憲法と国民主権という自己矛盾について



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「国民主権」という言葉と、「憲法で定めた」という言葉は、日本人にとっては、きわめて矛盾した概念です。
 国民主権=国民が国家における超法規的な最高にして至高な存在
 憲法  =万古不易な国家の最高法規
これは、「どんな盾(たて)でも絶対に貫(つらぬ)くことができる矛(ほこ)」と、「どんな矛でも絶対に貫くことができない盾」の対決みたいなものです。つまり、国民主権と憲法という言葉は、はじめから相互に自己矛盾を犯しています。


ダヴィッドによる『球戯場の誓い』(カルナヴァレ博物館)
20200202 フランス革命
画像出所=https://sekainorekisi.com/glossary/%E7%90%83%E6%88%AF%E5%A0%B4%E3%81%AE%E8%AA%93%E3%81%84/
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


「主権者」という言葉は、もともとはイタリア語の「Sovranità」やフランス語の 「souveraineté」を指す言葉です。
日本語に訳せば「超法規的な最高にして至高な存在」です。

ですから
「国家主権者」ならば「国家における超法規的な最高にして至高な存在」となるし、
「領土主権者」ならば「国家の領土における超法規的な最高にして至高な存在」ですし、
「国民主権者」ならば「国民が国家における超法規的な最高にして至高な存在」という意味になります。
これが「主権者」に関する国際標準(Global Standard)の考え方です。

「国家における超法規的」ということは、当該国の国法にさえ縛られません。
ですから「国民主権」であれば、交通違反で捕まっても、逆に捕まえた警察官の処罰を命ずることが(原則としては)可能ということになります。
そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、国民が「超法規的絶対権を持つ存在」なのですから、理論的にはそうなります。

戦後の我が国は「国民主権」を「憲法で定めた国」だということになっていますが、ここでいう憲法は英語の「constitution」を幕末に日本語に翻訳(ほんやく)した造語です。
もともと「constitution」は、フランス語と英語が同じ単語のもので、幕末には「律法」とか「律例」などと訳されていました。
ところがこれを明治6年に、元熊本藩士の林正明(はやしまさあき)が合衆国憲法の訳本を、また元津山藩士の箕作麟祥(みつくりあきよし)がフランス憲法の訳本を出すに際して「憲法」という用語を用いたことから、明治憲法がつくられる際にも、「憲法」という用語が用いられることになりました。

「constitution」という語は、フランス革命当時のパリ市民たちの手で作られた造語で、
Con《共に》、stitute《立てた》ion《こと》が組み合わさったできた語です。
フランス革命に際して、人々が集まって共同して打ち立てた決まり・規約と言った意味の言葉ですから、共同体のための基本条項みたいなものです。
ですから共同体の形が変化すれば、それに応じてどんどん変えていくのがあたりまえですし、そのことが言葉の上からも明確になっているわけです。



20191006 ねずラジ
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このためドイツも日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国ですが、その後、ドイツの「constitution」は60回を超える改定が行われています。
これは当然のことで、時代が変化すれば、「constitution」は、むしろ変えないほうがおかしいと考えられているわけです。
その意味では、明治憲法も、いまの日本国憲法も、幕末の翻訳語である「律法」とか「律例」を用いて、「大日本帝国律例」とか、「日本国律法」と表記した方が、実体に即しているように思います。

日本人にとって「憲法」という用語は、604年に制定された十七条憲法が1400年を経過して、いまなおその精神が日本国民に定着していることにあきらかなように、「万古不易の変えてはならないきまり」です。
従って、実は英語やフランス語の「constitution」と、日本語の「憲法」は、まったく意味が異なるものなのです。

そうすると「国民主権」という言葉と、「憲法で定めた」という言葉は、日本人にとっては、きわめて矛盾した概念になってしまいます。
つまり、
 国民主権=国民が国家における超法規的な最高にして至高な存在
 憲法  =万古不易な国家の最高法規

これは、「どんな盾(たて)でも絶対に貫(つらぬ)くことができる矛(ほこ)」と、「どんな矛でも絶対に貫くことができない盾」の対決みたいなものです。
つまり、国民主権と憲法という言葉は、はじめから相互に自己矛盾を犯しています。

ではなぜ「国民主権」なる概念が生じるかといえば、いま我々が「憲法」と呼んでいる日本国憲法は、実は共同体の基本的自治宣言を意味する「constitution」でしかないからです。
実際、日本国憲法の原案となったGHQ作成の英語版の日本国憲法の名前は、
「The Constitution of Japan」
となっています。
まさに、「constitution」と書いてあるのです。

つまり日本国憲法は、日本人が一般通念として理解する「万古不易の憲法(いつくしきのり)」ではなくて、実際には
「GHQが占領統治を行うに際しての日本国民の共同体としての自治のための基本法」
という意味のものでしかないわけです。

すでに占領統治が終わって68年も経過していて、社会情勢も変わっているのに、それをいつまでも墨守(ぼくしゅ)している(あるいは墨守しなければならないと主張している)日本人は、ひとことでいえば馬鹿だということです。

ありがたいことに、日本は持統天皇の昔から、言葉の意味を大切にし、教育と高度な文化で国民を「おほみたから」としてきた歴史を持つ国です。
そうしたちゃんとした歴史が教えられないのは、いちぶの敗戦利得者たちの金儲けに、日本人が馬鹿になっていてくれたほうが、都合が良いからに他なりません。

ですから「日本人よ目覚めよ」という言葉は、
「いつまでも馬鹿やってんじゃねえよ、
 もうそろそろ目を覚ませよ!」
という意味の言葉です。
そしておそらく、それは神々の御意志でもあります。

お読みいただき、ありがとうございました。


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Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
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