中今(なかいま)とブリコラージュ



新型コロナウイルスで、いま、経営環境も、個人の生活環境も一変しています。
その一変したなかにあって、どうすれば明るく楽しく、よろこびに満ちた清い心で、未来を拓いていくのか。
いま私たちは、神々にためされています。


20200316 ひまわり
画像出所=https://item.rakuten.co.jp/auc-eurasia/ma217-f12/?gclid=Cj0KCQjw3qzzBRDnARIsAECmryqXM9N_GiYYFf4Tz7PCOQaU-3fu5fCcXnENAtM4E0BAiJ4JHVXyxIwaAmGlEALw_wcB&scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868
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中今(なかいま)というのは、古い日本語で、いまこの瞬間のことをいいます。
人は霊(ひ)の乗り物であり、霊(ひ)は神々に通じることができます。
人が生まれてから死ぬまでに経験できることは限られていますが、神々の智慧は深いものです。
ですから、瞬間瞬間に神々の深い智慧をいただくことで、より高度な人生を生きることができるし、自分の人生をよりよいものにしていくことができるし、多くの人々の役に立つ自分に成長していくことができる。
それは「良い瞬間」であり、その「良い瞬間」を時々刻々、そして日々続けながら生きることを、古い言葉で「中今(なかいま)に生きる」と言いました。

この言葉は、実は近年、欧米において「ブリコラージュ(Bricolage)」という言葉で語られるようになりました。
これはもともとフランス語の「bricoler」 に由来するもので、わかりやすい例がゴッホの「ひまわり」(トップの画像)です。
ちなみにこの言葉、先日長野で行われた頂道塾において塾長の中澤昭彦先生から教えていただきました。

中澤先生の解説はわかりやすくて、ゴッホの「ひまわり」を例にして説明してくださいました。
ゴッホは「ひまわり」の絵を描こうとしてこの絵を描いたのではなく、美しい花を描こうとして、結果としてこの「ひまわり」の絵になった、というのです。
つまり、最高を求める瞬間の連続が、「ブリコラージュ」です。

ですから「ブリコラージュ」は、従来の計画性に基づく構造的思考と対象をなします。
従来ですと、たとえば経営計画といえば、5〜10年先までを予測した「長期経営ビジョン」、おおむね3年程度の経営計画を示す「中期経営計画」、これに基づく「当年度予算編成」を立て、これを実行するというのが、企業や国家、あるいは組織における普通の活動形態でした。

代表例が旧ソ連の「五か年計画」で、かつてソ連はさかんにこの「五か年計画」の成功を宣伝し、世界的に経営計画の必要性が広く普及したものです。
ところが実際には、ソ連の「五か年計画」などというものは、まったくの空想上のものでしかなかったし、企業活動などの分野においても、いくら計画性をもって予算編成をしても、環境が変われば、その経営計画そのものが根底から破壊されてしまうということが、頻繁に起こるわけです。


実際、金融機関においても、企業の借入に際して、経営計画と、その結果の実現が強く求められてきました。
ところが多くの企業が、激変する経済環境の中で、当初の計画を期中に修正せざるを得ず、結果としてこのことが金融機関から見たときに、当該企業の経営計画の信頼性を疑わせることになり、結果として金融機関から一方的な資金の引き上げ、いわゆる「貸し剥がし」が行われたりもしてきました。
要するに、激変する社会の中においては、計画性そのものが実は役に立たなかったりするわけです。

これに対し「ブリコラージュ」は、計画性そのものを否定します。
いまこの瞬間にあるすべての経営資源を寄せ集めた中で、この瞬間にできる最良の選択を重ねることを、より重視するわけです。

歴史を振り返ると、人々は農耕生活からはじまり、工業化へと向かいました。
工業化は、いわば人々の手足を機会に代替させたものです。
次に起こったのが商業革命で、物作りそのものよりも、その物をいかに有効に動かすかによって巨万の富を生むといった時代となりました。
あるいは儲かる会社に投資をすることで、投資金融がたいへんな利益を得る世の中になりました。
これは筋肉よりも、その筋肉をいかに有効に使うかという脳や神経の働きに社会の中心が移ったことを意味します。
そして社会がさらに発展して、情報化が進んでくると、脳や神経の働きに相当する業務は、今度はコンピューターが人間よりもはるかに安いコストで、しかも正確に代替するようになります。

農耕から工業化、商業化の流れの中にあっては、構造主義的な計画経済がものを言いました。
ところが情報化社会の中にあっては、計画よりもはるかに早いスピードで社会が加速度的に変化します。
そうなると、計画経済に代わるものが求められてくるわけです。

すでにブリコラージュ社会ははじまっています。
典型的なものがスマホで、シェル型携帯が主流だった時代に、シェル型携帯電話機の生産販売計画を、どれだけ綿密に立てたとしても、市場がスマホに変わった時点で、すべての計画は水の泡になってしまいました。

つまり美意識による新たなマーケットの創造が、結果として市場に極めて大きなインパクトを持つようになったわけです。
他にもAmazonやグーグルの成功があります。
直感的に人々が欲しがるもの、人々のニーズを寄せ集めてブリコラージュしたものが、Amazonです。
グーグルもまた同じです。

良いものを、寄せ集めて、そこからさらに新しい価値を創造していく。
「いまある最高を寄せ集めて試行錯誤を繰り返す結果」が、新しい価値となるのです。

新型コロナウイルス問題もまた同じです。
この問題が浮上するまで、誰も、集団が集うことが事実上禁止になるなどと思っていませんでした。
そしてこの問題が出たことによって、ほとんどの会社が、経営計画を水疱にしています。

だから「困った」と考えるのは、計画が水泡に帰すからです。
そうではないのです。
このいまの環境の中にあって、いまある最高を寄せ集めて、よりよい結果を求めて試行錯誤していく。
そうすることで、新しい未来をひらく。
それが「ブリコラージュ」です。

個人もまた同じです。
自分なりに、いまできることは何か。
それを日々追求していく中に、現状を打破する新たなチャンスが生まれてきます。

ただし、それは、従来型の欲得に駆られたものであれば、失敗します。
こうすれば儲かるといった欲得ではなく、いま自分ができることを総合して、どうしたらより世の中の役に立つことができようになるのか。
その試行錯誤の上に、新たな希望の光が射すのです。

これが日本の古くからある言葉ですと、「中今(なかいま)」です。
日本では、知識は生まれてからの蓄積ですが、人が一生をかけて蓄積できる知識など、たかが知れていると考えます。
先祖代々積み上げられた膨大な智慧と、未来の人々が新たに開く膨大な智慧。
それらを総称して、神々の智慧と呼んだのです。
その神々の智慧を、いまこの瞬間に、心の穢れを祓い、謙虚で素直な心になることによって、神々とつながり、そして神々の智慧をいただいて生きる。
それが「中今(なかいま)に生きる」です。

ブリコラージュする際にも、それが自身の欲得だけに駆られたものであるならば、神々とつながることができない。
清浄な心でブリコラージュするときに、よりよい結果が生まれると考えられてきたのです。

では、清浄な心とはなにかといえば、これは日本書紀に記述があります。
それが「清陽(すみあきらか)」です。
清い陽光と書かれたその「清陽(すみあきらか)」は、わかりやすくいうなら「よろこびと楽しさ」です。
暗く濁った心は、清陽とはいえません。
明るく楽しく、よろこびに満ちた清い心。
その心で中今に神々とつながるとき、はじめて、本物のブリコラージュが現れるということなのだろうと思います。

新型コロナウイルスで、いま、経営環境も、個人の生活環境も一変しています。
その一変したなかにあって、どうすれば明るく楽しく、よろこびに満ちた清い心で、未来を拓いていくのか。
いま私たちは、神々にためされています。

お読みいただき、ありがとうございました。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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