下に書かれたものである。
つら ゝ 日本精神をふりかえりおもんみるに道の根本は忠孝である。
戰陣の夜半、戰ひやんで人しづまる時、まづ、腦底を去來するのは何か──それは兩親であり、兄弟である。これこそ、人間の自然の情である。しかして、親は子と共に何を希つてゐるかと云へば、一死君恩に報ずることを希つてゐるのである。この一事は、孝の純情から忠の大義に徹するものである。而して、この純情をつかむことによつて、至誠を顯現することが出來る。
言葉を換へて云へば、純情即至誠である。軍隊では、表むき孝を論じてゐない。ところが、忠の大義は孝の純情から發してゐる。
軍人勅諭の中に
「朕カ國家ヲ保護シテ上天ノ惠ニ應シ、祖宗ノ恩ニ報イマヰラスルコトヲ得ルモ得サルモ、汝等軍人カ其職ヲ盡スト盡ササルトニ由ルソカシ」
と仰せられてゐることは、天皇陛下が大孝を遊ばされんとする大御心と拜察されるのである。
「汝等軍人カ其職ヲ盡スト盡ササルトニ由ルソカシ」このお言葉は、自然の間に忠孝をお示しになり茲に、我國體の精華が窺はれるのである。
また
「朕ハ汝等ヲ股肱トミ、汝等ハ朕ヲ頭首ト仰キテソ其親ハ特ニ深カルヘキ」と仰せられてゐる。これは、理窟を離れた君臣の情的結合であつて恐懼に堪へぬ所である。
戰陣訓の覘ふところのものは、この情的結合である。崇高なる人情の發露であり、道義の結晶である。
例へば「敬神」の項において「忠孝を心に念じ」と説き「孝道」においては、純情と大義の關係を説き「戰友道」においては、信の至情を説いてみる。また、本訓其の一の第三「軍紀」第五「協同」の項において「命令一下欣然として死地に投じ」とか「欣然として没我協カの精神を發揮」といふ風に「欣然」の言葉がいくつも使はれてゐるが、これは、とりもなほさず、感情の發露である。みんな喜んで行け、理窟ではないぞ! 喜んで死ぬ──即ち欣然の姿である。更にこの心をおし擴めてゆくと、戰場では、勇怯の差の如きは、甚だ小なるものである。しかし、責任感の差は、非常に大きい。故に本訓の二の第六「責任」の項において「責任を重んずる者、是眞に戰場に於ける最大に勇者なり。」と説き、如何なる恐怖心強き者も、自暴自棄に陥ることなく、獻身殉國の大勇者たり得ることをえてゐるのである。
また、智謀の差は極めて小であるが、實行力の差は非常に大きい。故に「率先躬行」の項に於いて「戰陣は實行を尚ぶ」とこの點を強調し、しかも、第八「名を惜しむ」の項において、義を重んずることによつて、個人を美しくし全軍の戰力を至大ならしめるゆゑんを説いてゐる──かくして、戰場における武人の大本を完からしめんことを戒めてゐる。
終りに臨んで一言したきことは、武人がいやしくも戰場に出たからは、生還を期せぬ覺悟である。況や、遺骸の還ることは考へてもならぬとえられてゐるのであるが、かりに、九死に一生を得て、生還する場合のことを「本訓其の三、第二、「戰場の嗜」の九に書いてゐるのであるが、これは、軍當局として甚だ心苦しき事で「戰陣訓」起草に當つて、この一項を書くべきや否やについて思ひ迷つたのである。しかし、百人の中九十人迄は事實上生還して居るものであるから、これらのものに對しての歸還に對する「武人の心得」といふものを一言しておくことは、非常に大切であるといふ意見に一致して、この一項を加へた次第であつて、この點、生還を期せざる武人の覺悟と矛盾するものではない。
以上、戰陣訓を一貫する思想について大要を述べたのであるが、これを要するに戰陣訓は「情と義」が全文の到るところに綾の如くに織なされてゐるところに特色がある。
(P.1-P.10)


==========

【戦陣訓】


 夫れ戦陣は、大命に基き、皇軍の神髄を発揮し、攻むれば必ず取り、戦へば必ず勝ち、遍く皇道を宣布し、敵をして仰いで御稜威の尊厳を感銘せしむる処なり。されば戦陣に臨む者は、深く皇国の使命を体し、堅く皇軍の道義を持し、皇国の威徳を四海に宣揚せんことを期せざるべからず。

 惟ふに軍人精神の根本義は、畏くも軍人に賜はりたる勅諭に炳乎として明かなり。而して戦闘並に練習等に関し準拠すべき要綱は、又典令の綱領に教示せられたり。然るに戦陣の環境たる、兎もすれば眼前の事象に促はれて大本を逸し、時に其の行動軍人の本分に戻るが如きことなしとせず。深く慎まざるべけんや。乃ち既往の経験に鑑み、常に戦陣に於て勅諭を仰ぎて之が服行の完璧を期せむが為、具体的行動の憑拠を示し、以て皇軍道義の昂揚を図らんとす。是戦陣訓の本旨とする所なり。

本訓 其の一

第一 皇国

 大日本は皇国なり。万世一系の天皇上に在しまし、肇国の皇謨を紹継して無窮に君臨し給ふ。皇恩万民に遍く、聖徳八紘に光被す。臣民亦忠孝勇武祖孫相承け、皇国の道義を宣揚して天業を翼賛し奉り、君民一体以て克く国運の隆昌を致せり。
 戦陣の将兵、宜しく我が国体の本義を体得し、牢固不抜の信念を堅持し、誓つて皇国守護の大任を完遂せんことを期すべし。

第二 皇軍

 軍は天皇統帥の下、神武の精神を体現し、以て皇国の威徳を顕揚し皇運の扶翼に任ず。常に大御心を奉じ、正にして武、武にして仁、克く世界の大和を現ずるもの是神武の精神なり。武は厳なるべし仁は遍きを要す。苟も皇軍に抗する敵あらば、烈々たる武威を振ひ断乎之を撃砕すべし。仮令峻厳の威克く敵を屈服せしむとも、服するは撃たず従ふは慈しむの徳に欠くるあらば、未だ以て全しとは言ひ難し。武は驕らず仁は飾らず、自ら溢るるを以て尊しとなす。皇軍の本領は恩威並び行はれ、遍く御綾威を仰がしむるに在り。

第三 皇紀

 皇軍軍紀の神髄は、畏くも大元帥陛下に対し奉る絶対随順の崇高なる精神に存す。
 上下斉しく統帥の尊厳なる所以を感銘し、上は大意の承行を謹厳にし、下は謹んで服従の至誠を致すべし。尽忠の赤誠相結び、脈絡一貫、全軍一令の下に寸毫紊るるなきは、是戦捷必須の要件にして、又実に治安確保の要道たり。
 特に戦陣は、服従の精神実践の極致を発揮すべき処とす。死生困苦の間に処し、命令一下欣然として死地に投じ、黙々として献身服行の実を挙ぐるもの、実に我が軍人精神の精華なり。

第四 団結

 軍は、畏くも大元帥陛下を頭首と仰ぎ奉る。渥き聖慮を体し、忠誠の至情に和し、挙軍一心一体の実を致さざるべからず。 軍隊は統率の本義に則り、隊長を核心とし、鞏固にして而も和気藹々たる団結を固成すべし。上下各々其の分を厳守し、常に隊長の意図に従ひ、誠心を他の腹中に置き、生死利害を超越して、全体の為己を没するの覚悟なかるべからず。

第五 協同

 諸兵心を一にし、己の任務に邁進すると共に、全軍戦捷の為欣然として没我協力の精神を発揮すべし。
 各隊は互に其の任務を重んじ、名誉を尊び、相信じ相援け、自ら進んで苦難に就き、戮力協心相携へて目的達成の為力闘せざるべからず。

第六 攻撃精神

 凡そ戦闘は勇猛果敢、常に攻撃精神を以て一貫すべし。
 攻撃に方りては果断積極機先を制し、剛毅不屈、敵を粉砕せずんば已まざるべし。防禦又克く攻勢の鋭気を包蔵し、必ず主動の地位を確保せよ。陣地は死すとも敵に委すること勿れ。追撃は断々乎として飽く迄も徹底的なるべし。
 勇往邁進百事懼れず、沈著大胆難局に処し、堅忍不抜困苦に克ち、有ゆる障碍を突破して一意勝利の獲得に邁進すべし。

第七 必勝の信念

 信は力なり。自ら信じ毅然として戦ふ者常に克く勝者たり。
 必勝の信念は千磨必死の訓練に生ず。須く寸暇を惜しみ肝胆を砕き、必ず敵に勝つの実力を涵養すべし。
 勝敗は皇国の隆替に関す。光輝ある軍の歴史に鑑み、百戦百勝の伝統に対する己の責務を銘肝し、勝たずば断じて已むべからず。

本訓 其の二

第一 敬神

 神霊上に在りて照覧し給ふ。
 心を正し身を修め篤く敬神の誠を捧げ、常に忠孝を心に念じ、仰いで神明の加護に恥ぢざるべし。

第二 孝道

 忠孝一本は我が国道義の精粋にして、忠誠の士は又必ず純情の孝子なり。
 戦陣深く父母の志を体して、克く尽忠の大義に徹し、以て祖先の遺風を顕彰せんことを期すべし。

第三 敬礼挙措

 敬礼は至純の服従心の発露にして、又上下一致の表現なり。戦陣の間特に厳正なる敬礼を行はざるべからず。
 礼節の精神内に充溢し、挙措謹厳にして端正なるは強き武人たるの証左なり。

第四 戦友道

 戦友の道義は、大義の下死生相結び、互に信頼の至情を致し、常に切磋琢磨し、緩急相救ひ、非違相戒めて、倶に軍人の本分を完うするに在り。

第五 率先躬行

 幹部は熱誠以て百行の範たるべし。上正しからざけば下必ず紊る。
 戦陣は実行を尚ぶ。躬を以て衆に先んじ毅然として行ふべし。

第六 責任

 任務は神聖なり。責任は極めて重し。一業一務忽せにせず、心魂を傾注して一切の手段を尽くし、之が達成に遺憾なきを期すべし。
 責任を重んずる者、是真に戦場に於ける最大の勇者なり。

第七 生死観

 死生を貫くものは崇高なる献身奉公の精神なり。
 生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし。身心一切の力を尽くし、従容として悠久の大義に生くることを悦びとすべし。

第八 名を惜しむ

 恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ。

第九 質実剛健

 質実以て陣中の起居を律し、剛健なる士風を作興し、旺盛なる士気を振起すべし。
 陣中の生活は簡素ならざるべからず。不自由は常なるを思ひ、毎事節約に努むべし。奢侈は勇猛の精神を蝕むものなり。

第十 清廉潔白

 清廉潔白は、武人気質の由つて立つ所なり。己に克つこと能はずして物慾に捉はるる者、争でか皇国に身命を捧ぐるを得ん。
 身を持するに冷厳なれ。事に処するに公正なれ。行ひて俯仰天地に愧ぢざるべし。

本訓 其の三

第一 戦陣の戒


一 一瞬の油断、不測の大事を生ず。常に備へ厳に警めざるべからず。
  敵及住民を軽侮するを止めよ。小成に安んじて労を厭ふこと勿れ。不注意も亦災禍の因と知るべし。
二 軍機を守るに細心なれ。諜者は常に身辺に在り。
三 哨務は重大なり。一軍の安危を担ひ、一隊の軍紀を代表す。宜しく身を以て其の重きに任じ、厳粛に之を服行すべし。哨兵の身分は又深く之を尊重せざるべからず。
四 思想戦は、現代戦の重要なる一面なり。皇国に対する不動の信念を以て、敵の宣伝欺瞞を破摧するのみならず、進んで皇道の宣布に勉むべし。
五 流言蜚語は信念の弱きに生ず。惑ふこと勿れ、動ずること勿れ。皇軍の実力を確信し、篤く上官を信頼すべし。
六 敵産、敵資の保護に留意するを要す。徴発、押収、物資の燼滅等は規定に従ひ、必ず指揮官の命に依るべし。
七 皇軍の本義に鑑み、仁恕の心能く無辜の住民を愛護すべし。
八 戦陣苟も酒色に心奪はれ、又は慾情に駆られて本心を失ひ、皇軍の威信を損じ、奉公の身を過るが如きことあるべからず。深く戒慎し、断じて武人の清節を汚さざらんことを期すべし。
九 怒を抑へ不満を制すべし。「怒は敵と思へ」と古人も教へたり。一瞬の激情悔を後日に残すこと多し。
  軍法の峻厳なるは特に軍人の栄誉を保持し、皇軍の威信を完うせんが為なり。常に出征当時の決意と感激とを想起し、遙かに思を父母妻子の真情に馳せ、仮初にも身を罪科に曝すこと勿れ。

第二 戦陣の嗜
一 尚武の伝統に培ひ、武徳の涵養、技能の練磨に勉むべし。「毎事退屈する勿れ」とは古き武将の言葉にも見えたり。
二 後顧の憂を絶ちて只管奉公の道に励み、常に身辺を整へて死後を清くするの嗜を肝要とす。
  屍を戦野に曝すは固より軍人の覚悟なり。縦ひ遺骨の還らざることあるも、敢て意とせざる様予て家人に含め置くべし。
三 戦陣病魔に斃るるは遺憾の極なり。特に衛生を重んじ、己の不節制に因り奉公に支障を来すが如きことあるべからず。
四 刀を魂とし馬を宝と為せる古武士の嗜を心とし、戦陣の間常に兵器資材を尊重し、馬匹を愛護せよ。
五 陣中の徳義は戦力の因なり。常に他隊の便益を思ひ、宿舎、物資の独占の如きは慎むべし。
  「立つ鳥跡を濁さず」と言へり。雄々しく床しき皇軍の名を、異郷辺土にも永く伝へられたきものなり。
六 総じて武勲を誇らず、功を人に譲るは武人の高風とする所なり。
  他の栄達を嫉まず己の認められざるを恨まず、省みて我が誠の足らざるを思ふべし。
七 諸事正直を旨とし、誇張虚言を恥とせよ。
八 常に大国民たるの襟度を持し、正を践み義を貫きて皇国の威風を世界に宣揚すべし。
  国際の儀礼亦軽んずべからず。
九 万死に一生を得て帰還の大命に浴することあらば、具に思を護国の英霊に致し、言行を慎みて国民の範となり、愈々奉公の覚悟を固くすべし。



 以上述ぶる所は、悉く勅諭に発し、又之に帰するものなり。されば之を戦陣道義の実践に資し、以て聖諭服行の完璧を期せざるべからず。
 戦陣の将兵、須く此趣旨を体し、愈々奉公の至誠を擢んで、克く軍人の本分を完うして、皇恩の渥きに答へ奉るべし。

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※この記事は2012年1月の記事をリニューアルしたものです。
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2020/1/5(日)第68回 倭塾 江東区文化センター 第1・2研修室 13:00〜16:30
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2020/1/26(日)第44回 百人一首塾 江東区文化センター 第3研修室 13:30〜16:30
https://www.facebook.com/events/801123523660268/
2010/2/8(土)関西IK歴史勉強会「万葉集に学ぶ日本の形」
https://xn--eckaubhp5c.com/seminar/4971/
2020/2/22(土)第69回 倭塾 富岡八幡宮 婚儀殿二階大広間 13:30~16:30
https://www.facebook.com/events/2179999205630540/
2020/3/20(金)第70回 倭塾  江東区文化センター 第1/2研修室
https://www.facebook.com/events/437079950576050/


◆ニュース◆ 百人一首の本がオンデマンド版で購入できるようになりました。





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コメント

takechiyo1949

万民の幸せは神の思し召し
ねずさんは仰いました。
『戦陣訓に照らせば、きっと何かを感じられる』
★経営者や会社にお勤めの方
・軍=我が社
・軍人=当社社員
★学校関係者
・軍=本校
・軍人=本校生徒

昔の職場には確かにそんな雰囲気がありました。
しかし…今はどうでしょうか。
お客様を大切に思い、一所懸命懸命の「戦友」がいます。
少しでも役に立ちたいと、年寄の私も一緒に頑張ります。
すると「兵卒の分際なのだから、契約以上の仕事をする必要は無い」と言う者がいます。
全ては契約と貰う金?
皆の幸せなど無関心?

昨日はOFF日。
ねずさんの戦陣訓を読み、幾つかの映画を観て過ごしました。
壮絶な硫黄島…祖国本土の幸せを護る戦い。
戦場を知らない私は、映像や先人の話や書き物の閲覧などで想像することしか出来ません。
万民の幸せは神の思し召し。
色々と考えさせられました。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』

『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦

『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』
『誰も言わない ねずさんの世界一誇れる国 日本』
最新刊
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
近日発売
『日本書紀』(タイトル未定)

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