自ら責任を持つ良識



【緊急告知】
3月20日に開催を予定しておりました第70回倭塾は、新型コロナウイルスの問題から、まことに残念ながら開催を中止とさせていただきます。
 3月6日 小名木善行


「体(たい)斜めなら影(かげ)斜めなり」という言葉がありますが、歪んだ精神、歪んだ歴史観の持ち主からみると、正しいものが歪んで見え、歪んだものが正しく見えるものです。
なるほど日本は、大昔から言論の自由が保障された国です。
しかし悪意ある非常識まで容認しているものではありません。


20200302 感染症
画像出所=https://www.city.kurobe.toyama.jp/news/detail.aspx?servno=17195
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


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あまりの悪意にびっくりしたのが、あるテレビ番組。
なんと歴史を通じて「神社の御札(おふだ)が伝染病を媒介していた」という話をしていたそうです。
「昔の人は、伝染病が流行ると、神社に伝染病封じの御札(おふだ)をもらいに行った。大勢の人がその御札に触(さわ)るから、これが伝染病拡大の原因となっていた」という話だったのだとか。

私はあまりテレビを観ないので、どの局のどの番組がそのような馬鹿げた話をしていたのかまでは知りません。
人づてに聞いた話です。
その人は、コロナウイルスで多くの人が不安になっているときに、テレビでそう言っていたから、その話を真に受けて「神社には行かないほうがいいらしいよ」と言っていました。

本当に多くの人に影響力を持つテレビが、そのようなことを言っていたのだとしたら、あまりの低次元に情けないことです。
どうも近年のテレビは、良いことを悪いことに置き換えて話、悪いことを良いことに置き換えて人々に拡散するという、おかしな傾向があるようです。

そもそも神社の御札は、大勢の人が触るようなものではありません。
それを言うなら、小判や銅銭のような通貨の方が、よほど多くの人から人へと媒介されます。
とりわけ金属に付着したウイルスが、何日も生き伸びるということを考えれば、そちらの方がはるかに影響は大きいといえましょう。

いまでは通貨は紙のお札(さつ)とコインの両建てですが、それにしても日本の通貨は、だいたいにおいてきれいなものです。
これがチャイナやコリアに行くと、お札がとにもかくにも汚い。
チャイナで電子通貨が流行るのも、ひとつにはこの「お札が汚くて不衛生」なことが大きな理由のひとつともいわれています。


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また韓国では、ある宗教団体がその集会によってコロナウイルスを大勢に罹患させ、ウイルス拡大のひとつの原因となったことが報道されました。
日本では起こらない、そのようなことがあまりに悔しくて、番組の中でそちら系の人が冒頭の馬鹿な話を日本で展開したのかもしれない。

まったく逆です。
日本では神社のおかげで、感染症リスクが極小でおさまってきたのです。
チャイナでもコリアでも、ひとたび感染症が発症すれば、歴史の中で毎度人口の半数以上を失ってきたのに対し、日本で伝染病リスクが、2千年以上にわたって常に人口の1%以下におさまってきた実績があります。

なぜなら神社が中心となって、人が大勢集まるところでは、手洗いと口をゆすぐことが習慣化させていたからです。
このことがきっかけとなって、各家庭でも手洗いや口をゆすぐことが習慣化し、これが結果として感染症が発症しても、それが人口を半減させるような猛威にまで至らずに現在に至っているのです。

なぜそういえるのかは、神社に行ったらわかります。
どんな小さな神社でも、必ず手水舎がある。
それがいつの時代にはじまったのかというと、第10代崇神天皇(すじんてんのう)の時代です。

崇神天皇の時代に、伝染病がまんえんし、人口の半数以上(日本書紀では人口のほとんど)が失われるという事態になりました。
それが西暦でいうと何年のことだったのかは、これまで必ずしも明らかではなかったのですが、昨年東大の研究チームが日本人のDNAの研究から、日本人はいまから2500年前に、それまで26万人だった人口が、8万人にまで減少したことが明らかにされました。

もっとも東大の研究チームは「寒冷化による凶作」をそのときの理由として挙げ、「そこから稲作がはじまったのではないか」という結論に結びつけていますが、寒冷化なら逆に熱帯性の稲は育ちにくくなります。
また狩猟採集生活なら、寒冷化の影響は受けません。
なぜなら日本列島の人口が20〜30万人程度であって、狩猟採集を生活の基盤としているのなら、気温が低くなれば、人々は温かな地域に引っ越すからです。

そもそも年間の平均気温の影響は、海洋国日本の場合、まず海水温度の変化となって表れます。
そして海水温度は、その微妙な変化によって、魚の漁場が変化します。
たとえばイシモチは、いまよりずっと寒かった50年前は静岡県の御前崎あたりが漁場でしたが、いまは茨城県沖が漁場です。
つまり気温の変化で釣り場が変わるのです。
そして日本は海洋国であり、海から食料を採っていたし、海から食を得ていたということは船がある、ということです。
しかも土地に所有権もなければ登記もない。
住まいも竪穴式住居というのは、基本、移動性の人々に適した住居です。
要するに寒冷化は、狩猟採集民にとって、人口減少の要因となりえないのです。

一方、世界の歴史を見ても、人口を半減させるような事態というのは、戦争でもなければ凶作でもない。
もっぱら疫病です。
西洋でもペストが流行った14世紀には、ヨーロッパの人口の6割が死亡したし、チャイナでは1億2千万人の人口が疫病で2500万人程度にまで下がった記録があります。(王朝交替もそのために起きています)

2500年前に、日本の人口が26万から8万に下がったということは、その意味において疫病が原因だった可能性がもっとも高い。
そしてそのことが古事記にも日本書紀にも明確に書かれているのです。

それが第10代崇神天皇の時代の出来事です。
そしてこのとき崇神天皇が、全国の神社に手水舎(てみずどころ)を設置されました。
これ以降、何が起こったかというと、疫病を克服した日本人は、なんとほどなく人口を67万人に増加させています。

さらにこれ以降、日本には歴史を通じて、らい病からコレラ、ペストなど、さまざまな疫病が入り込んで猛威をふるいましたが、崇神天皇の事件以降、いちどたりとも人口を半減させるような巨大な疫病リスクに至っていません。
その理由は、きわめて明確で、それが「手洗いの習慣」です。

ちなみに日本における疫病対策の習慣は、他にもたとえば(いつはじまったかは明らかでないけれど)、挨拶のときに濃厚接触となる握手やハグをしないで、畳1枚分(約1.8メートル)の距離をとって頭を下げるだけにするとか、家屋内を毎日きれいな水を使って雑巾がけするといったことが、作法として定着しています。

またかなり古い時代から上下水道の整備が行われています。
水道についていえば、戦国大名の北条氏康が小田原早川上水を建設しているし、秀吉もまた大坂に太閤下水(背割下水)を設置しているし、以後全国の諸大名は、誰もが上下水道の建設に乗り出しています。
さらにいえば、河川の水を小川にして家の敷地内までひくことで、洗濯などの生活様子に用いることは、奈良平安の昔から行われてきたことです。
そしてその水の清潔さを保つために、洋風化が顕著になった戦後になる前までは、水路にゴミを捨てるということは作法として厳しく戒められていました。

要するにそれだけ衛生環境整備には、大昔から日本は官民一体となって力を注いできたわけで、その大本にあるのが、2500年前の崇神天皇の時代の神社の手水舎であったわけです。
ということは、むしろ神社の存在こそが、我が国を感染症から救う大きな役割をしていたということであって、これをメディアが、あたかも神社参拝が原因で感染症が拡大したと述べるというのは、まるで頓珍漢なデタラメとしか言いようがないのです。

「体(たい)斜めなら影(かげ)斜めなり」という言葉がありますが、歪んだ精神、歪んだ歴史観の持ち主からみると、正しいものが歪んで見え、歪んだものが正しく見える。
このブログで何度もご紹介していますが、江戸時代の童子教に、
「悪しき弟子を養えば師弟共に地獄に落ちるべし」
という言葉があります。
これはひとえに寺子屋のことを指すだけではなく、あらゆる組織や国家においても言えることです。

だいたい、戦後の學校においても、あるいは近年の職場においても、その程度(レベル)を下げているのは、どうしようもない馬鹿者であっても、一度、生徒になったなら、あるいは社員になったなら、決してクビにしてはいけない、といった風潮を、法で強制していることにあります。
義務教育も結構ですが、校風に合わない生徒は、どんどん放逐すべきだし、それで生徒数が足りなくなるというのなら、飛び級を実施すればよいだけのことです。

ちなみにいまもむかしも、世の中にはクズと呼ぶべき人たちが一定数いるのは、これは現実にあることで、ある意味人間社会ではやむをえないことといえます。
ですからそうした、一般世間からはみ出した人たちは、日本ではそうした人たちを専門に扱う親分さんに面倒をみてもらうのが通例でした。
そしてそういう人たちが仮に喧嘩でご同業の人を殺めたとしても、一定期間他の国(いまでいう他県)で過ごせば、ちゃんともとの国に帰ってくることができたし、そういう仕組のなかで、ある意味(言葉は悪いですがダニ掃除)が行われるという仕組みにもなっていたのです。
そしてそういう人たちは、カタギの人(一般の人)には、絶対に迷惑をかけてはいけないということが社会常識になっていました。

正しいことかそうでないことかは、時代によっても変わりますし、何が正しいくて何が悪いことなのかは、人の身にはなかなかわからないことです。
早い話、戦後の日本は、それまでの歴史ある日本を否定することにはじまった国です。
仮に終戦までの日本を国民が家族となっていたという意味で「国家」、
戦後のGHQによる占領統治に始まる戦後の日本を単に「国」とした場合、
「国家」からみれば、「国」は歪みだし、「国」からみれば「国家」は歪みです。
どちらが正しいかなど、人に決められるものではありません。

冒頭のメディアの虚言も、手を触れるものにはリスクがあるという意味においてなら、三分の理があるのかもしれません。
けれど、影響力のあるメディアには、他人の責任を追求する前に、自ら責任を持つ良識をもって情報発信をしていただきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。


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コメント

にっぽんじん

気になる献血
NHKのニュースで輸血血液が少ないため献血に協力して欲しいと言っていました。
献血は大事であり否定するものではありません。
が、コロナ肺炎の時期の献血に違和感があります。

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焼き弁

古代の先人の叡智に感謝します。
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五十鈴

斎戒沐浴
神社へ参拝する際に手水舎で手を清めるというのは、すでに大幅に簡略化された後の姿であって、もともとは神事に参加する神職や参列員は数日前から斎戒沐浴しました。斎戒は斎屋などに籠り、衣服を改め、飲食を菜食にして不浄な行い・思いを慎しみ心身を清めること、沐浴は湯水で髪・身体を清めることです。

養老の神祇令には「凡そ一月の斎を大祀と為し、三日の斎を中祀と為し、一日の斎を小祀と為す」とあり、大祀においては1カ月間の斎戒を行うこととされています。時代を下った平安時代や鎌倉時代の史料でも神職ではない平安貴族などが神社に参拝するために数日前から潔斎をしたといった記述が出てきます。「斎戒沐浴」という言葉自体は仏教由来のようですが、それ以前から神社に禊の儀礼はあったと考えられます。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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